No.857302 番外編で世界が終わりなんて間違っている 番外編①showtさん 2016-07-07 22:26:39 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:1961 閲覧ユーザー数:1925 |
番外編① ボッチの共演
八 幡「葉山ぁ! 戸部ぇ! 逃げるぞ!」
俺はこちらに迫ってくるゾンビの大群を目の前にして叫ぶ。集団はホームセンターや結衣の自宅でも遭遇したことがあるがここはケタ違いだ。数えなくてもあの時の数倍以上だとわかる。こんなの相手にできるはずがない。
八 幡「とりあえず俺らが入ってきた入口の方だ! バスに残っているみんなと合流するんだ。それから……ってなんだあれ!」
ヒューン ドカン!!
俺の言葉を遮るように俺と葉山たちの間に何か飛んできた。飛んできた物体を見るとよく公園などで見かけるタイプのベンチだ。俺たちは咄嗟に飛びのくことで避けることはできたが陣形に隙間ができてしまった。俺らはすぐに体勢を立て直し陣形を戻そうとするが
ヒューン グシャ!
ヒューン ドン!
そこに立て続けに飛んでくるもの。それはさっきまで俺らを追い回していたゾンビ達……何が起きたか今までいた方へ振りかえるのだが、そこにはさっき見たゾンビの大群……そしてその中心には通常より一回り大きなゾンビ。俺らが見たことに気づいたのかニヤリと笑った気がした。そして、周りにいたゾンビをその太い腕で掴むとこちらに投げつけてきた。
ヒューン ドン!
奴がいるところからこちらに向かってゾンビが飛んでくる。先ほどのベンチやゾンビはあいつが投げてきたのだ。再び飛来したゾンビを避けるが更に陣形は崩れていく。
次々に投げ込まれてくるゾンビを避けながらも、飛ばされてきたゾンビが起き上がって来るのでその対応、そして追ってくるゾンビの対応するには三人では少なすぎたのだ……。
~
事の発端は、特別棟二階部分の開放に成功し、三階にあるIT教室の出来事から今回の話は始まる。IT教室を開放できたことで、外の情報や他の生存者とのやり取りが少ないながらできるようになった。
そんな中、いつものようにIT教室で情報を集めていた姫菜が、ゾンビ発生前からの趣味友達との通信に成功したのだ。この時点であまり関わりたくない相手だとは思っていたが……。その相手の方もゾンビ発生により地元であるG県G市から仲間と避難場所を求めて旅をしていることが分かった。
そしてその日の会議で姫菜がその人たちを受け入れてあげたいと提案してきたのだ。しかし、実際にあったことのあるのは姫菜とその趣味友達だけで他の生存者の情報は何一つない。当然反対意見が出る中、
八 幡「……明日、調達に行く日になっている。だから一度そこで会ってみるのはどうだろうか? もし難しそうなら諦めるということで……最悪、危険な人物がいても外で会うならどうにかなるんじゃないか?」
葉 山「……俺は正直反対だ。危険人物がいたとしたらみんなを巻き込む形になるんだぞ」
八 幡「だが……ここが避難指定施設になっているからどのみち、見知らぬ他の生存者が来る可能性だってある。知らない生存者ばかりを受け入れる……それに比べれば知っている人がいることで話を通す際の窓口となる人物がいるならいいんじゃないか?」
姫 菜「……その子、かなり頭がいいみたいなの……自分で機械とか発明して企業の新製品制作に携わっているらしいから……みんなの助けになると思うの」
平 塚「発明? それが本当ならどの分野の発明でも戦力になるんじゃないか?」
雪 乃「とりあえず……あってみてから考えましょう。確かにその人は戦力になるかもしれないけど一緒にいる人たちがどんな人かわからないのだから」
八 幡「……だな。ということでそれでいいか?」
俺が反対していた面々を順にみていくと、不満そうな顔をしている者もいるが渋々ながら頷いてくれた。(女性陣が調達の度に新しい女を連れてくることを嫌がって)
~
そして待ち合わせ場所であるららぽーとの中に入り、先に調達を行っている最中にゾンビの大群に襲われることになってしまった。それからは突如出現した一回り大きなゾンビによって俺たち三人は逃げることも難しい状況に追い込まれていく。
葉山や戸部もなんとか凌いで入るものの、このゾンビ集団から抜け出すには難しいだろう。何か切っ掛けにならないかと防犯ブザーを鳴らしながら遠くに投げてみるがほとんどがこちらの近くに来ており音に釣られてくれない。もう駄目なのかと、バスや学校に残してきた仲間を思い浮かべて諦めかけていると
???「あんちゃん! あそこ!」
???「チッ……まずいな……小鳩!」
小鳩?「うん! クックック……われの出番のようだな!」
いきなり現れた集団から猫耳金髪ロリが前に出てきて、決めポーズをとると彼女の周りには無数の銀の球が浮かび上がる。一緒にいた目つきの悪いヤンキーみたいなやつが持っていたバックから出てきたみたいだが……
