孫権伝第8話
『西進、目指すは水鏡塾』
人材確保の為柴桑を出発してもう10日は経った。柴桑から速攻西に向かって川を渡り、江陵へと抜けた俺は襄陽に向けて旅支度を整えていた。
一刀「さてと・・・黒耀、荷物重くないか?」
此処で結構な物資を買い付けて黒耀に持たせてる訳だが、黒耀は余裕綽々だと言わんばかりに先に歩きだしてしまった。
一刀「おぅ!?黒耀、悪かった、お前なら余裕だよな!だから先に行くなよ!!」
俺は駆け足で黒耀に追いつくとそのまま上に飛び乗った。結構勢いを付けて乗ったのだが、さすが黒耀。びくともしない。
一刀「さてと・・・西に出たからには一回は寄ってみよう水鏡塾。どんな物なのかな?でも、江陵で情報を集めてみた所、女学院らしいんだよなぁ・・・つまり・・・諸葛亮とか鳳統は女性確定じゃマイカ。」
そんな俺の呟きに黒耀はため息をついた。なに?また女かって言いたいの?言いたい事は分かってるよ相棒。どうせ俺は種馬ですよぅ、グスン。
??「もしもし、そこの旅のお方。」
一刀「・・・はい?どうされました?」
??「実はお聞きしたい事が・・・この先の江陵の街で銀の髪をして長剣を持ち、男性をゴミ虫を見るような目をした、自分を少女と呼ぶ女の子を見かけませんでしたか?」
一刀「すんごい特徴的ですね。それに男をゴミ虫を見るようにって・・・なんか聞いた事のある特徴だけど、そんな女の子は見かけてないですよ。むしろそんな女の子が居たら俺がほっておくはずがありません。」
??「え?貴方はそういう趣向のお方ですか?」
一刀「いえいえ、そんな子と仲良くするように努力するのが俺の仕事みたいなものです。その子がどうかしたんですか?」
??「はい・・・その子は私の所で預かっているのですが、どうやら母親の仇を討つと言って飛び出したらしく・・・その報が届いたのはつい5日前の事なのです。」
一刀「それは・・・」
穏やかじゃない状況だな。と言おうと思ったのだが、すぐにその女性は江陵に向けて歩き出してしまった。
??「とにかく江陵に向かってみますね。情報ありがとうございました。」
一刀「あ、はい。・・・・・・あ、その子の名前とかあの人の名前聞き忘れた・・・仕方ない。一応心の隅に留めておくか。もしかしたら道中に出会うかもだしな。」
そんなつぶやきに黒耀はまたため息を付く。分かってるやい!!どうせ種馬ですよ!!
そのまま俺は黒耀と他愛の無い会話(独り言)をしながら旅を続けた。すれちがう商隊にはへんな目で見られたが、気にしない。
それから二日、襄陽に移動中の俺は現在深い森の中を歩いていた。
一刀「うん。正直迷った。」
水鏡塾は山の中だと聞いてた手前、よし山に入って見よう。そう思ったのが運のつきだった。
一刀「まったく・・・どうしてこうなったし。」
自分で自分に愚痴を言う。此処まで来てなんだが一人旅はすごくさみしいです。
??『母の仇、覚悟しろ!!』
一刀「ん?今、声が・・・」
そう思って耳を澄ましてもこれ以上聞こえてこない。幻聴とか俺どんだけ旅の友が欲しいんだよ。と思っていた矢先悲鳴が響いた。
??『い、いやぁぁぁぁ!!はなせぇぇぇ!!』
一刀「!?黒耀、必要になったら呼ぶ。此処で待ってろ!」
俺は黒耀から飛び降りるとそのまま走り出す。間に合ってくれ!!
