No.79500

真・恋姫†無双魏√EDアナザー 外史の統一者2-18

sionさん

更新遅れて申し訳ありません!
謝罪はあとがきで;
今回から本編進行です。
遅々としたペースで進みますがよろしくお願いします。
それでは!楽しんでいただければ幸いです。

2009-06-17 00:58:13 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:73156   閲覧ユーザー数:33175

反袁紹連合の確立から二ヶ月、これは反董卓連合の戦後処理をするために設けられた期間だが、

 

その二ヶ月が過ぎ、董卓軍はいつ何時でも戦を起こせる状態まで国力を上げていた。

 

この二ヶ月の間で袁紹から何の動きもなかったことがただただ、不気味だったといえば不気味であるが。

 

そして、この二ヶ月という月日を置いたことにより、大陸は急展開を見せていく。

 

その始まりは、曹操からの火急の報せを持った使者の口から伝えられる。

 

「始めましてですねー董卓さん、風は程昱と申しますー。そしてこちらがー」

 

「楽進と申します」

 

その使者の二人は名を告げて

 

「それでですねぇー。悪いお知らせがいくつか、お伝えしなければならないのですよー」

 

彼女の独特な喋り方に月はおろか詠すら突っ込む場所を思案しているようだ。

 

(そうか、風と稟は無事華琳のところへとつくことができたか)

 

そんな思考を持てているのは一刀一人、そんな一刀をよそに風のお報せ、は続く。

 

「まずですね、残念なことに公孫瓉さんが袁紹さんに滅ぼされてしまいましたー」

 

「ちょっと!本当に公孫瓉が!?」

 

衝撃的な発言にかろうじて詠だけが反応することが出来る、見れば知り合いだという星も表情に出

 

さぬようにはしているのだろうがその顔に翳が差している。

 

「本当ですよー?あ、安心してくださいね?公孫瓉自体は現在、劉備さんのところで保護されてい

ると聞きますからー、命に関係することはありませんよー」

 

ほうぅっと深く溜息をついたのは星、そして慌てて表情を取り直している、けれど

 

(明らかにさっきまであった翳が取れているね・・・)

 

「よかったって言っていいのか分からないけれど、よかったね、星」

 

小さく星へと語りかければ、多少驚いた顔をしてからいつもの人を食うかのような笑みで

 

「流石に一刀殿にはばれてしまいますか、えぇ。こんな時代です、生きていてくれればそれが何より」

 

見れば星だけでなく、月と詠なども安堵を浮かべている。

 

「そしてもう一つ、袁紹さんは華琳様のところへも軍を進軍させているのです、ちなみにですが

ー、袁紹さんと国境でやりあったのが風達なのですよー」

 

その問いに「では撃退できたのね?」詠の質問が重なるが

 

「いえいえーお城はとられてしまいましたー。風の分析ですと袁紹さんは自信過剰、そして誇りの

塊で扱いやすい、けれどですね、今の袁紹さんは誇りとかそういうのを傷つけられた所為でしょうかねぇ、数で押し切るということを平気でするのですよー、なんてったって風達が守っていた守城の兵数は1000人にも満たない小さなお城でした、そして袁紹さんは3万の兵で押し寄せてきたのですよー。前の袁紹さんなら、たとえば援軍を送らずに1000がそのまま対処という形になれば、誇りが邪魔して攻め入ってきたりはしませんでしたが~」

 

こで風は嘆息を一つ入れてやれやれと首を振り

 

 

「3万の兵で平然と千の兵を捻りつぶしに来ましたぁ、追い詰められて焦っているのか、それともただの気まぐれなのかは分かりませんが、今の袁紹さんはかつてのそれとは違う気がするのですよ」

 

そう長い話を締めくくった。

 

「程昱・・・といったわね?僕はその話を聞いて一つ思い浮かんだことがあるけど・・・

貴女から見て袁紹はどう映ったかしら?」

 

詠は一瞬の沈黙をすぐさま破り風に問い

 

「そうですねぇ~・・・暴走している。そう感じましたねぇ」

 

風の口から暴走しているとの評を受け・・・

 

「ちょっと追い詰めすぎたかな?」

 

一刀は初めて口を開く。

 

「あんなの、もっと追い詰めたっていいくらいよ!」

 

即座に答える詠に対して苦笑、ほら、月がおろおろしてしまっているじゃないか。

 

