No.838774

Triangle Goddess! 第3話「下界に落ちた三女神」

Nobuさん

この物語は、人間キャラには必ず名字をつけ、神キャラには必ず名字をつけません。区別のためにそうするのです。

2016-03-23 20:22:37 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:337   閲覧ユーザー数:337

「あいたたたたたた……」

「あ……あれ……? 確か、あの黒い空間に吸い込まれたはずじゃ……」

「お、お姉ちゃん……ちょ、ちょっと……降りて……」

 ジャンヌが下を見ると、彼女の下にゲールが、

 ゲールの下にバイオレットが、といったお山状態になっていました。

 三姉妹は、どうやらある建物の中に落ちてしまったようです。

「あ、す、すみません!」

「うーん……一体、何があったんですか」

 お山状態から解放されたゲールは、まず、上にある窓を見ました。

 すると、そこからは光が差し込めていました。

 どうやら、時刻は朝になっているようです。

「ああ、どうしましょう……」

「姉さん、早くここから逃げましょう!」

「そうですね!」

 三姉妹は慌てて走り出しました。

 しかし、建物から出た後に広がっていた光景に、三姉妹は止まりました。

 

「こ、これは……!?」

「神界ではない……!?」

 その光景は、三姉妹が見慣れた、神界のそれではありませんでした。

 空も大地も、見慣れた神界と比べて美しくなく、しかも、剣を持った人が魔物と戦ってもいました。

「い、一体何が起こっているのでしょうか?」

 ゲールは大急ぎで剣を持った人のところに向かいました。

 ジャンヌとバイオレットは急いで彼女を追って走りました。

 

「はあ、はあ、まだ、減らないのか?」

 どうやら、剣を持った人は男性のようです。

 魔物と戦い続けた事により、身体も心も、ボロボロになっているようです。

 そんな人を、ゲールは放っておけなかったのでしょう。

「すぐに癒します!」

「あ、ああ、頼む……」

「癒しの光よ、彼の者に活力を与えたまえ……ヒールライト!」

 ゲールが呪文を唱えると、男性の傷が瞬く間に癒えました。

 見習いとはいえ、ゲールは神であるため、その回復魔法の回復量は人間のそれを遥かに上回ります。

 そのため、彼女にとっては「この程度の傷」は簡単に完治させる事ができるのです。

「傷が完治した……。お前は何者だ?」

「まずはお礼だけ言ってください」

「ありがとう、この恩は忘れない。では、俺は戦いを続ける」

「待ちなさい! またボロボロになってもいいのですか?」

「……」

 ゲールの言葉により、男性は手を止めました。

 

「ゲール!」

「お姉ちゃん!」

 そこに、ゲールの姉ジャンヌと妹バイオレットが現れました。

「一体どうしたのですか!」

「この人、ずっと魔物と戦い続けていたんで、かなり怪我をしていたようです。

 怪我は私が治しましたが……このままでは危険だと判断いたしまして」

「ゲール! 魔物が大量にいる中で暢気に話すのはさらに危険です!

 まずは、魔物のいないところに行きましょう!」

「そうですわね! ほら、行きますよ!」

「……あ、ああ」

 三姉妹と男性は、急いで魔物のいないところに行きました。

 

「なるほど……あなたは両親を、魔物に殺されてしまったのですね」

「ああ……その復讐のために、俺は魔物と戦い続けているんだ」

「そういえば、あなたの名前を聞いてなかったわ。なんて言うの?」

「俺の名はエルダー・ハンヌだ」

 男性はエルダー・ハンヌと名乗りました。

「あ、わ、わたくしはジーン・ウィンと申します」

「その妹のゲルダ・ウィンです」

「さらに妹のヴィア・ウィンだよ!」

 三姉妹は咄嗟に偽名を名乗りました。

 神様だとばれてしまえば、大変な事になるからです。

「ああ。よろしくな、ジーン、ゲルダ、ヴィア」

「「「はい!」」」

 

 これが、人間の剣士と、見習い三女神の、初めての出会いとなりました。


 
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