No.768146

九番目の熾天使・外伝 ~vsショッカー残党編~

竜神丸さん

Kを探せ/集まる戦士達

2015-04-01 00:23:07 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1590   閲覧ユーザー数:835

「えぇっと、鳴海探偵事務所は……お、着いた着いた」

 

炭鉱から風都に転移した後、ハルト逹は無事に鳴海探偵事務所の目の前まで到着していた。本当ならこの場合もテレポートを使った方が早かったんじゃないかと始は思っていたのだが、ハルト曰く「正確な位置が分かってないと駄目」らしく、仕方なく一同は自分の足で事務所まで移動していたのだ。

 

「お前の瞬間移動も、万能という訳ではないようだな」

 

「いやぁ、ごめんねぇ始ちゃん」

 

「構わない。この程度の距離なら、どうという事も無い」

 

「ふぁぁ……さて」

 

そんな時、Wディアーリーズは大きく欠伸をしてから、突如その身体からジークが離れた。それにより今まで封じられていたディアーリーズの意識が戻る。

 

「ふぅぅぅぅ……や、やっと離れてくれた…」

 

「お、ウル! やっと目ぇ覚めたか」

 

「え、えぇ…もう大変でしたよ。急にジークに身体を乗っ取られるし、おまけにハルカに向かって姫って…」

 

「あら、ウルにそう呼ばれるのなら私も別に文句は無いわよ?」

 

「ちょっ戻ったからっていきなり胸を押し付けないで下さいよ!?」

 

(…なるほど、さっきまでとはまるで雰囲気が違うな)

 

始はディアーリーズの口調の変わり具合を見て、先程ハルトから言われた事を改めて理解する。そんな彼の視線にディアーリーズが気付く。

 

「あ、えっと……始さん、ですよね?」

 

「! …何故俺の名を…?」

 

「ジークに憑依されてる間も、意識自体はあったので……こんな形ではありますけど、初めまして。僕はウルティムス・F・L・マクダウェルです。ウルで構いません」

 

「そうか、ならばもう一度名乗っておこう……相川始だ。よろしく頼む、ウル」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

始とディアーリーズが握手したその時、事務所から一人の人物が出て来た。

 

「あ、支配人さん」

 

「おう、来たかお前等…………ってぇと、アンタがカリスだな?」

 

「あぁ」

 

「暁零だ、よろしく。そんじゃお前等、中に入ってくれ。紹介したい人達がいる」

 

「紹介したい人…?」

 

ディアーリーズ達は首を傾げつつも、支配人に連れられる形で事務所へと入って行く。そこにはコーヒーを飲んでいるokakaと荘吉、そして…

 

「よ、ライダーさん達」

 

「…ども」

 

既にやって来ていた幸太郎、そして刃の二人がソファに座っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「野上幸太郎……なるほど。未来からやって来た、新世代の電王ね。あなたの相棒さんの姿が見えないけれど…」

 

「へぇ、テディの事も知ってるんだ。だったら話は早いな……あ、ちなみにテディは別行動中だ」

 

(スカルの荘吉さんに、カリスの始さん、それに新しい電王の幸太郎さんか…)

 

集まった一同は情報整理をする前に、まずは互いに自己紹介を済ませていた。ハルト逹が保護した少女はソファに寝かされており、ジークは一同の気付かない内に勝手に敷布団を敷いてぐっすりと眠っている(もはや突っ込む事も無駄だろうと思っているのか、一同は敢えて何も言わずにいる)。

 

「アンタ逹があのショッカーを追いかけて、この世界にやって来た事は俺も既に知っている。そこにいる二人から話を聞かせて貰ったからな」

 

「そう……それで、あなたは何処までショッカーに付いて知ってるのかしら?」

 

「教えてやっても良いよ? けどその前に、俺からもアンタ逹に頼んでおきたい事がある」

 

「何ですか?」

 

幸太郎は懐から何枚かの写真を取り出す。一枚目のお写真には、紫色の体色に白い髭を生やした鬼のような姿のイマジンが写っていた。

 

「俺達は元々、仕留める筈だったはぐれイマジンってのを追ってこの世界にやって来たんだ。中にはショッカーに加担してる奴もいれば、誰とも組まずに単独で行動してる奴もいる。そいつ等の討伐を手伝ってくれるなら、俺もアンタ逹のショッカー討伐を手伝ってやるよ。情報だっていくらでも与えてやる」

 

「まぁイマジンであれ何であれ、倒すべき敵は倒すだけだからな。そういう訳で、俺と支配人で勝手に幸太郎と協定を結ばせて貰った」

 

「えぇ、それは特に問題ないわ」

 

「まぁそういう事だ。お互いよろしく」

 

