~一刀視点~
「袁術ーーー!」
「ピーーー」
物凄い怒声を上げて女性が乗り込んで来た
袁術はその怒声に怯えの声を上げる
「ちょっと、落ち着いていてよ~」
その後ろからよく似た感じの女性がやって来て、先に入って来た女性を窘める
「おお~、孫家の二大巨乳・・じゃなくて二大巨頭がお出ましとは、何事ですか~?」
怯えている袁術とは対照的に、七乃は落ち着いている
それどころか、からかっているな
でも、孫家?
まあ、二人共巨乳なのは間違いないか
「一君、何考えているのかな?」
鞘姉の声を聞いて、無念無想
でも何でこんなに考えてる事が分かるんだ?
「一兄、全部顔に出るからね」
巴にも読まれた~
「『何事ですか~』だと
呉郡の太守を俺達を差し置いて、どこの馬の骨とも分からん奴に任せといて・・・
呉郡が我等にとって、どんな土地か知らんとは言わさんぞ!」
先に入って来た女性は、完全に怒り狂っている
「孫家にとって呉郡が元本拠地なのは存じてます
でも、現在は袁家の領地みたいなものですし~
それに、『どこの馬の骨とも分からん奴』では、有りませんよ
そこの馬の骨さんですから~」
此処で、此方に丸投げするのか!
「お前等か!」
そう言って、とんでも無い殺気を向けて来る
だが、仮にも古武術を習得している俺と鞘姉はその殺気に怯まない
師範(父さん)や爺ちゃんに小さい頃からさんざんぶつけられているから
まるで動じない俺達を見て
「ほお、この俺の殺気をぶつけられて動じないとは・・・
ただのボンクラでは無いのか」
そう言って殺気を治めた
「まあ良い
だが、てめえが呉郡で悪政を行ったら、即座に殺しに行くからな!」
勝手な事言ってるな~
まあ、悪政を行う気も無いけど
そして、七乃は俺達の事を女性に説明した
ただ、ちょっと引っかかる事を訊いておくか
「つかぬ事を訊くけど、貴方達が孫策伯符さんと孫権仲謀さんで間違いないですか?」
「へ?」
先程までの迫力はどこへやら、間の抜けた返事をする
「ちょっと待て
つまりは・・・」
女性はしばし考えて、
「そう言う事か!
はっはっは!嬉しい事を言ってくれる!」
そう言って、俺の両肩をバンバンと叩いてくる
正直痛い
「だが、外れだ
私は孫堅文台、こっちが孫策伯符だ
まさか私と雪蓮を姉妹と勘違いするとはな」
う~ん、孫堅さん若く見えるけどな
「あと、建業で二人と雰囲気の似た女性に会ったんですけど・・」
「多分それが孫権仲謀だ
どんな娘だった?」
え~と、あの娘の最大の特徴は・・・
「随分、魅力的なお尻をしてました」
「蓮華に間違いないな
そいつが孫権仲謀だ」
お尻で通じるんだ
その日は寿春で宿泊し、翌日帰還する事になった
出発する際、
「虎を飼い馴らすには、美羽(真名は預かった)は力不足だ」
「だから、一刀さん達の力が必要なんですよ~」
と云った会話をして、出発した
帰りも紀霊さんの率いる千人程の部隊が、護衛として追従してくれている
出発して間もなく
「前方に不気味な白装束の集団が!」
斥候の兵の報告が来た
そして
「白装束の集団が突撃してきます!」
その報を受けて、静里が紀霊さんに献策しようとしたが
「うるさい!指図は受けん!」
と、訊く耳を持たない
そして戦闘になると、あっという間に形勢は不利になった
練度が低すぎるだろ!
いくら、彼方が勢いに乗って来たと言っても数は大差無い
それなのに、既に本隊の俺達の所まで攻め入られている
俺と鞘姉で巴と静里を庇いながら敵を斬っていく
この白装束は個々は強くない
だが、無感情の様に向かって来る不気味さがある
そんな事を考えていたら
「一君!危ない!」
一人の敵が俺に向って来ていた
そして、速さのある蹴りを放って来た
蹴りを躱して、斬撃を放つ
その斬撃で顔を隠していた覆面が落ちる
「お前はあの時の盗人?!」
学園から銅鏡を盗み出そうとしていた男だった
「ふん、盗人か
その呼ばれ方は気にくわんな
冥途の土産に教えてやる
俺の名は『左慈』」
左慈は名乗ると同時に、蹴りの連撃を放ってくる
以前も思ったが、こいつの攻撃は早い
しかも、今度は手甲と足甲まで付けている完全武装だ
一撃でも喰らったら、不味い
俺が左慈の相手をしている為、鞘姉が巴と静里を守らざるを得ない
だが、一人で二人を他人数の敵から守るのは無理がある
沙和は敵の相手をするのが手一杯で護衛まで手が回らない
その為、徐々に押し込まれ静里が川に落ちてしまった
川は普段より水量が多く、流れも強めだ
早く助けに行かないと・・・
しかし、左慈が・・・
そんな時、無数の矢が飛来して白装束を討ち倒していく
「何事だ?」
そこで左慈が隙を見せた
素早く納刀して、抜刀術を放つ
完全には命中しなかったが、手傷は負わせた
「左慈、孫家の援軍です
孫家の援軍が来た以上、その傷で北郷二人を相手にする事は無理です
今回は引きましょう」
空中から術師の様な人物が現れ、告げる
「くそ!