??「ぐ、はなせぇぇ!!汚らわしい、男なんて――っ!」
賊A「へへへ、お前の母親と同様お前も良い体してんな。ちょっと胸が足りねぇが・・・いい声で泣きそうじゃねえか。」
??「や、あ、足を開くな・・・やめ・・・やめてぇぇぇ!!」
賊B「暴れんなよ。」
賊C「そうだぜ?暴れればそれだけ死ぬのが早まるってもんだ。」
??「お、犯されるぐらいなら・・・男の汚らわしい物を入れられるぐらいなら・・・死んだ方がましだ!!」
賊A「おいおい。その汚らわしい物をお前の母親は突っ込まれてお前が生まれたんだからそんなこと言うなよ。今からお前にも女の喜びを感じながら俺の子種を注いでやるんだからな。」
??「ひ・・・やめ・・・」
賊A「じゃ、まずは・・・前戯なしで一気に貫通式だぜ!うぇっへヘヴン!?」
賊B,C「・・・・え?」
??「・・・?あ、あれ?」
一刀「まったく・・・聞いていれば勝手な事をぺらぺらと・・・」
賊B「き、貴様何してくれてんだ!?」
賊C「そ、そうだぞ!よくもアニキを!!」
一刀「今の俺は相当機嫌が悪い。だから・・・死ぬがいいさ。」
ガゥン!!ガゥン!!
一刀「・・・本当は使う気が無かったんだがな。お前らは運がいい。いやこれは悪いのか?とにかく・・・死んでおけ。」
そう言って二人の賊を見ると、眉間に穴をあけて息絶えていた。後ろでガサリと音がしたので見ると、吹き飛ばした賊が逃げようとしていた。
一刀「逃げんなよ。」
そう言って俺は引き金を引き、両足に鉛玉を撃ちこんだ。俺の両手には鉄製のシリンダーと銃身、それ以外は木製のリボルバーが握られていたのだ。
一刀「・・・ほら、あいつは逃げられねえぞ?やるなら今だ。」
??「あ・・・っ!ああああああああああああああああああああ!!!!!!」
俺の言葉に跳び上がった少女は落ちていた長剣を拾い上げるとそのまま男の顔面に向けて突き立てた。
賊A「ぎゃああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
??「うああああああああああああああああああああ!!!!」
ザグ!ザグ!ザグ!と何度も執拗に頭を狙う少女に若干引きながらももう終わりだとなだめることにした。
一刀「もう死んでるよ。充分だろ?」
??「はぁ、はぁ・・・ふ・・・ふぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!」
一刀「って、泣きだした!?ちょ、泣くなって!ああ・・・もう!」
そう言って俺は少女を抱きしめた。・・・ええい、外野黙れ。そうだよ。落しにかかってるよ。自覚してるよ。
一刀「ほら、もう大丈夫、泣かなくていいよ?母親の仇だったんだろう?そいつは死んだ。もう怖い事もない。だから落ち着いて。ゆっくり深呼吸するんだ。・・・そうそう、そのまま目をぎゅっと瞑って・・・そのままゆっくり開いてご覧。そのまま上を見るんだ。ほら、木々の隙間から日の光が君を照らしてよくやったと言っているよ。だから・・・もう泣くのはお止め。君のお母さんも君を褒めてくれるさ。」
??「ぐす・・・あ、ありがとうございます。その・・・って男ぉ!?!?!?」
落ち付いた少女は俺が男と知るとすぐに離れて行ってしまった。うぅん、いい匂いだったのにな。
一刀「さすがに傷付くなぁ。これでも命の恩人なんだけど・・・」
??「あぐ・・・す、すいません。男だと思うと体が拒絶反応を・・・」
一刀「まあ、あんな目に合ったんだ。それは当然か。えっと・・・銀の髪に長剣、男嫌い・・・ああ、君があの時の女性が探してた仇討ちに出た女の子か。」
??「へ?知ってるんですか?」
一刀「名前を聞きそびれた・・・だから詳しく知らない。江陵の街を出てすぐにあった人だよ。えっと・・・綺麗な藍色の長髪を両脇で束ねている細目の爆乳なお姉さんでちょっとおとぼけに見えなくないけどかなりしっかりした・・・そう、正しくお姉ちゃんって言葉が似合う人だったよ。」
