No.774580

リリカル東方恋姫外伝 ネギま編 第7話 『そこにエロがあるから、人は覗き見する』

一ヶ月と言っておいて二ヶ月以上たってしまってすいません

ひさびさの新作です。

どうぞ

2015-05-01 18:52:46 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1773   閲覧ユーザー数:1680

 

 アスナを助けられず誘拐を許してしまった一刀たち。彼らは一旦、紅い翼の隠れ家に戻っていた。もちろん、帰る前には、ヘラスに侵攻していた連合軍を一掃。そのときの一刀は敵にアスナが攫われたことにショックを抱いたが、逆に手加減する余裕を捨て、連合艦隊と軍隊を全力全壊のオーバースキルで叩き潰した。同じく、ナギと遮那も、目の前で敵を逃がし、アスナを助けられたなかったことに、苛立ちと怒りを感じ、八つ当たりのように連合軍を無双しまくった。千の武器、千の呪文の男、灼眼幼鬼、という最強メンバー相手に連合艦隊はかわいそうなほどあっけなく壊滅した。

 その後、ヘラスでの後処理は鈴たちに任せ、大怪我を負った剣呉も大量に点滴し動ける程度まで回復させ、一刀たちを共に紅い翼の隠れ家にいた。養生しない理由は、マサトが勝手なことをしないように監視するためだとか。

 帰ったら帰ったで、勝手な行動をしたナギたちを詠春が説教した。説教を終えた後、一刀たちは事の事情を整理した。最初は遮那たちの正体や世界の成り立ちについての説明。これには偏見な眼で見られると遮那たち覚悟していたが、ナギが「遮那は遮那だ。過去はどうあれ、今の俺の仲間だってことにかわりねぇぇよ」ときっぱり言い、転生者組みとの壁が生まれなかった。そのことに、一刀はすこし安心していた。次に、ヘラスでの事を居残り組みに話すと、テオとアリカはアスナが敵に誘拐されたことに悔しがった。とくに、何者かに拘束されアスナの救出を邪魔されたナギと遮那は、いまだ怒りが収まらない。キョウスケにいたってはアスナを連れ去ったフードの者と一刀たちを拘束したなぞの者について「これはもはや原作崩壊だなっ」と呟き考えていた。

 そして、最後にヒルヴァニックが説明する番になった。

 

「では、改めまして名乗らせていただきます。私は護天神、ヒルヴァニックと申します」

「護天神?聞いたことの無い神ですね」

「強いのか?」

 

 護天神という単語に、アルとナギたちが首をかしげる。

 

「聖書や古記の神じゃないので、知らないくて当然です。ざっくりいえば、スサノウ程度なら素手で倒せる世界の守護神と認識してください」

『マジっで!?』

 

 スサノウといえば日本で有名な神。その神を素手で倒せるというから、驚きだった。神話に詳しくない馬鹿も、一様驚いていた。

 

「私は犯罪神対策部に所属してまして、ある犯罪神の右腕を追っていたんです。あっ、犯罪神というのは悪神や犯罪を犯して堕天、もしくは神の力を持った悪者のことです」

「その犯罪神対策部所属の神様が、なんでここへ?」

「物分り悪いなぁナギ。そんなもん、その犯罪神の右腕をこの世界に着たんだろう」

「そのとおりです遮那さん。とある犯罪神の右腕…その者の名はバヴィロン。犯罪神たちと多くの世界を狂わし、壊しつくした堕天使です。わたしはその者から、この世界を守るために、あなたたちにバヴィロンについての情報を伝えにきました」

「伝言だけ?おまえはなにもしないのかよ?」

「すいません。世界の抑止や法則やらで、神としての力を振るうことはできません。こうして、あなた達と話すだけでも結構力を使っていますし。そのため、あなた達にバヴィロンを世界の外に出す、または、もしくは私の代わりに倒してほしいのです」

「なんという、人任せな」

「あなたそれでも神様なの?」

「神だって万能ではありませんよ、詠春さん、リズさん。これでも私立女子学園の規則並みに世界のルールは厳しいものですのでご了承ください」

「なぜ、女子学園で例えるんですか;」

「でもよ、詠春。そのバヴなんとかって奴、犯罪神っていう大ボスの右腕だろう?どうせ、悪党の二番目なんてずる賢いだけの野郎に決まってだろうし、たいしたことねぇって」

「いっときますが、バヴィロンを甘く見ないほうがいいですよナギさん。彼は頭脳面でも高く、多くの術を習得しています。あなたたち三人も彼のバインドを一度は体験しているはずです」

「あのときの拘束魔法はそいつが!?」

「あなた方から着けられたバインドの形跡からみて、バヴィロンのものは明白です」

「けっ、陰気なことをしやがって。裏でこそこそする奴だろう。その堕天使っていうの」

「はい、彼は自分の手を汚さず自分勝手な下級神魔や屑転生者たちを使って、その世界の者たちに武力行使しするのが通常です。それどころか、正統派に転生者を無理やり洗脳して、奴隷にする始末で最上級神々もそのことに困っていました…」

「オイ、それって…」

「俺たちの世界を壊し、洗脳したのもそいつらなのか?」

 

 ヒルヴァニックは頷く。マサトと剣呉が暮らしていた世界を壊し、自分たちを洗脳した天使のような者がバヴィロンであった。

 

「もちろん、個人の能力、戦闘力も最強です。最低でも悪魔王サタン以上かと」

「悪魔の最上級でも最低とは、いやはや、やばい相手ですね…;」

「もしも、完全なる世界と手を組んだらやばいな…」

「でもでも、そんな危ない奴がどうしてここに!?」

 

 

「それは、もちろん無敵の力を手に入れるためよ」

 

 

 リズが叫んでいると、どこからともかく、管路が現れた。突如、気配も無く現れたので、慣れている一刀と管路が出現することを察知していたヒルヴァニック以外、全員驚いた。

 

「はじめまして、紅い翼に転生者たち。私は管路。星読みの占い師で、一刀のパトロよ」

「いつから俺の保護者になった?つうか何しに来たんだ?」

「そりゃーもちろん敵の目的と情報を直接伝えに来たのに決まってるでしょう」

「情報収集ご苦労様です管路さん」

 

