No.816740 九番目の熾天使・外伝 ~短編26~竜神丸さん 2015-12-02 16:12:28 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:4902 閲覧ユーザー数:1759 |
某平行世界、夜の街…
-ブゥゥゥゥゥン…-
月の光で真っ暗な街が照らされる中、とある森の中に巨大な次元の裂け目が出現。普段ならば謎のモンスターが出現して面倒な事になるような空間の裂け目だったが、今回は少しばかり事情が違っていた。
-ズドォォォォォォォォォォンッ!!-
『―――ここか』
裂け目の中から飛び出した何かが地面に降り立ち、土煙が舞い上がる。その中から現れた謎の黒いアンドロイドは周囲をキョロキョロ見渡し、自分が現在いる地点を確認する。
『メタル
「少し待って貰おうか」
『…!』
黒いアンドロイド―――メタルZがその場から移動しようとしたその時、青い球体状のエネルギー体が飛来してメタルZの目の前に降り立った。そして青い球体が消えた後、そこには黒いスーツや青い流星を模した仮面などが特徴の戦士―――仮面ライダーメテオが姿を現した。
『データを確認……特徴から、仮面ライダーメテオと断定。装着者も朔田流星と思われる』
「答えろ。貴様は何者だ? 先程の空間の裂け目と言い、明らかに普通じゃない」
『答える必要性は皆無……道を開けて貰う』
「断る。お前の
右手親指で鼻を擦るかのようなポーズを取り、決め台詞を言い放つメテオ。それに対し、メタルZはあくまで機械的な口調で語る。
『データは既に分析済み。メテオが私に勝てる確率、0%』
「ならば試してやろうか……ホァァァァァァ…!!」
メテオはその場でジークンドーの構えを取り、メタルZも全身の関節部分から白い煙をブシューッと噴き出してからボクシングポーズを取る。その数秒後、最初にメテオが動き出した。
「ホワチャアッ!!」
『フンッ!!』
跳躍したメテオが素早くパンチを繰り出し、メタルZがそれを両腕で防御。それを合図に二人の素早い攻防が開始された。メテオが連続で繰り出すパンチやキックをメタルZが捌き、同じくパンチやキックを放ち反撃を行う。二人の攻防はこのまま続くかと思われたが、メタルZの全身がかなりの頑強さを誇っていた為か、メタルZの繰り出す攻撃はどれも重く、それらを捌く側のメテオは仮面の下で小さく舌打ちする。
(くそ、思った以上に硬い…!!)
『メテオの攻撃速度が10%低下。メタルZの勝利は揺るがない…』
「黙れ!!」
≪ジュピター・レディ?≫
メタルZの機械的な台詞に苛立ちを見せたメテオは、メタルZを踏み台に跳躍してから距離を取り、右腕に装備されているガントレット状のデバイス―――メテオギャラクシーのレバーを一つ操作し、左手人差し指で触れて認証させる。
≪OK、ジュピター!≫
「ホォォォォォォォォォォ…」
『! コズミックエナジー、集束…』
メテオの右手にエネルギーが集まり、大きな木星状の球体―――ジュピターハンマーが形成される。それを見たメタルZは全身のコズミックエナジーを操り、全身に星屑のようなエネルギーが纏われ…
「ホワチャァァァァァァァァァァァッ!!!」
『フンッ!!』
「「「「「ニンッ!!」」」」」
メテオのジュピターハンマーが、メタルZ目掛けて繰り出される。それと同時にメタルZは全身に纏われたコズミックエナジーから複数のダスタードを召喚し、彼等を盾代わりにする事で攻撃を防ぎ切った。
「!? ダスタードも召喚出来るのか…!!」
『…予定より時間が5分オーバー。至急、目の前の障害を排除にかかる』
「何…ッ!?」
メタルZの告げた言葉に疑問を抱くメテオだったが、その疑問はすぐに解消された。しかし、同時に新たな疑問が生まれる事になった。何故なら…
「馬鹿な……フォーゼドライバーだと…!?」
メタルZが取り出した黒いベルトは、メテオがよく知る友人の使っていたベルト―――フォーゼドライバーに形状がそっくりだったからだ。メタルZはその黒いフォーゼドライバーを腰に押しつけて装着する。
