???「先輩!!こんにちは」
???「北郷先輩!!うぃっす」
一刀「おっ!こんにちは」
道場に入ると後輩たちから挨拶を受けた。
あの別れのあと一刀は元の世界に戻ってきていた。
あれから3年…。
一刀は聖フランチェスカ学園を卒業し、地元の大学に通っていた。
こちらの世界に戻ってきてからというもの修行や勉強にあけくれている日々だった。
いつあちらの世界に戻れてもいいようにあちらで使えるような知識や技術を身につけておきたかったからだ。
もともとしていた剣道を続けているのもその一つである。
「はぁぁー…めーん!」
「どぉー!!」
道場内に気合いの入った声が響いている。
「やめ!」
指導者の合図とともに生徒達は練習を終えた。
後輩A「うぁー疲れた、あちぃー、だりぃ、あちぃー」
後輩B「おまえうるさいなぁ」
後輩A「ほんとのことなんだから仕方ないだろ」
後輩B「おまえなぁ…あの人を見習えよ」
と一刀の方に目線をやった。
後輩A「一刀さんを?いやマジで無理だろ!」
後輩B「いやまぁあの人みたいになれとは言わないけど…ただ見習えって言ったんだよ」
後輩A「でもなぁ…格が違うだろ」
後輩B「うっ・・・」
一刀はこちらに戻ってきてから剣道の大会の個人の部で圧倒的な実力で二連覇を達成し、周りから一目置かれている。
強さだけではなくその人柄の良さもあり、学園の剣道部には全国から多くの人間が集まってきている。
しかし、当たり前といえば当たり前のことだった。
あちらでは警邏隊の隊長としてその隊員と民から絶大な信頼があり、
強さに関しても一刀は乱世を生き抜き、その武将たちと手合わせをしてきたのだ。
平和な世界の剣と差が出るのは当たり前だった。
その上、ある人のもとで修行していることで以前よりも強くなっていたのだ。
一刀「ふぅ…」
同級生「ふぅ…じゃないわ!少しは手を抜けよな」
一刀「手を抜いたら練習にならないだろ」
(まぁ、あれでも手は抜いてたんだけど・・・)
同級生「いやレベルが違いすぎるのにマジでやられたら練習にすらならないんだぞ…」
一刀「いやいやそんなこ・・・」
マネージャー「北郷先輩!お疲れさまです」
と不意に声をかけられた。
一刀「んっ?あっお疲れさま」
マネージャー「どうぞ!」
そういって水分の入ったボトルを手渡された。
一刀「ありがとう」
といつものように笑顔で感謝の言葉を返すと。
マネージャーは嬉しそうにお辞儀をして他の人たちにもボトルを配りはじめた。
同級生「なぁ何でおまえだけ待遇が違うんだよ」
一刀「いや、どこがだよ」
同級生「まず、あからさまに直接渡しに来てるし、それに毎回おまえが一番最初に渡されてるんだよ!これのどこに優遇が無いっていうんだよ!」
一刀「そんなのおまえの勝手な被害妄想だろ?」
同級生「おま!!・・・あぁこれだからモテてるやつはいいよなぁ」
一刀「いやモテてないし・・・」
同級生「じゃあなんでそんなに告白されてるのかなぁ?」
一刀「それは・・・」
たしかにこっちの世界に帰ってきて女の子に何回か…いや何十回か告白はされている。俺自信は以前との違いはないと思っているのだがこの同級生や女友達いわくあの日を境にたくましく、なおかつ凛々しくなっていたらしい。
この同級生から言わせれば優しさも増したらしく勘違いをしている女が増えているんだと俺に嘆きかけてきたぐらいだ。
同級生「でもさぁ、何で誰とも付き合わないんだよ」
一刀「・・・」
同級生「いくらより取り見取りにいるからって全員ふらなくたっていいんじゃねぇのかよ」
このとき、一刀の頭には彼女達の顔がよぎっていた。
同級生「まさかもう心に決めてるやつがいるんじゃねぇのか?」
と笑いながら聞いてきた。
一刀「まぁそんなところでいいや」
同級生「なに?!どこまでも抜け目の無いやつだなお前は」
一刀「なんでそういうふうになるんだよ?俺は日々過ごしているだけで精一杯なんだよ」
同級生「うわっ!でたよ優等生発言」
一刀「おまえなぁ…よしわかった!今から一時間みっちりしごいてやるから竹刀をもて!」
同級生「!?・・・じゃあお先にあがりまーす」
と同級生は逃げていった。
一刀「ふぅ・・・ったく」
しかし、それも嘘ではなかった。あちらの世界にいついってもいいようにやらなければならないことはたくさんあった。それ以前に、こちらで彼女を作ることは彼女たちを裏切ることになると思っていたからだ。
一刀「じゃあ俺も帰るか・・・」
そういって部室を後にした。
帰り道、寮までは数分の距離なのだが一刀は決まって遠回りをして帰っていた。
その行き先は一刀にとってとても大切な場所だった。
一刀「ここに来てること、みんなに知られたら女々しいって言われそうだな。特に春蘭なんかに」
一刀が訪れている場所・・・それは川の畔。
以前、彼女たちと度々訪れていた思い出の場所に瓜二つの場所だったのだ。
