【 逃走 の件 】
〖 河南尹 新城 趙慈拠点周辺 にて 〗
『煙幕』と星の挑発で……まんまと十常侍を救い出した三人。
───スッ!
───スッスッ!!
明命、思春にとっては、このくらい造作も無い事。
しかし、日頃、主に政務へと勤しむ蓮華ゆえ、次第に足元が覚束なくなり……
……ゼェ……ゼェッ
………ガッ!
Σ( ̄□ ̄)!!!?
蓮華「キャアァアアア───ッ!!」バタッ!
足が絡み───背負っていた十常侍共々、前に投げ出された!
蓮華「痛ッ! ハァ……! ハァ、ハァ……クゥッ!!」グイッ!
張恭「ンゴォ!? ここはぁ………!?」
思春「まだ───寝ていろッ!!」
張恭「『ゴンッ』───ヘブッ!」ガクッ!
思春「蓮華様……無理をなされず! ここは、星に任せては如何でしょうか!? 私たちが食い止めている内に、金剛たちを呼び寄せて頂ければ!!」
蓮華「───ダ、ダメよ! 自分で定めた役割を、す、遂行出来ないからと他の者に肩代わりさせるなど、計画に支障をきたすわ!!」
明命「ですが───ッ!?」
蓮華たちに背負われる十常侍は、三人とも小太り。
宦官になると……太ることが多く、年を取ると痩せていくらしい。 今回は例に漏れず……かなりの体躯の持ち主だ。
蓮華の足元も……些かもつれ気味である。
蓮華「わ、私だって……皆に認められたい! 中途半端な活躍なんて……嫌なの! 姉さまは、皆の期待、民の願いを背負って、建国と云う難題に挑み続けているのに! 妹の私が……高がこれしきの事でぇ……!!」
思春「明命! 急ぎ朱里に連絡を! 金剛たちの手を借りたい! 吊り橋の間近まで来て援護を頼みたいとッ! 蓮華さまの身が───既に限界だ!!」
明命「はっ、はいっ! 直ぐに御願いしてきますッ!!」ダッ!
思春は、蓮華の言葉を無視して、明命に救援要請を命じる!
蓮華「───し、思春!! わ、私は……まだ、大丈夫ッ!」
思春「蓮華さま! 蓮華さまの活躍は、ご自身の知らないところで評価されています! 朱里たちの頼みを応じたのは誰か? 雪蓮さまたちが、安心して本拠地に残れたは……誰のお陰か? お分かりかと!!」
蓮華「───わ、私? た、確かに──そうだけど!! 結果が良い方向に転ぶか……どうかなんて、分からないわよッ!?」
思春「結果とは……待つのではなく、導いて出てくるものですよ! つまり、選択が幾つもあろうとも、正しい答えが確定しているワケではありません! 我々が、正しい答えに───変えるように努めるからですッ!!」
蓮華「………そ、それて屁理屈よね? 余りにも強引……」
思春「何を言われます! 先にコレを示したのは……アイツ……北郷ですよ? アイツは、いつもいつも……我々の考えていた以上の事を、信念を持ってやり遂げ、自分の選択を正しいモノに変え、そして……!!」
蓮華「ジィィィ…………」
思春「ゴ、ゴホンッ! す、すいません! ア、アイツを擁護するつもりなど……一片もありません! ただ……蓮華さまの身が心配で──!」
──────ザッ!
思春が言い訳を述べる前に、星が飛び込んで来るッ!!
星「────お前たち! まだ、この場所に居たのかぁ! 早く朱里の下へ向かえッ! 敵が追ってくるぞ!!」
殿の星が追い付き、蓮華と思春を急がせる! 星の後方を見れば……敵将と兵たちが数十人走ってくる様子が見えるではないかッ!?
吊り橋までの距離は、約一里(約410㍍)先!
三人は全力で、その場で撤退を開始したのであった!
