No.77722

真・恋姫SS 【I'M...】3話

今回の話ですが、真・恋姫 魏ルートのビフォーストーリーになるのかな。
主に華琳がどうして乱世へ関わっていくのかというのがテーマです。

そして、3話にしてようやくタイトルが決まりました。
なんというグダグダ感。

続きを表示

2009-06-07 01:46:11 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:10752   閲覧ユーザー数:8650

いつか、こんな風になりたいと思っていた。

普通ではないものを求めていた。

でも、実際に起きてみれば、やはりおきなければよかった。

いつもどおりが良かったと思い直してしまう。

それは、自分が何も知らないから。

異常な事態が起きれば、それは必ず何らかの形で自分の身に降りかかる。

ただの暇つぶしではすまないのだ。

それが、事実として実感させられるなんて、思っていなかった。

 

 

「…………ん」

 

「あら、目が覚めました?」

 

 

事実ってのは作り話よりおかしな事が起きるらしいけど、どうやら真実のようだ。

まだぼやける意識の中で、体を起こしてみれば、そこにいたのは

 

 

「お水もってきますね」

 

腰のあたりまで伸びた金色の髪。

まだ、声と後姿だけだけど。たぶんわかる。そしてこれはおそらく当たっている。

この人はおそらく美人だ。

起き抜けにそんなことが思い浮かんだ。

 

「………え?」

 

美人ってなんだ。

何故俺の部屋に女の人が…

いやいや、酒の勢いで連れ込むほど経験があるわけじゃない。

しかもどうみても年上じゃないか。

………年上は関係ないな。

 

「はい、どうぞ」

 

こちらを満面の笑みで見つめながら、水を渡してきた。

ほら、やっぱり美人じゃないか。

………。

いや、だから違うんだよ!

だから、俺が言いたいのは―――

 

「……綺麗ですね」

 

は!?

いや、何言ってんの?俺!

違うだろ!あんたは誰だとか、どうしてここにいるんだとか色々あるだろう!

 

「はい♪近くの清流から汲んできたものですので」

 

……なにやら通じてしまった。この人天然なのか?

 

………

 

……

 

 

通じてどうする!!

 

「え、えーと、貴女はどうして、ここに??」

 

そう、これだよ。これを聞きたかったんだよ。やれば出来るじゃないか俺。

 

「???どうして…といわれましても、ここは私の天幕ですので……」

 

??

天幕?

って、なんだ?

あ、あれか、あのテントみたいなやつ。たしか歴史の授業で…って

 

「は?」

 

「ですから、ここは私の天幕で、先ほど貴方が川の近くで倒れているのが見つかったので、ここへお連れしたんです。」

 

近くの川って…何言ってんだよ。どうみたってここは俺の……

 

「部屋じゃねええええええええええ」

 

「きゃっ!」

 

「あ、すみません…」

 

謝ってしまったけど、マジでここどこだ?

いや、この人の天幕だってさっき聞いたな。

そうじゃなくて、何でだ。何で俺はここで寝てるんだ。

それも聞いたか。川で倒れていたからだ。

じゃあ、何で川で倒れていたんだ。

川?

 

「何故、川!?」

 

「私に聞かれても…」

 

意味がわからん…

部屋で寝たんじゃないのか。

もしかして俺は夢遊病の類にでもかかっていたのだろうか。

いやいやいや。

 

「あの~…」

 

「…はい?」

 

「お名前を聞いてもよろしいですか?」

 

「え、ああ、名前ね。…北郷っていいます。北郷一刀」

 

「北郷…さん?」

 

「はい」

 

何か、おかしいところでもあったのかな。

不可思議そうな顔をこちらに向ける。

 

「ええと、北家の郷さんで字が一刀さんですか?」

 

「???いえ、列記とした北郷家の一刀さんですが」

 

「あ、なるほど。では字もお聞きしてもいいですか?」

 

「アザナ??」

 

あだ名?

