No.807754 魔法少女リリカルなのは~原作介入する気は無かったのに~ 第百四十四話 援軍2015-10-12 21:53:13 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:11650 閲覧ユーザー数:10759 |
「うらぁ!!」
「はああぁぁぁっっっ!!!!」
「てやあっ!!」
俺とナイン、テスラの3人同時攻撃がフレイザードを捉えるが
「クカカカカ。無駄だ無駄だ」
フレイザードには全く聞いていない。
ナインに比べ近接戦闘能力が低いテスラには後方で自己防衛に徹して貰いたかったのだが、本人はナインだけに無理はさせたくないのだろう。
自分も攻撃の対象とさせる事でナインが狙われる確率を少しでも下げさせ、同時にナインの負担も多少軽減させていた。
「どうしたどうしたぁ?これじゃ気持ちの良いマッサージ程度にしかなってねえぞ~」
……こんにゃろう。
さっきから俺達の攻撃をワザと避けず、それでいて嘲笑しながら反撃してきやがる。
氷炎結界呪法のせいで戦闘力が低下してるから致命的なダメージを受ける事は無いと確信してるせいだろう。
ま、現実としてダメージをロクに与える事が出来てないからな。
クリュサオルの魔力刃も維持出来ずに消滅したため、素手での攻撃を余儀なくされている。
素手での戦闘も結構こなす機会が多かった俺なので、武器が使えずとも問題は無いのだが、攻撃力が低下してるのも事実。
武装色の覇気で底上げしてもフレイザードには通じていない。
「このっ!」
テスラの回し蹴りがフレイザードの脇腹に命中するがほとんど効果無し。
「クカカ。次は俺様の番だな」
テスラの足首を掴み、力一杯に腕を振り上げる。
「ああっ!!」
テスラは軽々と身体を持ち上げられ
「オラアァッ!!」
フレイザードは一気に腕を振り下ろし、地面にテスラを叩き付ける。
「かはっ!」
防御も出来ず、背中に強烈な衝撃を受けたテスラ。
「姉さん!!」
「クカカカ。この程度でおネンネしたりしねえよなぁ?」
テスラの足首から手を離したかと思うと、今度はテスラの細い首を強く掴んで再び持ち上げる。
「くっ……ああああああっっ!!!」
「ヒャハハハ!!」
テスラは足をバタバタとさせるが、フレイザードは笑いながら握力を強め始める。
必死にもがくが腕は振り解けず
「っ!……かはっ……!!」
苦悶の表情を浮かべているテスラ。
徐々に抵抗してる力が弱まっていく。首を締められているので呼吸が出来ないのだ。
「その手を離せ!!!」
ナインが剣を強く握りしめてフレイザードに向かおうとするが
「おおっと!来るのか?来やがるのかぁ?」
テスラを自分の前に出し、盾代わりにする。
「っ!!」
一歩を踏み出そうとして踏み止まったナイン。
「クックック。そうだろうなぁ。この女を斬るなんて事は出来ねえよなぁ」
「なっ……ちゃ……」
マズい!
早く助けないとテスラが窒息死しちまう!
「おい、ナイン」(ボソッ)
俺はナインの真横に移動し、小声で声を掛ける。
「俺が隙を作るから、テスラをアイツから奪い返せ」(ボソボソ)
「……出来るの?」(ボソボソ)
「ああ……だからテスラの方は任せた」(ボソボソ)
彼女の肩にポンと手を置いて、魔力により身体強化を施す。
「っ!!力が!!」
これでナインの力も多少は底上げされた。
氷炎結界呪法内での魔法の行使は結構魔力を多めに使用すれば扱う事が出来る。
それだけの魔力を使用しても効果をあまり発揮出来る訳じゃないから割に合わんがね。
ドラクエの魔法で例えたらスカラを1回唱えるのにMPを50消費する様なものか。しかしスカラの効果は本来の効果より落ちてるという…。
「これでさっきより身体は多少楽に動かせるだろ。つー事でテスラ救出は任せたから」(ボソボソ)
「ん……」
小さく頷いたナインを見てフレイザードに視線を向ける。
「作戦会議は終わったかぁ?そんな事してる間に、この女の命はもう尽きそうだがなぁ」
「……………………」
テスラの瞳から生気が消えつつあるのを見て、俺がすぐさま行動に移る。
「『剃』!『剃』『剃』『剃』!!!」
『剃』の連続使用で縦横無尽に動きまくる。
「んあ?攻撃してこねえのか?」
顔を前後左右に向けるフレイザードの目は俺の居場所を的確に捉えている。『剃』のスピードが普段よりも落ちている証拠だ。
少しの間、『剃』の連発でフレイザードから一定の距離を保ったままだったが
「…………はあっ!!!」
機を見てフレイザードに接近する。
俺の動きを目で追えているフレイザードは当然テスラを盾にしようと前に突き出す……
「な、何いっ!!?」
……事が出来なかった。
「何で
俺がバインドでフレイザードを拘束したからだ。
上手くいったな。
先程までの『剃』の連続使用による移動。フレイザードの奴は俺が隙を探して攻撃してくるものばかりと思っていたのだろうが実際は違う。
そう思わせておいて俺は少しずつ魔力を溜め、今の様にバインドが充分に使えるまでの時間稼ぎを行っていたに過ぎない。『剃』はバインドという本命を隠すための囮だったという訳だ。
それに……
「姉さんを……離せえええぇぇぇぇ!!!!!!」
攻撃としての本命はコッチなんだよ。
身体強化を施したナインが全力でジャンプし、下降して来ると同時に振り上げていた剣を一気に振り下ろす。
ズバンッ!!
