No.848393

真・恋影無想

月神さん

投稿です。次は早くて今日の夜中ですね。

2016-05-18 22:16:48 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2361   閲覧ユーザー数:2024

8話 夢・開戦

 

 

〝こうやってあなたと対峙することになるとはね。〟

 

 

〝そうだな。曹操。〟

 

 

これは?夢、なのか?

 

 

〝そうだ。あなたには我が真名を許すわ。華琳よ。〟

 

 

〝そうか。俺の真名は優だ。華琳。正々堂々やりあおう。〟

 

 

〝えぇ。次会うときはどちらかが首かそれとも牢屋か。楽しみね。〟

 

 

〝そうだな。俺が勝てば華琳が牢屋に、華琳が勝てば俺は首に。〟

 

 

〝へぇ?斬首する気はないと?〟

 

 

〝あぁ。斬首なんてものは俺の流儀に反する。それに俺からすれば華琳を斬首にする事に意味は無い。〟

 

 

〝私の首には価値はないと?〟

 

 

〝そういう意味じゃないさ。〟

 

 

〝そう。ならその意味は首を跳ねる前に問いただすとしましょう。〟

 

 

やめろよ。なんで華琳達と戦なんか……

 

 

〝〝皆の者!準備はいいか!相手は平和を脅かそうとする者。かつての仲間だからといって容赦はいらん!己が信ずる平和の為に剣を振るえ!全軍抜刀っ!突撃!〟〟

 

 

なんなんだよ。やめてくれよ。

 

お前は皆を守るんだろ?

 

 

映像(?)にノイズが入る。

 

 

 

「っ!え?こ、ここは魏の玉座の間?いや、異空間なのか?」

 

 

目が覚めたと思うとかつての魏の城にあった玉座の間にいた。だが城の中だというのに気配が何もしない。

 

 

「お目覚めですか?」

 

 

誰だ?てっきりやったのは于吉かと思ったが知らない女性。しかも、気配がない。この人がこの空間を作り出したのか?

 

 

「誰ですか?それとここは?」

 

 

「申し遅れました。私、中立の管理者の1人です。名乗れるような確たる名前はございません。ここは私が作り出した異空間。あなたの深層心理の中から選ばれた場所。そしてあなたが今見ていた夢はこれから起こる可能性が最も高い未来です。」

 

 

「あの夢はこれから起こる可能性が高い?これから先、俺と曹操が戦をすると?」

 

 

「はい。私は専属の管理者達や外史の住人に未来を伝える事を使命と行動しています。私の専門は占いや妖術、仙術、それから呪術です。」

 

 

「なら、聞きたい。これからあれを避けるにはどうしたらいい?」

 

 

「ふふっ。余計な質問等がなくて助かります。あれを、と言うのは曹操との戦を避けるには、という事ですか?」

 

 

「あぁ。俺の目的は他の管理者達からこの外史を、魏のみんなを守る事だ。戦をしたんじゃ意味は無いだろ?」

 

 

「残念ですが避ける方法はわかりません。もしかすると何もしなくてもあの未来を避ける事ができるかもしれませんし、もし方法があって最善を尽くしてもあの未来に繋がるかもしれない。〝未来〟と言うのは〝世界の意思〟です。どうやれば回避できると言うのはありません。」

 

 

「なっ、」

 

 

「ですが、あれは〝現段階で最も高い可能性〟です。もちろん他の可能性もある。ですからあまり気を張らずに。」

 

 

「んな、人にあんな夢を見せておいて気を張らずににやれって……無理だろ?」

 

 

「ふふ。あの夢は私が見せたわけではありませんよ?私にはそんな技術はありません。口頭で伝える事ならできますけどね。」

 

 

「は?」

 

 

「まぁ、私の事については于吉や左慈にでも聞いてください。私は今正史から直接あなたを此処に呼んでますからそろそろ術が限界です。また、そちらに行った時にでもご挨拶に参りますので。では。」

 

 

「ちょ、まち、」

 

 

そう言うと先に女性は消えてしまった。何だったんだ?それから直ぐに視界が歪む。うぅ〜気持ち悪い……

 

 

「おい、北郷!大丈夫か?おい!」

 

 

「まずいな。他の管理者の仕業か?于吉、まだ入り込めないのか?」

 

 

「喋りかけないで下さい。気が散ります。」

 

 

どうしたんだ?皆して集まって何を騒いでるんだ?

