No.887724

ごちゆり9~ココvチノ4~

初音軍さん

付き合う前後のお話。
甘酸っぱいようなこそばゆいような風に
感じてもらえたら幸いです(๑Ő௰Ő๑)

2017-01-07 21:14:29 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:679   閲覧ユーザー数:679

【ココア】

 

 チノちゃんの誕生日の夜。私の部屋にチノちゃんが顔を赤くして照れたような反応を

見せながらいつものように一つのベッドで一緒に寝た。

 

 最初は私に背中を向けていたチノちゃんが少しした後、そっと振り返って

上目遣いで私を見て小さく、聞き逃してしまいそうなくらい小さい声で言っていた。

 

「ココアさんのこと好きです…姉とか友人とか、そういうのを超えた…」

「チノちゃん…!」

 

 今まで苦労してアプローチをかけてきたかいがあった!と大きく言いたかったのを

抑えて心の中で叫んでいた。

 そういう気持ちが高揚することもあってかその日はなかなか眠りに就けなかった。

 

 

 そして翌日。晴れて二人は付き合うことになったはずなんだけど私への態度は相変わらず。

試しにハートマークをあしらったラテアートを描いてチノちゃんにアピールしたら。

 

「公私混同はしないでください。仕事してください」

 

 と普段通りに怒られてしまった。昨日のは夢だったのだろうかと思っちゃうくらい

チノちゃんの反応は冷たかった。

 

「うぅ、チノちゃんがいつも通り…」

「いつも通りならかまわんだろう?」

 

 休憩時、新商品のパン作りをしている最中にリゼちゃんに来てもらって相談に乗ると

あっさりとチノちゃん側についた。

 

「えぇぇ、だってあんなこと言ってたのに~~」

「今は仕事中だからなぁ…。大丈夫だよ、安心しろ。チノだっていつもよりボーっとしていたから。

ココアのことでも考えてるんだろう」

 

「よくわかるね…!」

 

 私ですらいつも通り過ぎると感じていたのに。

 

「近くにいすぎると逆にわからないこともあるさ」

 

 苦笑しながら冷静に分析して言うリゼちゃん。大人だ…!

 

「私から見てもお前らの関係は進んでると思うぞ」

「リゼちゃんにそう言ってもらうと安心するよ~」

 

 ホッと胸をなでおろす。

 

「…私もそういう風になりたかったけどな…」

「ん、何か言った? リゼちゃん~」

 

「な、何でもないよ!」

 

 安心した直後にボソッと呟いたリゼちゃんの言葉が聞き取れなくて

聞こうとすると何故か怒られてしまった。

 

 

**

 

 仕事が終わって着替える際、チノちゃんと並んで着替えているとチノちゃんの動きが

途中で止まっていたので私は心配をしながら覗き込んだ。

 

「どうしたの、チノちゃん」

「あの…さっきはすみませんでした…」

 

「え? あぁ、仕事のことだったら私の方が悪かったから」

「気にしてませんか…?」

 

「うん、大丈夫。チノちゃんのこと信じてるから」

「よかった…」

 

 その反応を見て私もホッとした。私の行動一つ一つで昨日のことを

取り消されやしないかと思ったからだ。

 

 チノちゃんのことだ、本意ではなくても照れ隠しとかそういうので誤魔化す時に

言いそうだなって。たとえ本心ではなかったとしても取り消すようなことを

言われたなら、私はわかっていても傷ついていただろうなって思っていた。

 

「ココアさん…」

「なあに?」

 

「今日…一緒にお風呂入りましょうか」

「え、いいの!? というかチノちゃんから誘ってくるなんてレアイベントだよ!」

 

「な、なんですかそれは…。嫌ならいいです」

「嫌なわけないよ!すごく嬉しいよ!ありがとう、チノちゃん!」

 

 大好きな子と一緒にお風呂。普段から時々していることだけど、お互いの気持ちを

確かめあってからは初めてのお風呂。

これは気持ちが高揚しないわけがない。

 

 私は強くチノちゃんの手を握ってぶんぶん振って喜びを表すと、

チノちゃんは照れた顔をしながら私を叱ってきた姿がとても可愛かった。

 