「ぬおぉっ!?」
ナインの全力で振り切った攻撃はテスラを掴んでいた腕の肘から先を斬っていた。
フレイザードから解放されたテスラを俺が回収し、一気に距離を取る。
「うっ!げほっげほっ……」
ようやく呼吸する事が出来る様になったテスラ。間一髪で救助出来て良かった良かった。
ナインも攻撃を終えるとすぐに俺達のいる場所まで後退してくる。
「姉さん、大丈夫?」
「げほっげほっ……う、うん何とか……」
ホントなら回復魔法掛けてあげたいんですけどねぇ。
充分な回復力を発揮するまで魔力溜める余裕なんて無いし…。
「コイツァ驚いたぜ。この結界内じゃ俺様以外の奴等の戦闘力は5分の1に激減されるっていうのによぉ」
そう言いつつも自分の腕を再生させるフレイザード。
「つまり本来ならこの5倍の威力があるってこった。おっかねえなぁククククク」
再生した腕の感触を確かめながら俺達の方を向き、笑っていた。
アイツにとっちゃ致命傷には程遠い攻撃だもんな。
テスラを助け出せたのは良いんだが、これでも現状の起死回生にはならない。
「あの塔さえ壊せれば…」
それには結界の外にまで退く必要があるんだが、目の前の敵が易々と逃がしてはくれない。むしろ弱体化してる俺達が背を向けた瞬間は否応無く奴にとって隙だらけとも言える。
「(それ以前の問題として結界の範囲が広すぎる)」
もう少し範囲が狭くても良いだろうに。
「クカカ。さあ、人質っていう盾は無くなったぞ。次はどんな攻撃を見せてくれるんだぁ?」
…どう攻める?
時間を掛けて魔力を溜め、強化や補助の魔法を駆使して戦うか?前線をテスラ、ナインに任せる事になるが。
それとも逆に自分に強化を施してフレイザードとやり合うか?しかしテスラ、ナインが狙われた場合のフォローにまで手が回らない可能性が高い。
フレイザードを睨みながら考える。俺達の現状に出来る最善の一手を…………
「何だ?来ねえのか?ならコッチからいくぜぇ!!」
フレイザードが両手を大きく広げ、仁王立ちの姿勢を取る。
「氷炎爆花散!!!」
フレイザードの全身が弾け飛び、無数の岩石と化したフレイザードの身体のパーツが一斉に俺達に迫る。
身体が重い今の状態で避けるのは無理。ならば…
「『鉄塊』!!」
その場に踏み止まり、肉体の強度を上げる。
バリアジャケットを纏い、自らの防御力もアップさせた状態で無数の岩石群に必死に耐える。
「(くううぅぅぅぅっっ!!!!)」
岩石がぶつかる度に生じる痛みを堪える。
「「きゃああぁぁぁぁぁっっっ!!!!」」
すぐ側のテスラとナインも岩石群の直撃を受け、悲鳴を上げる。
俺と違い『鉄塊』の様な防御系の技、能力を使っている訳じゃ無くバリアジャケットを纏っているだけだ。
よって俺以上にダメージを受けている筈。
普段の2人の身体能力なら躱せる攻撃のスピードだけど今は……ねぇ。
せめて障壁を張って守ってやりたいが、氷炎爆花散を防ぎ切れる程の強度をもった障壁を張る事が現状は出来ないでいる。
やがて通り過ぎ去った岩石群が再び集まり、フレイザード自身の姿に戻る。
「クカカカカ。この程度の攻撃も避けられないとは情けねえなぁ」
「だったらこの結界解きやがれ。アッサリ避けてテメエをブッ倒してやる」
「ああ、解いてやるぜ」
え?マジで?
