No.783066

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

soranoさん

第34話

2015-06-12 00:14:59 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1377   閲覧ユーザー数:1272

 

~カレイジャス・ブリーフィングルーム~

 

「かつてクロスベルの”太陽の砦”にて肉体ごと消滅した”D∴G教団”司祭ヨアヒム・ギュンターが亡霊となって、今度はエレボニアに現れるなんて……!」

「それほどまでに彼の者は未練を残しているという事ですわね。」

「………………ふぅん。あの時この世から完全に抹消したと思ったけど、亡霊になってまでまだこの世に留まっているんだ。しかも”貴族連合”を手駒にするとか、やる事も全然進歩していないわね。」

事情を聞き終えたエリゼは驚きの表情で呟き、シグルーンと共に真剣な表情で呟いたレンは呆れた表情で溜息を吐き

「……我々にとっても他人事ではありませんね。」

「ええ…………ヴァイス様達の話によると”D∴G教団”の目的は…………」

「さすがに”D∴G教団”を放置する訳にもいかないから、ちょっと困ったわねぇ……ロイド君達にとっても嫌な情報になるでしょうね。」

リ・アネスの言葉に頷いたマルギレッタは不安そうな表情をし、ルイーネは疲れた表情で溜息を吐いた後真剣な表情で考え込んでいた。

 

「”グノーシス”で領邦軍の兵士達を強化されたら、洒落にならない事になるでしょうね。」

「ええ……それに被害が領邦軍だけならまだマシですが、最悪の場合市民達にも投与されて人質にされる可能性も考えられます。」

「それどころか、下手したら領邦軍や市民達で人体実験をする可能性だってあるぞ……」

「今回のメンフィルの襲撃によって様々なものを失って、劣勢になった事で追い詰められたカイエン公でしたら状況を覆す為に”グノーシス”に頼る可能性も十分に考えられますわ。」

「そうだよね~。今の”貴族連合”の状況も”特務支援課”によって”黒の競売会(シュバルツオークション)”を滅茶苦茶にされて、一気に追い詰められた”ルバーチェ”と似た状況だし。」

サラ教官とクレア大尉、トヴァルは厳しい表情で考え込み、シャロンの推測にミリアムは頷いて静かな表情で呟いた。

 

「クッ……カイエン公が早まらないとよいのだが……!」

「………………」

「じ、人体実験……」

「そ、そんな………」

「………”試練”の時という事かもしれんな……」

「あなた……」

レーグニッツ知事は唇を噛みしめ、アルゼイド子爵は重々しい様子を纏って黙り込み、セドリック皇太子は信じられない表情をし、アルフィン皇女は悲痛そうな表情をし、重々しい様子を纏って呟いたユーゲント三世をプリシラ皇妃は心配そうな表情で見つめた。

「……………レン姫、”D∴G教団”は国際的にも大問題になった凶悪な狂信者達の集団です。俺達が責任を持ってその亡霊と化した教団の司祭―――ヨアヒム・ギュンターを討伐しますので、”戦争回避条約”によって設けられた猶予期間を少しでも伸ばして頂く事はできないでしょうか?」

「に、兄様……?」

「ぼ、僕達であのヨアヒムとか言う亡霊を討ち取るのか!?しかもその”D∴G教団”って言う所は悪魔を従えているって話だろう!?」

「フン、相手はたかが一人の上、こっちには亡霊や悪魔に対して有効な武器もある。わざわざ軍に頼らなくても俺達でも可能なのに何故怖じ気つく必要がある。」

「ん。内戦を終結させる事と比べれば、達成できる確率は各段に上昇する。」

レンを見つめて問いかけるリィンをエリスは戸惑いの表情で見つめ、マキアスが驚いている中、ユーシスは鼻を鳴らして呟き、フィーは静かな表情で同意した。

 

「それもあるけど、そう言った事を解決する事こそが”第三の風”である俺達の役目なんじゃないか?」

「あ……………」

「………確かにリィン君の言う通りだね。」

「うん……!」

「オレ達だからこそ解決できる事という事だな。」

「はい……!今のわたくし達ならできますわ……!」

リィンの話を聞いたアリサは呆け、静かな笑みを浮かべるジョルジュの言葉にトワは嬉しそうな表情で頷き、ガイウスとセレーネは口元に笑みを浮かべ

「というか要求するなら猶予期間を伸ばす事じゃなくて、絶対にメンフィルとクロスベルがエレボニアに攻めて来ないように要求した方がいいんじゃないの?」

「セ、セリーヌ。」

セリーヌの指摘を聞いたエマは冷や汗をかいた。

 

「本音を言えばそうしたいけど、幾ら何でもそれだけの理由では戦争を止めるには不十分だ。レン姫、1日でも構いませんのでどうか戦争回避条約によって設けられる猶予期間を伸ばして頂けないでしょうか?お願いします……!」

「…………今パパに相談するから、少しの間だけ席を外させてもらうわ。」

リィンに嘆願されたレンは考え込んだ後通信機を取りだして部屋から退出した。レンを待っていたリィン達だったが、1時間経ってもレンは戻って来なかった。

 

~1時間後~

 