 ヒルヴァニアが管路にごくろうさまと親しげに話す。

 漢女二匹以外、友達はいないと思われていたが、同姓の友達みたく会話する二人の関係にちょっと一刀は興味をもつ。

 

「おまえら、ほんとに知り合いだったんだな」

「はい、ちょっとした成り行きで…」

「成り行きって、なにかあったのか?」

「いやさ~。あんたが万事屋に入社したころに、彼女が世界の外で天パを覗きみ――」

「ワーワーワーっ!?そんなことよりバヴィロンの目的を教えてください!!」

 

 口がすべる管路を、ヒルヴァニックが手を振って、話を進めようとする。

 赤面して慌てる彼女に、ほんとなにがあったのか、全員、そう思った。

 

「まぁ、私と彼女との関係は置いといて、相手の目的について要点だけ説明するわね。最初に言ったとおり、そいつが目的は最強の力。いわゆる特異点を手に入れることよ」

「特異点?」

「特異点っていうのは、無数の原作と原作をもとにされた無数のFIの中で、概念、根本、基本、意味、運命とかすべての存在を無視した、1千兆分の1の確率で存在しない、存在以上の存在のこと。まぁ、いわゆるイレギュラーでバグの力をもった力を持った者で、その力を手にいれば、世界とか概念とか思い通りにできちゃうわけよ」

 

 詠春やリズなど、頭がいいやつらは口が塞がらなかった。なんでも思いのままにできるというバグ的なモノが存在するなどと信じられなかったのだ。頭の悪いナギやラカン、マサトなども、とりあえずデタラメなモノだとは理解した。その傍ら、一刀は管路が話す特異点について、あることに気づくが、いまだ推測の域であった。

 詠春が冷静に管路に聞く。

 

「しかし、バヴィロンという者はなぜ、そんな力を?悪魔の王を超えるほどの十分な力をもっているのにどうして?」

「そんなこと簡単よ。そいつがかつての犯罪神の右腕で、犯罪神に劣る存在だったから。どれほど正史の最上級神魔より強いからって、自分が上であることはないわ。とある犯罪神の右腕だったことがその証拠よ。その犯罪神はとてつもなく最強で最悪、そして、超えることができない存在よ。その右腕という名の手下で媚びていればいつしか劣等感と自身の野望を抱くもの。そのために仕えてきた犯罪神から離れ、特異点を求めてこの世界にやってきたわけよ。超えられない存在(犯罪神)を正面から超えるためにね」

「だけど、この世界に本当にいるの?特異点っていう人?」

「いるわよ。ってか、あなた達、もう会ってるわよ特異点に」

『へっ?』

「正確には、紅い翼のリーダたちと、一刀たちヘラス側かしらね」

 

 管路の言葉に、一刀は推測が当たり、ナギと遮那はフードの者が言ったイレギュラーな因子という言葉で、特異点が誰なのかわかった。

 

「まさか、特異点というのは…」

「そう、誘拐されたアスナちゃんよ」

「アスナが特異点じゃと!」

「なぜ、あやつが特異点っていうのじゃ!」

「その証拠は、あなたが一刀と一緒に見たはずよ、テオドラ姫ちゃん」

 

 テオは?マークと浮かべて一刀のほうに振り向く。ナギたちと同じく。

 そのことに、一刀は思い当たることがあった。アスナとテオとピクニックにいき、マサトたちと出会った事件を。その力の一遍を垣間見たことも。

 

「前、屑転生者の特典を消したのもその特異点の力なのか…」

「そのとおり。転生者の特典はある意味で個人のステータス(設定)を変更するのと同等よ。消したり変更するには、書き換えた本人か、それ以上の力の持ち主しかできないの。だけど、特異点だけは別。根源や概念を操り、消しさることができる特異点の力ならそれは可能よ。たとえ、神や世界の抑止力、運命させ、特異点には適わないの。たとえ、力ある神々や魔王、超越した存在も、存在するならその効果は絶大。だれにも敵わない」

「めちゃくちゃだな、特異点っていうの…:」

 

 特異点の力が想像できないほどの力であること、キョウスケたちは恐ろしくなる。もしも、バヴィロンや他の悪に渡ったりしたら、今いる世界どころか、ほか無数の世界の危機である。

 

「もしも、そいつがアスナちゃんの力を手に入れたどうなったちゃうわけ?」

「彼のこれまで犯罪歴と性格からして、手始めに強姦なエロ同人誌な世界に変えられて、最後には特異点の力試しにこの世界を破壊すると考えられます」

「うわ、最悪だな…;」

「そのためにも、あなた達にお願いよ。どうか特異点がそいつに渡らないように阻止し、倒してほしい」

「本来は担当の神である私の使命ですが、今、奴を倒せるのはあなた方しかいません!無責任でありますが、どうか、おねがします!」

 

 管路とヒルヴァニックはナギたちに頼む。ヒルヴァニックにいたっては頭を下げている。

 熱意が通じたのか、ナギは不敵に笑って、言う。

 

「言われなくとも、そいつが姫子ちゃんを使って悪いことするなら、俺たちの敵で十分だ」

「塔での借りもあるしな。俺たちを敵に回したこと、あのフードの奴まとめて後悔させてやるよ」

「エロ同人誌は好きだが、リアル強姦など、この俺、正義のお兄さんがゆるさん!」

「アスナを狙っているなら、おそらくバヴィロンは完全なる世界、いや、その組織の仲間になっているかもしれんな」

「なら、あたしたちがやるべきことはひとつね!」

「完全なる世界とその腐れ堕天使をぶっつぶす!」

「うんでもって、アスナちゃんを取り戻す!」

 

 ナギ、遮那、キョウスケ、剣呉、リーファ、マサト、リズの順番で言う。テオとアリカと残りの紅い翼も賛成であった。

 ただし、一刀だけは、さきほどから黙ったまま元気がなく、背中を壁に預けていた。

 

