No.856372 ゲッターマジンガー1剣聖龍・零さん 2016-07-02 08:55:05 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:725 閲覧ユーザー数:723 |
これは、とある時に起こったあるお話……。
始まりと終わり、最初の邂逅。
「んぁ?」
呆けた声を発し、光牙は目を覚ますと周りを見渡す。
暗い森の中だろうか?
自分は部屋で寝ていた筈。服装も寝巻きから制服に変わっている。
不思議に思うが、それより何故外に?
「なんだ、ここ」
意識が覚醒して来ると、光牙は違和感に気付く。場所からして、恐らくここは学園のある島の森だろう。以前、散策した時に立ち寄った事がある。
だが何故だろうか。嫌な感じがする。
暗く淀んでいる。木も空も大地も風も、自分が感じるもの全てが黒く冷たく、まとわりつく様な……。
何かは分からないが、分かっているのは普通じゃないこと。
とりあえず用心しながら学園を目指すことにする。あそこなら誰かいる筈だ。
そう思い歩き出そうとすした時だ。ガサカサ、と聞こえてくる物音。音がした方に警戒しながら視線をやると、周囲の茂みから黒い物体がいくつも出てきた。
「なんだ?」
例えるならスライムだろうか? ぐにゃぐにゃと蠢めいている。
光牙はそれに何かを感じた。見た事のある、そう思った次の瞬間!
「ギャァァァッ!」
スライムに黄色い目玉が出てきて、触手が光牙目掛けて発射されてくる!
「っ!?」
咄嗟に飛び退きかわす光牙。殺到する触手を、ジャンプし転がりなんとかかわす。竜馬達にしごかれ、体に染み付いた動きだ。
「――チェンジ、ゲッターベーオッ!」
一瞬躊躇ったが、光牙は叫んで愛機ゲッターロボベーオを纏った。ただしボロボロ。ヒビにへこみだらけで片角はない。メカザウルスに負わされた損傷がそこかしこに残されていた。
『ゲッターウイング!』
ベーオがズタズタのウイングを展開し上空へ舞い上がる。スライムは形を変え、それを追った。
ぬるぬるとした黒の体色、黄色い目。光牙がかつて戦っていた生物、ゲッター線を食らうバクテリア。
『インベーダー!?』
嘗ての敵に動揺が隠せないが、今は戦うしかない。形はカブトムシやクワガタで数は五体。ベーオを囲う様に羽で飛んでいて、正面のカブトムシタイプが角を突きだし突進してきた。
「ギッシャー!」
『ぬっ!?』
武器を呼び出す時間もなく左移動でなんとか回避したが、左斜め後ろから迫っていたクワガタタイプのオオアゴに左肩を挟まれてしまう。
「ギィィィ!」
『いっ!? こいつ!』
痛みに顔をしかめながら引き剥がそうとするが、返しのついたオオアゴが食い込み簡単には離れず激痛が走る。
「「「「シャァァァ!!」」」」
しかもそこへ残るカブトムシ、クワガタが一斉に襲いかかってくる。鋭い角、オオアゴが迫りこのままでは貫かれる――!
『ヤバ――』
『ロケットォパァァァンチ!』
「ギャァァ!?」
その直前! 突如飛来した鉄拳が迫るインベーダーをぶち破る!
角が、オオアゴが粉砕されて、四体の甲虫インベーダーを叩き落とした。
『この、離れろ!』
「ギャ!?」
何かは分からなかったがチャンスだ。ベーオも左肩のクワガタを無理矢理引き剥がし、トマホークで殴り付けとく。
ズタズタにされた左肩を庇う光牙は、インベーダーを吹っ飛ばした鉄拳を追う。森の中に戻っていくと、その辺りから一体のロボが飛び出してきた。
背中に紅い翼が装備した黒いロボット。光牙が今まで見た事のない……未知のロボット。
『なんだお前!』
『ま、待って下さい! 僕は敵じゃありません!』
思わず身構えた光牙を、黒のロボットは制した。
黒のロボットから発せられたのは少年の声。それも自分と同じ位のだ。
『僕は敵じゃありません。今の奴等が急に襲ってきて、戦っただけなんです』
説明を聞いて、とりあえず光牙と黒いロボットは地上へ着地。互いに機体を解除すると、相手が本当に自分と同い年位の少年だというのに驚いたが、互いに情報を交換しあうのだった。
「光子力……。ジャパニウムって元素から生み出されたって言ってたけど、そんなの知らないな」
「僕もゲッター線なんて聞いた事ないですよ」
黒のロボット――マジンガーZというスーパーロボットを操る兜勇輝という少年。
互いにゲッターを、光子力を知らない。しかし、気がついたらこのIS学園の森にいたのが共通していた。
寝て起きたら勇輝もここにいて、インベーダーに襲われZで応戦。始めに襲ってきたインベーダーをやっつけ探索していると、光牙を見つけ助けに入った、ということだ。
「……なんかここ、気持ち悪いですよね」
「あぁ。ここはホントに学園なのか?」
不審に思いながら森を進む二人。Zやベーオのセンサーには、本来ある筈の侵入者防止のトラップ類が一切反応しない。それどころか、夜でも最低限の光が灯る学園の方角には光源がなく、光牙と勇輝以外の人間と出会っていない。
インベーダーについては勇輝に説明している。そのインベーダーが、前述の理由が、二人へ疑惑を持たせる理由となっていた。
何故ここにインベーダーが? ここは何処なのか?