「遅いわよね、レン姫……出て行ってからもう1時間は経っているわよ?」

「さすがに”D∴G教団”となると、メンフィルにとっても他人事ではありませんから、話が長引いているかもしれませんわね。」

不安そうな表情をしているアリサにシャロンは自身の推測を口にし

「……しかしまさか外道の集団共の存在でエレボニアが存続できる可能性を高める事ができるかもしれない事になるとはな……」

「ちょっと複雑だよね……」

重々しい様子を纏って呟いたラウラに続くようにエリオットは複雑そうな表情で答えた。

 

「―――エリス、今の内に貴女も協力する件を教えたらどうかしら?」

「あ…………はい!」

エリゼに視線を向けられたエリスは頷き

「え…………」

「!?協力するって……まさか俺達にか!?」

エリスの言葉を聞いたアルフィン皇女は呆け、リィンは血相を変えた。

 

「はい。兄様と姉様の妹として……姫様の”友人”として、兄様達の御力になりたいのです。」

「エリス…………」

「……ユミルの時にも忠告したと思うけど、遊びじゃないのはわかっているわよね?」

エリスの意思を聞いたアルフィン皇女は呆け、セリーヌは真剣な表情で問いかけた。

 

「勿論わかっています。皆様と比べれば実戦不足ですが、決して皆様の足手纏いにならないように、日々精進し続ける所存であります。幸いにもシグルーン様が実戦不足な私をフォローし、更には稽古もつけて頂けるとの事です。」

「なっ!?シグルーン中将閣下、今の話は本当ですか!?」

エリスの答えを聞いて驚いたリィンは信じられない表情でシグルーンに尋ね

「ええ。エリスさんは私や夫のゼルギウスにとってリフィア殿下を支える大切な仲間であるエリゼの妹…………エリゼの仲間として、期間以内の彼女のフォロー等は私が受け持ちますわ。」

シグルーンは微笑みながら答えた。

 

「だ、だけどさんざん父さん達に心配もかけてしまった事だし……」

その時リィンが反論したが

「父様達には勿論私の意思を話して兄様達の助力をする許可を頂け、応援の言葉も承りました。それに父様からも『エリスがいればリィンも”パンダグリュエル”に一人で向かったような無茶はもうできないだろう』とのお言葉も承っています。」

「うぐっ……」

「フッ、確かにその通りだな。」

「フフッ、やはり親子だけあってお見通しですわね。」

「ま、確かに仲間の為だと暴走癖があるリィンのストッパー役がいるのはあたし達としても助かるわね。」

エリスの答えを聞いて唸り声を上げ、ユーシスは静かな笑みを浮かべ、セレーネは微笑み、サラ教官は口元に笑みを浮かべた。

 

「リィン、いい加減認めてあげなさいよ。」

「兄の為に力になろうとしている妹の決意を無下にするのは兄として失格だと思うぞ?」

「それに傍で護った方が安心できると思いますわよ♪」

「フッ、覚悟を決めたまえ、リィン君♪」

「勿論わたくしはエリスがリィンさん達の”協力者”として”カレイジャス”に乗船する事は大賛成ですわよ、リィンさん♪セドリックも賛成でしょう?」

「アハハ……うん。」

「危険な目にあっていながらも、そなたの力になろうとする彼女の決意を無下にするべきではないと思うぞ。」

「それにエリス君が危険な目にあったからこそ、今度は自分の手で守る為に傍に置いた方がいいと、私は思うよ?」

更にアリサやラウラにシャロン、オリヴァルト皇子やアルフィン皇女とセドリック皇太子、アルゼイド子爵とレーグニッツ知事もエリスに対する援護をし

「ううっ……わかりました!エリス、お前にも手を貸してもらう!ただし、ユミルの時にも言ったが絶対に無茶はしないこと!約束できるか!?」

「はいっ……!―――皆様、未熟者ですがエリス・シュバルツァー、これより”Ⅶ組”の”協力者”として助力致しますのでよろしくお願いします……!」

ようやく折れたリィンの言葉に頷いたエリスはⅦ組の面々を見回して頭を下げた。

 

「えへへ……こちらこそよろしくね。」

「フフッ、エリスさんと共闘するのは初めてですね。」

「オレ達と共に内戦終結に向けて頑張ろう。」

「エリスなら大歓迎。」

「よろしくねー!」

「ハハ……兄妹全員が戦うって、ある意味凄い兄妹だな、シュバルツァー家は。」

エリオットやエマ、ガイウスやフィー、ミリアムは仲間達と共にエリスの加入を歓迎し、マキアスは苦笑し

「確かによく考えたらそうだよな……?」

「しかも3人揃って剣を扱うというのも凄い偶然ですね……」

マキアスの言葉を聞いたトヴァルとクレア大尉は苦笑した。

「えへへ……賑やかになりそうだね♪」

「ハハ……そうだね。」

トワは無邪気な笑顔を浮かべ、ジョルジュは苦笑し

「フフ……今回の件でシュバルツァー家の方々には本当にお世話になってしまいましたね。」

「……うむ。あらゆる意味でテオ達には頭が上がらないな。」

リィン達の様子を微笑ましそうに見つめるプリシラ皇妃の言葉にユーゲント三世は苦笑しながら頷いた。

 

「――――待たせたわね。」

するとその時レンがパントとルイーズを伴って再び部屋に入って来た。

 

 


 
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