 

違うよな。

 

「??」

 

「??」

 

二人して頭に疑問符を浮かべること1時間。

 

 

………

 

 

 

 

「えええええええええええ!!???字がないんですか!」

 

「え、と…そうなる…のかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

ものすごい大声で叫びだす女性。

そこまで驚くことなんだろうか…。

というか、そろそろここがどこなのか本気で知りたい。

 

 

「曹嵩様!今のお声はいったい…」

 

ガタガタっと誰か入ってきた。

 

「いえ、大丈夫ですよ。ちょっと驚いただけですから、気になさらないで」

 

「はぁ、では」

 

そう言って、また出て行った。

何なんだ。

ん、それより今曹嵩といったか。

 

「あの…」

 

「はい?」

 

「ここってどの辺りなんですか?」

 

「どの辺り…ここは徐州、瑯邪郡のすこし離れになりますが…」

 

「…え?」

 

徐州って…どこだっけ

州ってくらいだから、アメリカ…いや、明らかに漢字だし。

ってことは中国か。…は!?

いや、何故いきなり国外へ飛んだよ。

ありえんだろ、まず日本ではあるはずなんだ。

 

「あの、北郷さん」

 

「…え、あ、はい」

 

「私はまだ名乗って無かったですよね?」

 

「え、ええ。そういえばまだ名前しらないですね。あ、でもさっきの人が曹嵩様って…」

 

「はい。私は曹嵩。字を巨高と言います。真名は…まだはやいですね♪」

 

「………」

 

なんだろう…ものすごく違和感がある。

色々と言いたいことが重なって言葉にだせない。

 

「…??」

 

曹嵩さんが不思議そうにしている。

俺も不思議そうにしているだろう。

もう、わけがわからん…大体曹嵩ってどう考えても日本の苗字と名前の法則無視してるだろ。

 

 

「……母様、もういいですか?」

 

「あら、華琳。いいわよ~こっちにいらっしゃい」

 

「え?」

 

二人してよくわからない空気を出していると、女の子が入ってきた。

十歳くらいだろうか…

曹嵩さんと同じ金髪。

ただし髪は頭の両側でまとめられていた。……渦巻状に。

 

「華琳、お兄さんに挨拶してね」

 

「母様、私もいつまでも子供ではないんですから…」

 

「あら、でも春蘭ちゃんや秋蘭ちゃんと水遊びしてたんじゃないの?」

 

「ぅ………」

 

どうやら、親子らしい。

 

「…コホン。私は曹操、字を孟徳といいます。一刀さん」

 

「………曹操?」

 

「はい!」

 

って、ごめん。俺の記憶が正しければあの曹操さんでしょうか。

そして、さっき聞いたここの地名。

徐州の瑯邪郡。そんな地名がある場所。

極めつけがこの天幕と、さっきあわてて入り込んできた人の服装とこの人たちの服装。

 

出来るだけ、混乱しないようにゆっくり整理し、まとめて、今一番聞きたくて聞きたくないことをたずねる。

 

 

「えっと…ここって、もしかして中国…あぁ、漢だっけ。漢の国だったりする?」

 

『はい』

 

二人してシンクロして答えられた。

色々とツッコミたいが、とりあえず、理解だけはしておこう。

 

……………あきらめと呼ぶ奴もいるかもね。

 

 

 

 

 

 

 

そして、さらに2時間。

俺が現在の状況を納得するまでにかかった時間だ。

とにかく、俺は信じられないが昨日部屋で寝ただけにも関わらず、およそ1800年前に飛んできちゃったと。

しかも歴史的にも大人気な三国志の時代。その舞台に。

いや、実際はまだ三国志の舞台ではない。その少し前になるんだろう。

現に曹操がまだこんなに……

 

「ふんふんふん♪」

 

川で足を水に絡める曹操。

やばい、本気でかわいいとか思ってしまった。

 

 

………………。

 

 

………犯罪を犯す気はねえよ!

…たぶん

 

「ふふ」

 

「……なんですか?」

 

「いえいえ~」

 

「はぁ…」

 

曹嵩さんにもすっかり頭の中見抜かれてるし。

まぁ、とにかく。俺の知っている三国志のソレとはかなり違うが、歴史なんてものは大抵そんなものだ。

違う。と言えば、ここには真名なんてものもあると聞いた。

よほど親しいもの、信頼しているものでなければ知っていても呼ぶことを許されない名前。

あの子の真名はさっき曹嵩さんが呼んでいたから、『華琳』というのは知っているが

それも本人に許されない限り、呼ぶことはできない。

まぁ、名前なんて正直どうでもいいが、これからどうするか。

それが重要だ。

しばらくは曹嵩さんと行動を共にしていくしかないんだろうけど。

あの人もそれを薦めてくれた。

仕方ないとはいえ、少し遠慮してしまう。

いきなり見ず知らずの人を保護するなんて、普通できるものではない。

 

