第32話:フエンタウンの新米ジムリーダー
「ついたぞ~!フエンタウンだ~~~!」
でこぼこ山道を抜け、彼はようやくこのフエンタウンに到着した。
温泉街というだけあり観光客が大勢いて気温もどこか暖かい。
温泉に浸かりたい気分に襲われながらもクウヤはポケモンジムへ向かう。
「よぉーし、ジム戦が終わったらみんなでひとっぷろあびっぞ~~!」
GYMと書かれた看板の建物・・・ポケモンジムに到着し深く息を吸うと、
もうバトルするのが楽しみでしょうがないといった様子で意気揚々と叫ぶ。
「たのもぉーっ!」
「はいはい・・・あら、アナタはポケモントレーナーね。
さしずめこのフエンジムに挑戦というところかしら?」
「ああ、オレはクウヤ!このジムに挑戦するぜ!」
「威勢が良いわね・・・!
よし、アナタの挑戦受けるわ!
あたしがフエンジムのジムリーダー・アスナよ!」
アスナは早速クウヤをバトルフィールドへ案内しようと招き入れる。
しかし・・・
「あれ、バトルフィールドはどっちだったけ・・・・」
「ずっこぉ~~~!」
拍子抜けになりクウヤは大きくすっころぶ。
「そんなのありかよ!?」
「ゴメンゴメンッ!
あたし一週間くらい前にジムリーダーになったばっかなんだよね・・・」
そう・・・アスナはまだ、ジムリーダーになりたての新米だったのだ。
でも普通はここまで迷わないだろう。
どうやら彼女はかなりの方向音痴のようだ。
「一昨日は上手くそこまでいけたんだけど・・・おっかしいなー」
「おととい?」
「ラカイって言う女の子がここにきたのよ、
半端じゃない強さだったわ」
「ラカイが・・・」
「あら、知り合いなの?」
「あいつとは友達で、ライバルなんだ」
「なるほどね」
彼女が今も自分より一歩先にいるということを知り目を丸くする。
だが彼には怒りや妬みという感情はなく、ただ今の話を聞き再戦が楽しみになったという気持ちが彼の中に芽生えただけだ。
「じゃあなおさらここのジムも勝ちたいでしょ!」
「おぅ!」
「ま、アタシも負けないけどね!」
今の自分の相手はラカイではなく、目の前にいるジムリーダーのアスナだ。
数十分後。
アスナの方向音痴に振り回されつつも、なんとかバトルフィールドに到着した。
「やっ・・・やっとついたぁー!」
「ほんっとーにごめん!」
「これでやっとバトルが出来るからいいってばさ!」
「ルールは2対2!
ここのジムでは選んだ2匹がどちらも戦闘不能になったら負けよ」
「オッケー、いいぜ」
「じゃあバトルスタート!」
アスナは一番手にマグカルゴを、クウヤはピーカをそれぞれ出す。
戦いの火蓋が今、きって落とされた。
「マグカルゴ、いわおとし!」
「ピーカ、10まんボルト!」
双方の技がぶつかり合う。
続けてマグカルゴがかえんほうしゃを放ったが ピーカはそれを回避、アイアンテールをぶつける。
その一撃で一瞬マグカルゴはひるみ、さらにピーカは10まんボルトを浴びせる。
「パワフルね・・・そういう戦い方あたしは好きよ!
でも攻撃力ならこっちが上!
マグカルゴ、かえんほうしゃ!」
それに耐えたマグカルゴは反撃のかえんほうしゃを浴びせ炎にこらえきったピーカがかみなりを落とす。
これによりマグカルゴは戦闘不能・・・ピーカの勝ちだ。
「よしっ、いいぞピーカ」
「やるわね・・・でも勝ちは譲らないわよ!