◆◇◆
【 貂蝉の申し出 の件 】
〖 益州 漢中鎮守府 にて 〗
貂蝉「─────なのよぉん! だからぁあ、私が手伝い出来るのも、最後かもしれないのぉ! これもぉ一刀ちゃんと私ぃとの絆を深める……愛の試練なのかもねぇん!! うぅぅぅぅぅ…………」
加賀「なるほど……。 そう云う理由ならば、私たちも相手をさせて頂きますよ! それで、相手の野望を阻める事が出来るのなら……」
赤城「はぁ………居れば落ち着かないくて、敵対すると分かれば……これほど不安になる相手なんて、貂蝉ぐらいですよ? ───まったく、食欲不振になったら、どうしてくれるんですか!?」
加賀「…………誰がです?」
赤城「勿論、私───な、何ですかぁ!! まるで、私には関係ない単語と言わんばかりの顔はッ!! 私だって、胸が苦しくなって……食べれなくなる時があるんです! これでも、年頃の女の子ですし!!」
加賀「そうですか? 今の赤城さんを見ると、とても……。 そう言えば……先程、ボーキを───」
赤城「そぉ、そう言う加賀さんこそ、どうなんですか?」
加賀「私は、何時でも常在戦場の身! 腹八分にして、何時でも任務を実行できるように、心配りしているから……心配は無用! もし、補給不足に陥れば……必要最低限な働きで、皆の活躍に報いるまで!!」
赤城「……その割には前の鎮守府で、瑞鶴ちゃん達と張り合って、食事量を競争しているような場面……何度か見ましたが。 まるで、二人とも飢えた狼のように食べていましたよね? アレは………?」
加賀「………空母には、自分の矮小な誇りを捨て、捨て身で挑まなければならない……そんな勝負があるのよ!」
赤城「…………私も空母って云うか、同じ一航戦じゃないですか!?」
加賀「──そう! あの時は、譲ることが出来ない熾烈な戦い!」
赤城「………誤魔化しましたね?」
加賀「───己の願いを内に秘め……目指すは、絶対領域の地!!」
赤城「加賀さん……珍しく自分に酔って……」
加賀「──勝てば栄光、負ければ恐怖! そして、退くことが禁じられた聖なる争い!! しかし、私は──ッ!」
赤城「………秘書艦の譲位を賭けた勝負……ですか?」
加賀「………何故……知っているんです?」
赤城「瑞鶴ちゃんから、泣き付かれながら聞きましたよ。 この『大食い対決』で負けると……1ヶ月分の給金が消えるって。 しかし、勝てば秘書艦の任命を譲って、連日秘書艦が実現できるそうじゃないですか?」
加賀「提督のお傍で寄り添える……貴重な時間帯です! それに、勝負は何時も瑞鶴からの申し出ですよ? 敗北すれば……費用は全額敗者の負担になりますから。 勿論……敗北を喫する事など、ただの一度もありません!」
赤城「……だから、加賀さんが提督のお傍に居る事が、多かったんですね!? 瑞鶴ちゃんは、今まで勝った事が無いって……かなり落ち込んでいましたよ! 翔鶴ちゃんも心配していましたし───」
加賀「勝負の戦いに情けは無用! 実力で上がって貰わないと!」
赤城「そ、それなら──私が今度、挑ませて貰いま────」
貂蝉「───もぅうううッ! 私ぃを爪弾きにして、何が面白いのよぉ!!」
加賀「あぁ! すっかり記憶から抜けていました。 で……まだ戻らないのですか? 用は済んだのでは……!?」
赤城「…………そうですね」
貂蝉「ひぃいどぉおおおい!! 用が済んだからサッサッと帰れなんてぇ、都合のいい漢女扱いじゃない! 余りににも酷い仕打ちよぉおおおッ!!!? 幾らぁ私ぃと一刀ちゃんの関係が、羨ましいからってぇえええッ!!!」
加賀「……頭にきました! 全艦載機、発──!」バッ!
