~第一紀 混沌の時代~
神々の時代より遥か昔、混沌に包まれた宇宙。
そこには、宇宙意思アルクディーヌのみが存在していた。
アルクディーヌは無限の混沌より生まれた「始祖の巨人」であり、
永遠の寿命と、全知全能の知性を誇っていた。
しかし、アルクディーヌは混沌を永遠に生きる事に倦み疲れ、
ある日、自らをその強大な力により滅してしまう。
アルクディーヌの肉や血から大地や海、空などが創造され、
その後、自らの身体の一部から六柱の神々が生み出された。
右手からは光と秩序を司るソルクシス、左手からは闇と混沌を司るデルブレウ、
右足からは幸運と商業を司るアヴァンド、左足からは炎と戦を司るゴルバス、
胴体からは大地と豊穣を司るイーファ、頭からは風と知恵を司るエヌオーンが生まれた。
その後も、彼らから数々の小神や従神が生まれた。
神々は、まず世界に散らばっている混沌に「マナ」と呼ばれる種を撒いた。
こうして誕生したのが、精霊達の住む最もマナの濃い世界、精霊界である。
次に、神々は光と闇の聖地として「神界」と「魔界」、自らが住まう「神界」を誕生させた。
天界には「光の民」と呼ばれる神族が、魔界には「闇の民」と呼ばれる魔族が創造された。
次に、神々は調和のための世界として「妖精界」を創った。
この世界には「妖精」と呼ばれる生命、フェイ族が誕生した。
最後に、生命が活動する地として、物質界が創られた。
この世界には動物や植物、そして巨人族が生まれた。
巨人族は神々が最も優れた種族として創造したため、
強い肉体と美しい容姿、そして高い知性を持っていた。
そして巨人族もまた神々、特にソルクシスを愛するようになった。
神々に創造されたこの世界は「アルカディア」と呼ばれるようになった。
それから300年後、地上ではアルクディーヌの一部から「ドラゴン」と呼ばれる生命が生まれた。
ドラゴンは極めて強靭な肉体を持ち、巨大な翼で空を駆け、口からは熱き火を吹いた。
ドラゴンの中でも特に高い能力を持つ火竜帝ルビーノ、水竜帝アクマリナ、
風竜帝オパリー、地竜帝トパジオ、光竜帝ディアマンテ、闇竜帝アメティスタ、
聖竜帝レアラクス、海竜帝フェリスズ、冥竜帝バラタール、
邪竜帝ジエルヴォは「十竜帝」と呼ばれ、神のように崇められるのだった。
~第二紀 古の時代~
物質界では、神々がそこを繁栄させるため、様々な生命を創造した。
光の神ソルクシスは世界をその剣で守るため、優れた身体能力を持つハイランダー族を創造した。
豊穣の女神イーファは自然をその手で守るため、優れた精神力を持つユニス族を創造した。
戦の神ゴルバスはいつか来る大戦に備えるため、優れた運動能力を持つ獣人族を創造した。
商業の神アヴァンドは交流を深めるため、優れた魅力を持つセイレーン族を創造した。
探究の神エヌオーンは情報を集めるため、優れた敏捷性を持つ鳥人族を創造した。
しかしそれだけでは足りなかったため、神々は妖精界から、
エルフ族、小人族、木精族、氷精族ら「妖精」を召喚した。
そんな中、闇の神デルブレウは、光の神々を真似て生命を創造しようとした。
だが、自分の力だけでは生命を創造する事はできなかったため、
地上にある「泥」に、草や水などを混ぜ、それに命を吹き込んだ。
しかし、生まれてきたものは、愚かでひ弱な生物だった。
デルブレウの創造したものは「人間」と呼ばれた。
それからしばらくの間、各種族は平和に暮らしていた。
最も優れた巨人族は、信仰心も強く、ソルクシスを最も信仰していた。
ソルクシスもまた、巨人族を愛し、守り育んでいた。
だが、デルブレウは対立する神、ソルクシスが愛する巨人族を妬んでいて、
そのため、自身を筆頭とした「闇の神」は、巨人族をたびたび攻撃していた。
巨人族は闇の神に立ち向かったが、神との力の差は大きく、
ほとんどの巨人族は闇の神の前に力尽きてしまった。
そこでソルクシスを筆頭とした「光の神」は、巨人族を守るために戦った。
どちらにも味方をしなかった神々は「中立神」と呼ばれた。
500年続いた神々の戦いは終わった。
神々の肉体は滅び去り、魂のみとなって神界へ去っていった。
中立神も、ネウトラーレ大陸の獣に自らの魂を封じる事で身を隠した。
~第三紀 魔法の時代~
神々が地上を去った後、十竜帝と巨人族は、物質界の覇者である証として、ある国を作ろうとした。
しかし強大な力を持つとはいえ彼らだけでは足りなかったため、
神々によって創造された種族も建国を手伝わせた。
エルフ族は魔力に長け、神々が生み出した様々な魔法を行使できた。
ドワーフ族やモントゥ族は手先が器用で、様々な道具を作り出した。
獣人族は強靭な肉体を持ち、主に建築を担当した。
ユニス族は全体的に高い能力を持っており、何でもこなせた。
バードマン族やフェザリィ族はその翼で空を舞い、十竜帝や巨人族に情報を伝えた。
イルフェア族は敏捷さと優れた知力により数々の種族の潤滑油となった。
水棲族は水中呼吸能力を持ち、海に潜り主に漁を担当した。
ナノマナ族は旺盛な好奇心で各地を転々とし、様々なものを探し出した。
しかし、人間は身体能力も、魔力も、寿命も、他の種族より劣っていた。
そのため、十竜帝や巨人族は、彼らを奴隷のように扱ったのである。
そして、ついにアルカディアに最初の国が誕生した。