「まぁ、そうかもしれないんだけどね、公孫瓉さんのところが滅ぼされたのは追い詰めすぎたのが原因かなって」

 

「それならそんな気力も湧かないくらいに追い詰めるべきだったんだわ!」

 

強気な詠にまた笑みを零していると

 

「・・・・・ぐぅ」

 

「寝るな!」

 

「おぉ!?」

 

寝ている風につい、昔の癖で突っ込みを入れてしまい

 

「・・・お兄さんは確か天の御使いと呼ばれている人ですよねぇ~?・・・つかぬところ聞くのですが、風とあったことありませんか?」

 

その問いに一刀は内心で焦る、彼女はとても鋭いから。

 

本気で詮索を入れれば騙しとおせる気などしない、だから嘘は言わない

 

「君とは、会ったことがないと思うよ?どうしてそう思ったのかな?」

 

そう、この世界との風とは初対面だから嘘じゃない、そんな苦しい言い訳

 

「・・・そうですか~。理由を聞かれればですねぇ。稟ちゃん、風のあれな人なのですが、

その稟ちゃんに起こしてもらったときのような、そんな感じがしたのですよ。ちなみにこの感覚は

華琳様でも無理なので~ですから違和感を覚えたというところですねぇ」

 

何とかごまかせたかと安堵して、それでも真名は呼ばないように

 

 

 

「そっか、その郭嘉さんという人と起こし方が似ていたの『お兄さん?』・・・!」

 

その声でハッとしてしまう、そして同時に思う、このミスはどうやって消そうかと。

 

「風はまだ稟ちゃんを真名でしか呼んでいないのですよ?なのに何故その姓と名を淀み無く言えて

しまうのでしょうか?」

 

風の声から間延びか消えて真剣みが増す。

 

(これはまずったか?本気で詮索入れられたら風になんて勝てっこないが・・・)

 

嫌な汗がだらだらと出てくるのがわかる、言い訳が思い浮かばない、変に間を空けるのは疑いを強

 

める、だから何かを。しかし焦りからか、それとも緊張なのか、声がでない。

 

しかし、助け舟はすぐそばに

 

「それはだな、風よ。私がお前のことと稟のことを教えていたからだ」

 

「星ちゃんがですか?」

 

「うむ、私が一刀殿を主と仰ぐようになった折にな、私のそれまでの行動を一刀殿が聞いてきたの

だ。無論女の旅を詳しく語るわけにはいかなかったが、主の命では断れぬ。

その時に風、お前のことと稟のこともお話していた、それを覚えていたのだろう」

 

星が一歩前に出てから、こちらを一切見ることなく、それこそ誰が見ても嘘などついていないだろ

 

うという表情で、淡々と語る。そしてこちらを見て意味ありげな笑みを一つ

 

「そうでしたな?一刀殿」

 

「あぁ、そういうわけなんだよ、程昱さん。」

 

一刀はその助け舟にすぐさま駆け込んだ、これで紛らわせただろうか?

 

心臓が早鐘を打つ、風の視線が何もかも見透かしていそうで恐ろしい。

 

かつての味方は今、最も脅威となる敵なのかもしれないと、そう心に刻む。

 

「もう一つ、疑問があるのですよ?私が程昱と名を改めたのは星ちゃんと別れてからなのです

よ・・・何故それなのに程立であった風を程昱と思えたのでしょうか?この時分です、姓を同じくする人はとても多いのに、何故風が程立だったと分かったのでしょうか?」

 

そこに下手な言い訳などは必要ない、むしろ、いいわけなどは使うほうが愚策。

 

だから自分を、天の御使いとして今だけは北郷一刀を少しだけ天の御使いに隠す。

 

だから今からいう言葉の前に一刀はニヤリと口を曲げて笑みを作る。

 

 

 

 

「太陽を支えるために君はいる、違うかな?程昱さん」

 

それはかつて聞いた彼女の見た夢、覇王へと仕えるきっかけ、そして名を改めた理由。

 

だからその理由を聞いて

 

「・・・・・・」

 

風は顔に驚きを得て、そしてなにやら思案するように沈黙する。回りはわけが分からないと沈黙し

 

ていて・・・そしてふと見上げてくる顔は何故か笑みで

 

「それが天の知識、というやつなんでしょうね?お兄さんの。それと、お兄さん、風のことはこれから真名の風と、そう呼んで欲しいのですよ~風もこれからお兄さんを「お兄さん」とそう呼びますので~」

 

風はそこでどんな答えに行き着いたのか、突然真名を預ける。・・・呼び名変わってないぜ?