考えながら進む二人の前が揺れる。
「シャァァー!」
三本角のカブトムシインベーダー、アトラスオオカブトが飛び出してくる!
「滝沢さん!」「あぁ!」
機体を纏いアトラスタイプを迎え撃つ。三本角をZが掴んでヘシ折り、無力化した所へベーオがゲッタートマホーク唐竹割り!
「ギィィィィ!?」
縦に引き裂き撃破。しかし甲虫インベーダーはまだまだ襲いくる。
エラフスホソアカクワガタ、ゴホンヅノオオカブト、ラコダールツヤクワガタ、エレファスオオカブト。
虫な見た目をして打撃に挟み、投げといった豊富な技を使ってくる甲虫インベーダーに、勇輝や光牙は傷つきながらもだが進む。
特に最後、学園の手前で立ち塞がったエレファスには強かった。世界最重量のカブトムシの力を発揮した要塞みたいに固いそいつに、ベーオはトマホークを一本折られマシンガン一挺を撃ち尽くした。Zは片目を潰されてスクランダーの片翼を壊されて飛べなくされ、最強武器の光子力ビームが使用不可となってしまう。
それでもなんとか、隙を突いて弱点の前羽根の下の柔らかい体を勇輝がブレストファイヤーで攻撃し、エレファスを倒して学園にたどり着いた二人。
だが学園からは全く人の気配が感じられない。やはりここは学園ではない、そう思った時であった。
「ヌハハハハ! よくぞ辿り着いたな。誉めてやるぞ貴様ら」
非っ常〜にありきたりというか一昔前の悪役さながら高笑う声が響いてくる。
『……なんだ?』
『あそこです!』
Zが指差した先、学園の屋上に二つの影あり。人型をしていて、一体はド派手な金色の鎧で全身を包み、右肩にヘラクレスオオカブトを模した肩当てがある。もう片方は対照的に銀色の鎧、左肩のギラファノコギリオオクワガタの肩当てが目を引く。 どちらがバカ笑いしてたかは直ぐに分かったが。
『なんなのさ、お前ら』
「我らはメタルインセクター。ゲッター線より生まれし新たなる種なり」
『メタルビーストの親戚かなんか?』
「その通りよ!」
名前とゲッター線、という単語から推理する光牙。ヘラクレスの方から答えてしまい、これを幸と捉えていいのか……。
「だがメタルビーストなどと一緒にするなよ滝沢光牙。あんな考える脳もない愚か者と我らは違う!」
『なんで僕の名を』
「貴様だけでない。そちらは兜勇輝、光の魔神の者」
『僕まで知ってるのか!』
「貴様らの事などスケスケのお見通しよ!」
「そう。人ならざる事もな」
「!?」「なんだって!?」
思わず声を上げてしまう二人。過去と自分の正体、光牙と勇輝にとっては自分の深い所に仕舞ってあるものだからだ。
「拒絶されし旅人。そして悲劇のサイボーグ」
「サイボーグって、兜がそうだってのか!」
「………………」
サイボーグは勇輝にとって禁句。驚愕する光牙と、目をそらす勇輝。
『……どうだっていいだろ。それよりそんな事まで知ってるって事は、お前らが学園をこんな風にしたのか!』
「違うなぁ。我らがこの場所に誘ったのだ」
「こいつらと共に」
ギラファの方が指を指す。その先は学園の巨大オブジェの頂上。そこに二つのカプセルと何かの機械があり、カプセルの中身に二人は目を見開いた。
『け、ケントン!?』
』連花!』
光牙のクラスに転入してきたアヤ、勇輝の恋人の連花であった。明らかに捕まっていて尋常ではない事態。
『お前ら一体何のつもりだだッ!』
「貴様らとこの女らが必要だった。だからここに呼んだまで。後は……」
ヘラクレスとギラファが肩当てを外し、手にして鋭い切っ先を光牙・勇輝に向けた。
完全に敵意を向けて。
『やる気って訳かよ……!』
「女を返して欲しくば我らの相手をしてもらおうか」
