No.818702 IS ゲッター継ぐ者剣聖龍・零さん 2015-12-13 19:42:35 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1032 閲覧ユーザー数:1025 |
「てな訳で、こちらかんちゃんだよ〜」
「だから本名で言いなさいよ……」
「更識簪、です。よろしく……」
食堂で本音に紹介される簪。相変わらずマイペースなので、改めて自分で簪は名乗った。
「そうか。よろしくな、更識」
「同じ代表候補生同士、仲良く致しましょう」
「う、うん」
簪は日本の代表候補生。ただ諸事情で機体は調整が済んでいないのだという。
箒やセシリアに優しく迎えられ、椅子に座り直す簪。
「じゃあ……いただきます」
手を合わせ昼飯のカツ丼を食し始めるは光牙。簪の紹介を含めたこの昼食、メンバーは光牙に本音、簪、相川、谷本、箒、セシリアだ。
「では、機体の調整はご自分で?」
「うん。……なんでも、あまり時間がないんだって言ってて」
「大変ですわね」
「しかし、一年生で自らのISを調整するとはな」
「かんちゃんは整備科志望だから〜」
「すごーい! ねえ更識さん、今度ISについて教えてよ」
「あ、私もー!」
「え、う、うん……」
マイペースは本音とそれに釣られる周囲に少し戸惑う簪。
「あぐあぐあぐ……」
「って光牙、お前は食ってばかりか!」
「ふも?」
どこぞの最強着ぐるみみたいな声を出す光牙。お茶で口の中のものを流し込むと、プハーッ! と一息。
「いやお腹空いてまして。皆でご飯食べるんでしょう?」
「いやそうだけどね……」
もちろん食うだけの昼飯ではないのだが、この世間知らずゲッターバカはよく分からない。……悲しきかな。
「しかし、あの熟女使いの生徒会長に妹が……」
「う……」
「熟女違うって!!」
スパタァーン!!
「ふぇんり!?」
ここでポロっとだした熟女ワード。するとどういう訳か光牙の背後に楯無が出現し、扇子で一閃!
閉じられた状態なので地味に痛いヤツ。
「光牙君、わざと言ってるわよね……?」
「意味的には間違ってないないッス」
「違うから「会長、勝手に抜け出さないで下さい」ぎゃん!?」
その楯無の背後に現れる眼鏡をかけた女子『布広虚』。副会長で本音の姉でもある。
「皆様失礼しました。どうぞお食事を続けて下さい」
「あ〜私も〜!」
「会長は書類を整理して下さい。未処理がまだ666枚貯まってますので」
「溜めすぎ……」
「イヤーー! 仕事イヤァァァァ!!」
某悪魔の着メロが発せられる中、連行されていく楯無。うん、自業自得。
それらを見て、簪は信じられないものを見た気分になり、光牙へと問うた。
「滝沢君……いつもあんな感じなの?」
「? そうだけど」
「迷惑、じゃないの……?」
「そりゃあんな感じだからたまに鬱陶しいと思うよ」
(((サラッと言った!?)))
「だから逆にやるのさ。ああいうのは放っておいたらズカズカ来るからねー。ズバズバ言ってやるのさ」
「鬼畜かお前は……」
「自分、ひねくれを通り越してねじれてますから」
キリッと言うが全く威張れない内容である。
「ぷっ……面白い。滝沢君」
そんな光牙に、簪も小さく噴き出してしまう。
「だってあの人……お姉ちゃんをあんな風にする人なんて見たことないから」
「更識、お前……」
皆の前だからか。言い方を言い直したのに箒は思うものがあった。
何かあった、と考える。
「……成る程」
そしてそれは、光牙もだった。
「……嫌だよね。優秀な奴を兄弟に持つと」
「えっ?」
「む……?」
「いえ。なんでもナッシング」
これはドレッシング、と和風ドレッシングのボトルを取りながらボケて話を逸らす光牙。
「もー、なにそれ滝沢君」
「ダジャレじゃーん」
「ハハハ、面白いだろう?」
笑ってはいるが、箒と簪は光牙の呟きを聞いていた。
そんな二人には、光牙の笑いが作っている様に見えていた。
「お、なんか賑やかだと思った、光牙じゃねーか」
「おひさーッス」
そこに新たな人物現る。以前、光牙が一度ずつ戦った相手であった。
金髪で長身、アメリカ代表候補生、三年三組の『ダリル・ケイシー』。青みがかった黒髪で猫背、〜ッスが語尾のギリシャ代表候補生、二年一組『フォルテ・サファイア』。
それぞれ専用機持ちで、学園でも最強コンビと名高い。
その二人に光牙はギリギリで勝っていたが、それはダリルとフォルテが手加減してくれたからだと思っていた。
光牙が一通り説明すると、ダリル、フォルテも昼食に加わる。
「こ、光牙さん! サファイア先輩とケイシー先輩とお知り合いだったのですか!」
「いや、一度戦っただけど……どしたの?」
「どうしたもありません! 三年のダリル・ケイシー先輩、二年のフォルテ・サファイア先輩……お二人のコンビはIS学園で最強とされ、鉄壁と攻撃のコンビネーション『イージス』は、一種の芸術と言われる程の実力者でしてよ!」
「なんか照れ臭いッスね〜」
「よく知ってんなぁ、お前」
「わわわ私、セシリア、オオオオルコットとももも申します。よろしくお願いしますっ!」
「噛んでる噛んでる」
ツッコミを入れる光牙だが、超有名人を前にしたら誰だって緊張するのと同じだ。
「イギリスの代表候補生だろ。名前は聞いてる。ま、頑張れよ一年生」
「は、はいっ!」
ダリルに背中を押されるセシリア。ぽーっと頬が赤くなってて、それに光牙は……。
「セシリアさん、熱でもあるの? 顔真っ赤ですよ」
「違いますっ!」
「えぇ?」
バカだコイツ。
真面目に聞いた光牙は何故怒られたか分からないのだが、それにダリルはニヤッと口を吊り上げ、光牙に組み付いた。
「おい光牙よぉ。代表候補生を呼び捨てか。ん、なんだ? 彼女かオイ」
「か、彼女ッ!?」
「えっ……」
「なぬ?」
『な ん だ と』←ここにいない約一名
「ち、違いますよぉ……」
「ほほーぅ? にしては随分と仲良いみたいッスけど」
ダリルの発言にセシリア、簪、箒、あと約一名が反応し、フォルテは2828。他の皆も目が離せない感じだ。
「ぶっ……。ただ名前で呼んで、なんでそこまでいじるんですか」
「お前分かってねえな。いいか、男と女が名前で呼び会うのは仲良いって言うんだ。異性方向に捉えれても不思議じゃない」
『ほほぅ……』
「いや異性って。極端ですよそんなん」
「む……」「むぅ」「ぬぐ……」
「簪さんだって名前で呼びますけどそれは分ける為ですし、箒さんやセシリアさんも普通に呼んでるだけですから。そうですよね?」
「知りませんわっ」
プイッ、とそっぽを向くセシリア。
「右に同じく」
眼鏡を反射させながら俯く簪。
「以下同文」
目を逸らす箒。
「……あれ? なんで怒ってるんですか」
「光牙、お前バカッスね」
「バカだなお前」
「「「……うん。確かに」」」
「えぇー!?」
どうやら某主人公の因子もこの世界に入り込んでた様だ。
流石IS主人公。
「誉めてないよね!?」
そうですか、何か?
「なんなんだよぉ! 誰か説明してくれよぉー!!」
その叫びに答える者は……いなかった。
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第十六話です。
2016.06.18、修正して別の話になりました。