今回は引いてやる
次こそは殺す!」
左慈がそう言うと、二人の姿は消えた
二人が消えると俺は直ぐに静里を助ける為、下流に向かって走る
間に会ってくれよ!
~鞘華視点~
静里の救出に向かった一君を見送り、私は孫堅さんと面談する
「何はともあれ、助かりました お礼を言います
でも何故此処に?」
私の問いに
「何やら不気味な集団が居るって報告が有ってな
威力偵察に出て来たんだ
そうしたら戦闘状態だ 驚いたぞ」
紀霊の部隊って本当に軍?
寿春に居る孫堅さんが察知した敵を直前まで見過ごしているなんて!
「まあ、お前達に死なれると私達にも損失だ
だから助けた」
どういう事?
「私の勘だが、私達とお前達はいずれ戦う時が来る
しかし、その戦いで私達が勝利した後はお前達を配下に加えたい
『天の御遣い』の血を孫家に入れる為にな
ま、娘の孫策と孫権を孕ませる為に一刀が必要、そんな所だ」
何ですってー!
「承服できないって顔だな
なら、勝って阻止してみろ
お前達が勝てば、さっきの話は結果的に無くなるからな」
「言われなくても!」
結論として、助けてくれた相手に宣戦布告され、受けてしまった
~一刀視点~
流されている静里は直ぐに見つかった
流木にひっかっかているようだ 完全には溺れていない
俺は飛び込んで静里を救出 岸に上げる
着衣水泳の鍛錬がこんな所で役に立つとは
だが、静里は自発呼吸は止まり、脈を診ると脈が無い
急いで心臓マッサージを行う
女性の胸を触るんだ 静里に後で殴られよう
次いで、人口呼吸も行う
もうひとつ殴られる理由が増えた
まあ、静里が助かるならば安い物だ
「あ~~~!
一刀さん、何してるの~!」
沙和の声がしたが、無視する
今は説明より、実行が優先だ
暫くして、静里は呼吸、心臓の鼓動、意識を取り戻した
「一刀さん やって良い事と悪い事があるの~!」
沙和が喚いているが
「後で説明してやる」
そう言って、静里を抱きかかえて鞘姉達の所へ向かう
「あ、あ、あの一刀さん
私、自分で歩けますから」
「無理も遠慮もしない!」
遠慮する静里の言葉を却下する
あれ?静里 顔赤くないか?
「あ~、またお姫様抱っこしてる~!
しかも今度は静里さんなんて~!」
巴が騒ぐが、
「鞘華さん、巴さん、聞いてなの~
一刀さん 気絶している静里さんの胸を掴んだうえ、接吻までしていたの~」
「え!?」
鞘姉と巴の顔色が変わるが
「心臓マッサージと人口呼吸だ」
そう言うと、二人共納得してくれた
そして、巴の説明で静里と沙和も納得してくれた
「静里、いくら事情が事情でも胸を触り、口付けした事は事実だ
俺を殴ってくれて構わない」
そう言うと
「そうしないと私の命が危なかったんじゃ無いですか
ならば命の恩人です
殴るなんて出来ません」
「でも、やっぱり・・・」
俺が食い下がると
「もし、一刀さんの気がどうしても済まないなら、そうですね・・・
私を娶って下さい♪」
「え?」
静里の爆弾発言に俺達四人が固まる
「ふふふ、冗談ですよ
でも、一刀さんに抱かえられているのは照れくさいけど気持ちいいので、もう少しお願いします」
「ねえ、鞘姉」
「次は私が溺れるなんて言わない様に」
「でも、溺れると一兄と結婚出来るんだよーー!」
~あとがき~
孫家との対立の構図が出来ました
直ぐには戦いませんが
左慈と干吉はこれからも出て来る予定ですが、折に触れてです
そして、原作無印の様に華琳を操ったり、二虎競食を仕掛けたりはしません
あくまで、自分の手で一刀を殺そうとします
武力は原作より弱くなってますし、武装もさせました
こうしないとしっくりこなかったので
更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです
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一刀が太守の任を授けられた所に乗り込んで来たのは・・