No.833861

九番目の熾天使・外伝 ~改~ 適当にやったら書けた短編part3

竜神丸さん

okakaさんが更新中の『Secret Mission』にこっそり挟み込んでみようと思い更新しました。
時系列はその10~その11の間です。

2016-02-27 23:49:01 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3927   閲覧ユーザー数:1016

ドライブの世界、2015年8月5日…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『シャアッ!!』

 

午後21時の夜。台東区久留間氏の街中を、一体の怪物が翼を大きく広げて飛翔していた。怪物の名はロイミュード011。彼(?)は自身のコピー元になり得るような人間を探し出すべく、街中のあちこちを飛び回っている最中だったのだが…

 

-ズキュウンッ!!-

 

『ヌォ…!?』

 

そんなロイミュード011に、突如謎の銃撃が襲い掛かった。直撃は免れたロイミュード011だったが、今の銃撃で彼の翼が片方撃ち抜かれてしまった為、彼(?)は止むを得ず近くの建物の屋上に着地する。

 

(今の銃撃、仮面ライダーか!? ドライブか、マッハか、それとも死神か…!?)

 

しかし、それらの予想は全て外れた。カツン…カツン…という足音と共に、闇夜から現れたその存在は、ロイミュード011を大いに驚愕させる事となった。

 

『ば、馬鹿な……お前は…!?』

 

黒いスーツに青色のラインが描かれた、シックな色合いのボディ。ワイヤーフレームのような形状をした、両肩の装甲。胸部に装着された、蛍光イエローの模様が入ったタイヤ型パーツ。青い複眼を有した頭部。そして腹部に装着されている、仮面ライダードライブの物と同じ形状をしたベルト―――ドライブドライバー。

 

≪……≫

 

仮面ライダーダークドライブ。それこそが、ロイミュード011の前に現れた戦士の名称だった。見た事の無い仮面ライダーと対峙したロイミュード011が驚きの感情を隠せないでいる中、ダークドライブはロイミュード011を見つめ、くぐもった声で淡々と告げ始める。

 

≪ロイミュード011を発見。これより、任務を遂行する…≫

 

『…チィッ!! 何のつもりかは知らねぇが!!』

 

ダークドライブが右手に持っていた長剣型武器―――ブレードガンナーを構えるのを見て、ロイミュード011は殺気を感じ取ったのかすぐさま後退し、両手指から弾丸を放つ。しかしそれを予見してしたダークドライブは弾丸をブレードガンナーの刀身で全て防ぎ切った後、左手に持っていた一つのバットバイラルコアを掲げる。

 

≪Start our mission…≫

 

その言葉と共に、ダークドライブの投げたバットバイラルコアがロイミュード011の体内へと投入される。その途端、ロイミュード011のボディに異変が起こり始める。

 

『!? 何を……ア、ァガッ!? ガ……キキキィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!!!』

 

ロイミュード011はそのボディが巨大化していき、蝙蝠と自動車が合わさったような怪物―――巨大バット型ロイミュードとして覚醒。この時点でロイミュード011の自我は完全に消滅し、ダークドライブは指を鳴らして巨大バット型ロイミュードを従えてみせる。

 

『キキィ…!!』

 

≪一つ目の任務は達成。これより、次の段階の準備を整える…≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ふむ、この場所での映像はここまでですか」

 

2015年8月8日以降、台東区久留間市のとある建物。その屋上にて、過去視(サイコメトリー)の能力で過去の映像を見据えていた竜神丸は、そこから入手出来た情報を自身のタブレットに記録として残していた。そして彼は建物から飛び降り、人気の無い路地に着地してから歩き始める。

 

「この場でロイミュード011はバイラルコアを投入され、ダークドライブの支配下に置かれた。そしてこの世界の2015年8月6日に事件を起こさせ、仮面ライダードライブ―――泊進ノ介が全国指名手配者に指定される原因を作らせた……ま、ひとまずはこんなところですかねぇ」

 

この時、竜神丸はokakaやロキ達の任務に同行する形で、このドライブの世界にやって来ていた。彼がokaka逹の任務に同行する事を了承したのには、3つの理由があった。