「テメエ等をブッ殺した後でなぁ」
……まあ期待はしてなかったけどな。勝つ事を優先的に考えるヤツだし。
「クカカ、次はコイツだ。ダメージを負った身体で避けきれるか?」
指先に小さな火を灯し、拳を握るフレイザード。
また来るか!!
「
放たれた5発の炎の内3発が俺に、残り1発ずつがテスラ、ナインへと向かう。
俺だけ3発なのは『鉄塊』を使った分、氷炎爆花散でのダメージが少なかった事を見抜いたからだろう。
相手の攻撃を避けたいのだが…
「……ちぃっ!」
軽減したとは言え、氷炎爆花散でのダメージで身体が思う様に動かない。
「ぐううぅぅぅっっっ!!!!」
「「あああぁぁぁぁぁっっっ!!!」」
俺とテスラ、ナインは炎の直撃を受けた。
片膝を地に付く俺と、立つ事も出来ない程のダメージが蓄積したのかテスラ、ナインはそのままグラリと身体が傾き、うつ伏せで倒れた。
「うぐっ……2人共、無事か?」
「う………あ………」
「……………………」
俺が見た限り2人共息はあるみたいだ。テスラは呻き声を上げ、かろうじて意識を保っているがナインの方は反応が無い。
俺は必死に立ち上がろうとするが、立つ事が出来ない。
そんな中、技を放ち終えたフレイザードが近付いてきて、意識の無いナインを持ち上げる。
「テメエ……ナインに何をするつもりだ?」
「この
そう言って氷魔塔の頂上をチラリと見る。
オイオイ、まさか…
「このまま放り投げて氷魔塔の頂上のオブジェにしてやるよ」
それ、ハドラーの行動だよ!!
「な……なっちゃんを……放しなさい……くっ……」
テスラも身体を起こそうとするが顔を上げ、フレイザードを睨むだけで精一杯の様だ。
「コイツを放してほしいのか?なら望み通りにしてやるぜぇ」
ニタアと邪悪な笑みを浮かべたフレイザードは
「オラアアァァァァッッッ!!!」
氷魔塔の頂上に向けてナインを放り投げた。
「ぐっ……うおおおぉぉぉぉっっっ!!!!!!」
身体が悲鳴を上げるが、痛みを堪え俺は立ち上がる。
「げ……『月歩』!!!」
空中を蹴り、意識の無いナインの後を追うが
「クカカ。邪魔はさせねえよ!!!」
背後からの殺気を感じ、咄嗟に宙を蹴って左に進行を変える。
「っ!!!」
進行を変えた直後、右肩に何かが突き刺さる。
それは……魔力で作られた氷柱だった。
俺を狙って背後から投げられたソレは右肩から先端部を覗かせていた。
直後に襲い来る更なる痛み。そして徐々に湧き出始める血。
「く……そ……」
踏ん張って宙を蹴る事が出来ず、俺はナインよりも一足先に落下し始めた。
空中で体勢を整えられないまま地面に向かって落ち、そのまま背中から叩きつけられる俺。
中途半端に刺さっていた氷柱が地面とぶつかった際にハンマーで叩く様に、より深く押し込まれ……俺の肩から外れた。
「ぎ……ぐうぅぅぅぅっっっ!!!!」
氷柱が抜けた事により貫通して出来た部分から一気に血が溢れ、俺の周囲に血溜まりが出来る。
「カカカ、残念だったなぁ。もう少しで届きそうだったのによぉ」
仰向けで倒れてる俺を見て嘲笑うフレイザード。
「よく見ろよ。テメエ等の仲間がもう突き刺さる寸前だぜ」
気絶しているナインの身体は重力に引かれ、下降し始めていた。
「な……なっちゃああああぁぁぁぁぁんんんんん!!!!!」
テスラの悲鳴染みた声が俺の耳にも届く。
「(……ダメだ……身体が……動かねえ)」
ナインを……助けられない。
「ヒャハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!」
フレイザードが俺もテスラもナインを誰も助ける事が出来ず、死ぬのだと確信したのだろう。今日一番の大声で笑った直後だった。
ピキッ!!!