??「先生だ・・・先生が少女を探してたんですか?」
一刀「ん、そうみたいだね。で、どうする?江陵に向かう?そんな返り血だらけで街に行ったら混乱すると思うけど・・・」
??「あ・・・」
一刀「ふむ・・・ピィィ!」
??「??」
一刀「あ、ごめんごめん。連れを呼んだだけだよ。」
そう言うと森の奥から黒耀が駆けて来るのが見えた。
一刀「どうどう。さ、黒耀に乗ってすぐに川を探そう。着替えは男物だけど持ってるし・・・まずは水浴びだ。俺もあいつ等の返り血でべたつくしね。」
至近距離で賊の頭を吹き飛ばせばそうもなる。たぶん付いてるのは血だけでは無いだろう。
??「み、水浴び!?ふふふ二人きりで!?」
一刀「あ・・・いや、勿論離れたところでだよ?あ、それとも信用できないとか?むぅ・・・そうしたらどうすればいいかな・・・こんな森深くに女の子一人取り残すわけにも・・・なんと言っても俺はこの森で迷ってる口だからなぁ。水辺は黒耀が見つけるの得意だとしても、出口まではなぁ・・・」
??「あ、だ、大丈夫です。信用します。」
一刀「そう?じゃ、行こうか。俺は北郷って言うんだ。君は?」
??「少女は徐庶、字を元直と言います。」
徐庶元直とかマジかいな。ってことはあの人が司馬徽、水鏡先生か。
それから数分後、それなりの川が見つかり、俺と徐庶はそれぞれ見えない位置で水浴びをしたりと汚れた体を清めて行った。
一刀「ふう、それにしても・・・たった三発で使い物にならなくなったな、リボルバーHKT0は。」
ちなみに『北郷一刀タイプ0』が正式名称だ。どうしてこんな物があるのか。これは自作なのだ。例の多次元アタッシュケースから設計図を取り出して地道にコツコツと作り上げたのだ。
一刀「構造と機構の把握は完了、急務は鉄の研究か。薬莢の強度は問題なし、やっぱり問題は鉄の強度か。」
徐庶「あのぅ・・・」
一刀「ん?ああ、元直か。水浴びは終わった・・・の・・・」
なんて言うかその・・・俺はそんな物渡しましたか?彼女の姿はまさしく艶めかしいの一言に尽きる。真っ白な絹の浴衣みたいなものを纏って、ちゃんと体を拭いてないのか僅かに濡れて肌に張り付いている。彼女の胸は適度な大きさで、腰は引き締まり、お尻は、それはもう・・・うん、いい物だ。孫権ほどではないが、美尻と言えよう。そんな艶めかしい日本美女を彷彿させるのに銀髪とその容姿から英国貴族を彷彿させる容姿なのでそれはもう、はい、長ったらしくなりましたが詰まる所こうなのだ。
一刀「・・・ふつくしい・・・」
徐庶「へ?」
一刀「いや、なんでもない。元直、その格好は・・・目のやり場に困る。」
徐庶「・・・信じてますから。」
その信頼は今の俺には苦痛でしかない!
徐庶「それより・・・それはなんですか?」
一刀「ん?ああ、これは・・・」
教えていいのか?いやだが、見られた以上説明しない訳にもいかない。だが・・・
一刀「人を簡単に殺せる道具だ。剣より軽く、槍より早く、弓より遠くからね。この大陸の人から見たら忌むべき禁忌の武器だ。だから・・・あまり知られたくないかな?」
徐庶「そうですか・・・」
一刀「・・・ごめん、やっぱ服着て。俺の理性が持たない。」
徐庶「ですから、信じてると。」
一刀「ならば言おう。その信頼を裏切ってでも君は魅力的だ。だから頼む。俺を獣にしないでくれ。」
徐庶「むぅ、そこまで言われるのなら・・・条件があります。」
一刀「条件?」
徐庶「それについて教えてもらえれば服をちゃんと来ます。」
一刀「・・・」
徐庶「・・・」
この子は・・・好奇心旺盛過ぎやしないか?襲うぞ?襲っちゃうぞ??周りからどんな評価を受けようと襲っちゃうからね!?
一刀「・・・・・・分かったから服着て。」
俺の意気地なしぃぃぃぃぃぃぃ!!!
徐庶「分かりました。・・・・・・・・・むぅ。」
はあ・・・おしい事をした。いや駄目だ。無理やりとか絶対駄目!