『だったらさっさと連花を返してもらうよ!』
Zとベーオが身構える。それを見てニヤリ、とヘラクレスが口を吊り上げた。計画通り……! と言わんばかりに。
「分かっているな?」
「無論よ。我はメタルインセクター・ヘラク!」
「我が名はメタルインセクター・ギラフ」
「さあ、我らが力に膝まづくがよいっ!」
ヘラクとギラフが屋上から飛び出し、ベーオとZへ襲いかかる。
「そぉらそらそらそらぁ!」
『ぬっぐぅ!』
ヘラクが角を槍に見立て、高速突きを繰り出しまくる。トマホークとマシンガンで応戦するベーオだが、速さと手数の前に防ぎきれない。黒のボディが次々と穿たれ、欠片が飛び散っていく。
「どうしたぁ! それでもインベーダーをぶち破った男か貴様ぁ!」
『こんの……何を!』
「流竜馬らが認めた男とは到底思えん! 思えん思えん思ぇぇぇぇんッ!!」
『黙れよっ!』
トマホークで反撃に出るが、角槍にあっさりと弾き返され、カウンターの中段突きが腹に突き刺さる。
『がっ!?』
「ゆけぇ、我がしもべ!」
続いてヘラクが呼び出したしもべの獣七体。そいつらはベーオを引き裂き、噛みつき、はたき、ぶち当たり、貫き、切り裂き、炎を浴びせ蹂躙する。
『うぁぁぁぁぁぁーーッ!!』
『ロケットパン「遅い」うぐっ!?』
Zの相手はギラフ。上空に羽で滞空しながら、左手に装着したオオアゴを展開し弓の形にして、エネルギーの矢を撃ち放ってくる。 弓型の銃、とも言うべきか。弾速は速く、威力も強い。
鉄を砕くロケットパンチは発射直前に撃ち込まれて封じられ、Zはたたらを踏まされる。
『叫ぶ途中に攻撃かよこの野郎!』
「戦いで敵が待つものかよ」
『リアリストかっ! ブレストファイヤー!』
渾身のブレストファイヤー。だが空中のギラフには遅すぎる攻撃。余裕でかわされ矢を三連射。Zへ突き刺さり、爆発。
『うがっ!』
「いくら超合金Zと言えど、複数の性質までは防げまい!」
放たれた矢は熱、冷却、、衝撃力の属性を持っていた。性質の異なる三本の矢がピンポイントで胸部に撃ち込まれて、左放熱板が砕け散る。
『ぐっ!』
「そこだっ!」
『うわぁぁぁーー!!』
更に矢が空を裂く。もう片方の翼が、四肢が削られて、鉄の城は地面に墜落した。
「なんだなんだ。大した事のない奴らめ」
『ぐっ……』
『あが……』
口はアレだがヘラク・ギラフは強敵であった。
洗練された力の前に、ベーオとZはなす術がない。
「期待外れもいいところだ。ゲッターとマジンガーを継ぐものが、こんな未熟者だとは」
『何だと……!』
「供物にする価値もない。中身は引きずりだして、器だけにしてくれる」
ヘラクが角槍を突き付けるが、それをギラフが制止した。
「何を言うヘラク。それでは計画に支障が」
「世界を跨げば適合者などいくらでもいるさ。それでよかろう。コイツらは我が槍の錆としてくれる!」
ギラフを振り切り急降下していくヘラク。角槍を掲げ、鋭い穂先をベーオへ繰り出す!
「死ねやぁぁぁぁ!」
『ぐうっ!』
迫る角槍、しかしダメージが響きベーオは動けない!
黄金の角槍がベーオを貫く――!!
――ギャギィ!!
「なに!?」
『ぐうううッ!』
『兜……!?』
角槍はベーオには届かなかった。割り込んだZが、ヘラクの腕を掴んで止めていたのだ。
「サイボーグが邪魔立てを! そんな見ず知らずの死に損ないを助けるとは、正気か?」
『正気じゃなくて悪いか!』
「む?」
『僕は……誓ったんだ。Zで皆を助ける。守ってみせる! それが誰でも!』
例え体が人ならざるとも、その心は不滅。仲間達が教えてくれた。
熱き思いを燃やし、鋼の体に宿して、魂が唸りを上げる!