「ハハハハハ………は?」
ピキピキピキピキピキッ!!!
氷魔塔に入った亀裂が徐々に広がっていく。そして…
ガラガラガラガラガラガラガラ!!!
氷魔塔は重畳から音を立てて崩れ始めていった。
「は……はああぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!?」
先程の笑い声と同等の大きさを出して今度は驚くフレイザード。
「馬鹿な!?何故氷魔塔が崩れやがんだ!!?」
作った本人にも理解出来ない現象。
氷魔塔が崩れていくおかげでナインがオブジェになる事は無くなったので喜ばしいのだが、彼女の落下を止めた訳ではない。
崩れた氷魔塔が粉塵を巻き起こす中、塔のパーツはひとりでに溶けていき、その場を濡らしていく。
「ふははははは!!!誰だ?この俺の前にこの様な下らぬモノを建てたのは?」
…………ヤケニキキオボエノアルコエダナー。
何か粉塵の向こうに人影らしきモノも見えるし。
「む?」
氷魔塔跡の場所に上空から落ちてくるナインに気付いたのだろう。
その人影は…
「……ふんっ!!」
「なっちゃーーーーーーーーーーーーーーーんんん!!!!!?」
蹴り飛ばされたナインはテスラの方に向かい、彼女から少し離れた位置にズザザザー、と地面を滑る様に進み、やがて止まった時には仰向けになっていた。
「(け…蹴るなよ。受け止めてやれよ……)」
声を出すのが辛く、また無駄だと理解していながらも内心で弱々しくツッコむ。
ドゴオオンンンンッッッ!!!!!!!!
「何いいぃぃぃっっっ!!!!!!!?」
今度は何の前触れも無く炎魔塔が破壊された。
「ふぅ……こんな暑苦しい物を建てられたらたまったモンじゃないわね」
これまた聞き覚えのある声。
炎魔塔が崩れた際にも粉塵が巻き起こって人影が見える程度だが、声色で誰が来たのかはすぐに分かっていた。
氷魔塔側の
あの2体は神様の所にメンテナンスで預けていたんだが、ここに来たという事はもうメンテ終了ってとこか。
何にせよ……
「(良いタイミングで来てくれたなぁ…)」
粉塵が晴れ、姿を見せるのは2体の最強ユニゾンデバイス。
「ぬうっ!?お師さん、ご無事ですか!!?」
いや、無事じゃないよ。ボロボロだよ。
「これは酷いわね。すぐ治療するから動かないで」
いつの間にか炎魔塔を破壊したレスティアが俺の側に来ており、彼女の魔力が俺を優しく包む。
すると肩に空いた穴が塞がり、痛みも引いていく。
「あー……」
弛んだ声が漏れてしまう。
何かマッサージされてるみたいに気持ちが良い。
しばらくその心地良さに身を委ね、俺を包み込んでいたレスティアの魔力光が治まるったのを確認して俺はゆっくりと立ち上がる。
痛みは完全に消え去り、身体も軽く感じる。これは傷が完治した事よりも氷魔塔と炎魔塔が破壊され、氷炎結界呪法が消滅したからだろう。
で、結界が消えた事で当然…
「……うし!」
指先に灯してみた
「しかしレスティア。お前いつ回復系の魔法使える様になったんだよ?」
「覚えたのはつい最近よ。外に出てる時もモンスターボールの中に入っている時も習得するための訓練や勉強はしてたから」
俺の知らない所でレスティアは成長していた様だ。
「ぬええええぇぇぇぇぇいいいっっっ!!!!!」
「グギャアアァァァァァッッッ!!!!!」
「貴様の様なドブネズミ風情がああ!!!!!お師さんに手を出した報いを受けるがいい!!!!」
「ガアアアアァァァァァッッッッ!!!!!!」
一方、戦場では怒り心頭のサウザーが北斗裂拳を思わせる様な拳の弾幕でフレイザードの全身をひたすらに殴打する。
数撃ちゃ当たる……と言うが、あの攻撃でフレイザードの
最後に鋭い蹴りでフレイザードの上半身と下半身を分断したサウザー。
フレイザードはサウザーから距離を取り、身体を接合する。
「ぐっ……ハア……ハア……あ、危なかったぜ。危うく俺の
どうやらあの超連撃で
フレイザードは息を切らし、相当に追い込まれているみたいだった。
「のんびり眺めてる場合じゃないよな。『剃』!!!」
