第27話:自分の気持ち
炎の抜け道を通り抜け、火山灰まみれになりながらクウヤは113番道路を進んでいた。
この道の向こうには、ハジツゲタウンがある。
その町からロープウェイに乗っていけば次のジムがあるフエンタウンだ。
草むらを抜けたトコでクウヤは一旦体についた灰を払う。
「みんな、あと少しだ!頑張るぞ!」
腰のボールベルトについているボールに呼びかける。
すると草むらから一匹のポケモンが出てきた。
慌てて図鑑を開き向けるとそのポケモンの名前が現れる。
「パッチール・・・っていうのか。
にしても・・・たくさんの模様があるんだな」
目の前に現れたパッチールの大群はふらふらしている。
気分が悪いのかと思いきや、図鑑の説明を見るといつもこうなのだとしりぽかーんとする。
呆気に取られていると上空から一匹のパッチールが降ってきてそのままクウヤの頭に激突した。
「ぱっ!」
「あいでぇっ!」
「ぱぁ~~?」
「いてて・・・なにすんだよ!
・・・・って降って来たのコイツ?なんで?」
上を見ても曇り空のみでまっさかさまに落ちる要素もない。
またパッチールが空を飛べるとは見た目からして思えない。
首をかしげていると背後から声をかけられる。
「君はポケモントレーナーか?」
「ん?あぁ、そうだけど?」
「オレはダイキ。
そのパッチールはオレのだよ」
「えっこいつお前の?
オレはクウヤ、よろしくなダイキ!」
そういいながらパッチールを抱き上げダイキに渡す。
それと同時にクウヤは気になっていたことを聞く。
「なぁ、なんでコイツ空から降ってきたんだ?」
「それは・・・オレが原因なんだ」
「ダイキが?」
「ああ、こいつとオレのトロピウスと一緒に飛んでたらうっかり落としちゃったんだ・・・・。 」
「ぱぁ~~」
ごめんなパッチール。
クウヤもホントにごめん」
「そういうことなら気にするこったぁねぇよ!
2人ともまた会えてよかったじゃん!」
「ありがとう」
ダイキは笑うと隣にいたトロピウスの首に実っていたフルーツをもぎ取ってクウヤに渡した。
「なんだ、これ」
「食べてみなよ、今がすごくおいしいんだ。」
「どれ・・・?」
「うめぇ!」
「だろ!」
口に含むたび甘さが広がりクウヤは 無我夢中で果物を食べた。
「・・・クウヤはホウエンリーグの制覇を目指しているのか」
「そうだぜ!」
「・・・そうか・・・」
「ダイキ?」
急にダイキの顔が曇ったためクウヤは心配になり彼の顔を覗き込む。
「キミはトレーナーになれといわれてなったのか?」
「へっ?」
「オレはポケモントレーナーとして小さいころから育てられた。
でもオレ・・・本当はポケモンブリーダーになりたいんだ」
「ぶりーだー?」
「ポケモンを育てる事を専門職にする人たちのことだよ。
人にポケモン育成のアドバイスを送ったり人の変わりにポケモンの世話をすること・・・オレはそういうことの方が好きなんだ」
「じゃあなればいいじゃん」
「単純に言ってのけるねキミって・・・。
でも・・・無理だよ、親父が許してくれない」
「えっ?」
「親父はオレにトレーナーになれ、チャンピオンになれって」
ダイキは落ち込み沈む。
彼のポケモン達は主を励まそうと必死になる。
「・・・迷ってるんだ・・・。
オレは親父の言うとおりトレーナーとしてチャンピオンになるか親父を裏切ってブリーダーになるか・・・。
・・・馬鹿みたいだよな、こんな年齢になって将来について悩むなんて、さ」
「んなことねぇよ」
「?」
クウヤはモンスターボールからアーチを出す。
「オレは旅に出るまでポケモンと一緒に旅に出たいと思っていた、ポケモンと一緒にいる事すら許してもらえなかった。
でも助けてもらっちゃったけどオレはコイツとであってもう他人の言う事なんて関係ない、オレの道を行くと決めたんだ」
「えっ!」
「オレは指図されて旅に出てトレーナーになったんじゃねぇ、自分の気持ちでここまで来たんだよ」
「そうか・・・強いんだなクウヤって」
「自分の気持ちなんて、嘘つきたくねぇし、ついたことで結局何にもなんないじゃん」
「・・・」
「オレがダイキの立場なら、相手が納得させるまで何度でも説得しまくる!
強い気持ちを理解できない生き物なんていないよ!」
「いきもの・・・・か。
うん、確かにそうだな!
オレ・・・今はトレーナーでいるけど絶対ブリーダーになる、親父になんといわれても!」
「おぅ、そうしな!」
「というわけでクウヤ、ポケモンバトルしよう!
オレはパッチールで行く!」
「いいぜ、オレはアーチだ!」
全てをフッきったダイキと自分の考えを正直に彼にぶつけたクウヤの、楽しいポケモンバトルがはじまった。
「パッチール、サイケこうせん!」
「アーチ、ほのおのうず!」
・・・ありがとう、クウヤ、オレはオレの信じる道を進んでみるよ!
ここにまた一つ、友情が生まれた
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クウヤとモブトレーナーの話。