No.874986

Triangle Goddess! 第31話「烈風剣士リシア」

Nobuさん

物語も終盤に入ってきました。

2016-10-19 07:57:08 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:354   閲覧ユーザー数:354

 風のリシアを探すため、三女神とトールは町の人から情報を聞き出しました。

「逃げられたのかい、そりゃあ残念だねえ」

「そうなんですよ。できれば先回りしたいのですが、どうすればいいのか……」

「先回り、ねえ。よく注意深く観察するといいよ、相手が相手だからね」

「ありがとうございます」

 町の人から情報を聞いた三女神は、注意しながら風のリシアを探しました。

 

(怪しい行動をしているのは……)

(よく確認しなければな)

 三女神とトールは、町の人達の様子を注意深く見ていました。

 風のリシアは、町の人に変装しているかもしれないからです。

 

 三女神とトールが、町の奥へ進んでいた時、彼女達はあるものを目撃しました。

 フードを被った女性が、男性にナイフを突きつけていたのです。

「よくも、情報を知ったようね……」

「ち、違う! ただ、噂を聞いただけなんだ!」

「問答無用……消えてもらう!」

 そう言い、フードを被った女性が男性にナイフを突き刺そうとした瞬間。

 

「待ちなさい! 風のリシア!」

 女性の目の前に、三女神とトールが現れました。

「ちっ! 三女神か!」

 その声で女性が風のリシアだと判明したため、三女神はすぐに戦闘態勢を取りました。

「今度こそ、あなたを……いえ、お前を倒します!」

「やれるものならば、やってみな!」

 風のリシアは邪魔者を消し去るために、剣を抜きました。

 

「ってわけだ。お前は安全な場所にでも逃げてろ!」

「わ、分かった! ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 男性はトールに言われ、大急ぎで安全な場所に逃げ出しました。

 

「リシアよ、この雷神トールがお相手しよう! 恐れぬならば、かかってこい!!」

 トールはミョルニルを掲げ、自らの名を高々と宣言しました。

 これは、彼が覚悟を決める時に行う行動です。

 それほどまでに、トールは風のリシアを倒したがっているのでしょう。

「トールさん……」

「分かりました、必ず彼女を倒しましょう」

「あたし達は絶対に、負けないからね!」

 彼の覚悟を見た三女神も、全員戦闘態勢を取りました。

「そんなにアタシを本気にさせたいのか? なら、本気を出してやるよ!」

 風のリシアが力を溜めると、彼女の周りに風が吹き荒れました。

「うっ!」

 思わずジャンヌ以外は手をかざして防御しました。

「お姉様、大丈夫ですか?」

「わたくしは風を司る女神。これくらいの風など平気です」

「そうですか、なら大丈……!?」

 激しい風が治まると、風のリシアは柄が緑の剣を持ち、緑の鎧を纏っていました。

「この剣と鎧は風でできているからな、物理攻撃も物理防御も通用しないよ! さあ、来るなら来い!」

「望むところです!!」

 ジャンヌ、ゲール、バイオレット、トール、風のリシアの戦いが始まりました。

「エアリアルブラスト!」

 ジャンヌは風のリシアに向かって風の衝撃波を飛ばしました。

 しかし、風の衝撃波は明後日の方向に飛んで行ってしまい、風のリシアには当たりませんでした。

「ドレインライフ!」

 リシアもドレインライフを風のリシアに放ちましたが、風の鎧の前に阻まれてしまいます。

「く……凄い強風……攻撃が届きません……!」

「お姉ちゃん、あたしに任せて! シャドウエッジ!」

「くっ!」

 バイオレットが闇の刃を放ち、何とか風のリシアに僅かながらダメージを与えました。

「物理攻撃が通用しないと言っても、属性攻撃なら通用するだろ? ここはオレが行くぜ!」

「ぎゃぁぁぁぁ!」

 トールはミョルニルに雷を纏わせ、風のリシアに振り下ろしました。

 普通に振り下ろすだけでは通用しないと判断したトールは、

 雷の力によってダメージを通す事を狙いました。

 結果はその狙い通り、風のリシアにそこそこのダメージを与えました。

「今度はこちらから行かせてもらうよ! ストームソード!」

「真剣白刃取り!」

 風のリシアが飛び上がり、風の剣をジャンヌに振り下ろしましたが、

 彼女が真剣白刃取りで受け止めた事でダメージは免れました。

「定位置に戻らなければ……」

 ジャンヌは後衛に戻り、敵の攻撃を受けないようにしました。

 トールは打たれ弱い三女神を守るように動きました。

「安心しろ、アンタらはオレが守ってやる。だから安心して、あいつと戦いな」

「はい!」

 

