No.774637 【獣機特警K-9ⅡG】トリッカーズ絶体絶命!(後編)【交流】【戦闘】古淵工機さん 2015-05-01 22:17:55 投稿 / 全12ページ 総閲覧数:1299 閲覧ユーザー数:1197 |
「おらっ!いつまで寝てんだ!!」
H地区の廃ビル。その地下室に、スレイ・ブラッドの怒号が響き渡る。
怪盗ディアをはじめとするトリッカーズの4人は目隠しを外された状態であったが、今度は頑丈な鋳鉄製の椅子に縛り付けられていた。
「ヒャハハハハ!目が覚めたか?マヌケなトリッカーズども!」
「くっ…一体何をするつもりなの!?」
「フン、前からテメーらにはさんざん振り回されていたからな。もうここまでされちゃ手段を選べねえ…だからここで確実にぶっ殺してやる!」
と、喚き散らすスレイに、ルプスが声を上げる。
「おい、何か忘れちゃいねえか?」
「あ!?」
「トリッカーズは5人だぜ。1人足りねーよ」
「ハハハ!んなこたあ知ってんだよ!仲間意識の強いテメーらのことだ、嫌でも助けに来るだろうさ…もっとも!」
目をぎらつかせるスレイに、一同は戦慄する!
「…助けに来たところでまとめて始末するだけだがな!クヒャハハハハハハハハハッ!!」
狂ったように笑うスレイ。その目の前で、ディアは奥歯を噛みしめるだけだった…。
(お願い…セリナさん、ここに来ちゃ駄目…これはあなたをおびき出すための罠よ!!)
一方その頃。
黒一色で塗装された一台のトラックが、H地区の廃ビルに向かって走っていた。
「…ねぇ黒井さん」
「ん?なんです芹川さん」
運転席にはエゾシカ形ファンガーの女性と、アライグマ形ファンガーの男性が座っている。
「…目的の『処刑道具』を届けるという話ですけど…」
「ああ、あれですか。『ボス』もさぞビックリするでしょうね…さぁ急ぎましょう。目的地へ」
「了解」
黒ずくめのトラックは夜の高速道路を走っていく。H地区の廃ビルで待つ、ブラッドファミリーのもとへ。
「…フン、どうやら答えが出たか?」
「…」
「あと30分だ。それまでに助けがくるかな?ククク…」
スレイが不気味な笑みを浮かべていると、ビルの外に先ほどのトラックが。
「ハッ!処刑人の到着か」
「処刑人ですって!?」
「そうさ。どうせ殺すならハデにってことでオレ様が呼んでおいたのよ!おい、シャッター開けな」
スレイの指示でシャッターが開かれる。廃ビルの一階は道路に直結しており、トラック一台が余裕で入れるスペースとなっているのだ。
「ボス、どうもお待たせしました。処刑人の黒井です。こちらは芹川。よろしく」
「フン、なんか胡散くせー野郎だぜ。まあいい、仕事の内容は分かってるな?」
「ええ。そこに囚われているトリッカーズとやらの処刑ですね。ですが一つ提案が」
と、黒井が言いかけたところで、芹川が口を開く。
「処刑の時間についてなんですが、どうせなら今ここでやってしまいませんこと?」
「あン?そりゃどういうことだ?」
「確かあなた、残るもう一人のメンバーにこう仰ったのですよね。『午前0時までに来なければ奴らを殺す』と」
「ああ、そういやあそんなことも言ったかもしれねえなァ」
「そうすれば彼女はこの時間までに助けに来るはず。でももし、『時間に間に合っていたのに殺されていたら』…彼女どうなると思います?」
「なるほどな!相手のウラをかいて絶望のどん底に叩き落すってか?ヒャッヒャッヒャ!それも悪くねえ!いいぜ!オレ様が許す!!」
流石はスレイ、極悪非道にして邪知暴虐といったところだろうか。
だが、スレイはこの段階ではまだ気づいていなかった。自分が罠にはめられていることに…!
「よし、では処刑を始める。スカルヘッド!」
黒井の指示で、トラックから髑髏のヘルメットを被ったスナイパーが降りてくる。
「…ずいぶん小せえヤツだな」
「普段は暗殺が任務ですからね。体格が小柄なロボットを指名したのです。…やれ、スカルヘッド」
黒井の指示にスカルヘッドは頷くと、そのままトリッカーズが囚われている椅子をめがけ、撃鉄を引いた。
銃口から、ビームの閃光が放たれる…!
だが、そのビームがトリッカーズの身体を貫くことはなかった。
ビームが当たったのは両腕・両足を固定していた拘束具だったのだから。
「おい!どういうことだボケが!これじゃせっかく捕らえたトリッカーズが逃げちまうじゃねーか!!このヘタクソが!!」
「いいえ、これでいいのです。ねえ芹川さん」
「そうですわね、黒井さん…」
二人は自らの首元に手をかけると、そのまま上に引っ張った。そこには…!
