トイレで水を流す
じゃぁぁぁぁ・・・
「ふぅ・・スッキリした」
ここ最近トイレに行く回数が増えた
この歳で頻尿はとても困る、この歳というと20歳以下である
つまりは学生である
「さてと、戻りますか」
今は授業が3時限目に入りつつある休み時間、授業で疲れた頭を5~10分程度で休めるとでも思っているのかね・・まぁサボってたけど
教室に入り自分の席に座る、席は一番後ろの窓側である
とても暖かくすぐに睡魔に襲われる
だがサボり常習犯である俺にとっては、窓側の反対側つまりは教室のドア側が好ましい
すぐに抜け出せる
「授業始めっぞー、席つけー」
教室に教師が入ってくる、名前は・・まぁいい
これから俺は授業に参加しつつサボるつもりでいる
ちなみに机に突っ伏して寝るという選択肢は最初からない
教師が黒板に向かって何か書き始めたらチャンスだ
この教室にはベランダがついていて隣の教室のベランダに繋がっている、これを利用してこの教室から抜け出す
そっと椅子を引き落とした消しゴムを拾うかのように屈みベランダへと出る
ベランダにさえ出てしまえば後は簡単、隣は使われていない教室
休み時間に窓の鍵を開けておいた
「抜け出せたことだし、トイレ行ってから体育館にでも行くか」
トイレで水を流す
じゃぁぁぁぁ・・・
「よーし、体育館行くか」
他の教師に見つからないように気を付けつつ体育館へと向かう
体育館の二階へ素早く上っていく、二階といってもフロアがあるわけではなく窓を開けるためだけにある階段を上っていく
ボールが入ってこないように吊るされたネットと手すり越しに下を覗く
誰もいない
とても広い
この広い体育館に入り日当たり良好な二階へと上り、隅っこでイヤホンを耳につける
音を大きくして周りの音が耳に入らないようにして仰向けになる
「そういや4、5時限目になんかやるんだっけ・・」
最近は授業をやらずずっとこんな感じだ
授業も教師の連絡も流して聞いているため何をやっているかはわからない
こういうのは友達とかに聞けばいいのだろう
が、残念ながら休みだ
いや他にも友達ぐらいはいる、少数だがいる
暇な時間や昼休み、下校時には話しながら帰る時もある
だがそれはただの友達だ
今体調不良で休んでいる友達、友達の中では最も親友に近い友人
彼女になら聞ける気がする
そもそも学校を休んでいた人間に学校の出来事を聞いてもわからないだろうが
「あちぃ・・窓開けよ・・」
教室の窓の2、3倍はあるのではないかと思う程に大きな窓を少しずらす
微かに風が吹いてきている
「あー涼しい」
窓をボーっと眺めていると見慣れた車が学校の敷地内に入ってきた
噂をすればなんとやら・・・友人がやってきたようだ
ここ最近は調子が優れないようで午後出席が多い
頭は好いのだが出席日数が足りなくなりそうでひやひやする
俺の出席日数でよければあげるんだがな
「・・・昼休みは教室に戻るか」
その前にトイレだ
トイレで水を流す
じゃぁぁぁぁ・・・
「売店でパンと飲み物買って教室に戻るか」
教室に入り自分の席とは対局の席、一番前の教室のドア側の席に近づく
パンを食べながら席の近くの壁にもたれかかる
「ちーす、最近どうよ」
スッと声が出る
「おはよう、いつもそのパンだね飽きない?」
相手も返してくれる
「このパン以外は美味くないんだって、あんだけ種類があるのに美味いのがこれだけとかおかしいだろ」
「購買行ったことないなぁ」
そう言いながら弁当を出し始める
こうして昼飯を食べ始めるのはよくあることだ
ゲームの話をしてアニメの話をして昼休みは消費する
「5時限目って何?」
「知らねー、さっきまでサボってた」
「授業受けようよ」
「めんどー、疲れるし」
「まぁそう言わずに・・」
俺らが話している最中
「おーい、ちょっといいか?」
相方が教師に呼ばれた
「はーい、じゃあまた授業中でね?」
「えー」
釘を刺されてしまった
授業に出なさい・・・お前は俺の母親か
まぁ言われたからには出てやるけど
その前にトイレだな
トイレで水を流す
じゃぁぁぁぁ・・・
「やべぇーもう授業始めっちゃったよ、このままサボろうかなー」
しかし口約束をしてしまった矢先にサボるのは少しどうかと思う
「仕方ねぇ、教室戻るか・・」
教室の後ろのドアを静かに開けてみる
クラスの連中が床中に紙をばら撒いて何かやっている、まるで文化祭の時のようだ
連中の邪魔にならないようにベランダに出て座る
イヤホンを耳につけ音を上げる
周りの音が微かに聞こえる程度に音を上げボーっとする
と、肩の辺りを誰かに軽く叩かれた
「ちゃんと教室にいたね」
「よう、話は終わったんか」
イヤホンを片方外し話を続ける
「うん、色々足りないって言われた」
