No.769651

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第610話

2015-04-08 00:38:55 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1769   閲覧ユーザー数:1645

 

~バリアハート・クロイツェン州統括領主の館・客室~

 

「……………ったく。”約束”も守れなかったこんな情けない男をそこまで求めるか?」

「……確かに”騎神”同士で決着をつけるという”約束”は守れなくなったが……クロウ。お前の”勝負”はまだ終わっていないだろう?」

「何?」

リィンの指摘にクロウは不思議そうな表情をし

「パンダグリュエルで俺に言ったよな。『勝負事の”後始末”―――内戦を終了させて、帝国に平穏を取り戻し、メンフィルとの外交問題も解決する必要もあるだろう。だから―――そこまでがオレの”勝負”だ』って。」

「確かに言ったが……それがどうした。内戦はメンフィルとクロスベルが終了させ、外交問題もお前らが解決してエレボニアを救った。―――俺の負けという形でな。」

「いいや、まだ終わっていない。オズボーン元宰相による騒動でエレボニアを含めた双界に危機が陥っている状況だし、何よりお前の故郷であるジュライが平穏と言える状況か?」

「………………………」

リィンの正論に反論ができず、複雑そうな表情で黙り込んだ。

 

「それにジュライがあんな事になってしまったのもオズボーン元宰相を暗殺したクロウにも責任の一端がある。ジュライの人達に対する償いの意味も込めて、俺達と一緒に来い、クロウ。」

「……ったく、故郷があんな事になって傷心している俺に追い討ちとか容赦ねぇな……同じサド同士で案外ヴィータと気が合うんじゃねえのか?」

「あら、私のどこがサドなのかしら?私は”蛇の使徒”の中では比較的温厚な性格をしていると思っているわよ?」

リィンの言葉に疲れた表情でクロウは答え、クロチルダの言葉を聞いた瞬間その場にいる全員は冷や汗をかき

「……”精霊窟”でエマをあれだけ言葉攻めしていた癖によくそんな図々しい事が言えるわね……」

「そういう女なのよ、ヴィータは。」

「ア、アハハ……」

呆れた表情をしているサラ教官とセリーヌの言葉を聞いたエマは苦笑し

(うふふ、ご主人様がSである事は否定できないわね。)

(ふふふ、全く持ってその通りですね。)

(リィン様をそんな風に仕立て上げたお二人がそれを言いますか?)

(同感です。というかクロチルダ様は命を救われた事でマスターに随分と感謝しているご様子。下手をすればクロチルダ様も”被害者”になる可能性が出て来たのですが。)

(フフ、今までの事を考えたらリィンならありえそうね。)

微笑ましそうにしているベルフェゴールとリザイラにメサイアは疲れた表情で指摘し、アルティナの推測にアイドスは苦笑しながら同意した。

 

「………降参だ。あんな事になっちまった故郷(ジュライ)の平穏を取り戻したいし、故郷を滅茶苦茶にした”鉄血”の野郎の息の根を今度こそ止めたい上、故郷の奴等に対する償いもあるから、俺でよければお前らに手を貸すぜ。」

「クロウ……!」

「フフ、さすがはリィン君だね。―――リフィア殿下、どうかプリネ姫達や二人を”紅き翼”のメンバーとして加わらせてくれないだろうか?」

クロウの答えにエリオットは明るい表情をし、リィンを感心しながら見つめていたオリヴァルト皇子は表情を引き締めてリフィアを見つめた。

 

「…………プリネ、ツーヤ、エヴリーヌ、レーヴェ。―――正直に言え。お主達はどうしたい?」

全員が自分を注目している中考え込んでいたリフィアは静かな表情でプリネ達を見つめて問いかけた。

「私はできれば皆さんと共に決戦に挑みたいです。私個人として……そして”Ⅶ組”の一員として皆さんと共に協力しあいたかったですが、内戦や外交問題の件では何も力になれませんでしたし、せめて最後の決戦だけは皆さんの御力になりたいのです。」