「か、怪盗ノワールに怪盗ヴィクセン…て、テメーらオレ様をハメやがったな!?」
「騙される方が悪いのですよ。もっとも、こうも簡単に引っかかってくれるとは思っていませんでしたがね」
「クソッ!…おい、スカルヘッドとか言ったな。この目障りなコソ泥どもをまとめてぶっ飛ばせ!!」
スレイの指示に頷き、再び銃を構えるスカルヘッド。だが…!
「ぎゃっ!?」
「ぐげっ!!」
「バカ野郎が!!テメーどっちを撃ってやがる!!」
「ああ、言い忘れていましたがスカルヘッドなどというスナイパーはいませんよ」
ノワールがそう言って指を鳴らすと、スカルヘッドのヘルメットが割れた。その中から出てきたのは…。
「ラミナ警察署K-9隊、ナタリア・天神・フタロイミツィです!」
「ぐっ…てめえ…」
「まだまだいるわよ!」
ナタリアの声に呼応して、トラックの荷台から、K-9隊が畳み掛けるように出てきた!
「観念しやがれスレイ・ブラッド!」
「善意を利用して相手を騙すなんて、どこまで卑怯なの!?」
「今日という今日は、お縄を頂戴させてもらうぞ!!」
今回はナタリアのほか、ジョナサン・ボーイング、イシス・ミツザワ、そして隊長の久遠・ココノエの4人だ!
「くそっ、やっちまえテメーら!!この警察の犬どもを一人残らず殺せ!!」
スレイの怒号で、ギャングスターたちが襲い掛かる!
「おっと!何人来ようと俺の早撃ちからは逃げられねえぜ!!」
ジョニーの早撃ちが冴える!!
「数を出しゃいいってものじゃないのよ!!」
イシスの杖術が炸裂する!!
「今のうちですヴィクセン。4人を」
「ええ!」
「なっ!?しまった!!おい、そいつらを逃がすな!!」
「…ムダですわよスレイ・ブラッド。あなたに捕らえられた仲間、確かにいただきましたわ!」
ヴィクセンの眼光はいつにも増して鋭かった。その瞳の奥には、並々ならぬ怒りがこもっていたことは容易に想像できた…。
「わかったでしょ!?トリッカーズはあんたたちみたいなやつには負けないのよ!べーだ!」
と、スレイを一喝するディア。そしてノワールとトリッカーズは夜の闇へと消えていった…。
「くそっ!あと一歩だったってのに!!」
「どうした!相手はこっちだぞ!?」
周囲のギャングスターもあらかた片付き、クオンがスレイと対峙する。
暫くにらみ合っていた両者だったが、やがてスレイは一つため息をつくや、こんな事を言い出した。
「へっ…わかったよ、オレ様の負けだ。煮るなり焼くなり好きにしな」
「やっと自首する気になったか。スレイ・ブラッド、お前を逮捕――」
クオンがスレイに手錠をかけようとした、その瞬間だった。
「がはっ……き、貴様…」
「ヒャハハハハ!油断したなバカが!!オレ様がそう簡単に捕まってたまるかってんだよ!!」
スレイは左掌からレーザーソードを展開し、クオンの腹を貫いていたのである!!
「く、くそっ…」
「おし、野郎どもズラかんぞ!あの柴ヤローはもう助からねえだろうしな!ヒャハハハハハ!!」
「待…て……うっ!?」
スレイは電磁妨害スモークを炸裂させ、そのまま逃げ去っていった。
「隊長…そんな…隊長ーーーーーーーー!!!!!」
ナタリアの叫び声が、誰もいなくなった廃ビルにこだました。
…警察の救援が来たのは、それから数分後のことだった…。
ラミナ市内・ロボット病院。
ベッドを取り囲むようにしてイシス、ジョニー、ナタリアが立っている。
「隊長…あなたは立派な警察官でした…」
「俺、隊長のこと絶対忘れねえッス…」
「隊長の仇、絶対とってきますから…」
とか何とかやっているうちにクオンが目を覚ました。
「ちょっと……なんで僕が死んだことになってんのさ」
「「「あ…」」」
「勝手に殺すなって言ってるんだよ。クソッ、スレイの奴深く刺していきやがって…!」
見ると、クオンの腹はまだ穴が開いており、一部の配線はまた千切れたままでつながっていない。
修理を担当したテレジア・アウディによれば、復帰までにはあと2日ほどかかるとのことだ。
「まあ、でもよかったよ。トリッカーズも全員無事に救出されたし」
「でも隊長、確かトリッカーズって…」
「犯罪者じゃないか、そう言いたいんだろナタリア?」
「え!?…は、はい…」
「だけどそのトリッカーズに僕らは今まで助けられてきたじゃないか。今回はその借りを返したってことにしとけばいいさ」
こうして、戦いは終わった。
だがブラッドファミリーは、またどんな卑劣な手段をもって襲い掛かってくるのだろうか!?
負けるなトリッカーズ!戦えK-9隊!
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前編:http://www.tinami.com/view/774489
というわけで、後編は俺が担当することになりました。
騙し騙されこの世は回る…。
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