「白蓮ちゃ~~ん♪」
「良く来たな、桃香」
連絡も無しにやってきた友人を、白蓮は快く迎えた。
「この子たちは私の義姉妹の愛紗ちゃんと鈴々ちゃん!・・・あ、そっちは真名で・・・・・・」
「関羽と申します」
「張飛なのだ」
「桃香、真名から教えてどうするんだよ・・・」
「えへへ・・・・・・」
「おっちょこちょいな所は相変わらずだな」
苦笑いを浮かべる白蓮。
「ところで桃香、あそこにいる男はいったい・・・」
白蓮が指差した方には、柱に寄りかかる一刀の姿があった。
城下街についた一刀はすぐさま三人に別れを切り出したのだが、
「え~~、一緒に白蓮ちゃんに会いに行きましょうよ」
「この辺りで医療活動を行うのなら、太守に覚えてもらって損は無いと思いますが・・・・・・」
「お兄ちゃんも一緒にいくのだ!」
三者三様に誘われて、結局着いてきてしまったのである。
「あの人は北郷一刀さん。凄く腕のいいお医者さんなんだよ」
「へぇ・・・」
「・・・・・・」
一刀は柱に寄りかかるのをやめて桃香たちの所へ歩いてきた。
「北郷一刀だ。よろしく頼む」
「こちらこそ」
「・・・早速だが、治療は必要ないか?」
「へ?」
「かなり酷い肩こりと見受けたが・・・・・・」
「・・・見ただけで分かるのか?桃香が言うだけの事はあるな・・・・・・」
「今回は無料で治療するが、どうだ?」
「いいのか?」
「ああ」
「それじゃあ、頼もうかな・・・・・・」
白蓮は椅子に座って肩口を露出していた。
一刀は触診をしつつ、白蓮と話をしている。
「主に精神面が原因のようだな。苦労性なのか?」
「そうだな・・・今始まった事でもないけど・・・・・・」
遠い眼をする白蓮。
小さい頃から苦労人だったらしい。
「桃香にも苦労させられたんじゃないのか?」
「まあな」
「白蓮ちゃんひど~い」
桃香から非難の声があがる。
「俺もここに来るまで随分手を焼かされたよ」
「そうか。何だか人事とは思えないなあ・・・・・・」
妙なところでシンパシーを感じる二人だった。
「さて、そろそろ治療に入るとしようか」
そう言うと、一刀は一本の針を取り出した。
「針治療か?」
「これなら時間をかけずに済む。その方がいいだろう?」
「それはそうだな」
「それじゃあ、動くなよ」
「ああ」
白蓮が頷くと、一刀は精神集中を始めた。
「この手の針が光って唸る!病魔を倒せと輝き叫ぶ!必殺!シャーーーイニング!ニードルゥゥゥゥゥゥ!!」
光り輝く針を白蓮の肩に打ち込む一刀。
瞬間、部屋全体が光に包まれた。
そして光が治まった後、一刀は針を抜いた。
「病魔は去った。どうだ?調子は?」
「おお、肩が軽いぞ!」
グルングルンと腕を回す白蓮。
「当面はこれで大丈夫だ。だが、同じ生活を続けてたら再発も時間の問題だろうな」
「どうすればいい?」
「さっきも言ったとおり、あんたの肩こりは精神的なものが原因だ。運動なり趣味なりで定期的に溜まったものを発散すればいい」
「・・・心がけてみるよ」
「変わった治療ですな」
いつのまにか、部屋に一人の女性の姿があった。
「星。いつからいたんだ?」
「つい先程参りました」
「そ、そうか」
「白蓮ちゃん、その人は?」
「ああ、うちの客将で・・・」
「趙子龍と申します。以後、お見知りおきを」
そう桃香たちに言うと、趙雲は一刀に向き直った。
「それで、その医術はどこの技術なのでしょうか?」
「ゴットヴェイドーだ」
「ご・・・ごとべいど?」
「あ~~、やっぱり言えないよね」
「普段使うことの無い発音ですからね」
「鈴々もいまだに上手く言えないのだ」
「言えなきゃ五斗米道で構わんよ。発音を気にする人間は結構いるが、俺は気にしない」
「むぅ・・・・・・」
「さて、俺はそろそろ失礼するとしようか」
「え~~、一刀さんも一緒に白蓮ちゃんの所で・・・」
「最初からここまでって約束だったはずだが?」
「それはそうですけど・・・」
「ならここで別れるのは当然だろう。じゃあな」
そう言って一刀は部屋を出て行こうとする。
「お待ちを」
「ん?」
そう一刀を呼び止めたのは愛紗だった。
「一刀殿には旅の目的があると前に聞きましたが、お別れの前にそれを教えていただけませんか?」
「・・・・・・その問いに答える前に、皆に一つ聞きたい」
「?」
「医者は人の命を助けるもの。それに疑問を感じた事はないか?」
「え?ありませんけど」
「当然の事でしょう」
「なのだ」
「だよな」
一人を除いて全員が即答した。
その一人、趙雲は・・・・・・
「その言葉から察するに、貴公は疑問を感じていると言う事ですな」
「・・・そうだ。その疑問の答えを探すのが、俺の旅の目的だ」
「ふむ・・・・・・」
「もう聞きたい事は無いな?なら、俺はもう行かせてもらう。元気でな」
そう言って、一刀はその場を去っていった・・・・・・
一刀が城を出て、街中を歩いている時だった。
「一刀殿~~!」
一刀が振り返ると、趙雲が槍を片手に走って来ていた。
すぐさま一刀に追いつく趙雲。
「どうやら間に合ったようですな」
「まだ何か用があったか?」
「なに、この趙子龍をあなたの旅に同行させてもらいたいと思いましてな」
「・・・・・・」
思いもよらない申し出に、呆気に取られる一刀。
「何故だ?」
「一刀殿が先ほど語った疑問、それに対してどのような答えを出すのか知りたくなりましてな」
「・・・公孫瓉の事はいいのか?」
「あの三人がいるのなら、私がおらずとも大丈夫でしょう」
「・・・・・・」
「では、参りましょうか・・・と、その前に腹ごしらえをして行きませぬか?行きつけの店があるのですが」
「・・・ああ」
有無を言わさぬ趙雲に諦めの表情を浮かべる一刀
こうして一刀は新たな仲間を連れて、再び旅立つのであった・・・・・・
どうも、アキナスです。
三姉妹と別れ、入れ替わりに星が入ってきました。
三姉妹と違って長く連れ合う事になりそうです。
さて、二人は何処へ行くのでしょう?
続きは次回・・・・・・
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白蓮の所に到着した一行だが・・・・・・