『ヒートフィンガー!』
「あっつ!? 貴様止めぬか!」
『続いてブレストファイヤー!』
「どわっちゃぁぁぁぁ!?」
熱系武装をぶちかます。虫ベースだから意外に効いており、火が顔に燃え移ったヘラクはバタバタと足を動かして空中を走りながら逃げていく。
ギラフに呆れられながら汲んできた水で火を消される、Zが膝をつき、ベーオが駆け寄った。
『ぐ……滝沢さん、大丈夫ですか?』
『ごめん、迷惑をかけた。……お前は強いな』
『まさか。僕なんかより強い人はたくさんいます』
復讐に走り、機械の体になったこんな自分を励ましてくれた、信じてくれた皆がいた。だから勇輝は立ち上がれたのだ。
痛みを堪えZが立ち上がる。
怯まず戦うその勇姿――まさに鉄の城。
(……僕は、竜馬さん達に比べればまだまだだ。だけど僕も、引き下がる訳にはいかない)
目の前には辛い境遇に置かれても立つ男がいる。
ならば、自分が立たぬ理由が何処にあろう。
滝沢光牙は未熟者、それがどうした?
そんなの分かりきっている。それでも今まで、戦ってきたではないか。
『滝沢さん!』
『力を貸してくれ兜。あの金銀虫、ぶっ倒すぞ!』
『えぇ!』
滝沢光牙に兜勇輝。ほんの少し前に出会ったばかりの二人。
相手の事はよく知らない。知っている訳がない。分からない事だらけ。
けど、それがなんだというのか。
今、隣にいるのは覚悟という光を胸に戦う戦士。生まれも、機体も、世界も関係ない。互いを信じ、背中を預け戦う喜びがある。
並び立つベーオとZ。ゲッターロボとマジンガー。
その背後に初代ゲッターロボと昭和版マジンガーZの姿が見え、幻影かもしれないが、確かに見えたヘラクとギラフには物理的プレッシャーとなって押し寄せる。
Zがスクランダーを切り離し、ベーオはマシンガンを捨てトマホークを構える。
『行くぜ!』『援護します! ロケットパンチ!』
右ロケットパンチと共にベーオが飛翔する。ロケットパンチでギラフを牽制し、ヘラクにトマホークと鉄拳を食らわせ直ぐ様離脱。槍をかわしてからベーオが再度斬りかかる。
「小癪な!」
「付け焼き刃の連携なんぞで!」
『そうでも!』『あるけど!』
ロケットパンチを弓で払いのけ、ギラフが矢をZへ放とうとするが、ベーオが斬りかかり妨害。
Zは足裏のブースターで飛び上がり、ヘラクへ左ラリアットを食らわせた。
「おのれっ! ならば我の必殺! 我の拳が光ってうな『『お返し!』』あふっ!?」
「ぬっが!?」
何やら必殺技を使おうとするヘラクだったがZのダブルパンチ炸裂! ギラフへぶつけ、着地するZ。
「くう〜っ! 貴様らコケにしおって!」
「ヘラク落ち着け。仮にも奴等は「ぬおーッ!」話を聞け!」
少しばかりやられただけで頭に血が昇ってしまったヘラクは、ギラフの言葉すら聞かない。怒りに任せ、ベーオを角槍で穴だらけにせんと連続突きを仕掛けるも、先程より単調になった連撃をベーオは左右へのステップで回避し、
『ドリルランサー! かーらーの! ドリルミサイルッ!』
「ぐ!?」「ぬう!」
ドリルランサーの一撃をヘラクに叩き込み、ドリルミサイルをギラフへ。これはかわされる。
『やっぱ当たらない……。けども!』
『ルストハリケーン!』
「「うおぉぉ!?」」
ギラフがドリルミサイルを回避した先と、ヘラクの後退先にはZがいた。誘導された二体のメタルインセクターがルストハリケーンに飲み込まれて、メタルインセクターの各所を腐食させていき、
『そこへブーメラン追加ァ!』
ゲッタートマホークを竜巻へ投げ込む。竜巻の風に乗り、刃が二体を斬りつけていく。
「チィィィ! しもべよきたれ、我を助けよ!」
しかし黙ってやられるヘラクでもない。しもべを呼び出し竜巻から救出させて貰う。
が、勢いをつけたベーオとZは止まらない!