「何故だ、何故貴様がそれを持っている!!」
『先程も言った。答える必要性は皆無、と……変身』
メタルZは装着した黒いフォーゼドライバーのレバーを、右手で操作して作動させる。するとメタルZの全身が黒いスーツに包まれていく。黒いボディ、両手両足に存在する○、×、□、△の記号、そして血のような赤黒い二つの複眼…
『装着、完了…』
漆黒の戦士―――ブラックフォーゼへの変身が完了された。
「ッ……黒いフォーゼ…!?」
ブラックフォーゼの姿を見て、メテオは驚愕する。どうして奴がフォーゼそっくりの戦士に変身出来るのか。もちろん、そんなメテオの疑問などブラックフォーゼにとっては知った事ではなく、ブラックフォーゼは牡羊座の紋章が描かれた赤いスイッチを右手親指で押す。
『仮面ライダーメテオ、排除する…』
≪ARIES≫
「!?」
赤いスイッチ―――アリエススイッチを押した瞬間、牡羊座の紋章が浮かび上がると共に、ブラックフォーゼの右手に大型のパーツが付いた杖―――コッペリウスが出現する。それもメテオにとっては衝撃の光景だった。
「アリエスの武器!? ホロスコープスの武器も使えるのか…!!」
≪サターン・レディ?≫
『…眠れ』
メテオは再びメテオギャラクシーのレバーを操作し、右手に土星状の球体―――サターンソーサリーを召喚。それに対してブラックフォーゼはコッペリウスの先端のパーツを回転させ、そこから金色のオーラを放つ。放たれたオーラはメテオのサターンソーサリーにかかり、サターンソーサリーが発動前に解除されてしまう。
「!? だったら…!!」
≪メテオ・オン…レディ?≫
メテオは腰のメテオドライバーに装填していたメテオスイッチをメテオギャラクシーに差し込み、再び左手人差し指で認証。メテオの右腕に青いコズミックエナジーが集中する。
≪メテオ・リミットブレイク!≫
「ホォォォォワチャァァァァァァァァァァァァァッ!!!」
≪CANCER≫
『無駄だ……ハァッ!!』
「ッ!? キャンサーの力まで…!!」
『二つだけではない』
≪VIRGO≫
メテオが繰り出した大量のエネルギー弾―――スターライトシャワーも、ブラックフォーゼが蟹座の紋章が描かれたキャンサースイッチを押して左腕に大きな蟹の鋏を召喚し、飛んで来るエネルギー弾を全て斬り裂いてしまう。そのまま続いて乙女座の紋章が描かれたヴァルゴスイッチを押し、ブラックフォーゼは背中に二枚の白い翼を生やして飛翔。乙女座の紋章が描かれた斧と杖の合わさった武器―――ロディアを召喚し、その先端から放たれた複数の黒いエネルギー弾がメテオに襲い掛かる。
「チィ…!!」
『余所見は禁物』
「ッ…ぐぁ!?」
メテオは飛んで来るエネルギー弾を回避し、エネルギー弾の当たった箇所が綺麗に削り取られて消滅。そこら中に丸いクレーターが出来る中、翼で滑空したブラックフォーゼがロディアの刃先をメテオの胴体に叩きつけて大きく吹き飛ばし、更に追い打ちとして巨大な斬撃を炸裂させる。
『失せろ……ゼァッ!!』
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
斬撃が命中したメテオは吹き飛ばされて地面を転がり、変身が解除。青と黒のスーツに身を包んだ青年―――
「ッ……まだだ…まだ、俺は…!!」
『しつこい…』
ブラックフォーゼはロディアを構え直し、再び斬撃を放とうとするが……そんなブラックフォーゼに数発の弾丸が命中し、火花が数回飛び散った。
『…!?』
「流星、大丈夫!?」
驚くブラックフォーゼを他所に、倒れている流星の下には黒いアンダースーツに身を包んだ女性―――インガ・ブリンクが駆けつける。彼女の右手に拳銃が握られている事から、彼女がブラックフォーゼの両腕に弾丸を命中させたのだろう。
「ッ……インガ、か…!!」
「その傷じゃ無理よ、一旦撤退しましょう!」
『排除する…!』
インガは肩を貸して支える形で流星を強引に撤退させ、そんな二人をブラックフォーゼはロディアで狙いを定めようとする。
その時…