国名は「天」を意味する古代語の「パラディソス」だった。
魔導王国パラディソスは、古代で最も輝いていたとされる国だ。
「魔導」と呼ばれる力によって、あらゆる願いを叶えた。
泥や鉄塊に生命を吹き込み、ゴーレムと呼ばれる生物を創造した。
暗い夜も、光の魔導によってまるで昼のように照らされた。
人の力だけでは太刀打ちできなかった自然の猛威すら、
魔導によって自在に操り、起こしたり消し去ったりできた。
魔導は、最早人々には欠かせないものとなっていった。
繁栄が続いたパラディソスであったが、建国から2800年後、陰りが生じる。
力を持っていた魔導師達が、徐々に力を失い始めたのだ。
何故、力を失っていったのか不明だが、神々との繋がりが薄くなったのが原因とされている。
魔導王はパラディソスの衰退を阻止するため、「真祖」と呼ばれる、完璧な生命を創り出した。
しかし、彼らの真の開発目的は、優秀な戦士を創り出す事であった。
それが原因なのか、真祖は皆「吸血衝動」と呼ばれる欲求を持っているのだ。
この研究はトップシークレットで、一般人レベルには全く知らされていなかった。
そんな危険な真祖の行動を制御しようとする途中、彼らは逃げ出した。
それを知った他の種族達は、古代竜や巨人族と共に真祖に戦いを挑んだ。
しかし、真祖の身体能力は非常に高く、古代竜や巨人族と戦っても引けを取らなかった。
その時、神界から「無」を司るドラゴン「無竜」が現れた。
無……それは、光も闇も、善も悪も、全てを喰らい、消滅させるもの。
飽和した文明を一度破壊し、リセットするために無竜はその姿を現したのだ。
そして、無竜の手によって魔導文明は失われていき、
真祖達がようやく撤退した後は、パラディソスは滅亡したのであった。
~第四紀 機械の時代~
魔導王国パラディソスが滅亡し、人々は魔導を恐れるようになった。
そのため、人々は魔導とは異なる力「機械」を作り出した。
これにより、人々はパラディソス同様に大いに栄えた。
この頃に、機械種族のデウスマキナやアンドロイドが創造されたとされる。
だが、機械文明はあまりにも発達しすぎた。
資源は乱獲され、また廃棄物によって徐々に環境が汚染されていき、
それは万物の源とされるマナにも影響を与えた。
マナは汚染され、生物をモンスターに変えるもの「瘴気」となった。
この影響は、森で平和に暮らしていたエルフ族にも及んでいた。
森の木が伐り倒され、森が穢れ、エルフ族も瘴気に侵され変異した。
そのため、エルフ族は森を出て、新たに文明を築く事にした。
しかし、一部のエルフ族は僅かに残った森から出る事はなかった。
後者は古代語で「森」という意味のシルヴァンと呼ばれるようになった。
エルフ族とドワーフ族は、ほとんど干渉せずに暮らしてきた。
だが、エルフ族で最も強い力を誇ったスフィエルはエルフ族が分裂した事を哀れみ、
和平の象徴として、シルヴァン族とドワーフ族が手を繋いでいる絵を描き、
シルヴァン族との溝を埋めるため、エルフ族にそれを見せた。
しかし、エルフ族はプライドが高い種族であったため、効果はなかった。
二種族の溝はますます深まっていき、またドワーフ族とも仲が悪くなった。
困り果てたスフィエルは、これ以上機械による発展が起こらないように、
自らの神器である「星の剣」を、機械都市めがけて振りかざした。
多くの機械都市は光に包まれ、その周辺のものも光と共に消え去った。
こうして、繁栄を極めた機械文明は、終わりを告げたのである。
~第五紀 黄昏の時代~
十竜帝は、神々が去った今もなお、この世界を保ち続けていた。
しかし、度重なる神々や人の失態により、彼らの心には疑問が浮かんでいた。
デルブレウは全ての能力が他の種族よりも劣る人間を創造した。
パラディソスの魔導王が衰退を阻止するために創った生命が魔導王国を滅ぼした。
スフィエルは肥大した機械文明を止めるのが遅すぎて結果的に文明を滅ぼし、
エルフ族とドワーフ族の関係をさらに悪化させた。
「最早、このような者達に世界を任せる気はない」
その感情が徐々に大きくなった十竜帝は、ついに世界への叛逆を決意した。
同時に、パラディソスの秘宝である「真紅の指輪」も奪いたかった。
聖竜帝レアラクスは、その知性により「叛逆をしても無駄だ」と判断していた。
彼に賛同した水竜帝アクマリナ、風竜帝オパリー、光竜帝ディアマンテ、海竜帝フェリスズは、
世界に反旗を翻した他の五体の竜と敵対する事になった。
この十竜帝同士の戦争は、後に「竜神戦争」と呼ばれた。
竜族同士の戦いは、熾烈を極めた。
叛逆の五竜帝は破壊の限りを尽くし、その力を見せつけたが、鎮圧の五竜帝も譲らなかった。
およそ1000年間続いた「竜神戦争」は、反乱の鎮圧によって終結した。
十竜帝の中で生き残ったのは地竜帝トパジオと聖竜帝レアラクスのみであった。
真祖達は地上に存在する「穢れ」を逃れるために月へと去っていった。
叛逆の五竜帝が探し求めていた「真紅の指輪」も世界のどこかに消えた。
こうして、神々と古代種の時代は終焉を迎え、人の時代が始まる事となる。
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人の時代に至るまでの、その過去の歴史……という設定の、ファンタジーワールドの(第五紀までの)歴史です。