No.774296

艦隊 真・恋姫無双 51話目

いたさん

やっと、投稿できました。

2015-04-30 01:46:45 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1361   閲覧ユーザー数:1220

【 逃走 の件 】

 

〖 河南尹 新城 趙慈拠点周辺 にて 〗

 

『煙幕』と星の挑発で……まんまと十常侍を救い出した三人。 

 

───スッ! 

 

───スッスッ!!

 

明命、思春にとっては、このくらい造作も無い事。

 

しかし、日頃、主に政務へと勤しむ蓮華ゆえ、次第に足元が覚束なくなり……

 

……ゼェ……ゼェッ

 

………ガッ!

 

Σ( ̄□ ̄)!!!?

 

蓮華「キャアァアアア───ッ!!」バタッ!

 

 足が絡み───背負っていた十常侍共々、前に投げ出された!

 

蓮華「痛ッ! ハァ……! ハァ、ハァ……クゥッ!!」グイッ!

 

張恭「ンゴォ!? ここはぁ………!?」

 

思春「まだ───寝ていろッ!!」

 

張恭「『ゴンッ』───ヘブッ!」ガクッ!

 

思春「蓮華様……無理をなされず! ここは、星に任せては如何でしょうか!? 私たちが食い止めている内に、金剛たちを呼び寄せて頂ければ!!」

 

蓮華「───ダ、ダメよ! 自分で定めた役割を、す、遂行出来ないからと他の者に肩代わりさせるなど、計画に支障をきたすわ!!」

 

明命「ですが───ッ!?」

 

蓮華たちに背負われる十常侍は、三人とも小太り。 

 

宦官になると……太ることが多く、年を取ると痩せていくらしい。 今回は例に漏れず……かなりの体躯の持ち主だ。

 

蓮華の足元も……些かもつれ気味である。 

 

蓮華「わ、私だって……皆に認められたい! 中途半端な活躍なんて……嫌なの! 姉さまは、皆の期待、民の願いを背負って、建国と云う難題に挑み続けているのに! 妹の私が……高がこれしきの事でぇ……!!」

 

思春「明命! 急ぎ朱里に連絡を! 金剛たちの手を借りたい! 吊り橋の間近まで来て援護を頼みたいとッ! 蓮華さまの身が───既に限界だ!!」

 

明命「はっ、はいっ! 直ぐに御願いしてきますッ!!」ダッ!

 

思春は、蓮華の言葉を無視して、明命に救援要請を命じる!

 

蓮華「───し、思春!! わ、私は……まだ、大丈夫ッ!」

 

思春「蓮華さま! 蓮華さまの活躍は、ご自身の知らないところで評価されています! 朱里たちの頼みを応じたのは誰か? 雪蓮さまたちが、安心して本拠地に残れたは……誰のお陰か? お分かりかと!!」

 

蓮華「───わ、私? た、確かに──そうだけど!! 結果が良い方向に転ぶか……どうかなんて、分からないわよッ!?」

 

思春「結果とは……待つのではなく、導いて出てくるものですよ! つまり、選択が幾つもあろうとも、正しい答えが確定しているワケではありません! 我々が、正しい答えに───変えるように努めるからですッ!!」

 

蓮華「………そ、それて屁理屈よね? 余りにも強引……」

 

思春「何を言われます! 先にコレを示したのは……アイツ……北郷ですよ? アイツは、いつもいつも……我々の考えていた以上の事を、信念を持ってやり遂げ、自分の選択を正しいモノに変え、そして……!!」

 

蓮華「ジィィィ…………」

 

思春「ゴ、ゴホンッ! す、すいません! ア、アイツを擁護するつもりなど……一片もありません! ただ……蓮華さまの身が心配で──!」

 

──────ザッ!

 

思春が言い訳を述べる前に、星が飛び込んで来るッ!!

 

星「────お前たち! まだ、この場所に居たのかぁ! 早く朱里の下へ向かえッ! 敵が追ってくるぞ!!」

 

殿の星が追い付き、蓮華と思春を急がせる! 星の後方を見れば……敵将と兵たちが数十人走ってくる様子が見えるではないかッ!?

 

吊り橋までの距離は、約一里(約410㍍)先! 

