ある日の夜、イタリアンレストラン『ヴォルペ・ドゥエ』…。
「と、いうわけでドラムス担当で入りましたキャメロン・ベルでーす!」
「いよっキャムちゃん!」
「待ってました!!」
奥のグループ用個室ではしゃいでいる三人の中学生。
いずれも紫色の体毛が特徴的なネコ形セリアンスロゥピィの女子である。
最近になってバンド活動を始めたエリシア・グレイ、ミュア・ブリーズが、新たにバンドメンバーとしてキャメロン・ベルを引き入れ、
はれてスリーピースが成立したということで、パーティーをやろうということになったのだった。
「これであたしがギター、ミュアがベースでキャムがドラムスってことになるわけね」
「うん、そうなるね」
「まあ何はともあれ食べよう!」
目の前のピザやパスタにがっつく三人。
「まあ、あとはバンド名だぁね…」
「うんうん、いいアイデアないもんかね…」
しばらくすると、看板娘の煌月クレア・ソフィア姉妹が料理を持ってきた。
「お待たせしました!ピッツァカルボナーラと」
「ピッツァマルゲリータです!」
「どうもー」
「いやぁ、ここの料理は本当に美味しいからね~…あ、そうだ。ねえソフィアちゃん」
「はい?」
突然、ソフィアに質問を投げかけるエリシア。
「ここって個室以外は普通のお客さんばかりなんでしょ?」
「ええ、まあ…個室は貸切ですけど」
「そっか…お客さん見るからに一杯だったしね」
「じゃあ…あともう一つなんだけど」
「ここってステージあったよね?」
さらに、クレアに質問をぶつけるミュアとキャム。
「ええ、たまにミュージシャンの人たちが来て演奏していきますけど」
「ねえ今日ってステージ使う予定ある?」
「それは…入ってませんね」
「じゃあさ!」
エリシアはクレアに近づくと、ある提案を出した。
「あたしたちのスリーピースとしての初ライブやらせてよ!ね!ね!!」
「うーん…じゃあ店長に聞いてみますね」
キッチン。
クレア・ソフィア姉妹はこの店の
「というわけなの。新しくできたバンドの人たちがステージ使いたいって」
「うーん…よし、じゃあ使わせてあげるか!」
「よかった…ありがとうパパ!」
再び個室。
「大変お待たせいたしました。すぐ準備のほうに入りますので」
「「「YEAAAAAAAAAAAAH!!」」」
話を聞いた三人は大はしゃぎ。ライブができるとあっては喜びもひとしおだろう。
数十分後、メインホール。
この店の看板娘にしてリクの妻・モニカがマイクを握り、客席に向かってアナウンスをしていた。
「では、ここで突然ですがサプライズイベントを開始したいと思います!」
「おお~」
「なんだなんだ?」
突然のイベントにざわつく常連客。
「まだバンド名は決まっていないそうですが…風天中学校で知り合った三人の女子中学生バンドです!拍手でお迎えください!!」
盛大な拍手のなか、エリシア、ミュア、キャムの三人がステージに上がってくる。
「Hello,Everyone!ギター担当のエリシアでーす!」
「ベース担当のミュアです!」
「ドラムス担当のキャムです!三人揃って!」
と、盛り上がったところでエリシアが一言。
「…えー、まだバンド名決まってませんw」
ホールは爆笑の渦に包まれる。
「まあバンド名はですね、のちのち決めていくとして…」
「うんw」
「突然ですがここでライブをやらせていただこうかなと!」
「おぉーっ!」
「それでは即興で作った曲ですが…どうぞ聴いて行ってください!曲名は『チャオ!』です!」
その日のディナータイムは、歌声と拍手に包まれた。
スリーピースとなったばかりのまだ名も無きバンドが、また一歩夢に向かい前進した瞬間であった。
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今回、リクの粋な計らいがwww
■出演
エリシア:http://www.tinami.com/view/774824
ミュア:http://www.tinami.com/view/775189
キャム:http://www.tinami.com/view/775680
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