っ、まだ頭がくらくらする……

 

「う、うーん。どうしたんだ?皆して集まって。なんの騒ぎだよ……」

 

 

「北郷!お前大丈夫か?俺が分かるか?」

 

 

「左慈?何言ってるんだ?」

 

 

「華佗、どうですか?」

 

 

「見てみたが特に異常は無さそうだ。」

 

 

「だから、一体どうしたんだよ?」

 

 

「あのな、お前は〝何か〟に体をジャックされてたんだよ。呼びかけてもダメ。術に長けた于吉がハッキングを試しても入り込めない。その状態が昨日の夜中から続いていたんだぞ?」

 

 

「はい?」

 

 

「すまない。俺はそろそろ戻る。身代わりの俺もそろそろ限界だからな。後は頼んだぞ2人とも。」

 

 

「あぁ、ご苦労様でした。異常があったら呼びますから。」

 

 

「あぁ。それじゃ。」

 

 

そう言うと華佗は安心したように戻っていった。

 

 

「北郷、なにか夢を見たりしなかったか?」

 

 

「見たけど……それが?」

 

 

「どんな夢でしたか?」

 

 

「えーと、俺と曹操さんが大きな平原みたいな所で軍を率いて舌戦してた。その後、その夢にノイズみたいなのが入って……」

 

 

「その夢にメスゴリラ位の背の女性が出てきたりは?」

 

 

「夢が終わった後に于吉が作る異空間みたいな所にいてそこで女の人と話はした。メスゴリラが雹香のことなら確かに背格好は似てた。」

 

 

「その女は自分の事について何か言ってましたか?」

 

 

「あ、あぁ。自分は中立の管理者で占い、妖術、仙術、呪術が専門だって言ってた。」

 

 

「左慈。」

 

 

「あぁ、そうだな。」

 

 

「?、自分達だけで納得しないで俺にもどういう事か教えてくれよ。」

 

 

「北郷、お前がその異空間であった女は管輅と言う女だ。通称〝神占いの管輅〟。管理者の中でもトップレベルの術師だ。」

 

 

「その占いは外れることはないとされ、〝未来予知〟と称されるほど正確です。さらには妖術、仙術、呪術においてもその実力は計り知れません。」

 

 

それって確か、管輅公明だっけ?演技では華琳に秋蘭の戦死や曹丕の魏王朝設立を暗示したり、正史でも神童とか呼ばれてた占いのスペシャリスト。にしてもそんな人がなんで?

 

 

「でも、そんな人がなんで俺なんかに接触してきたんだ……?」

 

 

「そもそも管輅は北郷がこちらに来た時も大陸に予言を残している。今回も何かしら意図があっての事だろう。他に何か言ってなかったか?」

 

 

「いや、特には。あ、今自分は正史にいるからこっちに来た時にまた会いに来るって言ってたぞ。」

 

 

「そうか。またその時にでも聞くしかないか。」

 

 

コンコン 〝すまない。優、いるか?〟

 

「ん、冥琳さんか。」

 

 

「まぁ、何をされたわけでも予知をされたわけでもなさそうだしな。とりあえず俺達は影に戻る。」

 

 

「あぁ。わかった。」

 

 

コンコン 〝優〜、いないのか?緊急だ。〟

 

 

「はいはい。開いてますよー。」

 

 

「あぁ、優。休みの日なのにすまない。一緒に雪蓮を捕まえるのを手伝ってくれ。」

 

 

「雪蓮さんを?またあの人なんかやったんですか?」

 

 

「あぁ、今日は説教じゃ済ません。」 メラメラ

 

 

あら?えらい怒ってるな。ホントになにしたんだあの人。

 

「あいつ、今日は溜まっている仕事を片付けると約した癖に屋敷内を逃げ回って色々破壊した上に庭で酒を飲んでいたっ!許さん。絶対に許さん。」

 

 

「あれ?酒?今禁酒期間じゃ?」

 

 

「あぁ。その通りだ。酒蔵から勝手に持ちだしたんだ。」

 

 

「え?でも、酒蔵には警備兵大量に配置してますよね?元王だからってそう易々とはあいつらも通さないんじゃ?」

 

 

「20人だ。20人配置されていた警備兵が全員気絶させられていた。」

 

 

「は?」

 

 

「証言からしてどうやら協力者が2人ほどいるようだ。」

 

 

なんか壮大だなおい。さっきまで俺のシリアスムードは何処へ……?

 

 

「でも、酒蔵に配備していた連中は昔からいる対雪蓮さん用の警備兵でしたよね?普通の連中でその連中を気絶させるって……」

 

 

「推察するに、犯人は雪蓮と同じ気持ちを共有している者。すなわち禁酒期間中の者。さらに警備兵達を音もなく姿を見られずに一瞬で気絶させている事からかなりの実力者だ。そして魏は現在里帰り中。すなわち呉か蜀の人間。そして、両国で現在確認できてないのは2人だけだ。」

 

 

軍師さながらの……いや、軍師だった。軍師っぽい推理からあげられた名前、それは……

 

 

「〝神速〟と〝昇り龍〟だ。」

 

 

〝神速〟と〝昇り龍〟すなわち霞と星だな。なるほど神速の張遼と五虎大将軍の趙雲なら可能だ。

 

 

 

その後、大広間には総勢50人の隠密部隊が集められた。

 

「皆の者聞け!己が仕事を放棄し逃げ回った挙句、屋敷内の物を破壊した上、警備兵を気絶させてまで酒を強奪した不届き者が我が蜀と呉から3名も現れた!」

 