赤城「───加賀さん! 駄目ですよ!!」ガシィ!
加賀「赤城さん、止めないで! ───鎧袖一触よ、心配いらない!!」
赤城「どう考えたって……この前のように、やり返されてしまうのがオチです! ボーキや弾丸等の無駄ですよ!! どうせなら、その分を私に下さい!! その方が、世のため私のためになりますから!!」
加賀「────本気で言っているの?」
赤城「……じょ、冗談ですよ!」
──────ニュゥゥウウウウウッ!!?
貂蝉「ねぇえええッッ!! このぉおおッ! 麗しいぃい貂蝉ちゃんの頼みぃいい! 聞いてぇくれるぅうううッ!?」
加賀「わ、私の真っ正面に──貂蝉の顔が接近!?」
赤城「か、加賀さんッ! キャアァッ! 間近に──ウプッ!? 食べたボーキが出ちゃう───ッ!!!」
貂蝉「私にも、艦娘を建造させて欲しいのよぉ! この前のやり方で操作は慣れたわぁん! そ・れ・に……レシピも幾つか手に入れたのよぉん! 私が居れば、大型建造も可能だわよぉおおおッ! どぉう? どぉおおおッ!?」
『キャアァアアア─────ッ!!!』
◆◇◆
【 逃走 その2 の件 】
〖 河南尹 新城 趙慈拠点周辺 にて 〗
明命より報告を受けた朱里は、すぐに金剛たちを指揮し対応!
ーーー
朱里「───分かりました! 金剛さん! 比叡さん! 吊り橋の左右に伏せて下さい! 榛名さんと霧島さんは……中央に! 帰還する三人の支援……お願いします! 明命ちゃんは、十常侍の見張りを!!」
明命「はいッ! 皆さん……どうか、蓮華さまたちの事、宜しくお願いします!!」
ーーー
金剛「──OK、心配いらないデース! ゼッタイに助けるからネ! 追って来る敵だって、自慢の艤装でLotus root(蓮根)みたいに、穴だらけにしちゃうヨォッ!! 私の実力、見せてあげるネー!!!」
比叡「一般的な蜂の巣と言わないとこが……奥ゆかしい! 私も、金剛お姉さまに負けず、撃ちまくりま──『ブルッ!』 あれぇ? おかしいな……急に悪寒が……するなんてぇ?」
金剛「比叡ィ~風邪ですかァ? carelessness is forbidden!(油断は禁物デ~ス!) 後ろに下がって、榛名か霧島に任せるネ!」
比叡「だ、大丈夫です! 気合い、入れて、行きますッ!!」
ーーー
榛名「………霧島、どうかしたの? 額に汗が………」
霧島「…………大丈夫。 ふと、嫌な事……思い出しただけ。 あの忌まわしい……戦いを…………」
榛名「…………そう……」
ーーー
風「風たちは、左右に分かれて準備しますね~」
稟「兵を五人に分けて、待機です!」
★☆☆
星「───そのままでは追い付かれるッ! 私が代わろう!!」
蓮華「だ、大丈夫! 星は、後ろを──お願い!!」
思春「蓮華さま! 御辛抱を! もう少しで───!!」
ーーー
思春が示す対岸には、篝火が焚かれ周辺を明るく照らす!
そして、照らされる場所には…………
心配そうに様子を見守る朱里たち。
機会を窺う稟や風、比叡、榛名、霧島……そして!
金剛が満面の笑みを浮かべ、左手を前方に突き出しながら叫ぶ!!
金剛「安心して下サァーイ! この私たちが居る限り、必ず轟沈なんかさせないヨ! Aegis Shield(イージスの盾)並みの防御力で守るからネ!!」
どこから来る自信か……全く不明だが、その笑顔が安心感を与える!