 

1つ目、財団Xに流出していたというネオバイラルコアを回収する為。

 

2つ目、自身が所有しているドラゴンフルーツエナジーロックシードの実戦調整の為。

 

そして3つ目……このドライブの世界で歴史改変が発生する原因を作った戦士―――ダークドライブについて、一通り調査をする為だ。

 

今回の任務について、竜神丸が重点を置いているのは3つ目の目的だった。上記2つの目的も当然ながら重要な事ではあるが、ネオバイラルコアについては既に世紀の大怪盗―――アルティメット・ルパンから受け取った後で、ドラゴンフルーツエナジーロックシードの実戦調整については何時でも出来るのも事実。よって彼は3つ目の目的である、ダークドライブについての調査を優先して進めていたのである。

 

「持ち主が直接変身せずとも、遠隔操作で自立稼働が可能な未来のライダーシステム……実に興味深い。出来る事なら未来型ロイミュードのコアになっていたという未来型シフトカーについても回収したかったところですが……これについてはまぁ良いでしょう。どうせokakaさんがデータを貰っている頃でしょうし」

 

 

 

 

 

 

遠隔操作によって、装着者がおらずともスーツのみの状態で自立稼働が出来るライダーシステム……それが仮面ライダーダークドライブ。

 

ダークドライブの本来の装着者で、泊進ノ介の未来の息子でもある青年―――泊エイジは未来の時間軸において、ロイミュード108の襲撃を受けて死亡。ダークドライブのライダーシステムと、エイジが父親の形見として所有していたボロボロの赤いネクタイを奪い取った後、ロイミュード108は泊エイジ(以下、偽エイジ)の姿に擬態した。

 

その後、偽エイジはダークドライブの専用マシン―――ネクストライドロンと、未来の時間軸で完成していたというタイムロードを用いて2015年8月5日の昼の時間帯に到着。そして自立稼働しているダークドライブは敢えて2015年8月5日の夜の時間帯に到着させる事で「未来の歴史を変えようとしている泊エイジを、ダークドライブが未来からの暗殺者として追跡して来た」というシチュエーションを整えた。要するに自作自演だ。

 

そして2015年8月6日にてベルトさんは、ロイミュードの生みの親―――蛮野天十郎によって埋め込まれた悪性プログラムが原因で暴走。その所為で仮面ライダードライブは巨大バット型ロイミュード(011)を倒す際に意図せず大きな被害を出してしまい、警察から追われる身となってしまう。その後、偽エイジの罠に嵌められた進ノ介は覚悟を決め、暴走し続けるベルトさんを破壊。そこで偽エイジは進ノ介達の前で本性を現して「過去と未来の自分を融合させる事で超絶進化を果たし、永遠のグローバルフリーズを起こして世界を支配する」という目的を果たすべく、更に計画を進めていく。

 

しかしこの時、ロイミュード108の計画にはいくつかの誤算が生じた。

 

1つ目の誤算は、本来の歴史ではこのまま進ノ介を逮捕する筈だった警察官達が、未来型ロイミュードに苦戦していた進ノ介を援護し始めた事(実はこの時、謎の亡霊らしき仮面ライダーも目撃されていたようだが)。

 

2つ目の誤算は、役目を果たして放棄されたダークドライブのドライブドライバーに、進ノ介がトライドロンキーに内蔵されていたバックアップを移し替えてベルトさんを復活させた事。

 

そして3つ目の誤算は、ダークドライブの変身に必要なアイテムのシフトネクストスペシャルを用いて、進ノ介が仮面ライダードライブ・タイプスペシャルに変身した事。

 

結果、ロイミュード108は超絶進化態の力を持ってしても仮面ライダードライブには敵わず、その身を滅ぼされる末路を辿っていくのであった。

 

以上が、okaka逹が任務で訪れる前、ドライブの世界で起こっていた事件の真相である。

 

 

 

 

 

 

「まぁ本当に、狡賢いロイミュードだったようですねぇ。最も、そうなった原因はロイミュードの中でナンバーが一番低かったからなんでしょうけど」

 

