No.873158

真恋姫無双〜三国に舞う鬼龍〜part11

ひぐらしさん

2年ぶりですね、私事ですが結婚が決まりました。

2016-10-06 10:18:29 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1721   閲覧ユーザー数:1594

 

 

「次の議案は最近出没している賊のことですが。」

 

 

桂花のスムーズな司会進行で朝議が進んでいく。

 

朝早くに集まり、状況を確認していくという会議なのだがこれが中々辛い。元々朝はそこまで強くないのに、ここには時計も存在しない。

 

 

 

「領内だけでなく、大陸で活発化しているようです。この賊は共同して動いてると考えてよいでしょう。」

 

 

「大陸で同時に起きているだけなのだろう?それだけで判断するのは如何だろうか。」

 

 

「もちろん、根拠はあるわ。この賊共は皆黄色の巾をつけているようです。そしてここまで大規模な活動をただの偶然で済ますのは無理があります。」

 

 

 

黄色の巾....

 

 

「黄巾党か...」

 

 

「黄巾党?知っているの龍華。」

 

 

俺のつぶやきに華琳が反応してきたが、これは言っていいのだろうか。

 

ちなみに華琳から歴史に関することの発言は禁止されている。

不明瞭な情報ほどこわいことはないと。

 

 

「いや、黄色の巾をつけているというから。」

 

 

「まったく、使えないわね。」

 

 

「黄巾党ね、まあ名前があったほうが便利ね。これからその賊のことは黄巾党と呼ぶことにしましょう。」

 

 

それにしても黄巾党かぁ

世の中もきな臭くなってきたな。

 

 

「それしても最近はずっと駆り出されてばかりだな。」

 

 

「今も季衣がでてるし、そろそろなにか対策をうたないとこっちがもたないわね。」

 

 

それもそのはず、ここ最近はあちこちに現れる黄巾党の討伐で俺や軍のみんなはずっと駆り出されている。

 

俺たち将軍もそうだが、兵たちも疲弊しきっている。

 

 

「ならば、黄巾党とやらを滅ぼしてしまえばいいではないか!」

 

 

「馬鹿ね...それができないから苦労してるんじゃない!わかっていないなら黙ってなさいよこの脳筋!」

 

 

「なにをぉ!」

 

 

まーた始まったよ、会議のたび...いや会うたびに喧嘩するからなこいつら。

 

 

「とはいえ、春蘭の言葉にも一理あるわ。今は我慢のときよ、桂花。」

 

 

「はい...。」

 

 

「当面の目的は黄巾党の本隊もしくは本拠地の発見よ。頼んだわよ。」

 

 

「はい!!お任せください!!」

 

 

華琳の命令に元気よく返事をする桂花。

ほんとに華琳のことになると目の色が変わるな。

 

 

これで今日の朝議は終わりのようで皆自分たちの仕事に向かっていく。

 

 

☆☆☆

 

 

相変わらず俺は部屋で大量の書簡と格闘していた。文字はかなり読めるようになったとはいえ、まだまだ完全とは言えず作業の効率はよくない。

 

しかし手は抜けない。俺が一軍を率いつつ、警備も担当しているのはこれこそが俺の知識が最も役に立つことを俺も華琳もわかっているからだ。だからこそ、ひとつひとつ真剣に目を通す。

 

 

........「だあああ!無理だあああ!ぐあっ!」

 

 

両手を勢いよく上にあげ万歳した勢いで、椅子から転げおち書簡が散らばった。

そしてなんとタイミングのよいことであろうか、上を見上げると

 

呆れた顔で書簡の束を抱えていた明夏だった。

 

 

「まったく、なにをしてるんですか。」

 

「いやーほら、いい布団があったからお昼寝をね。」

 

「そうですか、そんなにお布団が好きなら追加しておきますね。」

 

 

そう言って明夏は書簡の束を机にどさっと置いて去っていった。

 

 

「勘弁してくれよ...」

 

俺は四つん這いになり、書簡の山を見つめ愕然とした。

 

とはいっても仕事は仕事。肩をまわしながら書簡整理を続ける。

 

しばらくして、そろそろ活字が完全にゲシュタルト崩壊しかけていた頃すでに陽は完全に落ちていた。

 

少し息抜きでもするか。まだまだ減らない書簡の山を一目みてため息をついて部屋を出る。庭にでると、大きな月がでていた。

 

こちらの世界は空が広く見えるなほんとに。

 

昔と同じ戦いに明け暮れる日々、人を殺すのも同じ。その十字架から逃げてるわけではないけど。なぜかわからないが、かつての俺とは違う力が身体中から溢れ出てくる。

 

 

「俺もすっかり、この世界に慣れたもんだな。」

 

 

「そうだな、初めて街を見たとき...いや、私たちを見たときのお前の驚いた顔は今でも忘れられないな。」

 

 

「そうだな、あのときはびっくりしたもんだ。ってええ!?秋蘭!?」

 

 

いつの間にか俺の後ろに立っていた秋蘭に驚き変なポーズをとってしまった。

秋蘭は奇怪な行動をしている俺をまるで見ていないように普段通りの佇まい。

 

「何をそんなに驚いているのだ。」

 

「急に立たないでくれよ驚くからさ。」

 

 

俺がはーっと息を吐き、地べたに座り込むと秋蘭も隣に腰掛けた。

 

 

「お前は未来から来たと前に言っていたな。」

 

「ああ。」

 

 

俺たちの世界の秋蘭たちは男であるが、黄巾党といい俺の知る歴史と大きなズレもなく進んでるといってもいい。

 

 

「これから先華琳様...曹孟徳様がどうなるのかも。」

 

秋蘭は俺を見ずにただ、星空を見上げている。

そんな秋蘭をみて俺も星空に目を写し答える。

 

 

「そうだな、俺は知っている。曹孟徳がどうなるのかも。この国がどうなるのかも。」

 

秋蘭は小さくそうかと答えるとその場から立ち上がった。

 

 

「すまないつまらないことを聞いたな。」

 

 

そのまま立ち去る秋蘭を見て俺は何も言わなかった。きっと彼女たちはなにかを悟り、そして覚悟してくれるだろうと信じているからだ。

 


 
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