 

三人は全力で、その場で撤退を開始したのであった! 

 

 

◆◇◆

 

 

【 貂蝉の申し出 の件 】

 

〖 益州 漢中鎮守府 にて 〗

 

貂蝉「─────なのよぉん! だからぁあ、私が手伝い出来るのも、最後かもしれないのぉ! これもぉ一刀ちゃんと私ぃとの絆を深める……愛の試練なのかもねぇん!! うぅぅぅぅぅ…………」

 

加賀「なるほど……。 そう云う理由ならば、私たちも相手をさせて頂きますよ! それで、相手の野望を阻める事が出来るのなら……」

 

赤城「はぁ………居れば落ち着かないくて、敵対すると分かれば……これほど不安になる相手なんて、貂蝉ぐらいですよ? ───まったく、食欲不振になったら、どうしてくれるんですか!?」

 

加賀「…………誰がです?」

 

赤城「勿論、私───な、何ですかぁ!! まるで、私には関係ない単語と言わんばかりの顔はッ!! 私だって、胸が苦しくなって……食べれなくなる時があるんです! これでも、年頃の女の子ですし!!」

 

加賀「そうですか? 今の赤城さんを見ると、とても……。 そう言えば……先程、ボーキを───」

 

赤城「そぉ、そう言う加賀さんこそ、どうなんですか?」

 

加賀「私は、何時でも常在戦場の身! 腹八分にして、何時でも任務を実行できるように、心配りしているから……心配は無用! もし、補給不足に陥れば……必要最低限な働きで、皆の活躍に報いるまで!!」

 

赤城「……その割には前の鎮守府で、瑞鶴ちゃん達と張り合って、食事量を競争しているような場面……何度か見ましたが。 まるで、二人とも飢えた狼のように食べていましたよね? アレは………?」

 

加賀「………空母には、自分の矮小な誇りを捨て、捨て身で挑まなければならない……そんな勝負があるのよ!」

 

赤城「…………私も空母って云うか、同じ一航戦じゃないですか!?」

 

加賀「──そう! あの時は、譲ることが出来ない熾烈な戦い!」

 

赤城「………誤魔化しましたね?」

 

加賀「───己の願いを内に秘め……目指すは、絶対領域の地!!」

 

赤城「加賀さん……珍しく自分に酔って……」

 

加賀「──勝てば栄光、負ければ恐怖! そして、退くことが禁じられた聖なる争い!! しかし、私は──ッ!」

 

赤城「………秘書艦の譲位を賭けた勝負……ですか?」

 

加賀「………何故……知っているんです?」

 

赤城「瑞鶴ちゃんから、泣き付かれながら聞きましたよ。 この『大食い対決』で負けると……1ヶ月分の給金が消えるって。 しかし、勝てば秘書艦の任命を譲って、連日秘書艦が実現できるそうじゃないですか?」

 

加賀「提督のお傍で寄り添える……貴重な時間帯です! それに、勝負は何時も瑞鶴からの申し出ですよ? 敗北すれば……費用は全額敗者の負担になりますから。 勿論……敗北を喫する事など、ただの一度もありません!」

 

赤城「……だから、加賀さんが提督のお傍に居る事が、多かったんですね!? 瑞鶴ちゃんは、今まで勝った事が無いって……かなり落ち込んでいましたよ! 翔鶴ちゃんも心配していましたし───」

 

加賀「勝負の戦いに情けは無用! 実力で上がって貰わないと!」

 

赤城「そ、それなら──私が今度、挑ませて貰いま────」

 

貂蝉「───もぅうううッ! 私ぃを爪弾きにして、何が面白いのよぉ!!」

 

加賀「あぁ! すっかり記憶から抜けていました。 で……まだ戻らないのですか? 用は済んだのでは……!?」

 

赤城「…………そうですね」

 

貂蝉「ひぃいどぉおおおい!! 用が済んだからサッサッと帰れなんてぇ、都合のいい漢女扱いじゃない! 余りににも酷い仕打ちよぉおおおッ!!!? 幾らぁ私ぃと一刀ちゃんの関係が、羨ましいからってぇえええッ!!!」

 

加賀「……頭にきました! 全艦載機、発──!」バッ!