 

だからこそ一刀は、彼女を下手に敵に回さぬために

 

「あぁ、よろしく、風」

 

自分が出来る笑みを作り笑いや、苦笑いから、天然のそれへと変えて

 

「ふむ~星ちゃんが御主人様にする理由がなんとなく分かったのですよ~・・・けれど苦労しそう

ですね~?星ちゃん」

 

まったくだ、そんな答えが聞こえるが、とりあえずこの場はこれでと一時の暗雲もどこへやら、風

 

の間延びした口調ですっかり毒気を抜かれてしまった。

 

「・・・もういい?さて、それじゃあ程昱さん、私達はこれから兵を挙げて許昌へと向かうわ。後

のことは其方で話しましょう?孫策、劉備たちもそこで集まって袁紹と戦えばいいと思うわ」

 

そう言い出す詠に一刀は思考する

 

(袁紹、曹操、許昌・・・官渡の戦いの再現か・・・異なるのはこちらが同盟軍であり、さらに董

卓が健在であること、そして袁紹が暴走していることか)

 

「さっき程昱さん達から聞いた限り、袁紹は暴走、もしそうなら彼女の狙いは帝のいる洛陽の可能性が高いわね、なんせあそこで僕たちに思いっきり嵌められてこうなったわけだから。洛陽は今の僕達連合軍にとっては非戦地帯、できればその周囲で洛陽に被害が出ないうちに・・・」

 

そうしてだんだんと声が小さくなり、詠は自らの思案に暮れていく。

 

「あ、あの!程昱さん!敵の規模などはどうなのでしょうか?」

 

その詠をかばうように月が声を発する

 

「・・・・・・ぐぅ」

 

「だから寝るなと!」

 

「おぉ!?つい目を背けてしまいました~。ところでお兄さんは起こすのが上手いですねぇ~」

 

 

 

「敵の数は?」

 

「おぉ~敵の数ですか~そうですね~・・・風が知る限りはですが~少なく見積もって20万、やも

したら40万程の軍勢でしょうねぇ~」

 

「「よ・・・40万!?」」

 

個人の集められる兵力としてはかなり多い、あの時の袁紹では40万なんて到底出せるものでもな

い。

 

なのに何故と考えれば・・・あった・・・方法が・・・だけれど

 

「馬鹿な!」

 

ある一つの事実に気付き声を荒げてしまう、その声に詠も気付き困惑した顔を浮かべている。

 

「・・・やはりお兄さんもそう思われますよねぇ?ですから風は“暴走”と言ったのですよ~」

 

そう、数が足りない、しかし増やしたい、ならば単純である。方法は二つ

 

「強制徴兵と、兵役の制限年齢の緩和・・・」

 

その呟きに詠の表情が歪み月の表情が哀しみを浮かべる。

 

「その通りですよ~『そうね!兵の数が少ないなら無理やりに集めれば良い、それでも足りないな

ら、年齢制限をなくして老人だろうが子供だろうが兵士にしてしまえば良い・・・なんて馬鹿なことを考えるの!?袁紹は!』・・・むぅ~」

 

あぁ、言葉を取られて不満そうだ。そんな風に苦笑で悪いね、そう謝っておく。

 

「・・・急ごう、これは俺達が治めなきゃいけない、この先まだ袁紹を放っておけば

さらに民に被害が出る。それも袁紹の兵としての被害が・・・」

 

時は切実に、しかし止まらない。だから急ぐ。ただ急がねばいけない

 

「・・・そうね、迷っている時間なんて移動中でも考えればいいわ。霞!兵はどれくらい動かせそう?」

 

「そうやな・・・ここらの守りの分を考えて・・・8万、それがギリギリ限界や!」

 

8万という兵はこの場ではかなり多い、それも帝の官軍を多少分けてもらえたからこそ捻出できる。

 

「月!貴女が私達の王よ!命令を頂戴!」

 

月は少し慌てて、顔を赤らめて、けれどもめに決意と力を宿して

 

