No.82070

悪ノ召使≪終わり≫

柊 ハクさん

悪ノ召使のラストです。

リンの身代わりになるレン…
それは双子故の運命だったのです。
避けることの出来ない、悲劇的な運命…

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2009-07-02 00:37:33 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:924   閲覧ユーザー数:849

「王女!!覚悟!!」

 

 

赤の娘と青の王子がやってきた。

 

 

「まぁ、お客様ですか?」

 

 

赤の娘が僕を鋭い眼差しで睨んだ。

 

 

「ふざけるな!!この悪魔が!!」

 

 

赤の娘は剣を取り出した。

 

……。

よかった。リンにこんな場面を見せたくはない。

 

 

「何しに来たのですか?紅茶でも入れましょうか?」

 

「何しに来ただと…?お前を捕まえに来たんだ!!」

 

 

青の王子が僕の目の前まで来た。

 

 

「よくもミクを…」

 

 

青の王子は目に一杯涙を貯めている。

僕が緑のあの子を殺してしまったからだろう…。

 

この人と緑のあの子は恋人同士だった。

……。

胸が苦しくなる。

 

「お前も殺してやる!!」と言って青の王子は僕の腕を掴んだ。

 

 

「このッ無礼者!!」

 

 

抵抗しようとしたが青の王子の力は強く、僕は抵抗する事が出来なかった。

 

 

「黙れ!!」

 

 

青の王子は僕の両手を紐で結んだ。

 

…………

………

 

僕の目の前には何千人という国民がまるで何かを楽しみに待っているかのようにザワついていた。

 

 

「これから公開処刑を行う!!」

 

 

横にいる赤の娘が国民に向けて叫んだ。

僕が死ぬ事で多くの人が救われる。

だったら、死んでもいい…。

 

今日が僕の最後か…。

リン、無事に逃げ出せたかな…。

 

 

「レーン!!」

 

 

微かにリンの声が聞こえた。

全体を見回すとそこには涙を流すリンがいた。

 

よかった。ちゃんと逃げ出せていたんだ…。

 

僕は微笑みながら言った。

 

 

「あら、おやつの時間だわ…。」

 

さよなら、リン…。

 

「レェェェェン!!」

 

 

一つの華が枯れ、周りの花達がきらきらと輝きだした。

しかしその中で一つ、雨の雫を流す華がいた。

その華は今も雫を流し、咲き続けている。

まるで枯れ果てた華を求めるかのように…


 
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