がちゆりー西垣誕生日SS2015ー
仕事が一段落して職員室の外に出ると、いつも外で待っている松本の姿がなかった。
私はそれが気になって長く続く廊下をゆっくりと歩きながら誰もいない廊下の静けさを
味わっていた。
ゆっくりと歩いて生徒会室の前まで来ると静かに戸を開けた。
生徒会室の中に足を踏み入れて奥の方へ視線を向けると机に頭を伏せている
松本を発見して私は少し驚いて傍に寄って確認すると、小さく寝息を立てて眠って
いることに気付いた。
声だけではなく寝息まで普通に聞こえないくらい小さいとは・・・。
私は苦笑していると、少し蒸れる部屋の空気に涼しい風が窓から入ってきた。
その風は松本の綺麗な黒髪を揺らしてじきに日が落ちる時間帯、わずかな空の光が
髪に反射していてとても美しい光景が私の目の前に広がっていた。
まるで髪の毛一本一本が宝石のように輝いているではないか。
そんな様子に見惚れながら近場にあった電気ケトルにあったお湯でコーヒーを淹れた。
インスタント独特の香りを楽しみながら可愛い寝顔をしている松本を見ながら一口啜る。
しばらく寝息と心地良い風を感じながら私自身も心安らいでいると、少し寝苦しそうに
声を出す松本に私は彼女の顔に近づいていく。
少しばかり汗を滲ませているせいか、近づくと松本の匂いが私の鼻をくすぐり
何とも言葉にし辛い気持ちにさせる。こう胸の辺りがこそばゆくなるような感じというか。
わずかにドキドキするというか。
「松本、いつもおつかれさま」
匂いに引き寄せられるかのように近づいて眠っている松本の頬に私は軽く口付けをした。
松本が起きるまでの間、短くも濃密な時間に私は浸っていた。
お世辞にも良い関係とは言えないが、いつかは二人で自由に暮らせるように
なるためにも松本の頑張りを見習わなくちゃなと心の中で思っていた。
「・・・」
「おっ、松本。起きたか?」
(こくんっ)
目を軽く擦って私を見上げてくる松本。その上目遣いがとても可愛らしかった。
私は自分の飲んでいるのとは別にもう一つコーヒーを淹れて松本に差し出した。
「さぁ、目覚ましの一杯飲んでから帰るとするか」
「・・・」
「待っててくれたのかって? そりゃそうだろう、爆友を置いて帰るわけないだろう」
「・・・」
カップに手を当てて少し頬を赤らめながら私を見てすぐに視線を外してコーヒーを
ちびちび飲み始めた。
コーヒーを飲み終えてから松本と一緒に学校を出て松本を助手席に乗せてから
車を発進させた。運転をしながら隣にいる、まだ少し眠そうな松本の表情を
視界の端に捕らえながら今日の最後に松本と二人でいられるというのは嬉しく思った。
特別なことも何もないただの一日なのだが、こうしていられるのが今のとこ
一番の幸せなんだと感じていた私だった。
お終い
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意外と絵と似たような展開になった奈々りせ。この二人の関係ガチだったらすごく良さそう>v<
イラスト→http://www.tinami.com/view/784854