「どうしたのよ、しんみりした顔しちゃって?あなたが一番、かわいい妹分を取り戻そうとはりきりそうなのに?」

「…アスナが特異点だってことはわかった。けど、アスナが特異点なら、取り返した後どうする気だ?」

 

 たとえ、ヴァビロンを倒しても、特異点を狙う者がまた現れるかもしれない。そのことに、一刀はアスナをこれからどうするのか気になっていた。

 

「う~ん、そのことについては、まだいい策はないわ」

「とりあえず、アスナさんは、特異点を完全覚醒をしていないので、完全封印や処分するなど物騒なことはしませんのでご安心を…」

「つまり、それってアスナを特異点に目覚めさせたのは俺のせいってことなのか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 管路は言葉を詰まらた。フードの者が一刀に言ったのだ、アスナのイレギュラーの因子は自分が別世界の技術を教えたためだと。その現場にいたナギと遮那も、そのことを聞いていた。

 黙り込む彼女の反応に、一刀はイエスとして受け取った。ヒルヴァニックが、場の空気を読んで、一刀を励まそうとする。

 

「たしかに、アスナさんの特異点の因子を刺激したのは北郷さんかもしれません。異世界の技術などは、別世界の者まで影響しますし…」

「あ~たしかに~」

「遮那、なんで俺を見る?」

「気にするな。魔改造は男の夢だ」

 

 主人公をある意味で魔改造したキョウスケ。そのことに、「ナギにへんなこと教えたのはアンタかっ!」とリズがパルコーで殴り飛ばしていた。

 

「ですが、すべて貴方のせいではありませんよ。もともと、環境が異常な環境なのでいつかは自然覚醒するかもしれませんでしたし…。それに今は完全に覚醒したわけではありませんので、まだ力を封印できる範囲のはずです。ポディティブにいきましょう!」

「そうだぞ。もともとも、アスナは誘拐される運命(原作)だったんだ。ここは、あえて過去に後悔せず、王子様ポジションで小さき姫様を助け出せばいいだけのことだ。今はアスナを救出すること考えてくれ」

 

 と、パルコーで吹っ飛ばされて戻ってきたキョウスケも励まし、前に進むことを助言する。が、一刀にとって目の前でアスナが助けられなかったことにいまだ、責任を感じていた。

 

「悪いが、ちょっと一人にさせてくれ。頭を冷やしてくる…」

 

 そう言って、一刀は外に出て行った。

 

「一刀の奴、そうとう参ってるなー」

「仕方がない。あやつにとって、アスナは本物の妹と当然。兄として、妹を助けられず、後悔しないわけがない」

「それには、俺たちも同様だ。あの場に、俺たちがいたのに、結局何も出来なかったっ」

「俺も同意見だぞナギ。けど、今は悔しがってる場合じゃねぇよ」

「そうよナギ!なんとしても、アスナちゃんを助け出そう!」

「きっと、アスナちゃんも一刀さんのこと会いたがってるに違いないわ!」

 

 アスナ救出に団結を強めるナギたち。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 その傍ら、テオだけは、一刀が隠れ家に出て行くまで彼の背中を無言でみつめていた。

 

 

 

 

 隠れ家の近くの丘で一刀は座り込み、月光に照らされながら風に当たっていた。

 

「…こんなとき、銀さんならどうしたんだろう…」

 

 恩師であり、兄貴分である、坂田銀時のことを思い出す。無鉄砲でセクハラ親父で馬鹿なマダオであったが、どんあ屈強でもその魂は折れず、己のルールと約束を護り通す侍だ。もしも、アスナが誘拐されそうになったあのとき、彼ならどうする、また、今の状況でどうするか想像する。どちらにせよ、銀時なら、必ずやなんとかしてくる。そういうあたりまえのことに一刀は銀時を信じていた。けれど、自分は銀時ではない。ただの、『無知』な北郷一刀である。

 

「銀さん…俺、あんたみたいにはなれないのかなぁ…」

 

 一刀にとって銀時は自分の目標であった。かつて、異世界を旅し、強くなるにつれ、失うものを増えていき、負の感情を抱くようになった。そのうち、一刀は修羅へと変貌しようとしていた。しかし、銀時と出会い、彼の生き様と魂を知り、生き地獄を歩む修羅ではなく、何かを護るために生きる武神へと生まれ変わったのだ。そして、一刀は銀時のように護りたいモノを護る男になりたかった。彼のような強い信念(ルール)と堅牢な眩しい魂を持った男になりかった。そうなりたかったのに、なぜか、隻眼で狂気の男が脳裏によぎる。

 

「俺は…高杉のようにならない。絶対にっ」

 

 頭を振り回し、振り捨てる。修羅に見入られ、狂気である高杉に近くい存在であったとしても、一刀は銀時側であることに自覚し信じる。恩師のために、かつての友人たちのために、かつての恋した者たちのために、そして、己のために、狂気とただの力を戒めとした。そうでなくては、心の奥の修羅の業火がナギたちの世界を壊してしまうから。

 一刀は、修羅の道にまた戻らないためのもう一度、誓うのであった。すると…、

 

「こんなところにおったかカズト」

「テオっか…」

 

 テオがやって来た。どうやら一刀のことを探してたらしい。テオは何食わぬ顔で、一刀の横に座る。

 

「まったく、いつもはお気楽な癖して、躓けくと弱くなりおって。それでも、アスナの兄が勤まるのか?」

「兄ねえ…」

 

 義理とはいえ、一刀はアスナの兄である。ただし、期間限定の兄妹の関係だ。いつかお別れがくる。そのとき、アスナに恨まれる覚悟は、旅をしてるうちに身に着けている。

 

「安心しておけ。おぬしが去った後、アスナのことは妾が面倒をみよう。おぬしは、今はアスナの兄として接してやれ」

「っ!?テオ、おまえいつからその事を…」

「先ほどのキョウスケらの話で確信したが、まえまえから気づいておったわ。なにせ、おぬしが妾との一線に壁を作ってたしな」

 

