真恋姫無双 幻夢伝 最終話 『屋台にて』
赤い太陽は、西の城壁の向こうに沈んだ
星が光る黒い空を、洛陽の喧騒が照らす
安寧と幸福の時が流れる
人々の活気から遠い路地裏に、小さな屋台が一つ
提灯が、誰もいない道に光る
虫の声の中に聞こえるのは、肉の汁が赤々と燃える炭に滴る音だけ
道端に咲いた月見草が、風に揺れている
路地の向こうから足音が聞こえてきた
娘が一人、店の暖簾をくぐる
椅子に座り、机に肘をつき、手を組む
店の主は黙って、杯に水を注いで渡す
少女も何も言うことなく、ただ彼のことを見ていた
片腕だけで一本ずつ、串を回す
もう一つの腕は、“肘の先から無い”
彼の足もとには、銀色に光る剣が立てかけられている
彼女の瞳から、そっと涙がこぼれた
彼は、微笑む
2人の視線が重なった
ただいま、華琳
……ばか…
完
終わりに
ここまでご拝読いただきまして、誠にありがとうございました。
二年半という長い歳月をかけてしまいましたが、やっと完成することができました。
そもそも私には、歴史物が書きたいという願望がありました。ただ、あまりに本格的なものに取り組むとなると、それこそ何年かかるか分からない不安も一方でありました。そこで、この「恋姫」という題材をお借りして、書くことに決めました。
この作品が地の文だらけであり、オリ主、変な世界設定になったのも、そのせいです。多少読みづらい作品になってしまい、申し訳なく感じております。ただ私としては、書きたかったエンディングまでたどり着けたことに、とても満足しております。
おそらくこれ以上、この題材で書くことはないと思います。TINAMIでの活動もしないと考えています。
のんびりと小説を書いているとは思いますので、またどこかでお会いできることを楽しみにしております。
お気に入りに登録してくださった方、コメントを下さった方、そして最後まで読んでくださった方に、再度、感謝申し上げます。この作品が少しでも皆様の感情を揺さぶることができたのであれば、私は大満足です。
今までありがとうございました。では、失礼します。
2015/5/9
デビルボーイ
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幻夢伝、最終話です。
今までありがとうございました。