ーーー
蓮華「───行きましょう! 思春! 星!」
「「はっ!(うむッ!)」」
ーーー
風「言っている意味は解りませんが~凄い自信デース~!」
稟「風……金剛殿に感化されてますよ……」
風「Oh───!!」
三人は、吊り橋に足を踏み入れるが──足元の不安定、橋の稚拙な構造、背負う十常侍の重さで、易々とは進めれなかった。
★ーー★ーー★ーー★ーー★
縄と木の板で作られた吊り橋は、全長が一匹(約23㍍)、幅は一人だけ通行可能の狭い場所。 渡った経験がある人なら分かるが、かなり揺れる不安定な橋である。 『吊り橋効果』の意味がよく分かるだろう。
だから──夏には冷房器具が要らないエコな場所だ。
もし……『天龍と吊り橋、どちらが怖い?』と提督諸氏にお尋ねすれば、大概『吊り橋』と選択される事が多い……はず。
ーー
ーー
ーー
─────!
な、何ぃ──ッ!? 貴官は……天龍を選ぶ………だと?
───そんな馬鹿なッ!?
天龍『フフフ、オレの方が怖いか? そう来なくっちゃな………』
★ーー★ーー★ーー★ーー★
そんな中……後方より多数の荒々しい足音が聞こえてくる!!
────!!!!!
親衛隊「ゴホッ! ゴホッ! ちょ──じゃない残紅様! 追い付きましたよ! アイツら……吊り橋を渡って逃げる気だ!!」
親衛隊「俺たちが、捕らえてきます───ッ!!」
残紅「………ニガスナッ! キリシマト、ツナガルモノダ! カナラズ、トラエロッ!」
親衛隊「はいッ!!」
ーー ーー
星「追いついて来たかぁ! 早く行けぇ!!」
蓮華「あ、貴女は……どうするのよぉ!?」
思春「蓮華さま! 此処に居ては、星の足手纏い! 私たちは十常侍を早く連れて朱里たちの下へ!!」
蓮華「────!」
思春「蓮華さま、お早くッ!!」
星「早く行けぇ! 私は主に会うまで死ぬ気など無い! それに、一応……孫呉の客将だからな。 大将を守護しなければ、冥琳に説教を食らうハメになるかもしれん! ………冥琳の説教は、長くて面倒そうだ!」
蓮華「星───!!」
橋の入り口辺りに星が立ち塞がり、蓮華たちが先に進む!
仲間を犠牲にすることに納得できなかった蓮華! しかし、二人の意見は、そんな甘い事を言わさず、『切り捨てよ!』と冷酷な判断を迫る!!
蓮華「────ごめんなさいッ!!!」ダッ!
蓮華は、無理やり自分を納得させ、断腸の思いで……星を残すのだった。
◆◇◆
【 ある戦艦の苦悩 の件 】
〖 河南尹 新城 趙慈拠点周辺 にて 〗
親衛隊「へ、へへへッ! や、やっと追い付いたぜ!」
親衛隊「………我々に敵する者は、女子供であろうと容赦などせん!」
親衛隊「──は、腹の中が、ムカムカして、何かおかしいぜぇ……!?」
残紅たちが追い付き、星の前に現れるのが、まず敵兵……三人。
それぞれが剣を持っているが、身体はふらついている。
星「(………まだ、煙幕の毒が効いているようだ。 これなら!)」
親衛隊「逃がすかぁあああッ!」
星「雑魚如きぃほざくなぁッ!!」──シュッ!
親衛隊「ゲヘェ──ッ!」グサッ! バタリ!
