No.88809

真・恋姫無双~魏・外史伝28.5

 こんばんわ、アンドレカンドレです。
今週、「恋姫無双」をネットで買って、今プレイしています。率直な感想は恋姫の華琳さんがひどくうざったく見える・・・。真・恋姫の華琳さんがいかに綺麗なのかがしみじみと分かりました。
 恋姫世界の概念を知る意味で買ったのですが、果たして
それが今後の魏・外史伝にどのような影響を与えるのでしょうか?
 まあ、それはともかく今回投降するのは13章で描けなかった。魏ルートのその後のとある1シーンです。

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2009-08-08 21:11:11 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:5947   閲覧ユーザー数:5233

第十三章~今再び、君の元へ~

  

  ~今宵の月は二人を夜空から見守る~

  

  ここは洛陽の王宮・・・、すでに日は落ち、空には綺麗な満月が登っている頃。

 そこでは魏の主要人達による宴会が広げられていた。

  「こんな所で何をしているんだ?」

  宴会からこっそりと抜け出してきた一刀は一人満月を見上げる華琳を城壁の上で見つけた。

  「一刀・・・?どうしたの、今夜の宴会の主役のあなたがこんな所で。」

  「それを言ったら、お前だって・・・。」

  階段を登り切ると一刀は華琳の横に並ぶと、二人一緒に夜空に浮かぶ満月を眺めた。

  「・・・・・・・・・。」

  「・・・・・・・・・。」

  二人の間に沈黙が続く。

 ようやく巡り合えたはずの二人・・・、あの日から次会った時にはあんな事やこんな事を話そう・・・。

 そんな風に話したい事はたくさんあったはずなのに、いざこうして面と向かい合ってしまうと、

 言いたいはずの言葉が全く出てこなかった。

  「不思議だな・・・。」

  「何が・・・?」

  「話したい事がたくさんあったはずなのに、いざこうして華琳の傍に来ると・・・、どうしてだろうな。

  何も思いつかないんだ・・・。」

  「・・・そうね。次に会えた時・・・別れてからの話をたくさん聞かせてもらおう・・・そう思っていた

  はずなのにどうしてなのかしら・・・。」

  そして二人は寄り添いあう・・・、まるで恋人の様に。

  「・・・ねぇ、一刀。」

  「・・・うん?」

  「・・・またいなくなったり・・・、しない?」

  華琳の問いに、一刀はしばし黙って考える。

  「・・・分からない。もしかしたら・・・、また向こうに帰るのかも、しれない。」

  「そう・・・。」

  そしてまた沈黙・・・。

  「・・・でも。」

  「え・・・?」

  「もしそうだとしてもまだそれはずっと先だと思う・・・。」

  「どうしてそんな事が言えるの・・・?」

  「・・・だって俺は、まだこの世界で何も為し得ていないと思うから・・・。」

  一刀はふと露仁の姿を思い出す・・・。そして伏義の姿も・・・。

 露仁が何を言おうとしたのは何か・・・、一刀には分からない。

  (でも、それでも・・・俺の心が向かう先は・・・すでに決まっているんだ。)

  「そう・・・、なら・・・何も為し得ないままでいなさい。」

  「華琳・・・。」

  「何もしなければ、あなたは帰らなくて済むのでしょ・・・?だったら、

  何もしないで私達のそばにいなさい。」

  「・・・・・・・・・。そう・・・できたらいいな。」

  「できたら、じゃなくて・・・しなさい。」

  「・・・相変わらず無茶いうな。」

  「私がそういう人間なのは知っているでしょうに・・・。」

  「・・・・・・・・。」

  「・・・・・・・・。」

  それから二人は一言も交わす事は無かった・・・。

 ただずっと寄り添って、夜空を見上げていた・・・。

 

  この二人を見ているのは、夜空に浮かぶ満月・・・と、城壁の影となっている所から

 隠れながら覗き見している魏の主要人達だけであった。


 
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