 一刀はテオといろいろとアダルトな関係でもあったが、本番はなかった。もしも、深い関係では一刀が消えたとき相手が悲しみ、もしも、一刀の子供がいたら、その子供がかわいそうになるため、一刀はあえて、自身の証を残さなかった。そうでないと、罪悪感で重くなる。

 その一刀の心境をに気づいたテオ。まじで、たくましくなったなぁ~と、一刀は内心思った。

 

「ごめん…。本当のこと話すのつらくて黙ってた…」

「よい。おぬしの気持ちは妾にはわかる。そもそも、一緒になれることなど、もとから無理な話なのじゃ。おぬし所詮、目的のために旅をする旅人。ここにおぬしの目的のものはないなら、いずれ、去るのは道理じゃ。妾の傍に一生いてくれぬ…いや、恋した者たちかな?」

「ちょっと!?なんで俺に恋人がいたこと知ってんだ…!?」

「寝言で呟いておったぞ。なにやらルリというものとデートをしている夢らしいな。まったく、皇女として気軽にデートが出来ぬ妾にはうらやましいかぎりだ」

「デートなら戦争は終わった後いってあげるから我慢してくれ…。それにしても俺、ルリたちの名前呼んでたのか…ちょっとはずかしいな~…」

「ほう、ルリたちか…、ということはほかにも恋人がおったようじゃなぁ」

 

 つい、墓穴を掘ってしまった一刀。テオに細めで睨まれる。マサトとラカンを成敗した龍王のオーラがあふれていた。

 

「カズト、ちょっい頭を下げよ」

 

 龍王モードのテオに命令され、一刀は素直に従って頭を下げる。

 そのとき、テオは不意をついて一刀にディープキスをした。

 

「むっごむご!?」

「ちゅるぢゅる!」

 

 離れないようがっちりと一刀の頭をホールドし、一刀の口内と掻き回し、舌と舌を涎で絡める。

 そのとき、地面に魔方陣が展開され輝いていることに、一刀は気づいた。仮契約の魔方陣だ。テオはあらかじめ仮契約の儀式用の魔法具をもっていたのあろう。キスと同時には魔法が発動された。その証拠の、二人の頭上にカードが落ちてきた。

 数秒間、テオはようやくホールドを解き、一刀の唇から離した。

 

「ぷっはー!ここまで濃密な関係になったのは妾が始めてあろうな」

「テオ、なんで仮契約を――わっ!?」

 

 突然、一刀を押し倒し馬乗りになるテオ。いったいなにを…と、一刀は驚くと、テオをみると、少女は地面に落ちた仮契約のカードを持ち、悲しみを堪え涙を溜めていた。

 

「一生とはいわん。ただ、妾から去るときまで、妾のソバにいてたもれ。おねがいじゃ…」

「テオ……」

「子供は作らんでよい。ただ、証がほしいのじゃ。おぬしとの関係を、おぬしとの触れ合いを、おぬしとの温かみを、おぬしとの絆を、妾の体に刻んでほしい…」

 

 震えるテオの腕が、一刀の体に伝わる。少女がそこまでいわれては、一刀は男としてやるべきことやろうと決意した。テオを乗せたまま、一刀はガバッと起き上がり、テオを下に倒した。そして、小さなテオを、一刀が覆いかぶさる。

 

「いっとくけど、俺も初めてだからな。加減できず壊しちゃうかもしれないけど。それでもいいか?」

「かまわん、もう、性欲奴隷のようにめちゃくちゃにしてくれ。もう、いままでのプレイで妾もがまんができぬ」

 

 テオは仮契約カードで顔を隠す。カードの下では羞恥心で顔を赤く微笑んでいた。いままで、大人の遊戯をしたが、生娘の見たいにはずかしむテオを、一刀ははじめてみた。そのため、小さな皇女が愛らしく、自分だけのものに、心身ともに支配したいという欲求と本能で理性が失いかけた。まぁ、童貞で鬼畜(誰かの影響かは不明とのこと)のため、仕方がないことだ。そこは、道徳と理性による紳士(幼女は大切に)の心がけで、グッと我慢する。

 一刀がテオに顔を近づけテオの頬を撫でる。テオもとろけた瞳で、一刀をみつめていた。

 

「愛しておるぞ。カズト」

「俺も愛してる。俺だけのマイ・リトル・プリンセス」

 

 完全に二人だけの世界に入った一刀とテオ。このまま濃厚な行為が待ち望んでいた。

 

 

 

 

「おぉぉ、ヤるのか!ヤっちゃうのか!?」

「おっさんが見届けてやるから、初めてを体験しちゃえ!」

「いや~月下での青年と幼女のラブシーンはロマンチックですねぇ~」

「ラブシーンというより、絵的にはエロアニメだが…。でも、グッジョプ!」

「こんなの駄目ですよ!他人の恋路を…まして夜伽を覗き見するなどとは、貴方たちは人としてどうですか!」

「そういう詠春を覗き見しておるぞ…」

「なんじゃろう、この敗北感…。おなじ姫なのに、なぜかあやつが先輩にみえる…」

「すごい…あれが大人のキス…!?いつか、あたしもナギにあんなことを…」

「HaHaHaHaHaHaHaHaHaHa!どうせ男はロリコンよ、ペドなのよ!でっかい脂肪なんて興味ないんだよ!ロリ・Yes!ペド・セッ○スОK・イン・ザ・GОなのよ!」

「落ち着けリーファ!?なんか怖ぇえぞ!?」

「師匠、手で僕の目を隠さないでください。なにも見えません」

「駄目だ。おまえには早すぎる」

「ついにあの二人も大人の階段を上るのかぁー。こりゃー鈴たちが喜ぶなー」

「ほんと調教した甲斐があったわー」

「進め青春を!おまえたちなら、(年齢の壁を)乗り越えれるはずだ!」

「うぉおおおお幸せになれよ~!(感動)」

「あの、管路さん。私がいうのもアレですが、なんで私たち、デバっ亀のようなことをしてるんでしょうか…?」

「シッ!黙ってなさい。彼の貴重な性長記録を録画するんだから」

 

