No.829257

英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク 改訂版

soranoさん

第18話

2016-02-07 18:35:09 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:758   閲覧ユーザー数:702

 

 

特務兵や王国軍の手から逃れる為にラッセル博士とティータを連れてリベール内に潜伏するアガットと別れたエステルとヨシュアはラッセル博士の依頼――――アリシア女王に事の経緯を説明する依頼を受けた。

 

そしてキリカから推薦状をもらった二人はまずは王都グランセルに向かい、受付のエルナンにラッセル博士の依頼の件を説明し、何とかアリシア女王に会えるかどうかを尋ねたが、テロ対策の為に厳重になっている城には遊撃士協会の紹介状も意味を為さない事を知り、城に何とか潜入する方法を考える為に遊撃士の紋章を隠して旅行者を装って城門を守っている兵士達から色々な情報を手に入れて話合っているところ執事であるフィリップを連れた女王の代理をしているアリシア女王の甥のデュナン公爵が城から出て来て、武術大会を行っている王立競技場(グランアリーナ)に観戦に行った。

 

大会にはジンやバダック等今まで出会った遊撃士達が参加しており、更に大会の形式は前年と違い、チーム戦になっており、ジンとバダックはそれぞれ一人で出場していた。

 

予選が終わるとデュナン公爵の突然の提案――――優勝者にはグランセル城で行われる宮中晩餐会に参加できる招待状が送られる事を宣言し、城に潜入する好機と感じた二人は当初参加している遊撃士達―――クルツ達にラッセル博士の依頼の件を頼もうとしたが、エステル達が頼む前にクルツ達がふと呟いた提案――――ジンかバダックに加勢して、大会に参加するという提案を聞いた二人はひとまずジンとバダックのどちらかに加勢する事に決めた。

 

そして最初にバダックを見つけ、武術大会での加勢を申し出たがバダックは自分よりジンに加勢すべきだと言って二人の提案を断り、ジンを探して自分達が加勢する事を申し出るとジンは喜んで二人の加勢を認めた。

 

更にはジンと武術大会の残りのメンバーの件で話し合っていた際に現れたボースで出会った旅の演奏家のエレボニア帝国出身の旅行者―――オリビエ・レンハイムの申し出によってオリビエも加える事にして本戦に参加した。

 

試合はかつて自分達が対峙した空族や情報部の特務兵まで参戦しているという驚きの展開もあったが、空族達は特務兵達との戦いで一回戦で敗退して再び牢屋に向かう事になり、エステル達は順調に勝ち進んで、ついには準決勝を勝ち抜いて控室に戻ってくると次の試合の組み合わせが発表された。

 

~王都グランセル・グランアリーナ~

 

――――続きまして、第6試合のカードを発表させていただきます。南、蒼の組――――遊撃士協会所属。バダック選手以下一名のチーム!北、紅の組――――王国軍情報部、特務部隊所属。ロランス少尉以下4名のチーム!

 

「―――俺の番か。」

自分の名が出ると壁にもたれかかっていたバダックは壁に立てかけていた大鎌を軽々と持った。

「バダックさん、頑張って!」

「フッ、決勝戦で会える事、女神(エイドス)に祈っているよ。」

「ハハ、旦那なら余裕で勝てると思うぜ。決勝戦で手合せ出来る事、楽しみに待っていますぜ。」

エステルや金髪の白いコートを身に纏った青年――――オリビエ・レンハイム、ジンと共にそれぞれ応援の言葉をかけ

「敵の隊長にさえ気をつければバダックさんなら一人でも勝てると思います。彼さえ自由にさせなかったら勝機は必ずあると思います。」

ヨシュアは真剣な表情で忠告した。

「助言、感謝する。――――”獅子王”の恐ろしさ、とくと見せてやろう。」

そしてバダックは静かな笑みを浮かべてアリーナに向かい、かつてアガットとルークが戦った赤いヘルムを被る特務兵の隊長――――ロランス少尉率いる特務兵達と対峙した。

 