「エアリアルブラスト!」

「ライフドレイン!」

「シャドウエッジ!」

「うあぁぁぁぁぁ!」

 トールに守られながら、ジャンヌ、ゲール、バイオレットが遠距離から風のリシアを攻撃しました。

 彼女達の猛攻により風のリシアの体力は大きく減りました。

「悪いけど、アタシが近接攻撃しかできないと思ったら、大間違いだよ!」

 すると、風のリシアは後ろに下がり、風の剣に力を溜め、それを開放してトールに飛ばしました。

「ぐあぁぁぁぁぁぁ!」

 トールは風の刃で切り刻まれ、大きなダメージを受けました。

「そのまま消えればいいものを……」

「誰が消えるものか!」

「帰るため、あなたを倒します! テンペスト!」

「ぐうぅぅぅっ!」

 ジャンヌは嵐を起こして風のリシアの急所を狙いました。

 嵐は弾丸となって風のリシアの急所めがけて飛び、命中して彼女に重傷を負わせました。

 ですが、この時ジャンヌは気が付いていませんでした。

 風のリシアが持つ風の剣が、嵐を纏っていた事を……。

「いくよ、ストームソード!」

「きゃあああああああああ!」

 嵐を纏った刃がジャンヌを貫き、彼女は大きなダメージを受けてしまいました。

「お姉様!」

 ゲールはジャンヌに近づき、彼女が攻撃を受けないように別の場所に下がらせました。

「ゲール……」

「お姉様は私が守ります。ライフドレイン!」

「あたしも援護するよ、シャドウエッジ!」

 ゲールとバイオレットは能力で風のリシアを攻撃しようとしましたが、

 風の鎧に弾き返されてしまいます。

「効かない!?」

「だったらこれでどうだっ!」

 トールが雷を纏ったミョルニルを風のリシアに叩きつけました。

 しかしこれも、風の鎧が防ぎました。

「何っ!?」

「アンタ達の攻撃はそんなものかい? アタシの攻撃を与えてやるよ!」

「きゃっ!」

 風のリシアは風の剣でバイオレットを斬りつけました。

 バイオレットはよろめきましたが、すぐに体勢を整えました。

「ああ、どうしても攻撃が届かない! どうすればいいの!?」

「諦めるな! 諦めずに攻撃すれば、いつかは倒れる!」

「そうですねっ、行きましょう!」

 戦闘態勢を取り直した三女神は、自らの能力を全力で放ち、風のリシアに攻撃しました。

「テンペスト!」

「ライフドレイン!」

「ダークネスアロー!」

 ジャンヌの風の能力、ゲールの生命の能力、バイオレットの影の能力が、

 風のリシアが纏う風の鎧を剥がしていきました。

「ぐぅ……このアタシが、ここまで追い詰められるなんて……!」

「悪にはそれなりの報いが与えられるってのが常識なんだよ!」

 そう言い、トールは強力な雷を纏ったミョルニルを構えました。

「や、やめ……!」

「とどめだ! 雷撃衝!!」

「ぎゃあああああああああああああああああ!!」

 そして、ミョルニルが風のリシアの頭部めがけて振り下ろされ、同時に天から雷が落ちました。

 その威力は、風のリシアを倒すのに十分なものでした。

 

「……ぐふっ!」

 風の剣が消えると同時に、風のリシアは息絶えました。

「まったく、結構手間取ったぜ」

「でも、これで四使徒は残り一人になったんですよね」

「そうなるな」

「さて、誰が一体待ち受けているのでしょうか……」

「まずは、宿屋に泊まって休みましょう」

 

 こうして、四使徒は一人を残すのみとなりました。

 果たして、一体誰が三女神とトールの相手になるのでしょうか……。


 
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