といっても、竜神丸からすればドライブの世界で起こった事件の内容など大して重要ではない。彼が何よりも注目しているのは、その泊エイジとロイミュード108が変身したダークドライブの方だ。

 

「装着者がおらずとも、遠隔操作で自立稼働が出来るライダーシステム……量産化に成功すれば、下された命令を冷徹にこなし、死をも恐れない強力な兵士達が誕生する。我々旅団にとって優秀な戦力になり得る以上、okakaさんとて首を横に振るような事はしないでしょう……クックック」

 

ダークドライブの量産化。それが竜神丸の狙いの一つだった。人類の為を思ってコア・ドライビアを発明した科学者―――クリム・スタインベルトがそれを聞いたら、確実に複雑な思い抱く事になるだろう。もちろん、竜神丸からすればそんな事は到底知った事ではない。

 

「…ですが、そうなると問題が一つ残りますね」

 

それでも、竜神丸はとある可能性を懸念していた。

 

(ロイミュード108が過去の時間軸に干渉した事で、この世界における“本来の歴史”と“本来の歴史”はそれぞれ異なるパラレルワールドとして確立される結果となった。つまり、我々が警戒している()もまた、同じような状況に至っている可能性があるという事…)

 

「厄介な物ですねぇ、歴史というのは……まぁそれはさておき」

 

竜神丸は足元に置いていたスーツケースを開き、中に収納されているネオバイラルコアのパーツを見据えながら小さく笑みを浮かべる。

 

「早いところ、私のゲネシスドライバーにもコア・ドライビアを搭載しなければなりませんねぇ……っと」

 

竜神丸の表情から笑みが消え、彼はスーツケースを閉じる。そして近くに立っている電柱を見据える。

 

「何の用ですかねぇ、こんな私に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやおや、やっぱり気付いていたようだね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電柱の陰から現れたのは、白スーツに白帽子、サングラスなどを常備したヤクザ風の男だった。男が見せるただならぬ気配から、竜神丸はその男の正体を容易に察してみせる。

 

「…ふむ、ロイミュードですか」

 

「ふ~ん…そんな事まで分かるとは、一体何者なのかな? 君は」

 

ヤクザ風の男―――006は姿が変化し、ロイミュード006としての姿を露わにする。といっても正体を見せたのは一瞬だけで、すぐにヤクザ風の男(以下006)の姿に戻ってしまったが。

 

「私が何者なのか、それをあなたが知る必要は無いでしょう?」

 

「ロイミュードの存在を知っている時点で、私達が君を見過ごしてくれると思っているのかな?」

 

「…ですよねぇ。あなた方からすれば、私という存在は決して無視出来るような存在ではない」

 

「108が起こした事件の事は、ハートから聞いているからね。ダークドライブ……だったかな? 君が何故それについて知ろうとしているのか理由は知らないけれど……簡単には帰らせられないねぇ」

 

「「「フッ!!」」」

 

「!」

 

006が指を鳴らした瞬間、彼の部下と思われる3体の下級ロイミュードが何処からか出現し、竜神丸の周囲を取り囲んで来た。それぞれ058、063、079のナンバーを持った下級ロイミュード逹が竜神丸を睨みつけている中でも、竜神丸は未だ余裕そうな表情を崩さない。

 

「…これはまた、随分と警戒されてしまっているようで」

 

「ヌゥッ!?」

 

「変身」

 

≪HENSHIN≫

 

ロイミュード058が竜神丸に殴りかかろうとした瞬間、何処からかピョンピョン跳んで来たホッパーゼクターがロイミュード058のパンチを弾き、竜神丸の右手に収まった。竜神丸はそのまま、いつの間にか装着していた腰のライダーベルトにホッパーゼクターをセットし、仮面ライダーキックホッパーへの変身を完了する。

 

「クロックアップ」

 

≪CLOCK UP≫

 

「「「フンッ!!」」」

 

キックホッパーがクロックアップを発動するのと、下級ロイミュード逹が一斉に重加速を発生させるのはほぼ同じタイミングだった。すると何という事だろう。重加速が発生して周囲の時間が遅くなっている中、キックホッパーは特に何ともない様子で自由に動けているではないか。