 

赤城「───加賀さん! 駄目ですよ!!」ガシィ!

 

加賀「赤城さん、止めないで! ───鎧袖一触よ、心配いらない!!」

 

赤城「どう考えたって……この前のように、やり返されてしまうのがオチです! ボーキや弾丸等の無駄ですよ!! どうせなら、その分を私に下さい!! その方が、世のため私のためになりますから!!」

 

加賀「────本気で言っているの?」

 

赤城「……じょ、冗談ですよ!」

 

──────ニュゥゥウウウウウッ!!?

 

貂蝉「ねぇえええッッ!! このぉおおッ! 麗しいぃい貂蝉ちゃんの頼みぃいい! 聞いてぇくれるぅうううッ!?」

 

加賀「わ、私の真っ正面に──貂蝉の顔が接近!?」

 

赤城「か、加賀さんッ! キャアァッ! 間近に──ウプッ!? 食べたボーキが出ちゃう───ッ!!!」

 

貂蝉「私にも、艦娘を建造させて欲しいのよぉ! この前のやり方で操作は慣れたわぁん! そ・れ・に……レシピも幾つか手に入れたのよぉん! 私が居れば、大型建造も可能だわよぉおおおッ! どぉう? どぉおおおッ!?」

 

『キャアァアアア─────ッ!!!』

 

 

◆◇◆

 

【 逃走 その2 の件 】

 

〖 河南尹 新城 趙慈拠点周辺 にて 〗

 

明命より報告を受けた朱里は、すぐに金剛たちを指揮し対応!

 

ーーー

 

朱里「───分かりました! 金剛さん! 比叡さん! 吊り橋の左右に伏せて下さい! 榛名さんと霧島さんは……中央に! 帰還する三人の支援……お願いします! 明命ちゃんは、十常侍の見張りを!!」

 

明命「はいッ! 皆さん……どうか、蓮華さまたちの事、宜しくお願いします!!」

 

ーーー

 

金剛「──OK、心配いらないデース! ゼッタイに助けるからネ! 追って来る敵だって、自慢の艤装でLotus root(蓮根)みたいに、穴だらけにしちゃうヨォッ!! 私の実力、見せてあげるネー!!!」

 

比叡「一般的な蜂の巣と言わないとこが……奥ゆかしい! 私も、金剛お姉さまに負けず、撃ちまくりま──『ブルッ!』 あれぇ? おかしいな……急に悪寒が……するなんてぇ?」

 

金剛「比叡ィ~風邪ですかァ? carelessness is forbidden!(油断は禁物デ~ス!) 後ろに下がって、榛名か霧島に任せるネ!」

 

比叡「だ、大丈夫です! 気合い、入れて、行きますッ!!」

 

ーーー

 

榛名「………霧島、どうかしたの? 額に汗が………」

 

霧島「…………大丈夫。 ふと、嫌な事……思い出しただけ。 あの忌まわしい……戦いを…………」

 

榛名「…………そう……」

 

ーーー

 

風「風たちは、左右に分かれて準備しますね~」

 

稟「兵を五人に分けて、待機です!」

 

★☆☆

 

星「───そのままでは追い付かれるッ! 私が代わろう!!」

 

蓮華「だ、大丈夫! 星は、後ろを──お願い!!」

 

思春「蓮華さま! 御辛抱を! もう少しで───!!」

 

ーーー

 

思春が示す対岸には、篝火が焚かれ周辺を明るく照らす!

 

そして、照らされる場所には…………

 

心配そうに様子を見守る朱里たち。

 

機会を窺う稟や風、比叡、榛名、霧島……そして!

 

金剛が満面の笑みを浮かべ、左手を前方に突き出しながら叫ぶ!!

 

金剛「安心して下サァーイ! この私たちが居る限り、必ず轟沈なんかさせないヨ! Aegis Shield(イージスの盾)並みの防御力で守るからネ!!」

 

どこから来る自信か……全く不明だが、その笑顔が安心感を与える!