 ちなみに、近くの草むらでに隠れて覗き見している者たちも、その時を待ち望んでいた。約一名、無知である保険体育と恋愛で頭がヒートして暴走していた。そのため、男の娘が必死に止めていた。

 隠れているつもりなのか、テオと一刀でもバレバレであった。

 

「ま、まってカズトっ!?草むらにあやつらが!ここは一旦、別のところでしよう!さすがに見られながら恥ずかしいのじゃ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・(沈黙)」

「あれ、カズト…?」

「…ごめん、テオ。俺、もうがまんできない…」

 

 ビリビリビリビリっ、一刀はテオの服を両手で乱暴に破った。草むらでは男性陣はオォー!興奮し、女性陣はキャー!と黄色い悲鳴をあげていた(ちなみに、目の前の犯行でヒートオーバーになり気絶した妖精が一人いた)。

 一方で、一刀にレイプ紛いなことをされたテオは驚くが、なすすべもなく一刀に下着を脱がされてしまい、夜空の下で生まれたての姿を晒されてしまう。

 

「カ、カズト、いったいどうしたのじゃ…!?」

 

 両手で(無いけど)胸と大切な部分を隠すテオ。本来の一刀なら、このような暴行はしないはずだ。しかし、一刀の目はもはや獣。いや、ケモダモノの目であった。その目で狙うのは、驚きと羞恥心で涙目になるテオの顔とテオの褐色肌、テオの乳首、テオの唇、テオの髪、テオの未使用のニ穴。そして、脳内では「かわいかわいいテオを犯して廻して、イカしてやるよ」と、もはや、理性が無く、本能と色欲で動くケダモノであった。

 

「やばい…カズトが壊れた……;」

 

 なぜ、こうなったか。やはり、今まで本番無しだったのが今回、ОKということで、一刀の理性を崩壊させ、種馬として覚醒させたのが原因であろう。自分で誘っておいてなんだが、テオは理性が失ったケダモノ一刀がちょっと怖かった。これぞ、ミイラ取りがミイラということか。

 そのミイラもとい、一刀が目の前で初めて震える小さき皇女にさらに欲情し、性的に捕食しようとする。

 

「いただきまぁぁああああああああああす!!!」

「あ~れ~!?!?!?」

 

 

 

 

「させるかぁぁあああああああああああああぶぅるああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 

 と、R18(もうR15だけど)に突入するところで、若本節に邪魔された。

 どこからともかく、褐色のスキンヘットで蜜網の巨漢が走ってきて、テオに(性的に)襲い掛かる一刀の横顔にエルボー・バット(肘撃ち)を炸裂させた。

 

「がっは!?」

『なっにぃいいい!?』

「カズトぉおおお!?」

 

 一刀は体重と推進力が乗った鋭い肘撃ちで、横回転で吹っ飛び、頭から地面に落ちて倒れた。

 突然のなぞの襲撃により、ナギたちが驚きのあまり草むらから飛び出し、テオは一刀を心配しとりあえず着られる布で体に纏った。

 そして、一刀を吹っ飛ばした巨漢はとうと…。

 

「は~い、全国にいる恋姫ファンのみんな~!おまたせ~!恋姫シリーズの真のヒロインこと、貂蝉ちゃん参上♪うっふん♪」

 

 このシリーズで初の登場となる漢女こと貂蝉は、誰に言っているのかウィング付きで自己紹介をした。

 これには、さすがの紅い翼もたまらず声を出して叫ぶ。

 

『ぎゃっぁああああああああ化け物ぉおおおおおおおおおおおおおお!?!?!?』

「だぁぁぁあああれが、目に入った瞬間、全身に癌が発病したあげく、血流が硬直して心筋梗塞がおきて、ベットで瀕死になる生活をおくるほど見るに耐えない廃棄物な化け物ですってぇええええええええええ~!!!」

「そこまで、いってないわよ!?」

 

 恋姫でのお約束であった。ナギたちは貂蝉のインパクトな嘔吐しそうだった。なお、最後にツッコンだのはリズである。

 

「貂蝉!なぜ貴方がここにいる!?つか、なんで一刀の脱童貞を邪魔した!?」

 

 叫んだのは管路であった。貂蝉とは同じ管理者だが、今回は仕事上で、貂蝉は別の外史にいってたはずだった。もっとも、管路が怒っているのは一刀の童貞卒業の記録を邪魔されたことであったが。

 

「そんなこと御主人様の童貞を守るために駆けつけて来たのにきまってるでしょうよ!?本編では純粋なチェリーボーイなのに外伝で特命係長になるなって、上は黙っていないわ。悪くて抑止力が出ちゃうわよ」

「そんなもん、一刀が童貞である時点でとっこく抑止が出てきてはずよ!たいだい一刀は特命係長並じゃないといけないのよ。それが、恋姫の主人ってもんでしょうが!むしろ、種馬じゃないと抑止が出てこないわよ!出てきても、最終的にはガント撃って、追い払うけど」

「オイオイ、本人が気絶してるからって、さりげなく馬鹿にしてないかこいつら?」

「そもそも、あんたらにとって、抑止力はいったいんなんなんですか!?ハーレム主人公を妬むキモオタクですか!?家政婦の守護神みたいなもんですか!?抑止に感情が無くても抑止力泣きますよソレ!?」

 

 一刀をめぐって暴走する管理者二人。なにげに一刀まで馬鹿にされていることにナギが気づき、ヒルヴァニックはなにげに抑止力をどこぞの紅い元正義の味方と同様にいう。なお、抑止というのは、簡単に言えば世界のルールに基づく、執行人というもと理解してもらおう。

 

「ん~…俺はいった何を…?って、貂蝉?なにしてんだこんな所で?つうか、なんで俺、ここにいるんだ?」

 

 そんなとき、ギャグ補正で一刀が怪我無く目を覚ますも、なぜ、貂蝉がいるのか、なぜ、テオが裸で布をまとっているのかわからなかった。どうやら、先ほどの肘撃ちで、R18以前から丘で座っていたまでの記憶がポッカリ落ちたようだ。

 

「うふふふふ、いい具合に記憶がとんじゃらしいよねねね♪」

 

