No.840256

ALO~妖精郷の黄昏・UW決戦編~ 第38‐0話 プロローグ

本郷 刃さん

どうもお久しぶりでございます。
本日より新編のUW決戦編を投稿いたします。
では、どうぞ・・・。

2016-04-01 15:00:35 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:7134   閲覧ユーザー数:6587

 

 

 

第38‐0話 プロローグ

 

 

 

 

 

 

 

和人Side

 

警報音と機械の稼働音、モニターの画面が次々と変わり、キーボードを叩く音が忙しなく鳴り響くサブコントロールルーム。

RATH(ラース)のスタッフ達も駆けまわり、何処か遠いエリアでは銃撃音らしき物さえ聞こえてくる。

そんな中で俺は必死になってキーボードを叩き、凛子さんとタケル、ユイに遅れないようにしている。

とはいえ、俺に出来ているのはサポートが主であり、かといって手も抜けないほどに切羽詰まった状態だ。

 

「相手さんも中々、だけどキリト君のカウンタープログラムのお蔭で優勢ッス」

「それに私と比嘉君、キリト君とユイちゃんの4人だものね」

「パパとママの為にも頑張ります!」

 

正直、俺要らないんじゃないかと思うんだが、まぁ必要とされているのは嬉しいか。

 

「菊岡、相手が何者か分かったか?」

「まだ正確に判明できていないのが現状というところだね。

 ただ、敵と交戦した隊員の中で相手の会話を聞いた者がいた、英語が使われていたらしい。

 そして装備も、米軍仕様の物ということが分かっている。だけど…」

「正規の部隊じゃない、ってところか。

 相手部隊との交戦を再度行うとしても、援軍の到達までに状況をより良くしておかないといけないな」

 

スタッフと配備されていた自衛隊を総動員しての防衛網と情報網の再構築、現在戦闘中のエリアでの撤退戦。

それらのサポートを行っていたのがほとんどの工程を終え、防衛網と情報網は再構築が完了、

交戦していた部隊も残すは殿(しんがり)だけであり、相手の隔離ももう少しで完了する。

けれど、全ての工程を終えた後は状況を整えることが必要だ。

 

「相手の狙いはなんだと思う?」

「キリト君も予想は付いているだろう? まぁ、十中八九『ソウル・トランスレーター(STL)』と『A.L.I.C.E』だね。

 STLは何かしらの機械で運び出すにしても、もう一方は…」

「奴らの居る場所はSTLの1号機と2号機、そしてメインコントロールルームだ。だとすれば、奴らはそれを利用するに違いない」

「なるほどね。では、いまの状況だとどんな感じかな?」

 

菊岡が尋ねたことにはタケルが笑みを浮かべて応え、そのままなにかしらのキーを押したのだろう。

いままでメインコントロールルームの制御がほぼ相手方にあったのが一気にこちら側のものになり、

相手が扱える分はほとんどなくなった。

 

「これでこの施設の情報制御は完全にこっちのものッス」

「隊員の人達も撤退しきれたようよ。あとはこちらの援軍が来るのを待つだけね」

 

確かにこれで状況はこちらの優勢で確定しただろうし、援軍が来るまで持ち堪えることは可能なはず。

しかし、どうにも嫌な感じがする、その感覚に従って俺はキーボードを叩く指の速度を落とさずに調べていく。

 

「パパ、どうかしましたか?」

「ああ、少しな。気のせいならそれでいいが、取り返しのつかないことになるなら念には念を入れて、な」

 

全ての情報網やシステム、防衛網や戦闘状況のチェックを済ませていく。

その時、俺はメインコントロールルームの相手側の制御下にあるシステムや2台のSTLを思い出した。

仮に相手が一定の機材を持ち込んでいたとしたら…!

 

「凛子さん、タケル! 相手側のシステムとSTL、それに必要な機材があれば奴らは…!」

「っ、不味いッス!? キリト君の考えが正しければ、アイツら1号機と2号機で…!」

アンダー・ワールド(UW)にダイブするわね…!」

「そうやって『A.L.I.C.E』を奪取、あるいは破壊するつもりか!」

 

すぐに気付いてくれたタケルと凛子さんも再び手を動かし、菊岡もそれを悟った。だが、既に奴らは動いているだろうな。

 

「駄目です、パパ! 間に合いません!」

「ギリギリで掻い潜られたッス!」

「STL、1号機と2号機のコントロールが奪われました! メインコントロールルームのシステムの一部より、ダイブが実行されました!