(カルバード共和国の正遊撃士にしてかの”風の剣聖”や”剣聖”と並ぶ”最強の遊撃士”である”獅子王”………さすがは一人で本戦を勝ち抜いているだけはあるな。)

(だが、敵は一人。俺達特務兵にかかれば、大した事のない相手だ。)

(まあ、一回戦で戦った空族共よりは楽しませてもらえそうだな。)

バダックと対峙した特務兵達はそれぞれ不敵な笑みを浮かべて小声で相談し合っていたが

「フッ、雑魚がよく吠える。」

「なっ!?」

「ざ、雑魚!?」

「我ら誇り高き特務兵を愚弄するか……!?」

口元に笑みを浮かべたバダックの言葉を聞き、怒りの表情でバダックを睨んだ。

 

「フフ、さすがはかの”獅子王”。”闘神”や”猟兵王”クラスと称えられている貴方とは個人的に手合せを願いたかったですが……まさか、こんな形で手合せができるとは。」

一方ロランス少尉はバダックの挑発に一切乗らず、静かな笑みを浮かべてバダックを見つめ

「……………なるほどな。あの小僧が警戒するだけあって、それなりの実力はあるようだな。」

バダックはロランス少尉をジッと見つめた後静かな口調で呟いた。

「これより武術大会、第6試合を行います。両チーム、開始位置についてください。」

審判の言葉に反応するかのように両チームはそれぞれ戦闘配置につき

「双方、構え!」

審判の言葉に続くように双方はそれぞれ武器を構えた。

「勝負始め!」

そして審判の言葉を合図にバダックとロランス少尉達は試合を始めた!

 

「まずは包囲しろ。」

「ハッ!!」

ロランス少尉の指示によって特務兵達はバダックを包囲し

「突撃!」

正面から剣を構えて突撃するロランス少尉と共に一斉にバダックに突撃した。

「粋護陣!!」

ロランス少尉達の武器がバダックに届こうとしたその時、バダックは闘気による結界を展開して攻撃を防いだ!

「!!」

「なっ!?」

攻撃を受け止められたロランス少尉達が驚いた瞬間、バダックは大鎌に闘気による炎を纏わせながら薙ぎ払った!

 

「火竜爪!!」

「!!」

「ぐあああああああっ!?」

咄嗟の判断で後ろに跳躍して回避したロランス少尉を除き、残りの特務兵達は業火を宿した大鎌によって腹が切り裂かれて悲鳴を上げた。その時バダックは続けて大鎌を薙ぎ払って特務兵達の傷口をさらに広げて地面に叩きつけた!

「大地よ、吼えろ!地龍吼破!!」

大鎌が地面に叩きつけられると地面から岩石が噴き上がり

「ががっ!?」

「ぐぎゃっ!?」

「があっ!?」

噴き上がる岩石に呑みこまれた特務兵達は全身から大量の血を出しながら地面に叩きつけられ身体をピクピクさせ

「ば、馬鹿な……」

「選り抜きの特務部隊を代表する我らが……」

「い、一撃も浴びせる事もできずに……………………」

やがて体の動きを止めて気絶した!

 

「ほう。今のを躱すか。」

「やれやれ……まさかこれほどまでの”化物”とは。どうやら噂以上のようだな。これは本気でかからなければこちらが危ないな。」

目の前の強敵の存在に不敵な笑みを浮かべたロランス少尉は残像を残しながら大鎌を振りかぶり、次の攻撃の動作を開始しているバダックに詰め寄り旋風の如く、剣で斬り付けた!

「旋風斬!!」

「魔王炎撃波!!」

ロランス少尉が放った風を纏った剣はバダックが同時に放った業火を宿した大鎌の炎を一瞬で吹き飛ばしてバダックと鍔迫り合いの状態になった。

「―――破砕剣。ハァァァァ……!!」

ロランス少尉は目にも見えないスピードで次々と斬撃を繰り出し

「オォォォォォォォ……ッ!!」

バダックは吠えながら大鎌を軽々と振り回して繰り出される斬撃を捌いていた。

「ハアッ!!」

連続攻撃を終えたロランス少尉は空高くへと跳躍した。すると落下のスピードによって威力が増した一撃がバダックを襲ったが

「獅子戦吼!!」

「!?ガッ!?」

バダックが放った獅子の姿をした闘気が落下して来るロランス少尉を襲い、ロランス少尉は強烈な一撃を受けた!