 

ーーー

 

蓮華「───行きましょう! 思春! 星!」

 

「「はっ!(うむッ!)」」

 

ーーー

 

風「言っている意味は解りませんが~凄い自信デース~!」

 

稟「風……金剛殿に感化されてますよ……」

 

風「Oh───!!」

 

三人は、吊り橋に足を踏み入れるが──足元の不安定、橋の稚拙な構造、背負う十常侍の重さで、易々とは進めれなかった。

 

 

★ーー★ーー★ーー★ーー★

 

縄と木の板で作られた吊り橋は、全長が一匹(約23㍍)、幅は一人だけ通行可能の狭い場所。 渡った経験がある人なら分かるが、かなり揺れる不安定な橋である。 『吊り橋効果』の意味がよく分かるだろう。 

 

だから──夏には冷房器具が要らないエコな場所だ。 

 

もし……『天龍と吊り橋、どちらが怖い?』と提督諸氏にお尋ねすれば、大概『吊り橋』と選択される事が多い……はず。

 

ーー

ーー

ーー

 

─────!

 

な、何ぃ──ッ!? 貴官は……天龍を選ぶ………だと? 

 

───そんな馬鹿なッ!?

 

天龍『フフフ、オレの方が怖いか? そう来なくっちゃな………』

 

★ーー★ーー★ーー★ーー★

 

 

そんな中……後方より多数の荒々しい足音が聞こえてくる!!

 

────!!!!!

 

親衛隊「ゴホッ! ゴホッ! ちょ──じゃない残紅様! 追い付きましたよ! アイツら……吊り橋を渡って逃げる気だ!!」

 

親衛隊「俺たちが、捕らえてきます───ッ!!」

 

残紅「………ニガスナッ! キリシマト、ツナガルモノダ! カナラズ、トラエロッ!」

 

親衛隊「はいッ!!」

 

ーー ーー

 

星「追いついて来たかぁ! 早く行けぇ!!」

 

蓮華「あ、貴女は……どうするのよぉ!?」

 

思春「蓮華さま! 此処に居ては、星の足手纏い! 私たちは十常侍を早く連れて朱里たちの下へ!!」

 

蓮華「────!」

 

思春「蓮華さま、お早くッ!!」

 

星「早く行けぇ! 私は主に会うまで死ぬ気など無い! それに、一応……孫呉の客将だからな。 大将を守護しなければ、冥琳に説教を食らうハメになるかもしれん! ………冥琳の説教は、長くて面倒そうだ!」

 

蓮華「星───!!」

 

橋の入り口辺りに星が立ち塞がり、蓮華たちが先に進む!

 

仲間を犠牲にすることに納得できなかった蓮華! しかし、二人の意見は、そんな甘い事を言わさず、『切り捨てよ!』と冷酷な判断を迫る!!

 

蓮華「────ごめんなさいッ!!!」ダッ!

 

蓮華は、無理やり自分を納得させ、断腸の思いで……星を残すのだった。

 

 

◆◇◆

 

【 ある戦艦の苦悩 の件 】

 

〖 河南尹 新城 趙慈拠点周辺 にて 〗

 

 

親衛隊「へ、へへへッ! や、やっと追い付いたぜ!」

 

親衛隊「………我々に敵する者は、女子供であろうと容赦などせん!」

 

親衛隊「──は、腹の中が、ムカムカして、何かおかしいぜぇ……!?」

 

残紅たちが追い付き、星の前に現れるのが、まず敵兵……三人。

 

それぞれが剣を持っているが、身体はふらついている。 

 

星「(………まだ、煙幕の毒が効いているようだ。 これなら!)」

 

親衛隊「逃がすかぁあああッ!」

 

星「雑魚如きぃほざくなぁッ!!」──シュッ!

 

親衛隊「ゲヘェ──ッ!」グサッ! バタリ!