 喜ぶ貂蝉。そのことにテオが青筋を浮かべた。

 

「おのれよくも~、妾たちの初めてを邪魔したな!許さんぞ!」

「俺も同意権だ。じゃじゃ馬姫!」

「同じ筋肉ストリートとして、他人の恋路を邪魔する奴は成敗だ!このやろー!」

 

 またもや龍王モードになり、さらに、左右には、貂蝉と同じ巨漢であるラカンとマサトが鎮座していた。

 なぜ、この二人も怒り出すのか。それは同じ巨漢(片方は同じく褐色)のため、貂蝉と同じ人種と間違えられないようにするため。

 また、ほか男性陣も、いいところで貂蝉に邪魔されて、貂蝉に苛立っていた。もっとも、男性陣の中でフラグたっているナギにいたっては正気に戻ったアリカとリズに折檻されていたが。

 

「うふふふ、貴方たち程度の筋肉で漢の私に勝てるかしら?」

 

 不敵にも挑発する貂蝉。相手は相手なので勝てる勝率は少ないが、一刀(の初めて)を護るため、死ぬ気で戦おうと気合と筋肉を膨らませる。だが、このとき貂蝉は気づいていなかった。彼ら、とくに女性陣の数は一人減ったことに。気絶していた少女が気配を遮断して自分の背後に回っていたことに。そして、妖精が阿修羅のように9本の刀を構えていたことに、冷たい声が聞こえるまで貂蝉は知らなかった。

 

「九刀流阿修羅…」

「へっ?」

「阿修羅 弌霧銀(いちぶぎん)!」

 

 シュッパパパパパパパ!!

 

「ぎゃっぁああああああああああああああああああああ!?!?」

 

 9以上ほどの斬撃(武装色済み)が、貂蝉を千切りにしていく。さすがの貂蝉も自慢の筋肉が通じず、悲鳴を上げる。けれど、リーファは刀を振るのをやめない。そればかりか…

 

「煉獄鬼斬り。極虎狩り。六道の辻。黒縄・大龍巻。千八十煩悩鳳…」

 

 大技のオンパレードで、貂蝉を斬り殺していく。しかも、氷のように無表情でだ。彼女の冷徹な表情に、一刀たちは恐ろしく思い顔を引きずり、テオは一刀に、アリカとリズはナギに抱きつき震えていた。

 リーファが大技をやめたとき、氷のように顔には返り血が付き、足元にスクラップな肉の塊ができていた。

 

「一刀さん…」

「なななっ、なんでしょうかリーファ様!?」

 

 リーファは首をゆらりと、一刀のほうへ振り向く。その瞳には光が無く、重く深い闇が篭っていた。

 冷たい表情に闇が篭った瞳のリーファに、一刀はビビリまくる。

 

「一刀さんは胸が大きい子は嫌いですか…?」

「いや、大きいとか小さいとか別に――」

「どっちですか…?」

「hai!好きです!揉んで、しゃぶって、吸いたいほど爆乳が大好きです!だから、剣先を小股にツンツンしないで!?息子がロスして、TS化したくないんですぅ~!?おねげぇいしまづ~!(涙)」

 

 冷たくドスが効いた声、さらに、秋水の剣先で一刀の股間をつつくなど、一刀には選択する余地が無い。

 一刀の抱きつくテオにいたっては、抗議したくても、一刀の息子が人質に取れているため、下手に動けなかった。ナギたちも同様で、リーファが噴出す殺気に、体が硬直してしまう。

 一刀に大きい乳が『好き』だといわれ、リーファは冷たい顔から一転し、暖かな笑顔になる。その笑顔から滲み出る狂気は隠れていないが。

 

「うふふふふ…そうですよねぇ~。男は乳が大きい娘が好きですよねぇ。エロエロなことしたいですよねぇ~♪」

「あの…リーファさん…?」

 

 まるで、猛禽類が獲物を狙う眼で一刀を見つめるリーファ。その気配と殺気と狂気に一刀は押されて、すこし後退した。その一瞬の隙に、リーファが一刀の腹を殴った。

 

「ぐっほ!?リーファ…いったいなにを…」

 

 見事に急所に入り一刀は気絶し、テオから離れ、そのままリーファに倒れこんだ。リーファはやさしく胸で受け止め、一刀を抱きしめた。

 

「一刀さん…。私わかりました。欲しいモノのために相手の気持ちも事情なんて関係。自分がほしいなら、自分のものにしちゃえばいい。そう、無理やりにでもね♪」

 

 まるで悟ったように微笑む妖精は美しかった。だが、それは妖艶の美しさであり、狂った愛情。つまるところ…

 

『リーファ(さん/嬢ちゃん)がヤンデレになったー!?』

 

 いつのまにかキャラ崩壊し、ヤンデレになったリーファ。ナギたちはなんで、こうなったのかわからず叫ぶしかなかった。

 

「やめるんだ嬢ちゃん!そんなもん、お互い傷つけるだけだ!?」

「正気にもどってくださいリーファさん!?」

 

 リーファとなにかと仲がよいガトウとタカミチが止めようとする。まるで娘の暴走を止めようとする父親とその娘の弟であった。しかし、リーファは聞かず、一刀を肩に担ぐ。

 

「さぁ、一刀さん♪誰にも邪魔されないようにラブ○にいきましょう!寝ててもいいですよ!私が勝手にヤルので!大丈夫、痛いのは私だけです!あっ、もしも子供が出来たら、結婚届けにサインおねがいしますね!監禁してでも無理やり子供作りしますけど♪あっはははははははは♪」

 

 狂ったように笑い出すリーファ。このままで、ラブ○でリーファが一刀を【ピー】されてしまう。むしろ一刀がリーファに【ピー】するのか。どちらにしろ、初めて同士で卒業するのはたしかであった。

 

「そんなもんやらせるかぁー!!」

 

 リーファの暴行と奪略愛にテオがぶち切れ、一刀を取り戻そうと飛び掛った。しかし、あと1センチで触れる所で、リーファと一刀の姿が消えてしまった。

 

「なっ!?牛乳はどこへ!?」

「上だ姫様っ!?」

 