さぁ出番よコータス、でてきて!」
「コォーーー!」
「うぉわ!!煙はいた!」
出てきたのは亀のようなポケモン、コータス。
いきなり勢いのある煙を噴射してきたため驚いたもののピーカは負けじとでんこうせっかを命中させる。
・・・だが、その一撃はコータスにしっかり当たったにも拘らずほぼノーダメージだ。
「堅い・・・!?」
「てっぺき、どうかしら」
さらに反撃ののしかかりを受けてしまいピーカは体が思うように動けなくなり、追い討ちといわんばかりにだいもんじを食らいピーカは戦闘不能になってしまった。
クウヤはすぐにピーカを戻し「お疲れ様」と声をかけると今度は相性がいいヒーンを繰り出した。
「頼むぜヒーン!」
「水タイプ、か」
アスナは受けてたつという様子でバトルを続行する。
登場早々にみずのはどうで攻撃するがコータスはまもるでそれをガードしかえんほうしゃで攻撃してきた。
「大丈夫か、ヒーン!?」
「ヒバッ」
「よし、れいとうビームだ!」
なんとか耐え切るとヒーンはれいとうビームを放つ。
この攻撃は命中したが相性上あまり効いていない。
「きかねぇ・・・!」
「氷技は炎ポケモンには効かないよ!
コータス、のしかかり!」
「ヒーン、かげぶんしんでかわせ!」
「ならこれはどうかしら!
オーバーヒート発射準備!」
「っまず!」
大技の登場にパニくるクウヤ。
「どうしよ、あんなんくらったヒーン・・・」
「ヒーン、ヒーン!」
「え・・・あ!あれだ!」
ヒーンにいわれ、クウヤはあの技を思い出す。
「コータス、オーバーヒートォォ!」
強大な炎が放たれた。
その瞬間にクウヤは大声である技を叫ぶ。
「ミラーコートォォッ!」
「えっ!?」
予想もしていなかった技にアスナは戸惑う。
オーバーヒートが直撃したヒーンの体は光り輝いておりその炎は倍の大きさにまで膨らみ、逆に技を放ったコータスを包み込み大きな爆発を起こした。
「きまったぜ!」
「そんなの、アリ!?」
ミラーコートは、特殊攻撃を倍の威力にまで増大させ反射し反撃する技。
でこぼこ山道を越える途中で見つけたヒーンの力。
それが今炸裂したのだ。
「今だヒーン、みずのはどう!」
「あっ!」
みずのはどうでとどめをさされてコータスは戦闘不能・・・。
クウヤとヒーンの勝ちだ。
「よっしゃよっしゃ!よくやったぜヒーン!」
「ヒーバス!」
「負けたわ、大技で一気に終わらせようと思ったのにそれを逆に利用されちゃうなんてね」
「いや、オレもアブなったぜ。
第一、勝てたのはこいつのおかげだし・・・なっ!」
そういいながら抱いているヒーンを撫でる。
抱かれているヒーンは照れて顔を赤くする。
アスナはクウヤにバッジを差し出す。
「さぁ、これがヒートバッジよ。受け取って。」
「ああ、サンキュー!」
アスナからバッジを受け取り、ケースにつけた。
「アナタ達みたいなトレーナーを見ていたらあたしまで負けられないくらいに燃えてきちゃったわ。
もっともっと修行して強くなんなきゃ!
アナタもこの先頑張ってね!」
「おぅ!」
「クウヤさん、ですね。
ソライシ博士からお届けものがあります」
「これはなんなんだ・・・?」
今日のジム戦の疲れをいやそうと
ポケモンセンターに入った矢先もらったのは包み。
あの時ソライシ博士が言っていたお礼とは、これのことだろう・・・しかし中に入っていたのは石だった。
「化石?」
「ああ、間違いないね」
というわけで、この石がなんなのかをポケナビを通してセイに訪ねる。
「今はデボンで化石を復元する研究が進んでいる。
それまでその化石は大事にしておいた方がいいよ。
もしかしたら、そこから珍しいポケモンが仲間になるかもしれないからね」
「まじか!」
通信が終わり、クウヤは化石をみてわくわくしていた。
その化石をリュックにいれてクウヤは宿泊室を飛び出しポケモン達と共にここの名物である温泉を満喫する。
「きもちぃぃ~~~~!
みんな、ゆっくりしようぜ~~~」
「しゃーも」
そういいつつ温泉に浸かりながらクウヤは上を見上げた。
「・・・」
今は夜。
真っ暗だがその分星や月が綺麗に輝いて見える。
こんな夜空も、クウヤは好きだった。
空であることに変わりはないのだから。
「ほんと、気持ちいいな」
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TINAMIになかなかつながらず、投稿が遅れてしまいました。 こうなってたのって私だけかな?