「・・・今の袁紹さんは、きっととても悲しいんだと思います。ですから。袁紹さんと、袁紹さん

の兵たちを救いましょう、民衆を救いにいきましょう。きっと、このまま袁紹さんが勝ち続けてしまっては、皆が笑顔でなんていられないから・・・だから勝ちましょう!」

 

そう叫ぶ、それは決意の表れか、それとも彼女の持つ優しい強さなのか

 

「詠ちゃん!霞さん!華雄さん!恋さん!星さん!・・・そして一刀さん。力を貸してください!」

 

 

 

そう主に請われては「「「「「「「御意」」」」」」」そう応えるしかないじゃないか。

 

 

 

・・・ねね?ねねなら今、恋の家族達に餌をあげて、恋の食べ物を調達しに行っているよ。

 

 

月の命令とも請う願いともつかない檄が飛んでからは・・・とても早い

 

「詠!君は袁紹を打ち破る策を考えることに集中してくれ!霞!華雄!星!兵の編成を頼む!恋、

君のは私隊見たいな扱いだね、あの部隊は君にしか忠誠を誓っていない。だから恋がしっかりと面倒を見るんだ。それとねねを借りるよ?いざという時にここを留守にするわけにはいかないし、今回は詠にも来てもらうことになりそうだから」

 

「・・・・・・(こく)」

 

そう了承の合図を貰い

 

「ありがとう!一刀!こっちは頼むわね?それと月!本当はあなたにも残っていて欲しいのだけれど・・・今回は各国が混じっての連合だから月にも来てもらうことになっちゃうわ・・・ごめんね?」

 

「ううん・・・いっつも私は詠ちゃん達に任せっきりだから・・・だから今回は私も頑張りたい!」

 

その決意は・・・一体どこから来るのだろうか。

 

そして「任せとき!」そう言って霞たち3人も兵の編成に向かい・・・

 

「突然あわただしくなってごめんね?風、楽進さん」

 

「おかまいなくですよ~兵は速さを大事にしてこそですからねぇ~」

 

「私は別に構いませんが・・・」

 

二人につい謝ってしまう、そんな時

 

「御使い様、なんですよね?貴方が」

 

楽進が口を開いて・・・たどたどしく聞いてくる

 

「そう世間では呼ばれているね?」

 

一瞬だけ顔をほころばせて、けれどまた暗い顔をして

 

「貴方のお噂はかねてより聞いていました、黄巾の時にも、私達の邑は幸い華琳様に救われましたが、数多くの邑が略奪にあいました」

 

彼女はとつとつと、ただ静かに続ける、このあたりの喧騒が嘘であるかのように

 

「そんな時です、天の御使いなるひとが董卓という太守の元に降り立ったという話を聞いたのは。そして貴方がいる街はとても繁栄しているとも。そこでは黄巾すらも降ると」

 

(確かに黄巾で降ってくれた人はいたけど、それは偶然な気がするけどな)

 

そんな思考なんて知らない彼女はまだ語る

 

 

「洛陽の街も・・・私は見ました。暴政という噂で貴方を一時疑ってしまったことを・・・後悔し

ました。あの街は華琳様ですら素晴らしいと絶賛するほどに栄えていました。そしてなによりも・・・民衆が貴方や董卓様を待ち望んでいたのです。私達はあそこではすっかりと悪役でした」

 

彼女はそこで悔しそうに唇を一度噛んで

 

「貴方を疑った私に罰を下さい、始めはそう言おうかと思いました。けれど、貴方を見て、罰を与えろなどといえばそれこそが貴方への罰になると思い、やめました。ですから御使い様!」

 

そこまで言って彼女は意を決する

 

「私の真名をお受け取りください。どうか我が真名を預かってください」

 

彼女はやはりとても生真面目で

 

「あぁ、受け取るよ、君の真名」

 

その言葉でとても、とてもいい笑顔を見せた

 

「は、はい!ありがとうございます!御使い様!・・・私の真名は凪といいます、どうかお預かりください」

 

だからと、そう一刀は返すために

 

「ありがとう、凪。それじゃあこれからは俺のことを北郷か一刀、名前で呼んでくれないか?天の

御使いとか御使い様とかだと妙にくすぐったくてね」

 

「いえ!そんな・・・『呼んであげたほうがいいと思いますよ?凪ちゃん。この人はかなり強情なようですからねぇ』・・・北郷様・・・」

 

