No.848732

恋姫OROCHI(仮) 肆章・弐ノ壱 ~西へ~

DTKさん

どうも、DTKです。
お目に留めて頂き、またご愛読頂き、ありがとうございますm(_ _)m
恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、74本目です。

束の間の休息を終え、再び味方を救出するため動き出します。

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2016-05-20 23:26:59 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:3726   閲覧ユーザー数:3256

 

 

 

久々の休養を経て、親睦を深め、心身の充実を図れた一同。

この間も、俺や剣丞は軍師を中心としたメンバーと話し合い、派遣の準備、組分けを平行して行っていた。

今日はこれから組分け発表を、何故か少し壊れた、玉座の間で行うところだ。

 

 

 

「今回は二方面作戦を取ります。一つは、この前真桜たちが作ってくれた雲梯を用いて、紫苑の救出に行ってもらう函谷関組。もう一つは、漢中組だ」

 

漢中には鈴々、星、桔梗、それに璃々ちゃんがいるはずだ。

そこに三河松平…のちの徳川家康がいる。

 

「それでは、函谷関組を発表します」

 

俺はあらかじめ用意していた竹簡を読み上げる。

 

「まずは過去に行くために必要な、霞、翠」

「「おうっ!」」

「雲梯の運用のため、真桜を主任とし、補佐に沙和、ひよ、ころ、そして雛にお願いしたい」

 

真桜を筆頭に気合の入った返事が返ってくる。

 

「そして、対鬼の戦力として小夜叉、援護の弓兵隊の指揮はシャオ。紫苑の位置特定のために湖衣。この過去に詳しいタンポポ。

 それに俺を加えた面子を以て、紫苑救出作戦を決行する!」

 

「「「応っ!!!」」」

 

半数は紫苑のことを知らないのに、並々ならぬ覇気を示してくれる。

感謝の一礼をし、剣丞にバトンを渡した。

 

 

 

 

 

 

「それでは次に、漢中へ攻め入る人員を発表します」

 

伯父さんからバトンを引き継いだ俺は、自分でも分かるくらい強張った頬を一度叩く。

 

「まずは、過去の漢中へ行くために、壬月さん」

「応っ!」

「三河松平家は約一万数千の兵を引き連れた状態でいるものと思われます。なので孫呉、そして長尾には兵を出してもらいたい」

 

蓮華姉ちゃんと美空に目配せをする。

もちろん、事前に当主の二人には話を通してある。

 

「孫呉からは雪蓮姉ちゃん、蓮華姉ちゃん、思春姉ちゃん、祭姉さんの出陣をお願いします」

 

雪蓮姉ちゃんの「楽しそうね」を筆頭に、四者四様の反応。

 

「そして長尾は美空、秋子さん、柘榴、松葉、お願い」

 

こちらも四者四様。まっこと個性的なメンバーだ。

 

「それから大軍を預かるので、指揮のための軍師に風姉ちゃん、詩乃、雫の三名にも同行をお願いします」

 

軍師は三人のはずなのに、何故か四つの反応が同時にあった。

ま、それは華麗に流して…

 

「そして俺、護衛に鞠、連絡係に小波。後は…」

 

分かっていたこととはいえ、リストの最後を見て言葉が止まる。

編成会議でも、懸念が多かった人物。

思わず彼女を見てしまう。それは…

 

「大丈夫ですよ、剣丞さん」

 

俺の不安気な視線に気付いてニッコリと微笑んだのは、明らかな非戦闘員、月姉ちゃんだ。

 

「月…やっぱりボクは反対だよ。何があるか分からない所に月が行くなんて…」

 

最後まで(今もだけど)反対していた詠姉ちゃんが、月姉ちゃんの手を握り、まだ説得を試みる。

 

「ダメだよ詠ちゃん。鈴々ちゃんたちを安心させるためには、私の旗がないと…」

 

月姉ちゃんが出陣する理由。

それは、漢中のどこかにいると思われる鈴々姉ちゃんたちのためだった。

 

「そりゃ、孫呉の旗だけじゃ鈴々たちも訝しがると思うけどさ…」

 