 

「「「!?」」」

 

「! …へぇ、君も重加速に対応出来るのかい?」

 

「一種の賭けみたいな物ですけどね。一応、賭けに勝つ事は出来たようで」

 

マスクドライダーシステムが有するクロックアップは、タキオン粒子の効果で速い時間の流れを自在に行動可能になる特殊な移動方法であり、そこらの高速移動系の能力とは似ているようで実は違う。それ故、ロイミュードが発動する重加速とぶつかった事で互いの能力が相殺され、キックホッパーは重加速が発生している中でも問題なく活動が出来ている訳なのだ。

 

「なるほど、実に面白いねぇ……ホォワァ!!」

 

「おっと…!!」

 

キックホッパーが発動したクロックアップに興味を抱いたのか、006は帽子とサングラスを外した後、キックホッパー目掛けて素早い蹴りを繰り出して来た。キックホッパーがそれを防御した後も、006は素早い動きで強力な攻撃を繰り出し、キックホッパーに反撃の隙をまるで与えない。

 

「なるほど、お強いですね…!!」

 

「お褒め頂き光栄だよ……ホォォォォォォォワァッ!!」

 

「ッ…!!」

 

006の繰り出した掌底が命中し、キックホッパーを大きく後退させる。そこに下級ロイミュード逹が次々と襲い掛かり、キックホッパーは両足を使って何とか攻撃を防ぎ続ける。

 

(性能の高いキックホッパーでも、流石にこの状況はキツいですね……短期決戦と行きますか…!!)

 

「デヤァ!!」

 

「くっ!?」

 

ロイミュード079のパンチを受け、キックホッパーが地面を大きく転がされる。そして一気に畳みかけようと考えたロイミュード063が跳びかかったその時、キックホッパーはホッパーゼクターを操作し…

 

≪RIDER JUMP≫

 

「ふっ!!」

 

「!? ヌグァァァァァァッ!?」

 

「「グォウ!?」」

 

左足にタキオン粒子を収束させたまま、跳びかかって来たロイミュード063を思いきり吹っ飛ばした。蹴り飛ばされたロイミュード063が他の2体を巻き込む形で倒れる中、起き上がったキックホッパーは再度ホッパーゼクターを操作し…

 

「ライダーキック」

 

≪RIDER KICK≫

 

「「「グォワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!?」」」

 

タキオン粒子が収束した左足で後ろ回し蹴りを繰り出し、下級ロイミュード逹に炸裂させた。下級ロイミュード逹は一斉に爆散し、その爆風の中から出て来た3体のコアはそのまま何処かに飛んで行く形で逃げ去って行くのだった。

 

「…ありゃ、逃げられちゃいましたか」

 

≪CLOCK OVER≫

 

クロックアップと同じタイミングで重加速の効果も切れたのか、周囲の時間も通常の速さに戻っていた。いつの間にか006の姿も消えていた為、キックホッパーは変身を解除して竜神丸の姿に戻る。

 

「やれやれ、余計な時間を喰いました……今の重加速については、okakaさんの方に説明して適当に誤魔化しましょうかね」

 

okaka逹からしつこく事情聴取される光景が目に浮かび、竜神丸は面倒臭そうな表情でネオバイラルコアの入ったスーツケースを拾い上げ、すぐに楽園(エデン)へと転移するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ふむ、少しばかり彼の事を侮ってしまっていたかな…?)

 

竜神丸が去った後。コアだけの姿になってしまった058、063、079を連れながら、006は竜神丸が変身したキックホッパーについて様々な考察をしていた。

 

「重加速にも対応出来るほどの能力、実に興味深い能力だけど……まぁ今は、蛮野天十郎を見つける事を優先しないとねぇ」

 

自分が超進化態に到達する為にも、今は自分のやるべき事をやるとしよう。そう考えた006は不敵な笑みを浮かべながら、蛮野天十郎の捜索を優先するべく姿を消すのだった。

 

数日後、自身に散々な未来が待っている事も知らないまま…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――1日が経過。okakaの子供達の滞在可能期間は、残り2日―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

END

 


 
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