 

「1名は我が呉の孫策!これが首謀者だと思われる!残り2名は両者とも蜀所属の趙雲と張遼だ!既に屋敷周辺は固めている。後はつかまえるだけだ!」

 

 

「休みの者もいただろう。もちろん、今日は臨時給与を支給する。捕まえた者、また班には報酬を支払う。」

 

 

「皆の者!準備はいいか!相手は言うことを聞かん賊。かつての王や現在の上司だからといって容赦はいらん!己が信ずる平和の為に縄を取れ!全軍抜刀っ!散!」

 

 

蜀の関羽さんと冥琳さんの激励により総勢50名の隠密機動隊が狩りを開始した。この中の約半分は俺と同じ今日非番だった連中だろう。基本的に隠密部隊は徹夜が多い。交代したからと言って大した睡眠は取れない。そのため、疲れの溜まり方は普通の兵達の倍以上。さらには他の色々な事情から皆休みの日にもまともに休めない。だから大体の休みの日が固まる。〝あぁ〜夜勤明けでやって休めるぅ〜〟とか〝久しぶりに家族や友達と買い物行こうかな。〟とか考えていた連中がこのために全員招集されたんだ。そりゃ言わずとも王や上司だからと言わずに捕まえることだろう。

 

しかも蜀の大将軍・関羽と呉の筆頭軍師・周瑜のお墨付きだ。誰も遠慮はしない。ちなみにこの収集、俺が思春隊長の所に預けられてから2回目だ。前回は雪蓮さん1人だったけど。

 

「優さん、どう行きますか?」

 

 

「あー、そっか。思春隊長は既に出てるんだったけ。 」

 

 

「あれ?思春隊長の真名……」

 

 

「あぁ、つい先日許してもらったよ。」

 

 

ざわざわ

 

〝あの思春隊長が……〟

 

 

〝これはもしかして……〟

 

 

〝えぇ、思春隊長相手じゃ勝ち目ないよぉ?〟

 

 

 

「お、おーい、皆?」

 

 

「あ、はい。すいません。作戦をお願いします。」

 

 

「よし、なら咲さんのとこはシャオの身辺を見張ってくれ。七海さんのとこは天井、床下を重点的に、あの人達の事だ。もしかすると隠し部屋とか作ってるかもしれない。俺達は高い所に登って探すぞ。」

 

 

「「「了解です!」」」

 

 

「あの人達の事だ。もしかしなくても抵抗すると思う。くれぐれも怪我とかしないように気をつけてな。皆女の子だから。」 ニコッ

 

 

「「「ありがとうございます。ご馳走様です。行ってきます!」」」

 

 

ご馳走様です?まぁ、いいか。早く終わらせよう。ちなみにうちの隊である思春隊長率いる〝楼〟は女性のみの隊だ。明命隊長の所は男の隊員もいるんだけどなぁ。

 

 

その後、5時間に及ぶ追いかけっこにより全員が捕獲された。とは言っても霞に関しては俺が介入してる上に大騒ぎになっている事を聞いた瞬間に投降した。なので一応最低限のお仕置きで済まされた。やはり雪蓮さんと星に関しては物凄くたちが悪かった。星を俺達〝楼〟が雪蓮さんを蜀の部隊が捕獲した。

 

雪蓮さんも星もこちらの裏をかいて逃げ回っていた癖に星はメンマの壺を庭に、雪蓮さんは酒蔵の扉を開きっぱなしにしているだけで簡単に捕獲できた。最初からそうするべきだった。まぁ、お互いのメンツ(?)が保たれたのは保たれたのだが。

 

なんでもうなぎやどじょうとかが入っている大きな風呂に入れたりと怪我をしない方向で新しい拷問達を試すそうだ。霞は禁酒期間の延期と壊したものの修理代のみだったんだがな。ちなみにうなぎ風呂等でエロティックな妄想をしていた俺は実物を見ることで精神的にショックを受けた。エロ目線よりも気持ち悪いが先だわ。あれは。

 

今から蜀の隠密部隊の人達と皆で飲み会だ。多分、合コン的な。人生初の合コンをこちらでする事になるとは……楽しみだなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

8話でした。後半のタイトル詐欺ですね。シリアスって疲れますよね(白目)ちなみに今回出てきた隠密部隊の女の子は詳しい事は書きませんが出てきます。あくまでもモブなので。それから真名等はそれ個人の拠点を書く事があれば逸話を書きますが基本的にはわざわざ載せはしません。まぁ、あの一刀君と半年接しみればってことです。(今回は明命とかシャオですね) 霞については多分拠点書きます。一応蜀の所属にしてます。次の投稿は0〜3時頃の間ですかね(苦笑)幸い今日も明日も暇なので筆を走らせますよぉ(๑•∀•๑)

 

 

では、支援、コメント待ってます!月神でした。


 
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