 このままではフラクトライト・アクセラレーション(FLA)倍率も上げられてしまいます!」

「1人はスペシャルアカウント『ベクタ』でダイブした模様! ダイブ位置はダークテリトリーです!」

 

ユイとタケルの言葉の直後、女性スタッフの悲鳴混じりの報告が上げられた。

このまま何もせずに倍率を上げられたら向こう(UW)と連絡が取れなくなる、ならその前にやれることがまだある!

 

「菊岡、UWに連絡を取りたい! アクセスポイントは俺が連絡を取った場所でいい!」

「すぐに繋げ! 比嘉博士と神代博士はキリト君の話が終わるまでの時間稼ぎを!」

 

スタッフ達が急ぎ、凛子さんとタケル、それにユイが時間稼ぎのために行動してくれている。

そして、アクセスポイントと連絡が繋がり、彼女の声が聞こえてきた。

みんなに応えるためにも可能な限り伝えなければ。

 

 

 

 

「聞こえるか、リセリス!」

『キリトか、一体どうした?』

「時間が無い、一度しか言わないからよく聞いてくれ」

『なにやらきな臭いことのようじゃな、話してくれ』

 

俺の切羽詰まった様子を察してくれたようでリセリスことカーディナルは名前の呼び方にも敢えて何も言わず、聞く姿勢を取ってくれた。

 

「現在、俺達の居る場所が何者かからの襲撃を受けている。

 幸いにも防衛態勢と情報態勢は整えることができたが、敵のダイブを許してしまった。

 しかも1人に関してはベクタ神としてダークテリトリーにダイブしたことから、敵と認識してもらって構わない。

 奴らの狙いはアリス・ツーベルクだ、アリスを守れ。

 奴らはダークテリトリーの総力を以てして戦争を仕掛ける可能性も高い。

 整合騎士と人界の総力で戦え、俺もできる可能な限り早くそちらに援軍に行く。

 それと、敵に先制攻撃として最高位の神聖術でもぶつけてやれば、時間稼ぎにでもなるさ」

『襲撃とアカウントによるダイブ、狙いはアリスで戦争か……随分と忙しないが、全力を尽くすとしよう。

 しかし、整合騎士を含めても人界の総力ではダーク・テリトリーの総力には敵わん。

 加えて、ユージオとアリスの2人は故郷に帰っておる』

「ルーリッドか、なんとも間が悪いし場所が悪いな。

 とにかく、2人のことを頼む。FLA倍率がそろそろ上がり、連絡が取れなくなる」

『任せよ。この魂に変えても、2人のことは守ってみせる。こちらも待っておるぞ』

 

カーディナルが言い終わった直後、ノイズが奔りそのまま連絡が途切れた。

 

「FLA倍率が上がり、通信が行えなくなりました…」

「十分です。ありがとうございます」

 

男性スタッフが申し訳なさそうに報告してきたが俺にとってはむしろかなり頑張ってもらったほうだと思う。

カーディナルに伝えるべきことは伝えたし、あとはあちらと俺達の頑張り次第だ。

 

「キリト君、本気でUWに行くつもりなのかい? それがどれほど危険な行動かは君自身が一番分かっているだろう?」

「言っただろう、菊岡? 俺の友とその大切な存在に手を出すというのなら、俺は容赦はしない。

 俺の持てる力と人脈を駆使して奴らに地獄を見せてやる。それに、どのみち行くのは俺一人じゃないだろうし」

「勿論、わたしも同行させてもらうよ。キミが行くところがわたしの行くべき場所だもの」

 

止めても無駄だぞ、という意思を込めて菊岡を見れば、溜息を吐き呆れた表情を浮かべた。

 

「本当なら僕の権限を以て止めるべきなんだろうけど、あちらをどうにかしないといけないのも事実だ。

 2人の身体は絶対に守ろう。みんなも責任は全て私が取るから、どうか2人に力を貸してあげてほしい」

「モチッスよ、菊さん! 僕が相手のFLA倍率を下げてみせるッス」

「それなら私は2人のダイブ時のバックアップをやらせてもらうわね」

「では、わたしはパパ達の指示に従えるようUWとの通信アクセスを行えるようにします」

「菊岡二等陸佐! 私が2人の体調管理を行わせていただきます!」

「では、自分には護衛を任せてください!」

「任せる、安岐二等陸曹。中西一等海尉、それには私も同行する」

 

それぞれが自分達の行うべきこと、出来ることを行い始めていく。

 

俺と明日奈、菊岡と安岐さんと中西さんで急ぎ3号機と4号機の許へ向かい、室内に入り俺と明日奈は2台のSTLのベッドに横たわる。

俺の方は菊岡が、明日奈の方は安岐さんが手伝い、ダイブの準備を終える。

 

『こちらサブコントロールルーム! SLA倍率、間もなく通常値に戻せるッス!

