「な、何ぃ? あれって! ……私っぽい?」
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マイ「艦これ」「みほちん」(第参部)
EX回:第7話『演習開始』
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「では……演習、始めっ!」
霧島さんの掛け声を号令として、演習が始まった。
私は駆逐艦(だと思う、知らない子だ)に案内されて来賓用の観覧席に着席する。
別の子が私に何かの器具を渡してくれる。
「これをどうぞ」
「これは?」
「インカム……ご存知ありませんか?」
「あ……あぁ」(知ってるフリ)
恐らく通信器具らしいが……初めて見るタイプだ。えーっと形状から見るに恐らく耳に当てて話すのかな?
適当に着けてみたら、さっきの駆逐艦娘が慌てたように言った。
「提督、反対です」
そう言いながら、私の器具を改めて付け直してくれた。これはちょっと恥ずかしかった。
隣の方を見るとブルネイの大将は始めっからインカムすら付けていない。そうか、要するに自分達の艦娘の自主的な判断に全てを任せている、ということか。
なるほど、よほど自分たちの艦娘を信頼しているのだろうな。実に、うらやましい。
しかしインカムだけではない。改めて自分の居る来賓席の周辺の音響設備や通信機等の機器類を観察してみると、全てが非常に小型だ。そもそもコード類がほとんどない。ワイヤレス技術が発達しているのだろう。やはり私たちは違う時代に来ていると考えて、ほぼ間違いない。なぜここに来たのか理屈は不明だが。
そういう仮定で考えると全てに説明がつく。この鎮守府の様子や機械にも納得がいくようになる。
そもそも先ほど耳に付けた、この小型インカムにしても高性能ぶりに驚く。こんな小さな無線機……コードも無く軽くて感度は非常に良好。艦娘たちの交信もクリヤーに入る。これで指示を出したら便利だろう。ただ少々、勝手が分からないから今日は止めておくけど。
息遣いも聞こえるくらいに実況感度も良好だな。霧島さんの声が入る。
「おっとぉ両艦隊共に駆逐艦と軽巡洋艦が飛び出したァ」
軽巡……龍田さんは分かるとして夕立よ、お前はあんなにゲロゲロやっていたのに、そんなダッシュして大丈夫なのか?
「……夕立ちゃん、大丈夫?」
無線機越しに、うちの龍田さんも心配している。
「もぉ、ワカラナイっぽい。こうなったら前に出るっぽい」
いつもよりは、ちょっと声のトーンは低いけど、さっきよりは若干、回復しているようだ。私はホッとした。さすが現役の軍人だけあって基礎体力が違うよな、艦娘たちは。
ただ、気になったのは、この通信機には私たちの艦娘のやりとりだけが聞こえることだ。なるほど敵(ブルネイ)の声はフィルターか何かで聞こえない……そういう演習になっているらしい。
夕立のちょっと回復した声を聞いた私は安堵しつつ、改めて現在の私たちの状況を検討し始める。
仮にいま、私たちの時代より後の時代に来ているとしてだ。先ず、うちの艦娘たちが相手の量産型艦娘の基本的戦闘能力を、どう見切るか? そこがポイントだ。
また時代の経過で艦娘たちの実装兵器が、どれだけ進歩したか? そして艦娘の戦法が具体的にどう変わったのか?
うちの艦娘たちには申し訳ないが……これは軍人としては非常に貴重な体験だ。あのオタク技術参謀は、どこに居るのか分からない状況だ。ただ彼女もコレは見るべきだったな。
演習は相手側の先制攻撃が始まる。いよいよか。
するとインカムに無線が入る。
「あらぁ? 相手も私たちと同じなのね。まぁ……あれが司令の言っていた量産型艦娘たちね」
龍田さんは意外と普通の反応だ。さすが沈着冷静な彼女らしい。
だが素っ頓狂な声が入る。
「な、何ぃ? あれって! ……私っぽい?」
夕立は相変わらず人の話を聞いていないらしい。私は肩をすくめた。
「ま、お前は具合悪かったから仕方ないけどな」
独り言のように呟いた私。
「えぇ? 誰か何か言った?」
夕立の反応する声が入る。
「あらぁ? あの声は司令っぽいわねえ?」
龍田さんが夕立の口調を真似て反応する。そうか、インカム越しに私の声が届くんだよな……私は慌てて口をつぐんだ。
しかし徐々に体力を回復しつつある夕立だが……ゲロゲロした直後で身体は不調な上に、自分と瓜二つの艦娘相手では、いくら量産型だと分かっていても精神的に、ちょっとまずいかも知れないな。
こちらの赤城さんと日向の声がする。
「行くわよ日向」
「はい」
落ち着いた様子の彼女達は次々と艦載機を発進させる。そういえばこの二人の組み合わせはかつて美保鎮守府港湾内での深海棲艦(大井・仮)との戦い以来だな。
あのときは結構、敵を叩いていたが……果たして今日はどうなるか。この二人の頑張りが大きく戦果を左右しそうだな。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第参部」の略称です。
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本調子で無い艦娘を抱えながら司令は演習を開始する。同時に、ここは違う時代なのだと痛感するのだった。