 

親衛隊「 Σ(・ω・ノ)ノ 」 

 

親衛隊「 ∑(゚Д゚) 」

 

星「此処から先は──通さん! 如何なる者が来てもだ!」

 

ーーー

 

星の考えでは、あの場所に居た者──全てが煙幕の毒性で、身体に異常が出ていると考えていた。 

 

朱里の説明では、煙幕を吸い込みと、強烈な吐き気を催す状態になるらしい。

 

ならば、身体に変調を来すのなら……普段の実力は出せず、通り道を塞げば時間を稼げると……

 

ーーー

 

残紅「………ならば、私の相手をしても……同じですか?」

 

闇より……残紅が現れる。

 

倒された親衛隊の姿を見ても……顔色一つ変えず歩を進める。

 

夜空に雲が切れて……僅かに照らされる月の光が……残紅を照らす。

 

身体一面に返り血を浴びながら……笑みを浮かべていた。

 

星「ふん! 言った筈だぞ? 『如何なる者』であろうとな! 例え……人智を超える者でも───ッ!」

 

残紅「………後悔しても……知りませよ………?」

 

────スッ!

 

─────ザッザザザッ!!

 

残紅が笑みを消し、何の前振りも無く星に近付く。 

 

星は、嫌な予感を感じ、瞬時に吊り橋に身体を移動させ、ついでに足場を確認! 龍牙を鉾先を残紅に向けて構える!

 

星「それにしても………さっきの金切り声はどうした? いや、その体躯に合わぬ話し方をするな。 はっ! お前も……まさか……貂蝉と同じく『漢女』か? いや、しかし……服は普通に着こなしている……むむむっ!!」

 

残紅「……何をほざいているか分かりませんが、『私』には身体が無いのですよ。 偶々……このゴミに憑く事が出来ただけであり、口調に違和感を感じるのも当然です。 だから、その蔑む視線───止めて貰いませんかね?」

 

星「それは謝罪しよう。 いや、知り合いに似たような者が居たから、つい同じかと思ってしまった……」

 

残紅「その似たような人物……大いに気になりますが……まぁいいでしょう。 それに謝罪も不要。 ただ、『霧島』の居場所を教えて貰えば……それで。 ついでに云うと、そこを通して貰えれば……命も助けてあげますよ?」

 

星「ふっ! 双方ともに、顔を合わせて幾許も無い。 しかし……霧島と貴様を比較する事は出来る! 主の意志を尊重する霧島、主を貶める貴様──ならば、主に槍を捧げる私が────どちらに着くか分かるだろうがぁ!」

 

残紅「では──アナタを力尽くで排除して、他の者に聞きましょ──!!!」

 

残紅が星と剣呑なやり取りが始まり……途中で……残紅の表情が固まる!

 

残紅「ハッ! ハッハッハッ! アーッハッハッハッハッ!!!」 

 

星「な、なんだぁ! 何が──おかしい!!」

 

残紅「人が捨て身で守ろうとするのに、当の霧島は……ほらぁ! 彼処に居るじゃないか! 相変わらずの小憎らしい顔してぇ! その澄ました表情でぇ輝かしい武勲艦の私を……コケニシヤガリヤガッテェエエエエッッ!!!」

 

残紅、いや『サウスダコタ』は……遂に見つけた。

 

遥か──別の世界の大戦で、自分に屈辱を与えた艦『霧島』を!!

 

★ーー★ーー★ーー★ーー★

 

《 回想 》

 

当時、最新鋭艦であった『サウスダコタ』は、『40.6㌢砲』『射撃管制レーダー』等を搭載し、僚艦『ワシントン』と駆逐艦四隻と共に戦場へと向かう。

 

────圧倒的有利だと考えて!!

 

しかし、そこには……姉(比叡)と仲間を失い、虎視眈々と機会を窺っていた、霧島と僚艦たちが待ち受けていた。

 

ーーー

ーー★

 

綾波『………や、や~りました~! うぐぅ……!』

 

サウス『───あ、相打ち!? ば、馬鹿なぁあああッ!?』

 

───駆逐艦『綾波』の奮戦により『サウスダコタ』の全電源が故障!

 

サウス「は、早くぅ! 早くぅ動けぇ動けぇえ動けぇえええッ!!」

 

得意のレーダーも動かず……備え付けられた大口径の砲も役に立たず。 

 

─────ザバッ!

 

サウス「────はっ!?」

 

目の前に現れたるは……怒りの霧島!

 

霧島「───比叡姉さんや皆の仇! 今こそぉ!!」

 

サウス「あッ! あぁあああ………アァァアアアア──ッ!」

 

霧島「風速、距離よし! 全門──斉射ぁあああッ!!!」

 

カァ────────ッ!!!!