「俺で補えるならあげるけど?」
「君もギリギリでしょ?」
「バレた?」
他愛もない話で5時限目は潰れた
時は過ぎ、帰り道
俺は自転車で登下校している
彼女は車で送り迎え
お互い学校から家までそう遠くはないが何かに乗って来ている
遠くないからこそたまに歩いて来る
「春のわりに暑くね?もう汗出るんだけど」
「早いね、君暑がりだもんね」
「あーそういう君は寒がりだっけか?」
「うん、ちょうどいい気温だよ」
他愛もない話をしながら彼女の家につく、俺の家はもう少し歩かないとつかない
学校から俺の家の間に彼女の家はある
「じゃあまた」
「おう、明日な」
「行けたらね?」
「おっけーおっけー、そうだ明日ゲーム持って行くからさ来たらやろうぜ」
「うん」
帰ったらトイレに行かないとな
トイレで水を流す
じゃぁぁぁぁ・・・
5時限目に突入、彼女は来ていない
具合が良くないのだろうな
学園祭か文化祭か知らないけど、連中の準備を邪魔をしないようにベランダに出る
今度は完璧に隠れるようにベランダで仰向けになる
イヤホンを耳につけ音を上げる
周りの音が聞こえない程度に音を上げる
軽く目を瞑り誰にも見つからないことを祈る
誰かにイヤホンを外された
目を開けてみるとそこには友人がいた
「おはよう、やっぱりここにいたね」
「・・・・いつ来た?」
「さっき」
「おはよう」
「うん、おはよう」
今日はてっきり来ないと思っていた
なんとなくだが来ないと思っていた
「何してたの?」
「日向ぼっこ?」
「なんで本人がわからないのさ」
「何でだろうねぇ、不思議だねぇ」
「他人事みたい」
今日も他愛のない話で埋まった
トイレで水を流す
じゃぁぁぁぁ・・・
今日も4,5限目はよくわからないことをしている
とうとう教室を飾りつけ始めた、教室の前の廊下もだ
見た感じ規模はそんなに大きくはないようだ
誰かの誕生日か?それとも転校生か?
今日もベランダで横になる
大きく窓が開いた音がした、今までにないことがおきて軽く驚く
「ちょっとは手伝ったらどうなの?」
友人ではなくクッソ真面目な学級委員長だ、サボっていたのがバレた
「って言われてもな、なにすりゃいいのかわかんねぇし」
イヤホンは外さず音を下げ話す
「こういうのは何より気持ちが大事なんだよ?あなたが一番やらないといけないんだよ!?」
なんとことかさっぱりわからん
「あーはいはい、じゃあ何か作るから」
クッソ真面目な堅物学級委員長の脇を通り教室へ入る
連中はこっちを見ている
「これもらってくな」
ベランダから一番近いグループから折り紙らしきものを4枚程奪って再びベランダへ戻る
「さーて何作ろうかなー」
堅物真面目眼鏡もため息をつきながら教室内に戻っていった
「俺折り紙って鶴しか折れないんだよなー・・」
鶴を折っていく、脚も付け足して完成
我ながらいい出来、惚れ惚れしちゃうね
4枚とも全部脚付き鶴を折って今日は終わった
トイレで水を流す
じゃぁぁぁぁ・・・
「ふぅ・・4時限目だけは絶対に来いって言われちまったよ」
めんどいな、これで何もないなら今後一切教師の話は聞かないことにする
トイレに行っていたせいでだいぶ遅れた、というよりかはわざと遅れた
結構後半に隣の教室からベランダ経由で教室に戻った
昨日までキャッキャと準備していた連中が泣いている、誰かいいことでも言った?
このパーティーの主役はどうやら友人らしい、そんな話は聞いてないぞ
「あっ、遅かったね」
「おう・・・これなんだ?」
「あのね、みんなに内緒にしてもらってたんだけど学校辞めることになったんだ」
「なんで内緒にしてたんだよ」
行ってくれればちょっとは教室に居てやったのに
「泣いちゃうかなーって?」
「いや泣かねーよ、つか会おうと思えば会えるじゃん」
「うん、そうかも」
「かもってなんだよかもって、引っ越すわけじゃないんだろ?」
少しだけ動悸がした
「たぶんね、今のところは引っ越す話は聞いてないよ」
「そっか」
動悸がなかなか治まらない
「じゃあそのうちカラオケ行こうぜ」
「調子が良かったら行こうね」
「おう」
彼女は小さな延命装置をつけていた
昔からつけていたそうだ、俺はそのことを知らなかった
もう治ることもなく辛い思いしかしないなら装置を外そう
「・・うん」
治せなくてごめんね?
ごめんね?
「・・・・うん」
次の日から彼女との連絡が途絶えた
トイレで水を流す
じゃぁぁぁぁ・・・・・・
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こんな夢を見ました、お漏らしはしていません。
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