 

「そこだぁっ!!」

その隙を逃さないかのようにバダックは大鎌で袈裟斬りに放ったが

「!!」

ロランス少尉は素早く後ろに跳躍して回避し、剣に闘気を込め込んだ。すると闘気によって発生した竜巻がロランス少尉が構える剣に纏い

「フンッ!!」

ロランス少尉は剣を振るって竜巻をバダックに放った!

「雷光よ貫け、紫光雷牙閃!!」

しかしその時バダックが大鎌を振るうと雷のエネルギーが一直線に向かってロランス少尉が放った技――――零ストームによる竜巻を貫いてロランス少尉を襲い

「何ッ!?」

自分が放った技を貫かれ、驚いたロランス少尉は咄嗟に側面に跳躍して回避に成功した。

 

「出でよ、我が幻影。」

そして回避に成功したロランス少尉は自分の分け身を一体作ってバダックを挟み込み

「せいっ!!」

同時に残像を残しながら斬撃を繰り出した!

「フンッ!!」

対するバダックは攻撃が届く瞬間、大鎌を大きく振るって分け身と同時に襲い掛かって来るロランス少尉の武器を跳ね返し、跳ね返された二人は再びバダックから距離を取り、バダックは油断なく周囲を見回して警戒していた。

「覇道………!」

そしてバダックは溜めの動作で大鎌に膨大な闘気を溜め込み

「滅封!!」

極太のエネルギーを一体のロランス少尉に放った!

「!!」

襲い掛かるエネルギーを見た一体のロランス少尉は側面に大きく跳躍して回避し

「………!」

残りの一体のロランス少尉はバダックの背後から剣で斬りかかった。しかしその時バダックが振り向いてなんと剛腕で斬りかかったロランス少尉の首筋を掴んだ!

「なっ!?」

「フッ、捕えたぞ。炎牙爆砕吼!!」

掴み取られたロランス少尉が驚いた瞬間、バダックは掴んだ手に膨大な闘気を爆発させた。すると闘気による業火の爆発がロランス少尉を襲った!

「があああああああああああああああああっ!?」

爆炎に呑みこまれたロランス少尉が全身を焼き尽くされたその時、残りの一体のロランス少尉は消滅し、掴み取ったロランス少尉を地面に叩きつけたバダックは大鎌に膨大な闘気を溜め込み

「獅吼!」

連続で獅子の形をした闘気のエネルギーを繰り出し

「爆砕陣!!」

最後に一際大きい獅子のエネルギーをロランス少尉に叩きつけ、強烈な一撃によってロランス少尉はアリーナの壁まで吹っ飛ばされたが空中で受け身を取って着地した!

 

「グッ!?まさかこれほどまでとは……!」

重傷を負っているロランス少尉は身体全体から伝わる痛みに表情を歪めながら闘気を溜め込んだ剣を地面に突き立てた。

「燃え盛る業火であろうと砕き散らすのみ……はあああああああっ!!」

「ムッ!?」

闘気によって発生した冷気によってバダックの身体は凍結し始めて身体の動きを止め

「絶!!」

「ガッ!?」

ロランス少尉が地面に突き立てた剣に闘気を再び込めると強烈な一撃がバダックを襲った!