一刀「ここまで似てるとどこからか季衣でも走ってきそうだよなハハッ」
一刀「・・・・・・」
一刀「絶対に戻るから・・・みんな・・・待っててくれ・・・・・・るよなきっと」
少しの不安を抱きつつも自分のこころを再認識した。
一刀「さてそろそろ時間だし戻るか」
そういってその場を去ろうとしたときだった。
???「ふっ…実にめでたいやつだな」
一刀「!?」
???「こんなところに来て毎日感傷に浸っているのだからな」
声のするほうに振り向いたがそこにはまったく見覚えのない男が立っていた。
一刀「お前は誰だ?」
相手の敵意を感じ一刀は無意識に木刀に手を掛けていた。
その行動を見た男の表情が少し曇ったように見えた。
???「ふっ・・・あの外史のときよりはましなようだな」
いい終わるといきなり男は顔、腹、足へと三段の蹴りを放ってきた。
しかし、殺意のある攻撃にひるむことなく素早く一歩後ろに引くことでその蹴りを回避した。
一刀「いきなりなんなんだよ?そもそも何の話をしてるんだよ?!」
???「本当は貴様には借りを返したいところなのだが、これも命令だから仕方がないんだが…」
一刀「ちゃんと質問に答えろよ!」
???「ふぅ・・・三国志・・・と言えばわかるか?」
男は不適な笑みをしながらいった。
一刀「なんの・・・・・・・・・!?」
???「ようやくわかったか」
一刀「な、何でおまえがそのことを知ってるんだよ?!」
???「その質問に答える義理はない」
一刀「な、何だと!」
???「もういい本題に入る。貴様にはまたあの外史に戻ってもらう」
一刀「はぁ?・・・なにを・・・」
???「あの外史自体今まで成功例はなかったからな、貴様を送り込んだことで新たな話に発展したんだが、どうにもこのままではまた以前の繰り返しになるらしい、だから上の老人たちが貴様をあの外史に戻すことを決定したんだ」
目の前の男は淡々と話を終わらせた。
一刀はほとんど内容を理解できてはいなかったが一つだけ不確かに理解ができていた。
一刀「・・・要するに俺は華琳たちのいた世界に戻れるって事か?」
???「華琳?・・・あぁ魏の王のことかまぁ簡単に言えばそういう事になるな」
そのことを聞き、喜びがあふれてきた…が不安のほうが大きかった。
???「じゃあ今すぐに連れていってやる、この鏡に触れろ、そうすればあちらに行くことができる」
一刀「・・・」
???「?何をしているさっさとしろ!!」
一刀「・・・一日だけ時間をくれないか?」
???「はぁ!?何を言っている貴様の頼みなど聞く理由は・・・」
一刀「頼む・・・」
男には一刀の弱々しい姿が目に入ってきた。
???「ちっ!いいか貴様が俺から逃げたとしてもどんなことをしてでもお前をあちらに送る!だが猶予をやる、明日同じ時間にここに来い!期限はそこまでだ、いいな!」
そういうと男はその場をあとにした。
あのあと一刀は寮へと帰宅していた。
一刀「・・・ただいま・・・」
玄関には老人が一人、一刀の帰りを待っていた。
???「今日は遅かったのぅ・・・稽古もせずに何をしていたのじゃ」
一刀「・・・ちょっとね」
???「何じゃ覇気のない!じいちゃんに言えんことでもしとったんか?!」
この人は俺の祖父であって、あちらの世界に行く前からずっと稽古に付き合ってくれていた(むしろ俺がつき合わされていた)人で、こちらの世界に戻ってきてからもずっと稽古を付けてくれいていた。
一刀「いや、何もしてないけど」
祖父「じゃあ言ってみぃ」
一刀「・・・じゃあまず俺のいうことに横槍を入れずに聞いてくれよな」
祖父「うっ・・・わかったわ」
一刀「(本当かな・・・)・・・ふぅ・・・じいちゃんには話してなかったけど、俺は二年前にちょっとした理由であえなくなっていた人たちがいるんだよ。その人たちは強くて、綺麗で俺なんかよりもずっと輝いている人たちだった。それが、突然、その人たちに会えるかもしれないって言われたんだ。会えるんだって思ったとき、嬉しさで心が一杯になったんだけど、なんだか不安も出てきて・・・」
祖父「・・・」
一刀「あの人たちは、この2年間で絶対にもっとすごくなってる!!俺よりも絶対に努力をしているし、苦労もしているはずなんだ。そんな人たちに・・・彼女たちに・・・俺が胸を張って会えるのかって思ったらなんだか怖くなってきて、自信がなくなってきたんだ。今までやってきたことが本当に意味のあることだったのかって思えてきて。ハハッ情けないよ」
帰ってきてからの2年間ではじめて一刀が見せた弱気な姿だった。
祖父「・・・・・・」
一刀「・・・・・・」
少しの沈黙のあとにその空気を一喝したのは祖父の声だった。
祖父「・・・こ・・の・・」
一刀「んっ?」
祖父「馬鹿もんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
ドンッ!!
