いきなり何処ともしれない荒野に放り出された私、
そこでは女の子達が盗賊に襲われていた。
なんとか撃退したけど女の子の母親は殺されていた。
泣いている女の子にお姉さんになってあげると約束したけど
一緒にいた程立、戯才士、そして星という人達は官軍が来ると
どこかに行ってしまった。
その官軍にいた華琳という女の子は突然とんでもない事を言った。
「私のモノになりなさい」
何なのこの娘、一体何が起きてるのー!
第二話・「新たなる仲間!ネコミミ軍師と鉄球少女、前篇」
華琳「私のモノになりなさい」
一姫「……はいーーー!?」
(な、何なのいきなり、この娘ってそっちの趣味なの?なんで私の周りの女の人ってこういうのばかりなのー!)
春蘭「か、華琳様、なにを突然真名をお預けになってらっしゃるんですか?」
秋蘭「そうです、いくらなんでも軽率ですぞ」
華琳「そ、そうね、迂闊だったわ」
(どうしたのかしら、いくら可愛いといってもいきなり真名を預けようとするなんて)
一姫「あ、あのう~」
華琳「な、何かしら?」
一姫「私いきなりこんな所に放り出されて何が何だか分からないんだけどここってどこですか?」
(とりあえず私のモノになれっていうくだりはスルーするとして)
春蘭「はあ?何を訳の分からん事を、ここは陳留に決まっているではないか」
一姫「陳留?」
秋蘭「華琳様、話を聞くのであれば場所を移しましょう」
華琳「そうね、一姫といったわね、盗賊共はこれで全員なの?」
一姫「いいえ、三人ほど逃げられたわ、そういえばなにか本みたいな物を持ってたみたいだけど」
華琳「!!それよ、兵の三分の二を探索に回しなさい、残りは私達と一緒に帰ります。あなた達もいらっしゃい、色々と聞きたいことがあるから」
一姫「わかりました、それとこの子のお母さんなんですけど」
秋蘭「心配はいらん、我々の方で丁重に葬っておこう」
一姫「ありがとうございます、じゃあさやちゃん、行こうか」
鞘花「うん、かかさま、さよなら」
こうして私達は陳留とかいう街に行くことになった。
華琳「では改めて聞きましょうか、一姫、あなたの生国はどこ?」
一姫「日本よ、東京の浅草という所に住んでいるわ。通っている学校は聖フランチェスカ学園」
華琳「?にほん?とうきょう?ふらんち…何?」
春蘭「貴様ー!訳のわからん事を言って華琳様を愚弄する気か」
秋蘭「落ち着け姉者、北郷とかいったな、順を追って聞こう、何故あそこにいた?」
一姫「私にもわからないわ、夜に日課の槍の素振りをしていたのは覚えているんだけど気がついたらあの荒野にいて、そうしたら盗賊達がさやちゃん達を襲っていたのよ」
秋蘭「では、この国に来た目的は?」
一姫「目的も何もここがなんて国かも知らないし」
秋蘭「どうやってここまで来た?」
一姫「それは私が聞きたいわよ」
秋蘭「華琳様……」
華琳「埒があかないわね」
春蘭「何か隠しているに決まっています。こうなったら拷問にかけて本当の事を…」
そう言って私の襟首を掴もうとすると、
鞘花「おねえちゃんを、いじめちゃダメー!」
さやちゃんが私を守ろうとして女の人の前に立った。
華琳「その子は?」
一姫「殺された女の人の子供よ、さやかという名前で私が姉になってあげると約束したの、そういえばあなたの名前は、たしか真名ってそう簡単に読んじゃいけないんでしょ?」
華琳「そうね、さっきは私が軽率だったわ、私の名前は曹孟徳、この二人は夏侯惇と夏侯淵よ」
春蘭「ふんっ」
秋蘭「………」
一姫「……は?」
華琳「聞こえなかった?」
一姫「い、いえ聞こえたけど、あなたが曹操ということはひょっとしてこの国は魏なの?」
華琳「!?今、何ていったの、なんであなたが魏という国名を知っているの、それに操という名は教えてないわよ」
一姫「なんでって三国志を読んで知ってるから」
華琳「三国志?何それ、あなた一体何を…」
一姫「あ~、ごめんなさい、ちょっと頭が混乱してて、きちんと整理してから話をするから
(曹操に夏侯惇に夏侯淵、それにこの町並み、疑いようがないようね)
秋蘭「華琳様、ところでさっきおっしゃっていた魏という国の事ですが」
華琳「そうね、丁度いいからあなた達にも教えておくわ、私はいつまでも刺史という立場に甘んじているつもりはないの、いずれは王として国を興すつもりよ」
秋蘭「なるほど、魏というのはその国の名ということですね」
華琳「そういうことよ。チラリ(ああ、やっぱり可愛いわ、早く城に帰って閨に…いいえ私は覇王曹孟徳、威厳を持たないと、ああ、でも)」
秋蘭「……はぁ…」
秋蘭「……つまり、お前はこの世界、というよりこの時代の人間ではないということか」