鈴々姉ちゃんはともかく、星姉ちゃんと桔梗姉さんは、潜伏している場合、無用に姿を現さないだろうとの判断だ。

まして軍勢に孫呉の旗だけが翻っていれば、孫呉が戦を仕掛けてきたと疑われかねない。

だから味方の董旗があった方がいい、と月姉ちゃんからの申し出があったんだ。

 

「でも、それなら翠から馬旗を借りてもいいし、なんなら私一人で賈旗と一緒に董旗も掲げれば…」

「詠ちゃん…」

 

窘めるような、少し悲しいような、そんな声色で詠姉ちゃんの目を覗き込む。

 

「みんな、身を危険に晒して頑張っているのに、私だけ何もしないなんて出来ないよ。せっかく、私でも役に立てる数少ない機会なんだよ?」

「うぅ…」

 

そう。月姉ちゃんは旗だけ貸し出して、一人のうのうとしていることは出来ない。

 

「安心して、詠姉ちゃん。前も説明したけど、俺も月姉ちゃんの隊にいさせてもらうし、鞠も護衛につけるからさ」

「そうなの!鞠、剣丞も月も護るの!」

 

グッと両手を握り、キラキラと輝く瞳で詠を見る鞠。

 

「うぅ~…わ、分かったわよ!でも、いざとなったら月を守るのはボクなんだからね!」

「うん。よろしくね、詠ちゃん!」

 

鞠が上手いこと話をまとめてくれる。

 

「それでは、この面子が漢中攻略の陣容となります。よろしくお願いします!」

 

 

 

 

 

 

「それじゃ最後に、洛陽防衛組の発表をします」

 

と言っても、必然的に名前が出なかったメンバーだから分かると思うけど。

 

「凪姉ちゃん、明命姉ちゃん、そして幽を軸として、洛陽の防衛に努めてください」

「はっ!」「了解です!」「承った」

「よし、それじゃこれで…」

「あいや待たれぃ!!」

 

さっさと締めようとしたけど、予想通り『ちょっと待った!』が入った。

 

「主様!一刀!何故余がどちらの遠征軍にも名が無いどころか、洛陽の防衛にも名が無いのじゃ!!説明せよっ!」

 

やっぱり猛る一葉。

 

「落ち着けって一葉。華佗さんから、まだ体調が万全じゃないって報告を受けてるんだ。無茶はさせられないよ」

「嫌じゃ嫌じゃ嫌じゃ!余も主様と大陸を駆け巡るのじゃ!!」

「お、お姉様…」

 

完全に駄々っ子モードへ突入。

遊びに行くわけじゃないんだけどな…

 

「いやはや…公方さまもこちらに来てからあまり表に出ることが無く、鬱憤が溜まっておりますれば…」

 

側近の幽は端からお手上げの姿勢。

 

「あ~…華佗。一葉の体調は、あとどれくらいで戻りそうなんだ?」

 

そんな時、伯父さんが控えていた華佗さんに質問する。

 

「そうだな……あと十日もすれば、万全とはいかないが遠征に耐えられるだけの体調になるだろう。もちろん、安静にしていればの話だが」

「なら次は必ず、剣丞と一緒に何処かへ行ってもらおう。それでどうかな?」

 

伯父さんが助け舟を出してくれた。

 

「……まことか?」

 

ジト目で俺を見てくる一葉。

隣から伯父さんが目配せしてくれる。

 

「うん、絶対だ。約束するよ。だからもう少し、養生していてくれ」

「うむ!そういうことなら、全力で休むことにしよう!」

 

少し不安だけど、機嫌も直ったし良かった。

目だけでありがとうございますと、伯父さんに伝える。

気にするな、とばかりに微笑む伯父さん。

このあたりは、まだまだ敵わないよなぁ~…

 

「よし!それじゃあ出発は明日。各々準備をし、そして体調を万全で臨んで下さい!」

「「「応っ!!!」」」

 

こう締めくくった。

 

 

 

 

 

 

函谷関と漢中。

大陸の北西部を舞台とした戦いが、始まろうとしていた。

 

 

 


 
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