風の言葉で恥ずかしそうに顔を赤らめて凪が一刀の名を呼ぶ。かつての世界ではひたすら隊長と呼

 

ばれていたからそれはとても新鮮で

 

「うん!これからよろしくね?凪!」

 

つい、頭を撫でてしまう

 

「オゥオゥ兄ちゃん!初対面の女の子の頭を、それも他国の武将の頭をいきなり撫で回すなんて勇気あるじゃねぇかよ」

 

風の頭にいる奴が喋る

 

「そうですね~公平なお兄さんは風の頭も撫でておくべきだと思うのですよ?」

 

それはかつての世界と同じような空気、けれども全く違う世界。

 

だから一刀は笑みを浮かべる、悲しみを見せぬように、動揺を隠すように、自らを偽るために。

 

 

兵の準備は着実に整っていく、詠もきっといい策を思いつく。そして月はこの争いできっと今より

 

も一回り大きく成長する。そんな予感。

 

ここから先、自らが知る歴史と大きく食い違った未来。それを少し不安に思い。

 

けれども今の仲間のことを考え、その不安を打ち消すように。

 

静かに、とても煩く。反袁紹連合と、袁紹の決戦の日が近づいてくる。

 

風達を送り出した3日後、糧食など全ての準備を整えた董卓軍は長安の街を後にする

 

「恋どの!長安は必ずやねねが死守して見せますぞ!」

 

留守番にはねねになってもらった。今回は月も出立する、しかし王宮を空には出来ない。

 

かといって武官では政務に対応しきれない。そして詠は月の筆頭軍師として参加することが約束さ

 

れ、一刀も武官兼軍師として兵を率いる身、それゆえに恋にねねを貸してもらって留守番を任せた

 

のだ。

 

幸いなことにこの連合は帝が発したもの、それゆえにこの連合を邪魔するものはそうそういない。

 

この漢の国の州のものなら。

 

だがそれゆえに誤算とは存在する。彼女達にとっては手痛い誤算が。

 

それを知らずに・・・彼女達は許昌へと、その足を向けているのだった。

 

 

 

-side袁紹-

 

「許せませんわ、許せませんわ」

 

袁紹の呟きだけが玉座に木霊する

 

「名家の私を、この袁家をよりによって逆臣扱いするなんて」

 

彼女は何も考えられていない、ただ馬鹿なのではなく、冷静さを持ち合わせていない。

 

「思い知らせてやりますわ、私を怒らせたらどうなるかを!」

 

名家の生まれだけあって、彼女は基本的に手に入れられぬものなど無かった。それこそ初めての挫

 

折が華琳であるくらいである。かつて欲して、けれど手に入れられなかったのは。

 

今は覇王を目指す少女一人。それなのに今は、欲したものが手に入らないばかりか必要なものまで

 

かその手から零れ落ちそうな始末。そしてやはり欲した少女は・・・今でも尚手に入らない、そし

 

て彼女の最悪な敵。

 

「今度こそ手に入れて見せますわ・・・私の欲しいもの全部」

 

それは、帝であり、華琳であり。そして名声であり、この大陸であり

 

「私を嵌めた男・・・天の御使い北郷一刀・・・貴方も絶対に手に入れて見せますわ」

 

ただただ、彼女は欲しいものを手に入れるだけ。だからほかの事に眼を向けない。

 

民のこと?街のこと?政務?その全てに目がいかない

 

「必ず私のものに」

 

ただそれだけを一人呟く。

 

そしてその別室。文醜はここ最近の侵攻で疲れ果て眠っているが

 

「天の御使い様・・・北郷様・・・貴方なら・・・」

 

顔良だけが、ただ暗く暗く、そしてなお暗く呟く。

 

その眼は空を見上げて月を見ていて、そして何も見ていない。

 

 

-side馬超-

 

正直に言おう、今はやばい。

 

反袁紹のことも大事だ、だが母、馬騰が病で倒れた。

 

それを契機に五胡の一つ、羗が牙をむいてきた。

 

その両方におわれる。普段は母が下すことも私が下さなきゃならない。

 

自慢じゃないが私はそこまで頭がよくない。馬上の武で競えば負ける気は無いが

 

しかし頭に関しては私なんかよりも従妹の蒲公英のほうが数段上だ。

 

だからこそ、この二局面に私は対処できない。だからこそどちらかに絞る必要があり。

 