一姫「ええ、そう考えなければ話の辻褄があわないのよ、この時代の王朝って漢王朝でしょ。漢王朝の出来事って私達の時代ではおよそ千八百年前の話なのよ」
春蘭「……む~ん」
一姫「…分かってないようね」
春蘭「あたりまえだ、こんな突拍子のない話」
一姫「そうね、例えばね夏侯惇、あなたがどこか訳の分からない場所に連れていかれて、項羽や劉邦にあったと考えてみて、それが今の私の状況なの」
春蘭「な、なんと!」
秋蘭「確かにそれならば、北郷が華琳様の考えていた魏という国名を知っていたことも説明がつくな」
春蘭「だが、貴様はどうやってそんな技を成し遂げたのだ、それこそ五湖の妖術ではないか」
一姫「それは分からないわ、何かの事故に巻き込まれたのか、本当にそんな妖術をかけられたのか、私が知りたいくらいよ」
華琳「南華老仙の言葉にこんなのがあるわ、荘周が夢を見て蝶となり、蝶として大いに楽しんだ後眼が覚める。しかしそれは荘周が見た夢なのか、それとも今の自分が蝶が見ている夢なのか、それは誰にも説明できないの」
一姫「胡蝶の夢ね…」
華琳「へえ、よく知ってるわね」
一姫「学校の授業で習ったばかりなのよ」
華琳「がっこう?何それ」
一姫「ええっと、皆で集まって色々な勉強をするところかな」
華琳「私塾のこと?」
一姫「まあそんなところ、私達の時代ではそれを国が運営して、義務教育として国民全員が勉強してるのよ」
華琳「なるほど、最低限の学力を身に付けさせるには、悪くない方法ね」
秋蘭「しかし、そうすると我々は北郷が見ている夢の登場人物という事でしょうか?」
一姫「逆かもしれないわよ」
華琳「たしかに、私が見ている夢の可能性もあるわね。
(もしそうなら、あんな事やこんな事を……)」
秋蘭「……華琳様…」
一姫「…じとー」
鞘花「おねえちゃん、ヨダレたれてる」
華琳「…コホン、一姫、あなた私の下で働きなさい。あなたが言う未来の知識、上手く使えば私の覇業の大きな助けになるでしょうね」
一姫「その前に聞きたいんだけど、あなたは何のために天下を求めるの?」
華琳「私の愛すべき民のためよ、彼らが笑って平和に暮らしていける国を作るため」
一姫「…わかったわ、あなたを信じる。私でいいなら力になるわ」
華琳「良い心がけね、なら部屋を準備させるから好きに使いなさい」
鞘花「さや、おねえちゃんといっしょー」
一姫「ええ、一緒よ」
華琳(それじゃ私が忍びこめないじゃない)
「そ、そういえば一姫の真名を聞いていなかったわね、教えてくれるかしら」
一姫「う~ん、さっき盗賊達から助けてくれた人達に聞いたんだけど私にはその真名ってないのよ、あえていうなら一姫があたしの真名になるのかしら?」
華琳「!!」
春蘭「な、なんと」
秋蘭「むう…」
一姫「…?どうしたの三人とも」
秋蘭「いや、少々予想外だったものでな」
春蘭「ならば、貴様は初対面の我々にいきなり真名を呼ばせる事を許していたというのか?」
一姫「あなた達の流儀に従うならそういうことになるのわね?」
二人「「むうーー」」
華琳「そう、なら私達もあなたに真名を預けなければ不公平ね」
一姫「え?いいの」
華琳「もちろん、では改めて私の真名は華琳、これからは華琳と呼びなさい」
秋蘭「私の真名は秋蘭だ。よろしくたのむ」
春蘭「し、秋蘭まで、しかたない、私は春蘭だ」
鞘花「わたしはさやかー」
華琳「そう、よろしくね、さやか」
こうして私は華琳の下で働く事になった。しかし、彼女が私を見る目は学園の先輩達が私を見るそれと同じであった、いや、むしろ…え~ん。
一姫「あ、いたいた華琳ーー!頼まれていた装備品と兵の確認だけど滞りなくすんだわよ。これが報告書」
華琳「ありがとう、一姫もようやく仕事に慣れてきたみたいね」
春蘭「その程度の仕事、出来て当たり前だ、華琳様に褒められたからといって図に乗るなよ」
華琳「…その春蘭には糧食の最終点検の帳簿を受け取って来るように言っておいたと思うんだけど?」
春蘭「あ、申し訳ありません。すぐに受け取ってまいります」
秋蘭「…姉者……」
春蘭「おい、そこのお前」
??「……」
春蘭「聞こえんのか、おい」
??「……」
春蘭「返事をせんか、おーーい!」
桂花「聞こえているわよ、何なのよさっきから」
春蘭「聞こえているなら返事をすればよからう」
桂花「アンタなんかに用はないもの、忙しいんだから邪魔しないで!」
春蘭「何だとう!」
桂花「何よ!」
一姫「まったく、春蘭は何をやっているのよ」
私は華琳に頼まれて帰ってこない春蘭を探しにきた、すると春蘭が誰かと言い合いをしてるのが聞こえて来た。何か小さな女の子といがみ合っていた。
一姫「春蘭!いったい何してるのよ、華琳が待っているわよ」
