アインヘリアルとなったエルダーは、ラグナロクに備えてヴァルキリーに鍛えられていました。
「せぇいやっ!」
「振りが遅い!」
エルダーは高速で剣を振り下ろしましたが、それでもヴァルキリーからは「遅い」と言われました。
「はぁっ……。それでも遅い、と言うのか……」
「相手となる巨人の攻撃はそれ以上に速いぞ?」
ラグナロクでアインへリアル達が相手にする巨人は、非常に高い身体能力を持っています。
動きが遅いかと思いますがそうではなく、動きの速い巨人も存在します。
そのために、ヴァルキリーは厳しい訓練をアインへリアルに積ませているのです。
「あと素振り何回やればいいんだ?」
「5000回。お前ならできるだろう?」
「……分かった」
ヴァルキリーに言われ、エルダーは素振りを5000回行いました。
「はぁ、はぁ、はぁっ」
「よし」
ようやく、エルダーは5000回素振りを行いました。
しかし、彼の表情には疲労が見えました。
神の力を与えられているとはいえ、立場としてはジャンヌら三女神同様「見習いの神」なのですから。
「巨人は、どれほどの強さなんだ……」
「それは分からない。だが、強敵なのは確かだ。それまでに訓練を積んでおけ」
ヴァルキリーの訓練が終わった後、エルダーはアインへリアルに声を掛けられました。
「訓練お疲れ様! やっぱりゲイレルル様の訓練は厳しかったわよね」
「ゲイレルル様?」
「知らないの? さっきあなたに訓練をつけてくださった黄金のヴァルキリーなのよ」
「そういう名前だったのか!」
エルダーの魂を選定した黄金のヴァルキリー・ゲイレルルの訓練は厳しい事で有名です。
しかし、彼女の訓練を受けた者は、非常に強いアインへリアルとなる事でも有名なのです。
「私の担当はスケッギョルド様だったからなぁ。いいな~」
「……あの鬼のような訓練を受けたいか?」
「や、やめておきます;」
スケッギョルドもまたヴァルキリーですが、ゲイレルルよりも訓練は緩めなのです。
その分、積まれる経験値はゲイレルルよりも減りますが……。
その頃、ヴァルキリー達はというと。
「トールがアスガルドを抜け出したようです」
「何!? またミッドガルドに行っただと!?」
オーディンの子・トールが行方不明になった事を知らせました。
アールガルドにおいては、下界の事を「ミッドガルド」と呼ぶのです。
それに対し、この神界の事を「アスガルド」と呼びます。
「ええ。ミッドガルドの様子を見てみましたが、その通りのようです」
「我の子でありながらもその自覚が無いとは……。一刻も早く、アスガルドに連れ戻すのだ!」
「御意」
オーディンの命令で、ヴァルキリーは下界に向かう事になりました。
アールガルドも色々と大変なようです……。
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
神界サイド、すなわちエルダーのターン。