第8話~迷子ポケモン・ナックラー
トウカの森を抜け野宿したクウヤは早起きし引き続きカナズミシティを目指して旅を続けていた。
今彼がいるのは104番道路、この道路を進んだ先にカナズミシティはある。
クウヤはその情報を信じて歩き続ける。
「カナズミのジムってどんなとこかな。
あのおっちゃんは水ポケモンを使ってたはず・・・」
ジムリーダーはその街の実力者でありそれぞれ得意なタイプのポケモンを使ってくる。
彼の知るジムリーダーは水タイプの使い手。
カナズミのジムリーダーは何タイプを得意としてるのだろうか。
しかし、誰が相手であろうと負ける気はしない。
「ジムを目指してレッツゴーゴー!」
ごぞぞ・・・
「ん?」
突然、地面が盛り上がりそこからポケモンが出てきた。
その大きな頭と口を持った土色のポケモンに図鑑を向けて確認する。
「ナックラーっていうのか・・・」
「ぴっかぁ」
「なんでここに出てきたんだ・・・迷子か?」
「ナ・・・ナ・・・ナクゥ?」
「あ・・・」
偶然にもナックラーと目があってしまった。
「よ、よぅ」
「ナックゥウゥ!!」
「ぐっぷぁ!?」
クウヤ(人間)に驚きナックラーは思いっきり体当たりをぶちかまし、クウヤはそれをもろにくらい、後に倒れた。
それにより彼の(元々丈夫でない)堪忍袋が切れた。
「なにしやがるんだよ!」
「ナグゥーー」
警戒するナックラーに対しクウヤは側にいたピーカで迎え打つことにした。
「ピーカ、でんこうせっか!!」
「ぴっかぁ!」
「ナクゥ!?」
ナックラーはピーカの攻撃を真っ向から受けとめ力ずくで跳ね除けた。
「うっは、強ぇーなこいつ」
「ピーカ」
「こうしちゃいらんねぇ!
ピーカ、もう一度・・・」
「ナックゥゥ!」
「うわぁっ!!」
突然砂嵐が巻き起こりクウヤは軽く吹っ飛ばされる。
頭から思いっきり砂を被りナックラーが顔を覗かせていたトコを覗きながらクウヤは唖然としている。
どうやらあのナックラーは砂嵐にまぎれて穴を掘り逃げてしまったようだ。
「ナンデオレダケコンナメニ」
「ぴっか」
体についた砂を大きく動いて振り払う。
「・・・は!こうしていられねぇ!」
「ピーカ、ピカチュウー?」
「あいつケッコーやるじゃん!
気に入った! ゲットして仲間にしようぜ!」
「ぴか・・・」
どうしてそういう発想に転んだのか・・・ピーカは呆れた目でクウヤを見ていた。
#
「ナックラー、どこいったんだぁ~?」
「ぴぃーかぁ~」
「・・・あー、くっそぉーーー!
どうすりゃいいんだよぉ~~~!」
「ぴ・・・ピカァ!」
「うん?」
ピーカにいわれて彼が指さす方向には地面から出てきたナックラーがそこにいた。
「ナク?」
「いたぁー!
よぅし、今度こそゲットだぜ!」
ナックラーを発見し早速ゲットしようとバトルを挑むクウヤ。
しかし、ゲットしようという気持ちが強すぎてそっちに全て向いてしまったためある根本的なことには気付いていなかった。
「ピーカ、でんじは!」
「ピッカァ!」
「・・・・・・・・・ナク?」
「あれ・・・?」
そう。
地面タイプのナックラーには ピーカの電気技は効かないということに。
しかしそんな失敗にもクウヤはめげない。
「電気がきかないならこれでどうだ!
いけ、でんこうせっか!」
「ピィッカ!」
「ナグッ」
「よっしゃ!」
でんこうせっかが命中したものの
すぐに反撃の体当たりを受けて軽く吹っ飛ぶ。
再びでんこうせっかを指示して反撃という力同士のぶつかり合い。
単純なそれは両者の体力を削っていった。
タイミングを見計らいクウヤはモンスターボールをナックラーに投げつける。
モンスターボールは、ナックラーを入れると激しく揺れ始めた。
「頼むぞモンスターボール!」
「ぴぃ」
しばらく見守っているとしぃん・・・とモンスターボールは静かにとまった。
クウヤは喜び叫ぶ。
「やったぁ!ナックラーをゲットしたぞ!」
「ぴっぴかちゅう!」
「今日からこいつは『ナーク』だ!」
「ぴかっ」
喜び合うクウヤとピーカ。
ピーカの時は事情があったが今回は共に力をあわせてのゲットであるため喜びは大きかった。
「これからもよろしくな!」
モンスターボールに向けてクウヤは笑顔でそう言った。
ピーカを戻し2つのボールを腰のボールベルトに装着すると先へ進むためまた歩み始める。
「ポケモンをゲットしてあんなに喜ぶなんて・・・あの子は新人なのか?」
クウヤは気付いてないがその様子を見ている者がいた。
黒いロングコートに茶色の長い髪、赤い切れ長の目を持つ長身の男性だ。
足元にはイーブイにそっくりな水色のポケモンもいる。
「あんなに純粋なトレーナーは久し振りだな」
「グーレィ」
「俺達も、あれくらい純粋だったよなぁ・・・」
「グレイ?」
そうだっけ、とでも言いたいかのように水色のポケモン・・・グレイシアがジト目で男をみる。
なんだよとツッコミを入れながらも再びクウヤが去っていった方向を見つめる。
「彼は俺よりもあいつに似ている。不思議な子だな・・・。
父さんがいうにはリクガも旅に出たらしいしさらにはトウカジムのセンリさんの所の娘さんも・・・。
こりゃ、今後がすごく楽しみだな」
ははは、と明るく笑うと男は次の目的地へ向かうためにボールからボーマンダを出して上空へ飛び去っていった。
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もうポケモンの出現場所についてはつっこまない方針で!