親衛隊「 Σ(・ω・ノ)ノ 」
親衛隊「 ∑(゚Д゚) 」
星「此処から先は──通さん! 如何なる者が来てもだ!」
ーーー
星の考えでは、あの場所に居た者──全てが煙幕の毒性で、身体に異常が出ていると考えていた。
朱里の説明では、煙幕を吸い込みと、強烈な吐き気を催す状態になるらしい。
ならば、身体に変調を来すのなら……普段の実力は出せず、通り道を塞げば時間を稼げると……
ーーー
残紅「………ならば、私の相手をしても……同じですか?」
闇より……残紅が現れる。
倒された親衛隊の姿を見ても……顔色一つ変えず歩を進める。
夜空に雲が切れて……僅かに照らされる月の光が……残紅を照らす。
身体一面に返り血を浴びながら……笑みを浮かべていた。
星「ふん! 言った筈だぞ? 『如何なる者』であろうとな! 例え……人智を超える者でも───ッ!」
残紅「………後悔しても……知りませよ………?」
────スッ!
─────ザッザザザッ!!
残紅が笑みを消し、何の前振りも無く星に近付く。
星は、嫌な予感を感じ、瞬時に吊り橋に身体を移動させ、ついでに足場を確認! 龍牙を鉾先を残紅に向けて構える!
星「それにしても………さっきの金切り声はどうした? いや、その体躯に合わぬ話し方をするな。 はっ! お前も……まさか……貂蝉と同じく『漢女』か? いや、しかし……服は普通に着こなしている……むむむっ!!」
残紅「……何をほざいているか分かりませんが、『私』には身体が無いのですよ。 偶々……このゴミに憑く事が出来ただけであり、口調に違和感を感じるのも当然です。 だから、その蔑む視線───止めて貰いませんかね?」
星「それは謝罪しよう。 いや、知り合いに似たような者が居たから、つい同じかと思ってしまった……」
残紅「その似たような人物……大いに気になりますが……まぁいいでしょう。 それに謝罪も不要。 ただ、『霧島』の居場所を教えて貰えば……それで。 ついでに云うと、そこを通して貰えれば……命も助けてあげますよ?」
星「ふっ! 双方ともに、顔を合わせて幾許も無い。 しかし……霧島と貴様を比較する事は出来る! 主の意志を尊重する霧島、主を貶める貴様──ならば、主に槍を捧げる私が────どちらに着くか分かるだろうがぁ!」
残紅「では──アナタを力尽くで排除して、他の者に聞きましょ──!!!」
残紅が星と剣呑なやり取りが始まり……途中で……残紅の表情が固まる!
残紅「ハッ! ハッハッハッ! アーッハッハッハッハッ!!!」
星「な、なんだぁ! 何が──おかしい!!」
残紅「人が捨て身で守ろうとするのに、当の霧島は……ほらぁ! 彼処に居るじゃないか! 相変わらずの小憎らしい顔してぇ! その澄ました表情でぇ輝かしい武勲艦の私を……コケニシヤガリヤガッテェエエエエッッ!!!」
残紅、いや『サウスダコタ』は……遂に見つけた。
遥か──別の世界の大戦で、自分に屈辱を与えた艦『霧島』を!!
★ーー★ーー★ーー★ーー★
《 回想 》
当時、最新鋭艦であった『サウスダコタ』は、『40.6㌢砲』『射撃管制レーダー』等を搭載し、僚艦『ワシントン』と駆逐艦四隻と共に戦場へと向かう。
────圧倒的有利だと考えて!!
しかし、そこには……姉(比叡)と仲間を失い、虎視眈々と機会を窺っていた、霧島と僚艦たちが待ち受けていた。
ーーー
ーー★
綾波『………や、や~りました~! うぐぅ……!』
サウス『───あ、相打ち!? ば、馬鹿なぁあああッ!?』
───駆逐艦『綾波』の奮戦により『サウスダコタ』の全電源が故障!
サウス「は、早くぅ! 早くぅ動けぇ動けぇえ動けぇえええッ!!」
得意のレーダーも動かず……備え付けられた大口径の砲も役に立たず。
─────ザバッ!
サウス「────はっ!?」
目の前に現れたるは……怒りの霧島!