 

ーーー

ーー★

 

霧島に散々撃ち込まれた『サウスダコタ』だが……艦対用の弾では無かった事により、中破程度の被害で済んだ。

 

霧島は……僚艦『ワシントン』の砲撃で大破となり……後に自沈した。 

 

勝敗こそ『サウスダコタ』側の勝利になったが……『サウスダコタ』の精神はーーー大破状態だった! 

 

ーーー

ーー★

 

・自分よりも、数十年も古い老朽艦『霧島』に為すすべ無くボコられた。

 

・三式弾と云う焼夷弾を撃ち込まれため、被害が少なかった。

 

・自分が結果的に囮となったため、無傷の味方僚艦に助けられた。

 

それも、勿論ある。 

 

しかし、最大の理由────は!

 

ーーー

 

霧島『…………ニヤリ』

 

サウス「─────ッ!!!!?」

 

ーーー

 

サウスダコタが撤退する間際に見せた──霧島の嘲る笑み!

 

それが───最新鋭艦の矜持を──大きく、そして深々と傷つけたのだ! 

 

ーーー

ーー★

 

愛宕「霧島さぁーん!!」

 

霧島「ごめんなさい……比叡姉さ…ん。 あ、ありがとう……あ、綾波……」

 

霧島に急ぎ近付く……霧島の僚艦である愛宕たち!

 

ーーー

 

撤退を余儀なくされる……サウスダコタ!

 

サウス「………き、霧島ぁあああ……こんな結果などぉ認めぇん! 誰が認める物かぁああ!! もう一度、もう一度ぉ私と戦えぇえええッッッ!!!」

 

ワシントン「つべこべ言わず………来い!」グイッ!

 

サウス「ガァアアアァァアアア───ッ 離せぇ! 離せぇえええッ!!!」

 

ーーー

ーー★

 

そして……二度と相対する事は……無かった。

 

★ーー★ーー★ーー★ーー★

 

 

残紅「キィリィイイシィマァアアアアッ!!!」

 

星「────くっ!!」シュッン!

 

親衛隊「グワァアアア────ッ!」ドスッ!!

 

親衛隊「な、何だぁあああああッ!!」ゴロゴロッ!!

 

ーーー

 

『───────!?』

 

比叡「──────えッ!?」

 

霧島「─────サ、サウス……ダコタ!」

 

ーーー

 

残紅が雄叫びを再び上げて、辺りに居る親衛隊を投げ飛ばす! 

 

その前に……星は素早く動き──吊り橋の中央へと位置を変えた。 

 

蓮華たちは、既に吊り橋を渡り終え………思春と共に様子を見ている!

 

比叡は額に汗を流して残紅を凝視!

 

霧島は……眼鏡に篝火の明かりが反射して……表情が見れない!

 

金剛や榛名は、戦闘態勢を取り……恋姫たちを守る覚悟を固める!!

 

朱里たち軍師勢は、策の発動の機会を窺う。

 

残紅「キリシマァアアアアア────ッ!」

 

残紅……『サウスダコタ』が吊り橋を………ユックリ……歩を進める。

 

星は、そんな残紅に対して……立ち阻む!

 

星「何度も言わせるな! 如何なる者も通さん……と言った筈だ!!」

 

残紅「ジャマヲスルナァアアアッ!!」

 

星と残紅……『サウスダコタ』が激突──ッ!

 

如何なる戦いになるか……完全に予想できる者は、誰も居なかったのである!

 

 

 

 

ーーーーーーーー

ーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

もう少し早く投稿する予定が、仕事の忙しさ+親類の葬儀+家の事情で、書いている事が出来ませんでした。

 

霧島=サンとサウスダコタの戦いは、有名ですので詳細は外しましたけど、ここの外史上での戦いは、こんな具合になります(開き直り)。

 

だって……色々話があってね、異説も結構あるみたいだから、どうしようか悩んだ結果、こんな風に纏めてみました。

 

次回は、早めに投稿したいと思ってますので、お願いします。

 

 

それと……吹雪が着任する予定ですので……報告を。

 

 

 

 


 
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