「そうはさせない!」
『!?』
未だ消えずにいた上空の空間の裂け目から、謎の戦士が水上バイクらしきマシンに乗りながら飛び出して来た。戦士はブラックフォーゼに特攻を仕掛け、ブラックフォーゼは特攻された拍子にロディアを落としてしまい、落としたロディアが粒子化して消滅する。
『ッ…また貴様か、仮面ライダーマリン…!!』
「今度こそ逃がさないぞ、ブラックフォーゼ!!」
『忌々しい…!!』
現れた戦士―――仮面ライダーマリンは乗っていたマシン―――マリンミライダーから飛び降りてブラックフォーゼに蹴りかかり、ブラックフォーゼはそれを右足で蹴り返す。マリンは蹴り返された勢いを利用して宙返りしてから着地し、ブラックフォーゼと掴み合いになったまま森林の中へと突入していく。
その数分後、上空にあった空間の裂け目は閉ざされて消滅したのだった…
翌日、同じ天ノ川学園都市にて…
「時空の歪み?」
「あぁ。大至急、調査に向かうよう団長に頼まれてな。お前にも手伝って貰うぜ、ディア」
「それにしても、かなり賑やかな学校ですね。皆、凄く楽しそうにしてます」
「生徒の個性を尊重して伸ばす、それがこの学園の校風だからな。まぁおかげでオタク系の多いギーク、ギャルやチャラ男だらけのスラッカー、ガリ勉派のブレイン、オカルト系のゴスなど、学園ヒエラルキーも色々面倒な事にはなっちまってるけどな」
「いろんな生徒がいるんですねぇ……ところでokakaさん、何の用があってこの学園に?」
「ある人物と合流しようと思ってな。そいつはこの学園のOBでな、今はこの学園で教師をやってんだ」
「へぇ、教師ですか。じゃあとても頭が良いんでしょうね」
「あぁいや、実を言うとそいつは…」
その時…
「―――うぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「「!?」」
突如、校舎から物凄い勢いで走って来た青年が正門を勢い良く飛び越え、okakaとディアーリーズの目の前にスタッと着地。二人が突然の事態に驚く中、その青年は明るい表情でグッと背伸びをする。
「うっし、今日も俺は絶好調! 何処までもまっすぐ突っ走れるぜ!」
「…まぁ見ての通り、地球の引力すら突破する前人未到バカさ」
「…え、okakaさんが待ってたのってあの人ですか!?」
okakaの言葉に、ディアーリーズが思わず目を疑いたくなった。突然正門を飛び越えて現れた青年。外見は灰色のスーツと教師らしい服装だったが……何よりも目立つのが、その真っ黒なリーゼントヘアーだ。しかしそんなリーゼントヘアーすらも、この青年の場合は何故かやたら様になっているのだ。
「お、一城じゃねぇか! 久しぶりだな!」
「あ、あぁ……相変わらず何処までもまっすぐな馬鹿野郎だな、お前」
「おいおい、馬鹿って言うなよ! 俺はどんな障害物もぶち抜きながら、ロケットのようにまっすぐ自分の道を突き進んで行ってるだけだ!」
「それを馬鹿って言うんだ。どんな障害物もぶち抜けるほど、ロケットはそこまで万能じゃねぇよ」
「細かい事は気にすんなって……お、そうだ一城。久しぶりに会ったんだ、あれやろうぜ」
「またか? 全く、しょうがねぇな…」
okakaは呆れたような表情を浮かべつつも右手を出し、リーゼントヘアーの青年はそれを右手で掴む。そのまま二人はグッグッと握手し、拳を数回打ち合わせる。そんな中、青年の素性を知らないディアーリーズは完全に置いてけぼりを食らってしまっていた。
「え、えっと…」
「ん? 一城、そいつは?」
「あぁ、俺の同僚みたいなもんだ」
「え? あ、えっと…ウルティムス・F・L・マクダウェルです。ウルと呼んで下さい」
「おう、そうか! じゃあ俺も挨拶しねぇとな」
「俺は如月弦太朗。この学園の生徒や先生、そしていろんな仮面ライダー達と友達になる男だ!」
リーゼントヘアーの青年―――
To be continued…
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未来のヒーロー その1