 二人で背中を流した後、少し大きめの浴槽に二人で入って見詰め合った。

いつも見慣れた姿なのにいつもより愛おしく感じられてつい抱きしめてしまう。

 

「ココアさん!?」

 

 慌てるような声が聞こえるけど、抵抗したり嫌がったりはしなかった。

普段は服を着た状態で抱きしめたりしてるけど、お互いに裸の状態でするのは初めて。

チノちゃんのまだ未発達のふわふわと柔らかくも細い体。すべすべの肌。甘い香り。

 

 気持ち良すぎてそのまま天国にいってしまいそうなほど。

すると熱を帯びたように目をとろんとさせているチノちゃん。

 

「のぼせちゃった?」

「違います…!」

 

 目を合わせて聞くと否定され、視線を逸らした後、小さくバカと呟くチノちゃん。

その後再び私と目を合わせると目を閉じるチノちゃん。

 

「して…いいの?」

「聞かないでください、恥ずかしい…!」

 

 良いってことだよね!

そう解釈した私は飛びつきたくなる気持ちを抑えながらドキドキと心臓が脈打って

そっとチノちゃんの唇に自分のを重ねた。

 

 ふわっとした柔らかい感触としっとりと温かい感触が私を包み込む。

そして、私はチノちゃんを抱き寄せて体を密着さて深くキスをする。

 

 ぬるっとした後にほんのりコーヒーの香りが私の鼻腔をくすぐる。

私の体の感覚がチノちゃんの全てを感じて愛していることを実感した。

 

 時折呼吸が荒くなりながらも口の中で舌を使って私を誘ってくるチノちゃんが

愛おしくてたまらない。

 

「ん///」

「んふ…///」

 

 口から漏れる声色がすごく色っぽくて何だかえっちく感じる。

もうどれくらいそうしていたか忘れてしまうくらい私たちは夢中になってキスをしていた。

そしてキスを終えて顔を真っ赤にしながらのぼせないよう一緒にお風呂から出た。

 

 

***

 

 お風呂から上がって何か飲み物を用意しようと思ってチノちゃんに聞いてみた。

 

「ねぇ、チノちゃん。何か飲みたいものでもある?」

 

 しっかりモノのお姉ちゃんが用意してあげるよ~って付け足すと

しばらくの間考え込むように黙るチノちゃんの姿が。

 

 また調子に乗りすぎちゃったかなと冷や汗が出てくると…。

 

「じゃあ…さっき仕事で見せてくれたラテアートをお願いします」

「! よろこんで!」

 

 私は嬉しくなって笑顔を浮かべながらエスプレッソとミルクの温度を

気をつけて描き始めた。

 そしてさっきよりも趣向を凝らしてみた。

それを見たチノちゃんはびっくりしたような表情を浮かべる。

 

「バ、バカなんですか…。こ、こんな恥ずかしいこと描いて…」

「え、駄目だった~?」

 

 やや俯くように言っているからよく顔が見えなくて不機嫌になっちゃったかなと

思ったけれどその後、私に視線を移した時。チノちゃんの顔は赤くなっていた。

 

「駄目でも嫌でもないです…。正直言うと嬉しいですけど、恥ずかしいです…」

 

 そんなチノちゃんの目の前にある私の描いたラテアートは

まるでキスするように二つのハートがくっついてそれぞれ私とチノちゃんの

名前を書いておいた。その周りを可愛らしい装飾の模様を散りばめてある。

 

「よかった~」

「こ、これはどんな意味が…」

 

「ず~っと一緒にいるよって意味」

 

 チノちゃんが聞いてきたのを同時にそっと優しくチノちゃんの手を取って

引き寄せながら私は言って、もう一度キスをした。

 

 そう、ずっと一緒。もうチノちゃんのこと離さないから!

言葉にしなくても伝わる相手の温もり。

 

「大好きだよ、チノちゃん」

「…私もです///」

 

 この特別な日を経てようやく私たちは付きあったことを自覚した。

そしてもっともーっと大切で愛おしい存在に変わったのだった。

 

お終い。

 


 
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