 バックアップ準備も完了、通信アクセス準備も整ったッス!』

 

タケルの報告が行われ、間もなくSTLが起動される。

ここまで準備が整うのに数十分は経っている、現在のSLA倍率は相当高いからUWとの時差もかなり出ているだろう。

頼むから保っていてくれよ…。

 

『フルダイブ準備完了! これよりフルダイブを開始するッス! 2人共、OKならいつもの掛け声を!』

「「リンク、スタート!」」

 

待っていろよ、ユージオ、アリス!

 

キリトSide Out

 

 

 

その頃、とある街道を馬車に乗り、先へ進む2人が居た。

 

「ん、いま何か聞こえなかったかい?」

「ユージオも? わたしも誰かに呼ばれたような気がしたのだけど…」

 

1人はUWでキリトの幼馴染であり親友でもあるユージオ、もう1人も幼馴染であり女性のアリス。

2人はふと、何かを感じ取ったようだ。

 

「(アリスも、ということはもしかしてキリト? だとしたら、何かが起こる前兆なのか?)」

 

キリトの影響を最も濃く受けたユージオはいまの感覚が気のせいではなく、意味のあるものだと考えた。

それが友に関係しているだろうことも含めて。

 

「ま、いまは(・・・)大丈夫だと思うよ。それより、この道は覚えてるかな?」

「ええ、覚えているわ。本当にすぐ近くなのね…」

 

ユージオの問いかけに少しだけ表情に翳りを見せたアリスだが、ユージオは手綱を持つ左手とは逆の右手でアリスの手を握った。

 

「大丈夫だよ、アリス。セルカもガスフトさんもリアッカさんもキミの帰りを待っている。なにより、僕はアリスの傍に居るからね」

「ユージオ…うん、ありがとう///」

「どういたしまして。あ、ほらアリス、ルーリッドの村が見えたよ」

 

そこでユージオが村の存在に気付き、アリスもそちらを見た。

先程までは表情に翳りがあったが、長年離れて忘れてしまっていた懐かしい故郷の姿に思わず目に涙が浮かんでくる。

馬車はゆっくりと2人の故郷に進んでいく。

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

あとがき

 

皆様、正月の挨拶以来ですね、改めましてお久しぶりでございます。

 

本日より新編の投稿開始となり、復帰させていただきことになりました。

 

エイプリルフールだから嘘だと思った? 本当でした(ドヤァッ)

 

黄昏編で明らかにしていなかったUW編の決戦にあたります、すぐに戦いにはなりませんがそこそこ続きます。

 

一部の設定をこのシリーズオリジナルとし、加えて展開などもかなり変えていきますのでご理解をば。

 

この話だけで既にアリスの母の名前をオリジナルにしていますからね。

 

次の投稿は3日の日曜日としてそれ以降は基本毎週日曜日の投稿、早ければそれ以内に投稿します。

 

それでは次回の投稿をお楽しみに、ではまた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

企画開始!

 

UW決戦に伴い、本シリーズ最後の読者参加型企画を行います。

 

アバター名・性別・ゲームタイトル(SAO・ALO・GGOのどれか1つ)・容姿(可能な範囲)・武装(武器や銃器の種類・外見・能力等)、

またゲームタイトルがSAOならばソードスキル系統等を、ALOならば魔法やOSS、GGOならばスキル等を記入してください。

バトルスタイル等詳細に書いていただければより活躍する姿が見れるかも…。

キャラの性格なども書いていただければセリフも書きやすいです。

アバターは各2人までになります、ただ2人の場合は大変(自分が)ですのでご理解くださいねw

 

コメ欄、ショートメール、メッセージ等でお送りください、

メッセージではユーザー名を明かしていないと判断できないのでなるべく明かしてください。

 

みなさんのご応募をお待ちしています、なお期限は自分が「ここまで」と言った投稿時ですので一時は大丈夫です。

 

 

 

 


 
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