「ねえ、一刀」

 

「もう呼び捨てかよ。いろいろ飛ばしすぎだろ」

 

「そんなのどうでもいいじゃない。しばらく私達と一緒にいるんでしょ?」

 

「そうなるかな…。曹操にも迷惑かけるね」

 

「それもどうでもいいから、これから一緒にいるなら、私のことは華琳って呼んでいいわよ?」

 

「ん?それって真名だろ?いいのか、そんな簡単に」

 

さすがにあれだけ重々しく説明されればこうなるよな。

 

「別に簡単ではないわよ。誰にでもって訳じゃないの。ただ、一刀だって、その名前は真名みたいなものでしょ?」

 

「うーん、どうだろう。まぁ、でも親しい人ほどそう呼ぶのはたしかだね。」

 

「なら、私も貴方に預けるのが普通なのよ」

 

「そういうものか」

 

「うん。そういうもの」

 

なんだか、丸め込まれた気がするが、まあいいか。

 

「わかったよ、華琳」

 

「うん、一刀」

 

どうしようもない状況でも、案外どうにでもなるものだな。

そんな風に思っていた。

華琳の顔をみれば、なぜか自然に笑えるんだ。

 

 

―――――…!

 

 

「ぐぁ……」

 

また、急に遅い来る頭痛。

 

「一刀!どうしたの!?」

 

「いや、だいじょう……ぶ」

 

華琳が、覗き込んでくる。

その瞳で俺を心配そうに見つめてくる。

 

 

だが、

その瞳は――

 

 

―お前の、せいだ―

 

 

「………がう…」

 

「一刀…?」

 

 

―お前の、せいだ!―

 

 

「違う!!!!」

 

「きゃあ!」

 

 

「……ぁ…ごめん…華琳」

 

その痛みに耐え切れず、腕を振り、華琳を突き飛ばしてしまった。

 

「ううん。大丈夫」

 

「北郷さん?大丈夫?」

 

異変にきづいたのか、曹嵩さんも駆け寄ってくる。

後ろには何人か兵もいるようだ。

少しずつ、痛みの引いてきた俺は

とりあえず心配をかけたようなので、集まった人たちに謝った。

この人たちに会う前から在った頭痛。

それが以前より強くなっていた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

俺は夕食を受け取り、明日からの予定を聞いた。

近くに邑があるようなので、そこに移るそうだ。

これからこの大陸は乱世へと巻き込まれる。

それを避けるため、この地まで非難してきたという。

それほど、この漢という国は廃れているんだそうだ。

とりあえず、そこで何か出来ることをみつけよう。

世話になるのに何もしないのはさすがに悪い。

明日からの行動を考えつつ、夕食をすすめた。

 

「………………たのむから、影からにらむのはやめてほしんだが……」

 

 

「うぅぅ~~~昼間から華琳様を独り占めしやがって~~」

 

「……姉者、もう見つかってるから隠れる意味ないとおもう。」

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

こんばんは!

とりあえずタイトルも決定して第3話です!

そして、子供時代の華琳、春蘭、秋蘭でした!

そしてなんと華琳のお母さんもでましたね(`・ω・´)

曹嵩さんなんですが、僕のところでは少し天然さんだけど、いざと言うときは頼れる人。というのがこの人でして、その分普段は華琳がしっかりさん。でもたまには甘えたいみたいな位置になります。

性格的には桃香と雪蓮を足して2で割った感じですかね~。

華琳も子供時代ということで若干性格が本編のそれより、小蓮っぽくなってるかなというイメージです。

そして話の都合上、今回でてきた4人が主なキャストで、3国どころか、魏の中ですらでてこないメンバーがあります(´・ω・`)

というより、華琳が乱世へ介入する以前から付き合いのある人しかでてきません!

それでもいいんだよ!と言う方はこれからも頑張りますのでお付き合いくださいm(__)m

 

ということで

『I'M...』第3話でしたー

 

 

次は4話で!

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
82
4

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択