こうして、(ランクDの)冒険者となったジャンヌ、ゲール、バイオレット、エルダー。
「さて、わたくし達も無事に冒険者となりましたね」
「……まだなったばかりだがな」
「ちょっとー、余計な事は言わないでよ」
「ランクを上げたければ、依頼はちゃんと遂行してくださいね……」
「「「はい……」」」
ゲールに言われ、ジャンヌ達は当初の目的を思い出すのでした。
ですが実際、人間が出す依頼は、神様であるジャンヌ達にとっては非常に容易なものが多いです。
それにも関わらず、彼女達が人間と同じ目線にいるのは、
彼女達が人間から神様になったばかりだからです。
元人間の神様であっても、力をつけ、年を取るにつれて、人間らしい心が徐々に失われていきます。
神様としてはまだ若いジャンヌ達であっても、いずれは人の心が失われるかもしれません。
ジャンヌ達が下界に落ちたのも、恐らくは「人間らしく」なるためだったのでしょう。
「じゃあ、早速依頼を見ていきましょう!」
「選べるのは……Dランクの依頼だけだな」
「じゃあ、それから見てみましょう」
最初にジャンヌ達が見つけたのは、この依頼でした。
オーク退治をお願い!
難易度:★
報酬:1000ゼニー、ポーション×5
畑仕事をしようとしていたら、そこに大量のオークが現れたんです。
オークは繁殖力がとても強く、次から次へと現れていきます。
私だけではとても全滅させられないので、あなた達の力が必要なのです。
お願いします……誰か、助けてください。
「決めました! これにしましょう!」
「はい、分かりました」
こうして、ジャンヌ達は初めて、冒険者として依頼を引き受けました。
「ああ、冒険者達よ。私の依頼を引き受けてくださるのですね」
「ええ、もちろんです」
「オーク達はすぐそこに……」
依頼主が指差すと、そこには大量のオークがいました。
「うわぁ……」
オークは、一匹一匹の力は弱いながらも、
その繁殖力は凄まじく、一日で数千匹増えると言われています。
おまけに棍棒で武装している者が多いので、ゴブリンよりも厄介なモンスターとなっています。
「オマエ! ショクジノタメニ コロス!」
この片言の言葉通り、オークは雑食性で、好き嫌いがありません。
なので、退治しなければ畑は荒れ放題となるでしょう。
「食べられるのは、そっちの方ですよ!」
「……多勢に無勢にならないようにしてくださいね」
「よーし! いっくよー、お姉ちゃん!」
「最初だからといって気は抜くなよ!」
ジャンヌ達は戦闘態勢を取りました。
「よし、あと少しですね!」
ジャンヌの風、バイオレットの影、エルダーの剣により、オーク達は998匹倒れました。
「残るオークは……」
「ヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」
「オレタチダヨーン!!」
残っているオークはこの2体でした。
「コロシテモ イイカナ?」
「コワシテモ イイカナ?」
「ええい、鬱陶しい! この剣の錆となるがいい!」
その態度にイラつきながらも、エルダーは剣を抜いて残りのオーク達を切り裂きました。
これでオークは全滅しました。
「これでオーク達は全滅しましたね」
「さあ、一緒に報告しに行きましょう!」
「はい、これが報酬です」
ジャンヌ達は、マーベルから報酬の1000ゼニーと、5つのポーションを貰いました。
「まあ、初めての依頼というのだから、報酬もそれなりだな」
「少ないねぇ」
「こら!」
バイオレットの言葉を聞いたゲールは、バイオレットを軽く叩きました。
「私達は神様だけど、ここでは人間として振る舞うのです!」
「あ、ごめんなさーい」
「おい、何を言っている?」
「あ、なんでもありませんよ」
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TG第一章「冒険者編」が始まります。第一章は一話完結のものが中心になると思います。