俺は急いでテスラとナインの元へ移動し
「2人共、今回復するからな」
テスラと意識の無いナインに治療魔法を施す。
「あ……傷が……」
ビルにいた時に続いて2度目の治療。
「むぅ……回復系の魔法においてはまだ勇紀の領域に及ばないわね」
「こればかりは習得してからに経験値の差だから仕方ないさ」
レスティアの治療魔法もそれなりのものだったが、今はまだ俺の治療魔法の方が精度は上だ。
俺がレスティアに治療された時よりも短い時間でテスラとナインの傷は癒えていく。
負っていたダメージも治療し終え、立ち上がったテスラはナインの元に駆け寄る。
「なっちゃん!なっちゃん!!」
彼女の背中を何度も揺すりながら呼び掛けると
「……ん……んん……」
軽くうなされた後、うっすらと目を開け始める。
「なっちゃん!!良かった!!」
「……ねえ……さん……?」
……テスラとナインはレスティアに護らせるとして
「結界も解けた事だし、これでテメエをブッ倒す準備が整ったな」
フレイザードの背後に『剃』で移動し、見据えながら俺は言う。
正面にはサウザーの姿が。丁度俺とサウザーでフレイザードを挟撃したようなポジションだ。
「……………………」
俺とサウザーを交互に一瞥した後、沈黙するフレイザード。
「お師さんを傷付けたその罪、万死に値する。貴様にはもう降伏すら許さぬぞ」
聖帝様は激オコぷんぷん丸である。
俺だって許す気は無いよ。コイツはここで確実に消す。
「……ククク」
む?
「クカカカカカカカカ!!降伏?この俺様が降伏だぁ?する訳ねーだろ。ここで死ぬのはテメエ等なんだからよぉ!!」
「フハハ!!ネズミ如きが聖帝であるこの俺を殺すだと?中々笑わせてくれるではないか」
「頼みの氷炎結界呪法はもう無いのにどうやって殺す気なのやら…」
口ではそう言ってみるものの、コイツの隠し玉というか奥義なんてとっくに把握済みだ。
「こうやってだぁ!!俺様の生命を激しく消耗するがテメエ等の首を取るための支払いとしては充分なくらいだからな!!受けてみるがいい!!俺様の最終奥義『弾岩爆花散』!!!」
先程の氷炎爆花散同様に、身体を再び弾け飛ばすフレイザード。
氷炎爆花散と違うのはしばらくの間、元には戻らず岩石群の状態のままってトコだな。
「……ま、標的が増えようとも関係無いな」
俺は見聞色の覇気でどの岩石が
正確に
一斉に俺達に迫ってくる岩石群を見据え
「俺のする事は……ただ撃ち貫くのみ!!!」
岩石群の中に存在する1つの岩石に向かい、一気に駆け出した………。
~~遥視点~~
「とりゃああぁぁぁぁっっ!!!!」
「がはあっ!!」
私のエンジェルパンチで私達に襲い掛かってくる人をまた1人やっつける。
私は屋上にいる人達の担当。葵ちゃんがエンジェルアローで飛んでる人達の担当。クルミちゃんが支援担当と、3人で役割を決めて対処している。
けど、屋上にいる人達も空を飛んでる人達も基本的には距離を取っての攻撃ばかり。遠距離からの攻撃は私には辛いよぅ。
近付こうとしても他の人が邪魔してくるし。クルミちゃんの支援で隙が出来ないと中々近付けない。
やっつけた人数はまだ4人。
「貴様等どけぃ!!その小娘は俺が潰すんだ!!」
次に私と対峙したのはプロレスラーの様な体型で厳つい顔の人だった。
この人……さっきから執拗に私だけを攻撃してくる人だ。
何だか凄く私に対して敵意を向けてくるし。
「潰してやる!!潰してやるぞおおぉぉぉぉ!!!」
ううぅぅぅ……私、この人に何かしたかなぁ?この人に対してはまだ攻撃とかしてないんだけど。
これは聞いて確認しておいた方が良いよね。
「あ、あの!!」
「あ゛!?」
こ、怖いよぅ…。
けど怖気づいてはいられない。
「わ…私、貴方に何もしてませんよね?」
「……確かにテメエとは初対面だ。俺は何もされてねえな」
初対面さんなら尚更だよね。
相手の人も少しは落ち着きを取り戻したみたい……
「だがテメエの髪形と声を聞いてたら思い出すんだよぉぉ!!!あのクソ忌々しい小娘、高町なのはの事をなああぁぁぁ!!!!!」
…と思った矢先にまた怒り出したよ!!