『おぉぉらっ!』『Wロケットパンチ!』
後ろ回し蹴り、二つの鉄拳でしもべ達を吹き飛ばし、ヘラク・ギラフへ畳み掛ける!
『一気に決めるぞ、勇輝!』
『了解ッ! 光牙さん!』
互いの名を呼び、ゲッターが、マジンガーが力を高め合う! 力は思いによって共鳴し、更なる力を呼び覚ます!!
ベーオが澄んだ青緑、Zが黄金の輝きを放つ。
命の輝き。希望の光。暗闇の世界に光が灯される。
前へと踏み出す輝きは、未来を切り開く剣。
道標となり人々を照らす光は、闇を砕く拳。
剣を取る。拳を宿す。
ゲッターの、マジンガーの力を感じる。隣に立つ戦士の思いを。
解き放て。今こそその時なのだ。
『光の拳――シャイニングロケットパァァァァンチッ!!』
『うおぉぉぉーーっ!』
Zが右腕から解き放つ巨大な光の拳にベーオが飛び乗る。輝きが尾を引きながら突撃!
「「ダブルインセクトカノンッ!!」」
ヘラク・ギラフから放たれるは金と銀の光線。迸る光を、ベーオは命中寸前で飛び上がり回避してみせた。それへ気を取られたヘラクとギラフへ、シャイニングロケットパンチが叩き込まれる!
「ごっ!?」「がはっ!?」
『こいつで、トドメェェェッ!!』
大上段に剣を翳すベーオ。その体かららら飛び出す七つの光。赤は鳥、白は獅子、紫は蛇、緑は亀、黄は麒麟、青は鮫、黒は西洋龍へ変化してメタルインセクターへぶち当たり、剣で大上段一閃!!
「バカなっ……付け焼き刃の貴様らが何故……!?」
「やはり、貴様らは……!」
『何の事か分かんないな!』
『けどこれだけは言える……人を道具にする奴らなんかに、僕らは負けない!』
「お、おのれぇぇぇぇッーーー!!」
お決まりとも言える断末魔を響かせ、二体は消滅していく。
それを見届け、肩で息をする二人からも、輝きは消えていった。
メタルインセクターを撃破した光牙に勇輝は、オブジェ頂上のカプセルに向かうとアヤと連花を救出した。彼女らは気を失っているだけだったが、機械を調べたらとんでもない事が判明した。
「なんじゃこりゃ……」
それは人間の生命力を増幅・触媒にして人の意識を支配下に置くという、ありがちだが恐ろしい機械。しかも動力源はゲッターエネルギーに光子力と来た。こんなものが何故あるのか、そして何故この二人だったのか。
疑問を抱くが聞く相手は倒してしまったので、機械の一部分と内部にあった何かの欠片は光牙、光子力を抽出するジャパニウム鉱石は勇輝が預かる事に。
「光牙さん、結局奴らはなんだったんでしょう」
「さあね」
メタルインセクターを名乗るインベーダーに似た謎の存在。結局奴らの目的云々は不明だったが、こんな機械を持っていたのだからロクでもない事を考えていたと思う。
「あ、そう言えばあの時、名前で呼んじゃいましたね」
「別にいいよ。一緒に戦ったんだしもう仲間だ。それに僕ら、なんだか気が合いそうだし」
「そうかもしれません」
初めて会った筈なのに、何処か通じ合う部分がある。
アヤに連花も助けれたし、まあよしとしよう。こんな強い仲間に出会えたのだから。
光牙も勇輝も、そう感じていた。
「……また、会えますよね?」
「出来れば、ね」
ヘラクとギラフが消滅した事で、この空間も消滅しかかっていた。
帰れるかどうか分からない。でもまた会えるのを感じる。
根拠も理屈もないけど、そう思えるからそれでいい。
この思いが消えることはないから。
暗い世界に光が差し込む。
光に包まれ、視界が見えなくなる直前、光牙と勇輝はこう言い残した。
――また会おう。マジンガーZ。
――はい。ゲッターロボ。
「……うぅん?」
「あれ……」
こうして二人は目を覚ました。
眠る直前と全く同じ光景がある。
あれは、夢だったのか……。
一瞬疑ったが、それは直ぐに捨て去った。 何故なら光牙と勇輝の手には、あの世界で預かった欠片や、鉱石が収められていたのだから。
『――ほんの少しだが、力を引き出したみてーだな。まさか互いの力を共鳴させてとは……』
『一先ずは安心だろう。彼らなら、きっとこの先の試練にも立ち向かっていける』
『ま、今はそう信じたいね』
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