第25話:子どもの世話は大変です
カチヌキファミリーに別れを告げてクウヤは次のジムがあるフエンタウンを目指すことにしたのだった。
その途中一度立ち止まり昨日生まれたばかりの新メンバー・・・エネコの『エーネ』の特訓を始めた。
「エーネの使える技はえぇっと・・・。
『たいあたり』に『なきごえ』、『おうふくビンタ』。
・・・・・・・・」
なんか技弱くないか、と思うクウヤ。
「・・・・・・・よし、試してみっか!」
「ねぇ~~?」
まだ生まれたばかりだからしょうがないことだと自分に言い聞かせて特訓に入る。
「エーネ、お前もいつかポケモンバトルをするんだからな!
特訓して技を磨こうぜ!」
「ね?」
「ってまだわかんねぇか?
んー、よし!
ヒーン、ここにれいとうビームで塊を作ってくれ!」
「ヒィ~バッ!」
氷の塊を創り出したヒーン。
どうやらこの氷をエーネの技のターゲットにして特訓しようという作戦のようだ。
早速エーネにたいあたりを指示してエーネも彼の指示通り氷に向かって走ってぶつかる。
しかし・・・
「ねぇ」
「あれ?まだ弱いか?」
氷が動いたわけでもないのにエーネの技は跳ね返された。
続けておうふくビンタを試してはみたがそれでも弾き飛ばされてしまった。
それを見てクウヤは苦笑いしつつ言う。
「こいつのバトルデビューはまだまだ先の話ってか」
「ねぇ~~~?」
「ま、気長に頑張るっきゃねぇか」
無垢なため攻めようがない・・・。
マイペースすぎるエーネには、これからも頭を抱える事になりそうだ・・・そう思いながらクウヤは足を進めることにした。
今日は天気が良いため全員モンスターボールから出して次の町を目指していく。
「お、あれは・・・」
「しゃも」
「でっけぇなー、火山か?
煙も立ってるしきっと暑いんだろーな」
少し遠くを見れば大きい火山が見える。
フエンタウンは断崖絶壁の中にあるためハジツゲタウンのロープウェイから乗っていくのだ。
フエンに行くためには遠回りしなければならないことを知りとりあえずそのハジツゲタウンを目指すことにしたのだ。
「ハジツゲタウン・・・結構遠いなぁ」
「シャ」
「ここもだいぶ熱いし・・・ヒーンは無理しねぇでボールにはいっていなよ」
「ヒーバス」
「エーネも・・・あれ?」
気付くと5匹いる筈なのに4匹しかいない・・・いない一匹を探し辺りを見渡す一行。
ふと、クウヤの動きが止まった。
その目は大きく見開いており、冷や汗もかいている。
「エーネェェェ!!!?」
「ね?」
そう、エーネは険しい崖を登っていたのだ。
無邪気は時に恐ろしいもので、怖いものがなくどんなことにもアクティブになってしまうのだ。
さらに困った事に『無邪気』という言葉がさすように本人にはなんの悪気もないため怒れないのだ。
そのとおりにエーネはクウヤがはらはらしてるにも関わらず、どんどん高く登っていってしまっている。
「エーネ!危ないから降りてこ~~~い!!」
「ねっ、ねぇ~!」
「ああくそ、ダメだ分かってない!
アーチ、あそこまで行けるか?」
「シャモ!」
「頼む!エーネを連れ戻してくれ!」
「シャーモ!」
アーチは崖をひょいひょいと登る。
流石は格闘ポケモン、身軽で素早い。
「・・・・・」
クウヤ達が見守る中、アーチはエーネの元へ辿りつきエーネを抱えるとアーチは登ってきた時と同じようにひょいひょいと降りてきた。
着地するなりエーネを降ろすと、アーチは説教を始めた。
「シャ!シャモシャモ!シャー!」
「ねぇ~~?」
「出た、アーチの説教さんモード!
・・・・・でもな、エーネ。
オレ達本当に心配したんだぜ?」
「ねぇ~?」
「ああいうとこは危ないから1人で勝手に行かない事!
わかったか?」
「ねぇ」
「・・・・・・・・・・・・」
分かったのか?
無邪気で無垢すぎる・・・・
彼も人の事十分言えない性格なのだがそれを知ってるポケモンたちは何もツッコまなかった。
「そのうちわかることだよな、うん」
軽く頭をかくと、エーネのモンスターボールを出し戻るように指示をするが、戻らない。
「エーネ!戻れよ!」
「ピィ・・・」
光線を飛ばせばよけられる。
戻そうと光線を出すがよけられる。
それを繰り返していくうちにクウヤは段々とイライラしてきた。
当のエーネはというと・・・・
「ねぇ♪」
この状況を楽しんでしまってる。
彼らはおもちゃとして見られてるようだ。
流石にキレたのか、クウヤは周りにお構いなしでどわーっと叫ぶ。
「みんな!!!
エーネをしっかり捕まえてろ~~~!!!」
「シャ、シャモ!」
「ねぇ?」
アーチはエーネを抱きとめる。
自由が利かずに暴れるエーネに光線をあてなんとかボールに戻すことに成功した。
どっと疲れが出てきて一気に汗をかく。
「くぅー、疲れたー」
考えてみれば、エーネは生まれて日の浅い赤ちゃんポケモンだ。
子どもの世話ってこんなに大変なのか、と 全国の母親に同情しつつエーネの入ったモンスターボールを見る。
「まぁー、手間かかるし大変だけどこいつはオレがゲットしたポケモンだからなぁ・・・。
それに、バトルさせたりしてきゃ成長してまともになってくれるはずだし、おれ達で頑張って面倒見なきゃな!」
そうだよな、みんな!
クウヤの言葉に全員同意し頷く。
ポケモン達もクウヤを信頼してるからこそだろう。
この先も、彼らと共に頑張れる気がした。
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これって再掲載なのになんでこんなに遅いのやら(汗)