「少しばかり他人より多めの魔力を持っただけの田舎世界出身の小娘風情が『不屈のエース』やら『エース・オブ・エース』やらとチヤホヤされていい気になりやがって!!ちょっとばかし大きな事件に関わっただけの小娘だぞ!」
大きな事件?
「教導隊での訓練においても馬鹿みたいに砲撃ばかり放つしか能が無いくせに!!他の奴等も高町なのはの言う事は素直に聞きやがるくせに俺の提示する訓練内容には文句を言う始末!!クソが!!クソがぁ!!」
教導隊?
何だか良く分からないけど、この人は相当高町なのはちゃんに恨みを持ってるみたい。
勇紀君やアリサちゃん達との会話で時々高町なのはちゃんの名前は出て来るし、以前ダイブゲームで高町なのはちゃんの姿だけは見た事ある。
綺麗な光のビームを放ってた子だったなぁ。
「てな訳でテメエはここで俺に殺されろ!!」
「『という訳で』って言われる意味が分からないよ!?」
「五月蠅い!!さっきも言っただろうが!!テメエの髪形と声があの小娘を思い起こさせてイラつくんだよ!!!恨むなら高町なのはかアイツに似てる自分自身を恨みやがれ!!!」
「理不尽過ぎる八つ当たりだよ!!」
けどここまで恨まれる高町なのはちゃんって実は凄く怖い人だったりするのかな?
機会が巡って来たら勇紀君が紹介してくれるって言ってたけど……
「……………………」
…………何だか会うのが怖くなってきたよぅ。
「死ねえええぇぇぇぇ!!!!!!」
徐々に膨れ上がっていく光の球が放たれようとした瞬間
ドゴオオオオオォォォォォォ!!!!!!!
「にゃっ!!?」
突如、目の前の人が下から現れた光の柱に呑み込まれた。
同時に私の足場……ていうかビル自体がグラグラと揺れる。
「にゃわわわっ!」
「きゃっ!」
「な、ななな、何よ?何なのよ?」
私だけでなく葵ちゃんとクルミちゃんもビルの揺れに揺らされ、ワタワタとしている。
しばらくは下から噴出していた光の柱だけど、柱は徐々に小さくなりやがて揺れと共に収まっていく。
柱が立っていた場所に残されたのはポッカリと開いた大穴。
何だったんだろう?
「ふむ……少し離れている間に、見知らぬ雑魚共がウジャウジャと湧いているじゃないか」
「「「っ!!?」」」
だ、誰!?
「き、貴様等!!何者だ!!?」
上から声が聞こえてきたので私と葵ちゃん、クルミちゃんは一斉に空を見上げる。
そこには私達に攻撃を仕掛けてきていた人達とは別に新しい人達が浮かんでいた。
それは1組の男女。女の人はビルの途中で出会った人だけど、もう1人の金髪の男の人は初対面。
宙に浮いているほとんどの人が新しく現れた人達に武器を向けている中、金髪の男性は周りの人達を一瞥し、次いで私達のいる屋上に視線を落としてきた。
「……え…………?」
けど私の視線はその男女よりも、男の人が右手、左手にそれぞれ
「「……………………」」
右手、左手にそれぞれ掴まれているモノ……それは人だった。
2人共、何の反応も無く髪の毛を掴まれて両手、両足はダランと力無く下げている状態。
全身は血塗れになっており、パッと見ただけでは生きているとは思えない程の出血と酷い怪我。
服の所々もボロボロに破け、素肌が露わになっている。
何よりもその掴まれている人達には見覚えがある。
右手には銀色の髪を生やした男の人。それは今日文化祭で私達の教室にやってきた銀髪さんだった。
そして左手には金色の髪を生やし、ここに来るまでの間にお友達になった人で、私達を先に進ませるために下の階で戦っていた筈の……
「フェイトちゃん!!!」
フェイトちゃんだった………。
~~遥視点終了~~
~~あとがき~~
投稿……遅くなって申し訳ないです。
パソコンが壊れるというアクシデントに見舞われ、つい先日まで修理に出してました。
こういうアクシデントは勘弁願いたいですね。金も時間も掛かるし……。
Tweet |
|
|
12
|
5
|
追加するフォルダを選択
神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。