徐庶「はい、服着ました。」
一刀「じゃあ、これについて説明をぉぉぉぉぉぉぉ!?!?!?!?」
普通の服を着てる筈なのになぜに肩をそんな露出しますですか!?むむむ、胸の谷間が・・・よく見たら太ももが、太ももがぁぁぁぁぁ!!!!
一刀「君は男嫌いだったんじゃなかったのか!?!?」
徐庶「男は嫌いです。ですが・・・殿方なら別です。」
一刀「同じじゃないか!?」
徐庶「男と書いて汚らわしい、殿方と書いて一生を尽くしてもかまわないお方、です。」
一刀「それって・・・まさか。」
徐庶「はい、私は貴方の事が・・・」
一刀「俺について来てくれるって事か!?それは助かる!君みたいな子に味方になってもらえるなんて俺は何て幸運なんだ!!」
徐庶「え?あ・・・はい。え?そう捉えてしまうんですか?ああ・・・そう・・・ですね。」
何やら徐庶はうなだれてしまったが・・・うん、話は逸らせたようだ。いきなり愛してますとかあり得ないよ。
一刀「で・・・だ。元直はどうする?その先生の所に行くか?俺は水鏡女学院に用があるんだが・・・?」
徐庶「その前に・・・コホン。北郷様、我が真名は鉄色に輝く理。
一刀「ああ、俺は一刀だ。よろしくな。輝理。」
輝理「はい!それではこれからですが・・・学院に向かいましょう。どのみち水鏡先生もすぐに戻る筈ですし。おそらく買い物ついでだと思いますから。」
一刀「買い物ついでに襄陽から江陵に来てたの!?」
輝理「物によっては江陵でないと手に入らない物がありますから。」
一刀「そ、そうなのか~」
こうして俺と輝理はそのまま水鏡女学院に向かって旅を開始した。
輝理「それで黒耀の上で私が一刀様に馬乗りになればいいんですかね?」
一刀「君は本当に男嫌いなのかそこんところ話しあおうか!?」
輝理「体で語りあうのですね!分かりました今脱ぎます!!」
一刀「真面目な子だと思ったらとんだ痴女だったよ!?」
輝理「そんな・・・こんな姿は一刀様にだけしか見せません!」
一刀「黒耀もいるから!?」
輝理「黒耀はむしろ覗きたいと言っています!」
一刀「黒耀は誇り高き騎士だからそんなことないよおおおおおおおおおおおお!!!!」
俺の性神(精神)はもつだろうか?それだけが心配だ。
あとがき
一刀「おい、徐庶が変態じゃないか。と言うか男嫌いじゃないのか?」
桂花みたいな男嫌いと思ったか?残念好きな男にはとことん変態な変態さんだよ。
一刀「お前なあ・・・これじゃあいやいや言ってる娘を落とす楽しみがなくなっちゃったじゃないか!!」
だまれやこの変人がああああああああああああああ!!!!!
一刀「ボゲラズバ!?」
悪は滅した。さてと、かなり投稿が遅れましたことを此処で謝罪いたします。9話かいてたら長くなっちゃった☆
蓮華「そうなの?私てっきり書くの飽きたのかと思ったわ。」
ソンナコトナイデスヨー。ダカラナンカイハオウシマッテクダサイヨー。
蓮華「まったく・・・それで?一刀の女が一人増えたようだけど。どうなるのよこれから。」
もっと増えmイヤダカラナンカイハオウヌカナイデー。
蓮華「人が増えると色々大変でしょう!少しは考えて!!私の順番回るの遅くなる!!」
いや、そこまで進んで無いでしょう?孫権伝。大丈夫だって。ちゃんと・・・きっと大丈夫だって。
蓮華「表現があいまいになってる!?まったく・・・えっと次回予告?次回孫権伝第九話。あれ?丸ペケは?」
ちょい難航です。文章に起こせてないです、すみません。ごめんなさい。悪かったです。だから長門さん、青龍偃月刀構えないでください。主砲から撃ち出さないデヴァ!!!
蓮華「・・・まあ、次回また会いましょう。それじゃ。」
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孫権伝第八話です。
だいぶ日数空きましたが、これが俺の限界だった件。
それでは本編どうぞ。
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