・・・私は自らの母が治める領土を選んだ。

 

一つに絞れば撃退は出来るだろう。しかしあの連合は帝の発したもの

 

母は帝のためにと心血を注いできた人物。その帝の、漢の意に背くことに抵抗はある。

 

けれども私は守らねばならない。この土地を。

 

だからこそ、心の中で何度でも謝ろう。罵声罵倒なら受ける覚悟もしよう。

 

その決意をこめて、最も信頼が出来る従妹に託す

 

「蒲公英!おまえは連合の董卓のところに行って馬超は此度、その連合には参加することが出来な

い!と!そしてその理由は五胡の羗の侵攻を防ぐためだと!そう伝えてくれ!」

 

「お姉様!?」

 

「いいからいけ!武に関してなら私のほうが数段上だ!そういう政治事に関してはお前のほうが上だ!だからいけ!道ならば作るし・・・お前一人いなくてもここを落とさせる気はさらさら無い!」

 

その言葉で

 

「・・・今度ちゃんと訓練つけてね!お姉様!」

 

蒲公英は馬に身を乗せ、長安へと走る。

 

もはやそこには董卓はいないことなど、当然知る由も無く。

 

 

-あとがき-

 

・・・遅れに遅れたorz  まず一言、遅れてしまい申し訳ありません。

 

これだけ言わせてください。今回は理由などありません、ただの遅筆です(ぁ

 

そんなこんなで新局面、反袁紹連合編がスタートしました。しかしいきなりかなり不穏にしてしま

 

いましたかね?4つの√のうちダーツは○○√を選びましたからねぇ・・・

 

今回とかまだ仕込みの第一段階ですよ・・・進まない進まない。

 

相も変わらずの鈍亀ペースで申し訳ないです。

 

そしてコメントで見せていただきました。

 

「小説総合スコア合計1~5位総なめじゃないですか!」・・・・まじでか・・・

 

これも皆様のご愛顧ゆえというわけでして。感謝してもしきれません。

 

そしてなによりもこの恋姫が良ゲーだからなのでしょうねw

 

とある人の小説見てて「一次創作は閲覧ものびねぇ」と。個人的には面白いと思ったり

 

する場所もあるいい作品だと思うのですが確かに伸びない。

 

 

閑話休題

 

 

ところで、ですが!うちのサークル仲間にもボッコにされたから聞くのですけど

 

やっぱ月だけでも拠点入れたほうがいいですかね?差別するなとか言う意見も合ったのですが。董

 

卓√で月の拠点が無いって何ナノ?詐欺なの?死ぬの?とか言われまして・・・

 

もし拠点が必要なら

 

 

1、時系列無視 2、月に勝っていた明命も入れる 3、即興になるかもなので質は期待しない

 

 

この3点を納得してくださるなら書きますが。どうでしょうか?

 

そしてやはり問答をさらす。

 

1、なんで華雄はいきなりあんなシーンなの?贔屓なの?なに?死ぬ?死んどく?奢る?:

俺華雄大好きなんだ。多少の贔屓があって悪いか!・・・いやまぁ、書き方変えようとしたらああなったってのが本音。違和感あったかな?

 

2、恋は食わせてこそだと思うのだが・・・どうだろうか?:

次の拠点では食わせようじゃないか相棒。俺もそれは迷った候補にちゃんと入れてるぜ。

ただ今回は寝かせたかったんだ。それも寝台で、頬すりすりしながら!・・・マジすまん。

 

3、俺の嫁のねねが拠点無いとかなんなの?:

キックしないからね、ここのねね。キックするタイミングにねねがいないというか。

うん、まぁ。俺も嫌いじゃないからいつか、拠点できるといいな!

 

4、???って結局なんだったんだよ、教えないとそのデッキを裂く!:

デッキマジ簡便、えっとね~???は混合√だったわけなんだ。俗に言うハーレムとか2:1とかそんな感じで書こうかとね。ただこれは下手にやると暴走しまくる諸刃でね。

だからハーレム√と書かずに???としたんだよ。ちなみにハーレムは同票がいればそれとそれを、いなければ4位と5位、無理がありそうなら4位優先で順位が上のやりやすいキャラ、今回なら恋と明命だったわけだね。どっちにしろ月でねぇ・・・・

 

 

だいたいこんなところで。それではまた次のお話で!

 


 
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