頬を思い切り殴られ、鈍い音とともに後方に吹っ飛んでいた。
一刀「くっ、な、何すんだよ!!」
祖父「この馬鹿ものがぁ!!」
一刀「!?」
祖父「怖くなっただと?自信がなくなっただと?ふざけるのも大概にせい!!お前がどんな心持ちでその子たちを想っとるのかは知らんが、相手の器量を勝手にお前が決めるな!!」
一刀「き、きりょ・・う」
祖父「そうじゃ!お前がそれほど認めている相手がおまえ自身の成果と成長をみて馬鹿にでもするのか?お前の成長のなさを見て嫌いにでもなるのか?軽蔑でもするのか?」
その言葉に一刀は何も言い返すことができなかった。
祖父「違うじゃろうが!!そんなに小さな器ではなかろうが!!そこまでお前が信頼している子たちをおまえ自身が疑ってどうするのじゃ!?自分のしてきた努力を卑下するのはお前の問題じゃからな、まだいいとして、その子たちの器量をお前が勝手に決めるでない!!」
一刀「・・・」
祖父「その子達が大切ならばお前が信じてやらねばならぬのではないか?それに、お前がしてきたことは無駄なことではなかった。あのときから、誰かのために努力をしてきたお前を笑うやつがいるわけがなかろう。もっと自信を持て!なんといってもわしの孫なのじゃからな!!わっはっはっはっ」
先ほどまでとは違い、祖父は優しい顔になっていた。
一刀「・・・ふっ・・ったく、慰めてもらおうとした俺が馬鹿だったよ」
そこには先ほどまでの暗い顔はなく、いつもの一刀の顔に戻っていた。
一刀「そうだな、あいつらがそんなちっちゃな器の持ち主なわけないからな。
・・・ありがと、じいちゃん。なんか吹っ切れたよ」
祖父「ふっ、ようやくわかったかこの未熟者が。そんなんだからわしに一回も勝てんのじゃぞ」
一刀「なっ!?くそっ、じいちゃんが強すぎるんだよ。これでも国内では敵になる奴なんかいないってのに(ていうか剣技でだったらこの世界自体にもいない自信はあるのに)なんで勝てないのかがわかんないよ」
祖父「ハッハッハッハッハッハッ」
と豪快に笑い飛ばされた。
一刀「まぁいいや、じいちゃんそろそろ寝るわ。明日もあるし」
祖父「うむ、ではまたな」
一刀「うん、おやすみ」
そういって一刀は明日のことを考えながら、寝床につくのであった。
翌日、
約束の時間が近づいていた。
一刀「さてと、行くか」
手にはそれほど大きくないリュックを持って約束の場所へ向かおうとしていた。
祖父「一刀よ」
一刀「んっ?」
足を進めようとした瞬間に祖父から声をかけられた。
祖父「ゆくのか」
一刀「・・・うん」
祖父が何を想ってそう聞いてきたのかはわからなかったけど一刀は嘘は言わなかった。
祖父「そうか・・・しっかりとやってくるんじゃぞ」
一刀「・・・うん」
祖父「大丈夫じゃ、なにせお前はわしの孫じゃからの!!わっはっはっはっはっ!!」
一刀「何だよそれ意味わかんないよ
・・・・・・じいちゃん」
祖父「何じゃ?」
一刀「ありがとう(今まで・・・)」
そういって一刀は今までの感謝をこめて頭を下げた。
祖父「・・・そうか・・・ではいってこい!」
一刀「うん!じゃあ行ってきます」
目的地に振り向いた一刀は振り返ることなく寮から去っていった。
自分の人生の師でもあり家族でもありライバルでもあった祖父に別れを告げて・・・。
・ ・ ・ 雑 談 ・ ・ ・
ここまで読んでいただいた方ありがとうございます。
はじめまして、恋姫は発売してから半年後ぐらいに真・恋姫は発売日にプレイしたharutoです。
まだ、話が始まったばかりなのでどうでしたかなんて聞けないのですが、
はっきり言ってお話をしっかりと書くこと自体は初めてなのでかなり文とか内容とかが心配です(・_・;。
ていうか皆さんの作品はすごいですよね。
構成とかしっかりしているし、オリジナルのキャラとかいるし、
ほかの方の話を見ると(すげぇー・・)と思ふばかりです。
私の話はさておき、ようやくあちらに戻る決心になった一刀なのですが、
あの???は誰なのでしょうね。
わかっている方も多いとおもわれますが。
このあとももうちょっと???で引っ張ります。
今後、出てくるキャラは極力、性格を変えないように、そしてそのキャラにあった言動や行動をさせていく気なのですが私の力量が及ばずあれ?とおもわれるところが出てくるかもしれません。
そこは、やさしさとアドバイスをお頼み申す!!。
あと、キャラの名前を考えるのが苦手なので途中、同級生とかそんな名詞で通してしまいました(笑
それではまた次のお話でお会いしましょう (・ω・)ノシ
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はじめましてharutoと申します
初投稿ですのでかなりのダメッぷりですが温かい目でお読みください
追記(7/16):設定を2年後から3年後に変えました