簡単なあらすじ・・・
武将が女の子ばかりという不思議な三国志の世界から戻ってきた北郷一刀。
落胆する彼の目の前に、彼の世界で天の御遣いの訪れを予言した管輅が現れる。
管輅が言うには、この世界は元々一刀が居た世界である。
だが、同時に一刀の望んだ世界でもあるのだという。
一刀の望み・・・それは別れてしまった彼女たちとの再会である。
その言葉通り、管輅と別れた彼は桃香、愛紗、鈴々、朱里、雛里、星、紫苑と再会する。
理事長の計らいで女子寮に住む事になったみんなは、そこを拠点に手分けして他の仲間を捜す事になった。
桃香と星は公園で麗羽、猪々子、斗詩、美以、ミケ、トラ、シャム、白蓮と出会った。
鈴々と朱里は、翠、蒲公英と再会できた。
愛紗と雛里は、桔梗と焔耶に出会えた。
一刀は、残りの者達と出会えるのであろうか。
??「詠ちゃーん・・・。ここどこだろう?」
詠「月、ボクにも判らない・・・。でも、立ち止まるわけにはいかないのよ。」
女の子2人が昼の商店街を歩いていた。
1人はおどおどと、もう1人は強気な感じで。
彼女達は、月と詠。
そう、あっちの世界で一刀の侍女をやっていた女の子達だ。
気が付くと、この世界に降り立っていた2人。
どうしたらいいか判らず、あてもなく歩いていたのだ。
彼女達の格好は、白を基調としたエプロンドレスにフリフリの付いたカチューシャ。
俗に言う、メイドさんの格好だった。
某電気街ならそんな格好でも目立ちはしないだろうが、ここはいたって普通の商店街。
その中でメイドの格好は嫌でも目立つわけで、すれ違う人全てが好奇の目を向けてくる。
そのたびに、月は体を縮こませてしまい、その相手を詠が睨むという状況が続いていた。
そんな状況のまま商店街を進んでいた時である。
ドン!!
月「へぅ。」
月が人とぶつかってしまった。
月「ごめんなさい・・・。」
月はすぐに謝ったのだが・・・。
デク「ん?おっ、かわいいメイドさんじゃねーか!!ぶつかったお詫びに付き合えや!!」
ぶつけられた相手はそんなことを言いながら月の腕を掴もうとする。
詠「ちょっと、何すんのよ!!」
すかさず、デクと月の間に体を入れる詠。
詠「ぶつかったのは悪かったけど、すぐに謝ったじゃない!!なんでお詫びなんているのよ!!」
デク「メイドさんは奉仕するのが仕事だろ!!なら詫び代わりに付き合えって言ってんだよ!!」
そう言って、無理矢理に月の腕を掴む。
月「いやーーーーー!!」
詠「やめなさいよーーー!!」
2人の叫びが商店街に響いた。
一刀は、商店街を1人歩いていた。
不況でシャッター商店街になっている場所も多いが、ここは多くの店舗が営業を行っておりお客も多く賑わっている。
一刀は、そんな商店街の様子を自分の事のように喜びながら、見知った顔が無いか歩いて回っていた。
一刀「そう都合よく見つかるわけ無いか・・・。」
そう独り言をつぶやいた時である。
??「いやーーーーー!!」
??「やめなさいよーーー!!」
聞き慣れた声が聞こえてきた。
一刀「あれは・・・もしかして・・・。」
一刀は考えるより早く走り出した。
一刀が現場に到着すると、デクが月の腕を掴んだところだった。
一刀「やめろーーー!!」
叫びながら素早く、デクと詠の間に体を入れ、デクの腕の払う。
そのはずみで月は尻餅をついてしまった。
月は、突然の事に驚いたが、自分を助けてくれた人を認識すると驚きと喜びで涙が溢れてくる。
詠もいきなりの助っ人の登場に唖然としたが、月と同じく自然と涙が溢れてきた。
一刀「2人とも大丈夫か?」
月「・・・はい。」
詠「あんたは来んのが遅いのよ!!」
月は純粋に笑顔で。
詠は悪態をつきながらも、内心は喜んでいた。
デク「なんだ、てめーは?」
一刀「俺の大事な人たちに手を出すんじゃねぇ!!」
月・詠「!?」
突然の発言。
一刀はそこまで深い意味を込めて言ったわけではないが、人によってはそう取られなくもない発言をした。
そのせいで月は真っ赤になってしまい、詠も口でごにょごにょといいながら顔を赤くしている。
デク「はん。学生風情がいきがるんじゃねーよ!!」