春蘭「北郷、おおそうであった」
桂花「何よ、また誰か邪魔をし…に……」
女の子は何やら呆けた顔をして私を見ている、その目には見覚えがあった、学園の下級生と同じなのだ。
一姫(ああ、この子もなのか…)
「糧食の再点検帳簿を受け取りに来たんだけど、監察官って人がどこにいるか知らない?」
桂花「はいっ私です。これが帳簿です」
そう言って帳簿を渡してくれたがどさくさにまぎれて手を重ねる事は忘れなかった。
一姫「あ、ありがとう…」
桂花「あ、あのう…ひょっとしてあなたが天の御遣い様ですか?」
一姫「ええ、そうだけど」
桂花「やっぱり、噂通りの美しさです!」
一姫「あはは、ありがとう。じゃあ急ぐからこれでね、春蘭行くわよ」
桂花(ああ、早く曹操様だけじゃなくあの方にもお仕えしたい)
春蘭「…なあ北郷、さっきの娘、なんか私とお前では態度が違いすぎる気がするんだが?」
一姫「…気にしない方が幸せよ……」
春蘭「そ、そうか?」
その後、監察官の女の子荀彧が華琳のことを試したりしてあわや首を切られるかという騒ぎもあったが華琳は彼女の知謀を認めて軍師として採用した。そして私達は彼女、桂花と共に盗賊討伐に出陣した。
一姫「ねえ桂花、本当に糧食は半分でいいの?華琳なら本当に首を切るわよ」
桂花「ああ、お姉様、そこまで私を心配して下さるのですね。大丈夫です、私の策は完璧です」
一姫「そう?ならいいんだけども」
桂花は甘えるように私の腕にしがみ付いている。どうして私はこうも女の子にもてるんだろう?華琳は華琳で毎夜毎夜、閨に引きずり込もうとするし。
春蘭「おお、ここにいたか華琳様がお呼びだ、すぐに来い」
一姫「華琳が?わかったわ、行きましょう」
桂花「はい!」
一姫「どうしたの華琳」
華琳「来たわね、丁度偵察も帰って来たところよ、報告を」
兵士「はっ!行軍中の前方集団は、数十人ほど。旗もなく格好もまちまちなため目的の盗賊集団の一部と思われます」
華琳「ならもう一度偵察を出しましょう。春蘭、それと一姫、お願い」
春蘭「はっ!」
一姫「了解!」
桂花「気を付けてくださいね、お姉様」
秋蘭「北郷、姉者の手綱をしっかりとつかんでおいてくれよ」
春蘭「秋蘭…」
華琳「お願いね」
春蘭「華琳様まで…」
しばらく進むと盗賊達と思われる集団が見えてきたが何かと闘っているようだ。
偵察を出そうと思っていたら。
ドゴーーーンッ!!
ものすごい音と共に何人かが吹き飛んだ。
??「このーー!ボクはお前らなんかに負けないぞーーー!!」
春蘭「お、おい北郷、何なのだあの娘は?」
一姫「私に聞かないでよ」
そこには小さな体で巨大な鉄球を振り回す一人の女の子がいた。
??「村はボクが守るんだーー!!」
続く
あとがき
乱A「なんとか第二話の完成です」
干吉「けっこう時間がかかりましたね?」
乱A「ちょっと、話の作り方を変えてみたんだ」
干吉「というと?」
乱A「今まではとりあえず頭の中で大まかな話を作ってあと打ち込みながらきちんとした話にしていたんだ。だから以前のようにデーターが消えてしまうと書き直しが難しくなる。そこで、まずはケータイで文章を完成させてそれを改めて打ち込むことにしたんだ」
干吉「しかし、それはかなり時間と手間のかかる作業ですね」
乱A「たしかに、だがあの悪夢を繰り返すことを考えればいくらかマシだ」
干吉「それもそうですね、ケータイに文章が残っていればすぐに打ち直すこともできますしね」
乱A「ですので、私のようにデーターが消えて悔しい思いをしたことのある人はこの方法をお勧めいます。その代り、かなり手間がかかります」
干吉「それはそうと、何か前、後編に分かれてますが?」
乱A「うん、話の前半にかなり時間を食ったからな、というわけで季衣の活躍は次回になります」
干吉「お楽しみに」
ドドドドドドドドドドドドドド
左慈「煩悩退散、煩悩退散、煩悩退散」
ドドドドドドドドドドドドドド
《次回予告》
たった一人で盗賊達と闘っていた少女許緒、
「官軍なんか信じられるものか!」
そして華琳は彼女に言う、
「私はいつかこの国の王となる、
あなたの村を守るためにも力を貸して」
そうね、みんなを笑顔にするために私も。
次回、第三話・「新たなる仲間!ネコミミ軍師と鉄球少女、後編」
絶対見てよね、約束したよ。
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現在、一姫✝無双は絶賛書き変え中であります。
↓再構成版はこちらです。
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