 スカイが上だと叫んで示すと、空には一刀を担ぎ、背後には四対の剣を翼状にならべて展開して、空中に浮遊していた。

 

「馬鹿な!?リーファは種族が妖精でも、羽がないから飛べないはすなのに!?」

「つうか、よく見たらあの羽、プレイブルーのμ 12 の背中の剣じゃねぇか!どういうことだ!?」

 

 紅い翼に所属したころ、互いの素性と特典をはなしたことがある。そのとき、リーファは原作では羽のあったのに羽がなく、空を飛べることはできなかった。もっとも、仲間が飛べたり、乗せてもらったりできるの飛ぶ必要はないため、不自由はなかった。けれど、そのリーファが、剣の翼を広げて飛行してた。それどころか、服装が少し変わっていた。元のブレイブルーのイザナギをμ 12 の衣装を足したような露出が多い下胸無し腹だしの上胴体に分厚い肩アーマー、下はイザナギのままで腰のブースターは三枚開きに開て無視のような透明な羽を展開し、腰の後ろには愛刀の三本の刀がロケットランチャーのような筒に同時に収納され、ポニーテルの頭にはμ 12 の角のある冠が追加されていた。ちなみに、紅い茨状のラインで、白と緑の2Pカラーである。

 とくに注目すべてきは背後の四対の翼上に展開された剣だ。見た目はμ 12 の四対の剣だが、刀身は深緑で紅い植物の管と葉っぱの刺青がは装飾されていた。

 ただし、姿だけでなく本質まで変化、もとい、進化していた。

 

『オイオイオイオイ、あの嬢ちゃんが放ってるオーラと質量って、もろ禁手(バランスブレイカー)じゃねぇか!神具じゃねぇのになんで出来るんだ!?』

「マジかよドライグ!?」

 

 禁手とはドライグの世界において、神具、神滅具がある領域に到着し化けたものであり、使い方によって世界の均衡が壊れるほどの力である。

 それをリーファが神具類が所持していないのにもかかわらず、禁手に至ったのだ。神側であるヒルヴァニックも驚いていた。

 

「まさか、特典ではなく、自力で禁手を発現したというのですか!?」

「あっはははは、これぞ、愛がなせる業!私と一刀さんを想う気持ちで発現した新たな力『妖精皇姫の剣舞(フェリーダンス・トリガー)』!」

 

 リーファの禁手『妖精皇姫の剣舞(フェリーダンス・トリガー)』。容姿からして、μ 12に因んだ能力だとキョウスケたち原作知識持ちがそう推測する。

 もっとも、それ以前に、

 

「他人の恋人を奪う奴が、愛とかいうなよ!?」

「そもそも、そんな歪んだ愛情で新しい力目覚めるなっ!?』

「場所と時を考えっかい!!」

『そうだそうだ!命がけで禁手を習得した奴らが泣くぞソレ?』

 

 ナギ、遮那、剣呉、ドライグの言うとおり、こんな昼ドラの場面で禁手を発動させるなっ、という話だ。とくに元ネタである原作の登場龍であるドライグにとって、そんなアホな理由で禁手化したことに、神滅具としてプライドがゆるさせなかった。

 

「ん?けど、おまえ原作じゃーおっぱいを揉んで禁手化しなかったか?」

『それは言わないでくれ相棒~;;』

 

 黒歴史を掘り返されて、泣きそうになるドライグ。そのことについてはピクシブ辞典とかで調べてほしい(by作者)。

 

「まぁ、力とか能力ついては最終戦まで作者が考えるらしいから、今は飛行可能だってことは理解しておいて頂戴」

「メメタだー!?」

「うわ~リーファの奴。そうとうなキャラ崩壊してるなー」

「数日経てば元に戻るよね!?女友達がナギみたいにバグになるは困るわよ!」

「オイ、リズ。いいかげん俺で例えるやめてくれない?」

「ヴヴぅ…数少ない常識人が消えてしまった~;;」

 

 完全にキャラ崩壊したリーファ。そのことに、紅い翼の苦労人、詠春が悲しんだ。理由は明白、紅い翼はひとつ常識側の人間が消えたからだ。

 また、描写にはなかったが、タカミチは今のリーファの姿で鼻血を出して地面に倒れていた。なにせ、ブレイブルーの無いチチではなく、SAOの爆乳妹妖精なのだ。肌や下乳など露出が半端なため、エロく、子供には刺激が強すぎる姿なので、鼻血を出して気絶するのも当然であった。

 

「それよりも、いいかげん妾のカズトを返さんか牛乳娘ぇぇえええ!!」

「やだよ。逃げるよ。【ゴリブロ】するよ。にゃっはははは!」

 

 そう言って、勝ち誇った笑みを浮かべたリーファは、一刀を担いだまま東北の彼方へと飛び去っていった。

 

「まったんかごらぁあああああああ!!えぇぇい、スカイ!ディーブ!それと、マサトと剣呉!コソ泥を追いかけるぞ!付いてまいれ!」

「「「あらほらさっさ!」」」

「人の恋路を奪うのは許しがたきこと。全力で阻止するぞ!」

『そうだな。さすがに奪略愛はマズいよな…;』

 

 スカイ、ディーブ、マサトはどこぞの三悪党のように返事をし、剣呉はやる気十分でドライグはしぶしぶ承知した。テオたちヘラス側は、一刀を助けるため、飛んでいった東北の方へ、走っていった。

 

「…とりあえず、俺たちも後を追うか」

「そうだな。あの脳筋女を止められなかった俺たちにも責任あるし…」

「異議なしだ。だが、そのまえにリアル泥沼三角関係を撮りたいからビデオカメラの準備をしていいか?」

「私も、本のネタのために三角関係を記録したいので、もうすこし様子を観察を…」

「状況を考えなさい、この不埒ら兄弟!!」

「うほっほ~!こりゃ~おもしろくなってきたぜ~♪」

「これが、若気の至りかのぉー」

「そちらはなにげに楽しんでおるな!?」

「そんなことよりも、さっさとリーファを止めに行くわよ!おなじ女として逆レイプは絶対に駄目なんだから!」

「動けるか、タカミチ?」

「だ、大丈夫です…師匠…」

 

 紅い翼とアリカも後を追う。

 丘に残されたのは管路とヒルヴァニックと肉の塊となった貂蝉だけだった。

 

「管路さん。私たちはどうしすればいいのでしょうか」?