一刀「口ばっかりじゃなくてかかってきたらどうなんだ?」
以前の一刀なら、怯えていただろう。
剣道の心得があるとはいえ、相手は大人だ。
どうしても敵わないだろうという意識が働いてしまう。
しかし、今は全くそう言う事は無かった。
あっちの世界で愛紗や鈴々と言った武将達に肉体を鍛えられ、華琳、雪蓮と言った英雄にメンタル面も鍛えられていた。
正直、この程度の相手ならどうにでもなるという意識が働いていた。
と、そこに
チビ「アニキ、どうしたんですかい?」
デブ「どうしたんだな?」
デクの仲間と思われるチビとデブが合流。
どこかで見た事あるような気もするが、1対3では分が悪いかもと思い始める一刀。
だが、ここは弱みを見せると負けだ。
一刀はあくまで強気に事を進めた。
一刀「なんだ?学生風情に3人でやろうってのか?」
デク「ふん。てめーが生意気な事言うのが悪いんだよ!!」
そう言いながらデクが殴りかかってくる。
それをすんでのところでかわす一刀。
それを皮切りに、デクに加え、チビやデブも殴りかかってくるが、いなしたりかわしたりして一発ももらう事がなかった。
それも凄い事なのだが、それ以上に凄いのがこの状況である。
1対複数の場合、通常なら月か詠を人質の取られというパターンになるのだが、自分の体をうまく相手と2人の間に入れる事で月と詠には全く影響のないようにしていた。
一刀の優勢ではあったが、いつまでもこうしているわけにもいかない。
警察が来る可能性もある。
別に自分は悪い事をしているわけではないが、警察に色々聞かれるのは面倒だ。
そう思った一刀は、3人の動きを注目し足払いを仕掛けた。
先頭で殴ってきていたチビが転び、その体でデクが転び、その上にデブが転ぶというベタな転倒シーンを演出した。
一刀「悪いな。これ以上お前らに付き合っている暇はないんだよ!!」
そう言って、月と詠の手を掴み走り出す。
2人は突然の事に驚いたが、意図を汲み取り一緒に走った。
一刀達が見えなくなる頃、現場には警察が到着し3人は連行されていった・・・。
一刀「はぁはぁ・・・。ここまで来れば大丈夫だろ。」
商店街の外れまで走ってきた。
そこは住宅街になっており人通りはまばらだった。
一刀は息を整えると改めて話し出した。
一刀「あー、なんていうか・・・。」
一刀はバツの悪そうな感じで話し始めたが。
月「・・・ご主人様・・・。会いたかったよー!!」
そう言い、泣きながら一刀に抱きつく月。
一刀も月の事を抱きしめた。
そして、唇が触れ合いそうになった時
詠「月に何しようとしてんのよ!!このバカち●こ!!」
そう言って一刀を殴る詠。
一刀は、殴られた頭をかきながら、月の方を向き“うん”とうなずいたのを確認すると詠を抱きしめた。
詠「なっ!?」
突然の事に動揺する詠。
一刀「ごめんな、詠。」
詠「あんたに謝られる事なんかされてないし、月みたいにあんたに会いたかったわけじゃないんだからね!!」
そう言いながらも、一刀をふりほどこうとしない詠であった。
あとがき
現代に戻ってしまった天の御遣い北郷一刀君の物語その8です。
その7にもたくさんの支援&コメントありがとうございます。
予告通り一刀君の話です。
そして、ようやく月&詠が登場となりました。
月と詠の登場に関しては、今回の流れを以前より考えていました。
ただ、向こうの世界と違って、こっちの世界は殴ったりすると色々問題なので
どう処理しようかと言うのが課題でしたがどうでしたでしょうか?
次は一刀君の話、後半です。
まだ出ていない残りの方を出す予定です。
次回も期待せずお待ち下さい。
今回もご覧いただきありがとうございました。
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天の御遣い帰還するのその8です。
前回の予告通り一刀君の話になっておりますが、諸般の事情で前後半に分かれております。
今回は、その前半部分に当たります。
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