霧島「───比叡姉さんや皆の仇! 今こそぉ!!」
サウス「あッ! あぁあああ………アァァアアアア──ッ!」
霧島「風速、距離よし! 全門──斉射ぁあああッ!!!」
カァ────────ッ!!!!
ーーー
ーー★
霧島に散々撃ち込まれた『サウスダコタ』だが……艦対用の弾では無かった事により、中破程度の被害で済んだ。
霧島は……僚艦『ワシントン』の砲撃で大破となり……後に自沈した。
勝敗こそ『サウスダコタ』側の勝利になったが……『サウスダコタ』の精神はーーー大破状態だった!
ーーー
ーー★
・自分よりも、数十年も古い老朽艦『霧島』に為すすべ無くボコられた。
・三式弾と云う焼夷弾を撃ち込まれため、被害が少なかった。
・自分が結果的に囮となったため、無傷の味方僚艦に助けられた。
それも、勿論ある。
しかし、最大の理由────は!
ーーー
霧島『…………ニヤリ』
サウス「─────ッ!!!!?」
ーーー
サウスダコタが撤退する間際に見せた──霧島の嘲る笑み!
それが───最新鋭艦の矜持を──大きく、そして深々と傷つけたのだ!
ーーー
ーー★
愛宕「霧島さぁーん!!」
霧島「ごめんなさい……比叡姉さ…ん。 あ、ありがとう……あ、綾波……」
霧島に急ぎ近付く……霧島の僚艦である愛宕たち!
ーーー
撤退を余儀なくされる……サウスダコタ!
サウス「………き、霧島ぁあああ……こんな結果などぉ認めぇん! 誰が認める物かぁああ!! もう一度、もう一度ぉ私と戦えぇえええッッッ!!!」
ワシントン「つべこべ言わず………来い!」グイッ!
サウス「ガァアアアァァアアア───ッ 離せぇ! 離せぇえええッ!!!」
ーーー
ーー★
そして……二度と相対する事は……無かった。
★ーー★ーー★ーー★ーー★
残紅「キィリィイイシィマァアアアアッ!!!」
星「────くっ!!」シュッン!
親衛隊「グワァアアア────ッ!」ドスッ!!
親衛隊「な、何だぁあああああッ!!」ゴロゴロッ!!
ーーー
『───────!?』
比叡「──────えッ!?」
霧島「─────サ、サウス……ダコタ!」
ーーー
残紅が雄叫びを再び上げて、辺りに居る親衛隊を投げ飛ばす!
その前に……星は素早く動き──吊り橋の中央へと位置を変えた。
蓮華たちは、既に吊り橋を渡り終え………思春と共に様子を見ている!
比叡は額に汗を流して残紅を凝視!
霧島は……眼鏡に篝火の明かりが反射して……表情が見れない!
金剛や榛名は、戦闘態勢を取り……恋姫たちを守る覚悟を固める!!
朱里たち軍師勢は、策の発動の機会を窺う。
残紅「キリシマァアアアアア────ッ!」
残紅……『サウスダコタ』が吊り橋を………ユックリ……歩を進める。
星は、そんな残紅に対して……立ち阻む!
星「何度も言わせるな! 如何なる者も通さん……と言った筈だ!!」
残紅「ジャマヲスルナァアアアッ!!」
星と残紅……『サウスダコタ』が激突──ッ!
如何なる戦いになるか……完全に予想できる者は、誰も居なかったのである!
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あとがき
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
もう少し早く投稿する予定が、仕事の忙しさ+親類の葬儀+家の事情で、書いている事が出来ませんでした。
霧島=サンとサウスダコタの戦いは、有名ですので詳細は外しましたけど、ここの外史上での戦いは、こんな具合になります(開き直り)。
だって……色々話があってね、異説も結構あるみたいだから、どうしようか悩んだ結果、こんな風に纏めてみました。
次回は、早めに投稿したいと思ってますので、お願いします。
それと……吹雪が着任する予定ですので……報告を。
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やっと、投稿できました。