「そうねぇ。まだ、リズにあのハンマーのこと説明してないし、とりあえず、私たちも後を追いましょうか。悪いけど、この撮影器具もってくれない?」

 

 どこからだしたのか、AⅤ撮影用の器具一式を取り出した。

 

「あなたの場合、ただ、逆レイプを録画したいだけでしょうが!?つうか、どっからこの撮影器具出した!?もはや、AⅤ撮影でしょうが、コレ!?逆寝取られのAⅤでも撮るきですかアンタ!?」

「失礼な、これはれっきとして性長記録よ。かわいい我が子が大人の階段を上る瞬間を記録するのは保護者として当然の義務なのよ」

「まじめなそうな親の顔をしてるけど、中身はただの覗きですよソレ!?親は我が子が逆レイプされてるところ記録しませんし、義務なんてありません!ってか、いつから、北郷がアンタの子になった!?」

「我が子の設定なら、萌えるでしょう?とくに股が…」

「いわせませんよ、この発情期GGI!?」

 

 荒い息で紅潮する管路に、ツッコミを入れるヒルヴァニック。

 

「とにかく、人の夜伽を盗撮なんで趣味が悪すぎます!?」

「あんたの趣味だって似たようなものでしょう?美人な癖してなんでまた、あんな天パなマダオなんか欲情してんだか…」

「そ、それはそれとは話は別です…てか、欲情してませんよ!?」

「そんなことよりも、さっさと追いかけるわよ。このままじゃ見失いそうだし…」

「先にボケたくせに、話をふって何様のつもりですかこの人は…って、置いていかないでくさいよ管路さ~ん!!」

 

 管路とヒルヴァニックもその場から立ち去る。

 そして、最後に残されたのは貂蝉だったモノをいわな死体の肉片であった。

 

 

 

「……死んだと思った?残念、生きてます(キリッ)」

 

 訂正、まだ、ピクピクの肉片が動いており、生きておりました。

 

 

 つづく

 

 

 

おまけ

 

 

 同時刻、アスナを攫った完全なる世界、その本拠地では…

 

 

「私が攫われたのになんでカズトは童貞を卒業しようとしてんの?そももそ、カズトの童貞は処女の私がいただくはずなのに?てか、こんな状況で私のカズトを手を出す普通?泥棒猫なの?私とカズトの中を引き裂こうとする悪魔、つうか神様?どちらでもいいけど、こんな運命した奴がいたら消してやる。いや、カズトを汚した女ごと消す。消すたら消す。消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す…パルパルパルパルパルパルパル――」

 

 女の勘か、一刀がテオ、リーファに童貞を奪われようとしていることを感じ取り、ヤンデレモードになっていた。

 そればかりか、十字架の縛られている間、周りの空間が…宇宙空間のようなモノが出現し、満ち潮のように周りを侵食し、世界を無に帰す儀式の術式や、城、空間に浮かぶ魔力など、存在するものは宇宙のようなモノに飲み込まれるように、消滅…いや、『初期化』されていった。また、初期化はさらに広がろうと拡大していた。

 これが、管路が言っていた特異点の力。むしろ、すべての始まりというための、初期化(消滅)させるという特異点の行為(発現の予兆)であった。

 

「大変です創造主!?儀式に設置した黄昏の姫御子を中心に術式や、その他の魔法や幻想が消滅しています!?このままで、城が…いや、我々が世界を無に返すまえに、すべてが本当に無に――存在自体がすべて削除されてしまいます!!」

『えぇい、イレギュラー因子め~!?術式の細かな調節は我がする!おまえらは、これ以上黄昏が暴走しないよう、いますぐ新たな結界と封印の術式を上から重ねて掛けろ!!魔力はこの城のものを惜しまず使え!』

「それだと、この城の維持が――」

『構わん!すべては幻想を新たな世界に送るまで時間稼ぎだ!すべてが消滅するまえに、儀式が完成すればいいだけのこと!時間がない、さっさとやれ!』

「わ、わかりました!?」

 

 フードの者、もとい創造主が命令し、アーウェンクス1が急いで仲間とともに、暴走するアスナを封印するための準備に取り掛かった。

 

『これが、特異点の力…いや、すべての始まりのための初期化か。一端であるが、おそろしいものだ。…もっとも、我には使えん代物だがな』

 

 もしも、アスナ――特異点を使えれば、この世界が待ち受ける絶望を変えることはできるだろう。だが、創造主はしない。人の手、ましてや世界の秩序を崩壊させる力などリスクが高いすぎる。幻想の世界を作った創造の主である自身でさえ、その絶大な力を扱える自信と力はなかったのだ。

 

『幻想を新たな世界に移したら、早々に『おぬし』に渡そう。契約を守りさえすれば、こちらは何も言わん。世界の法を荒らす存在(特異点)など、新たな世界には不要だ。むろん、貴様も、異界の者もすべてな』

 

 そう言って、創造主は消え去った。

 柱の影には人影のようなモノが隠れていた。

 

「もちろんですとも。アレ(アスナ)さえ手に入れば、この世界など用済。あなたがた人形がどうなろうがしったことではありません」

 

 男か女かわからない声が廊下に響く。どちらにせよ世界もろとも腐るのだから、と言いつけて。

 

「しばし、まってくださいよ、僕だけ鳥篭の姫。あなたが、今思うものはすべて、僕が壊してあげましょうから~。そんとき、あなたはどんな顔をするか、僕はたのしみです♪」

 

 まるで、狂ったように、優越と期待を胸に膨らませていた。

 そのモノは、アスナが絶望し、自分だけのものになったときのことを想像し、楽しみに待ち望んでいた。

 

「物語から外れた者、北郷一刀。君は僕の踏み台になってもらうよ、フッフフフ」

 

 


 
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