「グッ!?フフ、油断してしまったな。これでは俺も奴を逃がしたあの小僧と同類だな。」

強烈な一撃を受けたにも関わらずバダックは表情を僅かに歪めた程度で苦笑いをしながらロランス少尉を見つめ

「アレをまともに受けて平気とは……フッ、とんでもない化物だ。」

自分にとって最強の奥義にして絶技――――冥皇剣をまともに受けたにも関わらず、平気でいるバダックを見たロランス少尉は驚いた後静かな笑みを浮かべた。

 

「ロランスとやら。”獅子王”を本気にさせた事、光栄に思うがいい。先程の技を見せてくれた礼に”獅子王”の”本気”を見せてやろう。」

そしてバダックが不敵な笑みを浮かべながら全身から膨大な闘気を解放し、解放された闘気によって周囲に衝撃波を発生させ

「……!」

闘気を解放するバダックを見たロランス少尉は剣を構えて膨大な闘気を練った。するとロランス少尉からも闘気によって衝撃波が発生した。

「”獅子王”の真髄、知るがいいっ!オォォォォォォォ――――――――ッ!!」

「―――鬼炎斬!!」

吠えながら突撃するバダックにロランス少尉は剣を振るって膨大な闘気が込められた炎の斬撃波を放ったが

「ぬるいわぁっ!!」

「なっ!?」

突撃するバダックは斬撃波が自分に命中する瞬間大鎌を一振りして斬撃波を真っ二つにして跳躍し

「―――秘奥義!獅子王………」

大鎌に大型の獅子の顔をした闘気を溜め込み

「滅砕!!」

「がああああああああああああああああああっ!?」

獅子の姿をした闘気を纏った大鎌をロランス少尉の足元に叩きつけた。するとまるで獅子が吠えるかのような咆哮がロランス少尉の悲鳴を呑みこみながらアリーナ全体に響き渡ると共に巨大な獅子の顔が天へと上がると共に天をも貫く衝撃波の柱が発生した!そして衝撃波の柱が消えるとそこには満身創痍で意識を失っているロランス少尉が地面に倒れていた!

 

「しょ、勝負あり!蒼の組、バダック選手の勝ち!救急班、搬送を!!」

そして勝者を宣言した審判が叫ぶと救急部隊が担架で地面に倒れているロランス少尉達を運び、バダックは控室に戻って行った。

 

~控室~

 

「な、何あれっ!?」

「凄い………あの特務兵達相手にたった一人で終始ほぼ一方的な戦いだ………」

「いや~、参ったねえ………明日はあんなとんでもない御仁を相手にしないと駄目なのか。」

「さすがはバダックの旦那だな。」

試合の様子を控室から見ていたエステル達はそれぞれ驚きや感心した様子で見つめていた。そこにバダックが控室に入って来た。

 

「バダックさん、決勝進出おめでとう!」

「おめでとうございます。さすが”獅子王”ですね。」

「お見事ですぜ、旦那。」

「フフ、さすがカルバード最強の遊撃士だね。」

「フッ、決勝戦ではお前達がどれほどできるのか楽しみにしているぞ。」

エステル達が決勝進出の祝福の言葉を贈っている中、バダックは静かな笑みを浮かべてエステル達から去って行った。

 

そして翌日、決勝戦の日となり、エステル達はアリーナでバダックと対峙していた。

 

~グランアリーナ~

 

「えへへ、バダックさん、今日はよろしくお願いします!バダックさんが凄い強いのは知っているけど、あたし達だって今までの旅や戦いで成長したんだから!勝つ気で行かせてもらうわよ!」

「胸を貸していただきます。」

「『獅子王』に俺の泰斗の拳がどこまで通じるか……試させてもらいやすぜ。」

「フッ、まとめてかかって来い。『獅子王』の力、とくと見せてやろう。」

エステル達の言葉を聞いたバダックは口元に笑みを浮かべて答え

「片や、”最強”と称される超べテランブレイサー。片や、注目の新人コンビと武術家ブレイサーと天才演奏家との混合チーム。フフ、決勝戦に相応しい組み合わせだね。」

オリビエは静かな笑みを浮かべて言った。

「これより武術大会、決勝戦を行います。双方、開始位置についてください。」

審判の言葉に頷いた両チームは開始位置につき

「双方、構え!」

審判の言葉に続くように双方はそれぞれ武器を構えた。

「女神もご照覧あれ………勝負始め!」

そしてエステル達とバダックは決勝戦を開始した!

 

 

 


 
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