小鳩?「魂ごと打ち砕け! ナインブレイスブレイカー!」
小鳩と呼ばれた少女が技名? らしきものを叫ぶと空中を漂っていた銀の球が次々とゾンビ達の頭を打ち抜いていく。周りのゾンビが倒れていく中
???「今のうちだ! 今なら逃げれる!」
少女と一緒にいたヤンキーに声をかけられると、すでに俺たちが向かっていた入口方面にはゾンビの姿がいなくなっていた。葉山たちとうなずき合うと入口方面に向けて足を動かし始める。まだ、あの大きなゾンビはいるが少女が操っている銀の球に翻弄されこちらまで追って来れないでいた。
???「小鳩!」
今まで大きなゾンビの周りで攪乱させるように飛び回っていた銀の球が一斉に頭部をめがけて飛んでいく。それから遅れて骨に当たる音と肉を潰すような不快な音を響かせながら頭部に埋没していく。
小鳩?「これで終わり! ダークネスレクイエム!」
少女の掛け声とともに、ゾンビの頭蓋骨に入り込んでいた銀の球が破裂するように体外に飛び出してきた。当然、頭を破壊された大きなゾンビは動きを止め前のめりに倒れていく。
戸 部「何アレ!! すっげー! かっけー!!」
八 幡「……だが……あの威力は……」
葉 山「確かに……でもゾンビから助けてくれたということは……味方なのか?」
八 幡「それはわからん……ただ言えることはあいつらが敵だとしたら……あの銀の球に対処できる武器がこちらにはないんだ。どこまでの威力があるかわからないがさっきの攻撃を見る限り骨を砕く威力は確実にあるんだから」
葉 山「最悪……このバックか左腕で直撃を防いだらいいんじゃないか?」
未だ銀の球を操っている少女を見ている戸部を尻目に、葉山が調達用に持ってきているバックとゾンビ対策として鎖を巻き付けている左腕を見せながら提案してくる。確かに直撃を防げれば威力は落ちるだろうが……。
八 幡「調達で重くなったバックや範囲の狭い左腕では防ぐのが難しいんじゃないか? それにあの数に対応できるとは思えん……ん……さっきの連中がこっちに向かってくるぞ。とりあえずいつでも逃げれるように心がけとけ」
葉 山「わかった」
先ほどは遠目で気づかなかったのだが、結構人数がいるようだ。さっきゾンビを倒した少女・その少女にあんちゃんと呼ばれていたヤンキー・黒髪ショートのジャージ女・由比ヶ浜より大きそうな胸と特徴的な金髪碧眼の女の子・執事服の女の子(戸塚の例があるから男かもしれないけど)・白衣に黒髪ポニテの女の子・シスター服の銀髪幼女・その幼女が成長した姿にも見える女の子・燕尾服を着た金髪セミショートの女性といった集団だ。
ヤンキー以外女性(多分)といったハーレムのような集まりになっている。ここに童貞風見鶏がいたら騒ぎそうだな(自分の事を棚上げしていることに気づいてない)と考えていると集団からヤンキーが前に出てくる。
ヤン兄「大丈夫でした?」
葉 山「助けてくれてありがとう! おかげでこっちは無事だったよ」
コミュニケーション能力が高い葉山がすぐさま対応する。
ヤン兄「いえいえ、無事で何よりです。……そちらは三人ですか?」
葉 山「えぇ……この三人ですよ」
葉山はバスの中のみんなを数に入れなかった。もしもの場合を考えたのだと思う。
ヤン兄「じゃあ……違うのかな? 俺たちここで人と待ち合わせをしてるんだけど……他に人を見なかったか?」
俺と葉山は視線を交わす。もしかしたらこいつら……。
八 幡「なぁ……もしかしてそっちに『|∑《シグマ》』って子いる?」
葉 山「比企谷!」
不用心にも思わず聞いてしまった。それを見た葉山は慌てた様子で止めようとしてくる。俺はしまったと思ったが、ヤンキーは後ろの集団を振り返ると中から白衣の少女が出てきた。
ヤン兄「理科!」
理科?「小鷹先輩たぶん大丈夫ですよ。っでそちらの三人に聞きたいんですけど『腐海の姫』って聞いたことあります?」
理科と呼ばれた少女が姫菜の別名を聞いてくる。俺たちは無言で頷き合うと
八 幡「……あぁ心当たりあるぞ。もしかして姫菜が言ってた発明ができる知り合いって……」
理 科「多分理科の事でしょうね。あ、遅くなりましたが『|∑《シグマ》』こと志熊理科です。そちらはあの名高い『腐海の姫』海老名さんの仲間ということで間違いないでしょうか?」
八 幡「そうだ(名高いって何やってんのあの人は……)」
理 科「ということはもしかして……あなたたちの中にハヤ×ハチが……はぁ……はぁ」
なんだか雲行きが怪しくなってきたぞ。理科って子の息遣いも荒くなってるし……。
ヤン兄「こら理科! 相手の皆さん引いてるから戻って来い」
理 科「あいた! 小鷹先輩いきなり女の子の頭たたくなんてひどいですよ」
暴走しかけたところを小鷹と呼ばれたヤンキーに止められ元の世界に戻ってくる。
葉 山「ははは……とりあえずここから出ないか? それと俺の名前は葉山隼人だ。よろしくな」