「……―――あたしもマスターと同じです。短い間でしたけどリィンさん達もあたしにとって大切な”仲間”。”仲間”としてあたしもリィンさん達と共に戦いたいです。」

「―――カリンが”Ⅶ組”と共にありたいと決めたのならば俺も可能ならば”Ⅶ組”の手助けの許可を頂きたい。カリンを守る為でもありますが、俺自らが鍛えた者達を”紫電”に任せるのは不安が残りますので。」

「何ですって~?こんな時くらい余計な一言を控える事はできないのかしら~?」

「サ、サラ教官。今は抑えてください。」

プリネとツーヤの後に答えたレーヴェの話を聞いて顔に青筋を立てて口元をピクピクさせてレーヴェを睨むサラ教官をエマは冷や汗をかきながら諌めようとしていた。

 

「そいつと同じ意見なのは嫌だけどエヴリーヌも同じ。サラみたいなだらしない教官もどきにプリネ達は任せられないね。」

「エ、エヴリーヌ……!あんた、あたしをそんな風に見ていたの!?というかあたしのどこが”教官もどき”よ!」

「エ、エヴリーヌお姉様。お願いですからこれ以上火に油を注ぐ発言は止めてくださいよ……」

エヴリーヌの答えを聞いてエヴリーヌを睨んで怒鳴るサラ教官を見たプリネは冷や汗をかいて指摘し

「―――でもま、エヴリーヌも”Ⅶ組”と一緒にいたいかな。学院にいた頃も割と楽しかったし。」

「エヴリーヌ…………」

エヴリーヌの本音を知ったエリオットは明るい表情をした。

 

「まさかエヴリーヌからそんな答えが返って来るとはな…………………………――――よかろう。プリネ達に関しては”紅き翼”のメンバーとして加入する事を認める。リウイ達には余が後で説明しておく。」

「リフィアお姉様……!」

「ありがとうございます……!」

「―――二人とも、喜ぶのはまだ早いぞ。リフィア殿下、アームブラストと”蒼の深淵”の件はどうするつもりですか?」

リフィアの答えを聞いて明るい表情をしているプリネとツーヤに忠告したレーヴェは真剣な表情でリフィアを見つめて尋ねた。

 

「二人に関してはエリゼ。お主が決めるがよい。二人の身柄の権利を現在持っているのは余達ではなくお主なのだからな。」

「姉様…………お願いします……!」

「頼む、エリゼ……!オズボーン元宰相との決戦が終わるまでの間だけでも二人の一時的に釈放を認めてくれ……!その代わりに俺達ができる事なら何でもする!」

クロウとクロチルダを自分達のメンバーに加入させる鍵はエリゼが握っていると知ったエリスとリィンはエリゼを見つめて頭を下げて嘆願した。

 

「―――二人とも頭を上げてください。クロウさんとクロチルダさんの一時的な釈放の件ですが……条件があります。」

「”条件”……一体何だ?」

「――――私の”試練”を乗り越えてください。そうすればお二人の一時的な釈放を許可します。」

リィンの問いかけに対し、エリゼはその場にいる全員にとって聞き覚えがある言葉にして予想外の言葉を口にした。

 

 

 

 

まずはプリネ達がⅦ組に戻ってくることが確定しました。しかしクロウとクロチルダに関してはそう簡単にはいきませんwもうこの後の展開は既におわかりかと思いますが、この後の展開がこの物語のエリゼの最大にして最後の見せ場の予定です!言っておきますがエリゼが死ぬ訳ではありませんし、エリゼに死亡フラグなんて絶対ありませんからね!?というかエリゼを心配するより先にゲルドを心配すべきですけどね。原作のゲルドの運命を考えたら一番死亡フラグが立ちまくっているのはゲルドなんですよね(汗)


 
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