小 鷹「! 羽瀬川小鷹だ。よろしくな!」
葉山が右手を出しながら自己紹介をすると、嬉しそうに羽瀬川と名乗った男が握手で返してくる。え……もしかしてこの男……。そして理科って子が後ろでまた姫菜のようになっている。あれ絶対想像してるだろ。というハプニング? もあったが自己紹介をしながら出口へ向かう。なんかうちの連中と同じように残念なオーラが見えてくるのは気のせいだと思いたい。
出入り口から出るとすぐに俺たちのバスが見えてくる。幸い周りにはゾンビの姿はない。バスの中から結衣が手を振ってるのが見える。その奥にはあーしさんと姫菜……今日は合流目的もあり知り合いである姫菜が乗ってきている。そのストッパーであるあーしさんもだが……。姫菜が理科の事に気づくと二人で手を振りあった。
ステラ「では……私たちのバスもこちらに持ってきますね」
ステラさん――燕尾服の女性が自分たちのバスを指さしながら去っていく。それに続くように理科以外の他の連中もついていってしまった。理科は俺らのバスに乗り込むと姫菜と再会を喜んでいる。途中から脱線してハヤ×ハチやらハヤ×コダと騒ぎだしている。近くにいる葉山は苦笑いで聞いている。
ステラさんがバスをこちらまで動かしてくると、小鷹がこちらのバスに乗り込んできた。
小 鷹「えっと、すまないが道案内役に誰かこっちのバスに来てくれないか? 一応このバスについては行くけど途中でアクシデントが発生してついていけなくなった時に学校までの案内がほしいんだけど」
戸 部「じゃあ! 俺が行く! あの銀の球のこと聞きたいし~」
そう言葉を残すとバスを降り、隣のバスに行ってしまった。もう少し考えて行動してもらいたいのだが……と頭を抱えていると、バスが動き出し小鷹が俺の隣に座ってきた。
小 鷹「……すまないな。無理言ってしまって」
八 幡「いや……まぁいいだろ……」
少し言葉を交わすが後が続かない。間が持たず観察するように小鷹の様子を見る。
並み以上である容姿に目つきの悪さ・話のところどころに出るつっかえから知らない人と話すことがあまり得意ではなさそうだ。しかし先ほどまでの様子を見ていると不思議と周りの女性陣に好意的にみられている。あれ……なんだか近親感が……。
後部座席の方からは『ハーレム計画』とか『それじゃ小鷹先輩も……』とか不穏な単語が聞こえてくるが気にしないでおこう。しばらくして結衣がこちらに来て
結 衣「ヒッキー! 理科ちゃんたちや小鷹君に手を出しちゃだめだからね!」
八 幡「いや……俺から手を出したとかないはずなんだが……それに男に手を出すわけないだろ」
結 衣「あ……考えてみたらそうかぁ。ならいいや」
そう言い残すと再び後部座席に戻っていく。おれはため息をついていると、小鷹が同情したような目で
小 鷹「お前も大変なんだな……」
なんか実感のこもった同情を受ける。もしかしてこいついいやつかもしれない。目つきの悪さを除けば常識人っぽいし……目つきの悪さがなければ……。後になって聞いたのだがこの時小鷹も目が腐ってなければ……と思っていたらしい。
後部座席から聞こえるにぎやかな声にこいつらなら一緒にやっていけるかも……と考えていた。
八 幡「さっきも言ったと思うがこれからよろしくな!」
小 鷹「ああ! よろしく!」
ららぽーと内で葉山がやったように握手を求めると、すぐに応じてくれる。これなら大丈夫だろう。新たな仲間とともに今の我が家である学校を目指す。仲間も増えこれからできることも増えるだろう。これからの未来を夢見てバスは行く。できればみんなが幸せで暮らせるよう祈りながら……。
理 科「で……あれどう見ます?」
姫 菜「話を聞く限り小鷹君もヘタレ受けだよね。ヘタレ受け同士だと……ん! 閃いた! ここは隼人君も入れて、隼人君ハーレム。ハヤ×ハチ+コダの禁断の三p……」
三 浦「姫菜! 自重するし!」
パシン!
葉 山「は、ははは……」
あーしさんの怒鳴り声・いつの間にか出したハリセンでたたく音と葉山の乾いた笑い声が聞こえてくる。あーしさん、できればそのままその二人の面倒をお願いします。
あとがき
「魂ごと打ち砕け! ナインブレイスブレイカー!」
これがやりたかっただけです(笑)
アニメ版のはがない二期の方で理科が使っていたんですけど普通にコンクリートめり込んでますよね? ということは少し威力を上げれば十分武器として使えるのでは? と
猫耳に関してはまあいらないんですけど……理科から一緒に使うように小鳩に渡されたということにしておいてください。
ダークネスレクイエムの方は名前だけですがどこかで出てきた記憶があるので使いました。
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『世界が終わりなんて間違っている』をほかのラノベとクロスしてます。
本編とは続いてませんので単品で考えてください。