倒すべき敵はお互いに同じ。旅団メンバー達にとっては特に難しいと言えるような条件でもない事から、彼等の協定は何の問題も無く結ばれる事となった。代表してハルカが幸太郎と握手する中、荘吉が話を切り替える。

 

「…それで幸太郎。ショッカーについての情報、お前はどれくらい手にしている?」

 

「えぇ、テディと一緒に色々調べましたよ……皆、まずはこれを見てくれ」

 

幸太郎はイマジンが写っている写真を懐にしまい、代わりにまた別の写真を数枚ほど取り出し、一枚目の写真を一同に見せる。その写真を見て、okakaと支配人が驚愕の表情を見せる。

 

「!! これは…」

 

「テディが何とか、写真を撮る事に成功したんだ。さっき聞いた話からして、一城と零ならコイツの正体も分かるんじゃないの?」

 

「…支配人」

 

「あぁ、間違いないな」

 

「? okakaさんと支配人さんは、コイツを知ってるんですか?」

 

「…仮面ライダーソーサラー」

 

okakaが口を開く。

 

「とある世界でクリエイトという魔法を使い、世界その物を自分の思うままに造り変えた戦士……通称、金色の魔法使い。その正体はドレイクという名のファントムだ」

 

「な、ファントムが…!?」

 

「あぁ。ただ、その造り変えた世界で奴はウィザードに敗れて滅んだ筈なんだが…」

 

「ん、俺?」

 

「「安心しろ、ハルト違いだ」」

 

ハルトが自分を指差すが、okakaと支配人にズバッと否定される。

 

「それで? その操真晴人―――仮面ライダーウィザードに敗れて滅んだ筈のソーサラーが、どうしてこんな世界に来ているのかしら?」

 

「そう、問題はそこだよ。そもそもこの世界自体、そのソーサラーが造った世界だ」

 

「!? 何だと…?」

 

ショッカーワールドを創造したのはソーサラー。驚愕の表情を見せる旅団メンバー達だったが、同時にクリエイトの魔法が使える奴ならば確かに可能だろうと納得の表情も見せる。

 

「復活したソーサラーはまず、とある世界で見つけた大ショッカーの残党を力ずくで支配し、新たなショッカーとして再結成させた。その後にクリエイトの魔法であらゆる世界からあらゆる街や地形などを取り込み、このショッカーワールドを造り上げたのさ。怪人や兵器、たくさんの戦力を集める為に」

 

(世界を思うままに創造する、か……まるで統制者(・・・)のようだな)

 

幸太郎の話を聞いた始は、自分がいた世界にいた“神”とも言えるような存在の事を思い浮かべる。

 

「ちなみにそのソーサラーなんだけど、今はあのデカい城で碌でもない計画を立てているのは確かだ。でも今のままじゃ城への侵入は出来ない。何故なら…」

 

幸太郎はショッカーキャッスルが写った写真を見せる。

 

「城の周囲に、かなり頑丈な結界が張られてるからな。その結界を破壊する方法はただ一つ……結界を維持してる装置その物を破壊してやれば良い。さっき一城達に通信で話した通りだ」

 

「簡単に言うが、その装置の居場所は分かっているのか?」

 

「もちろん。ただし壊すなら壊すで、手分けする必要があるけどな」

 

「…装置自体が、複数あるって事ですか?」

 

「その通り」

 

刃の疑問に答えた幸太郎は更に一枚の地図を取り出し、全員に見えるように机に広げる。地図には風都を始め、現在オーライナーが停車している“灯溶山”、その隣の山に建設されたショッカーキャッスル、先程までディアーリーズ達がいた炭鉱、風都から西に離れた位置に存在する謎の研究施設、風都に近い位置にある小さな村、更にその近くにある巨大な湖などが全て、手描きで示されていた。

 

「今、このショッカーワールドに取り込まれてる街や村、地形なんかを簡単にだけど纏めてみた。ちなみにこれを書いたのもテディだ」

 

「「お前の相棒すげぇ器用だな!?」」

 

テディの意外な特技が分かり、思わずokakaと支配人の台詞が重なる。

 

「まぁそれは置いといてだ。装置があるのは四カ所。一つ目はこの巨大な湖の地下洞窟、二つ目はここにある無人の研究施設、三つ目はここの炭鉱、そして四つ目は……風都タワーの頂上だ」

 

「なるほどな……ん? おいおい、この炭鉱ってさっきまで俺達がいたところじゃねぇか」

 

「うわぁ、もしかしてまた逆戻りしないといけない訳ですか…?」

 

「…別に面倒に思う必要は無いだろう? 何せ、先程まで俺達がいた場所だ」

 

「始の言う通り、場所が分かっているだけマシだわ。ハルトのテレポートがあればすぐ戻れるんだし」

 

面倒臭がるハルトとディアーリーズだったが、始とハルカは冷静に答える。確かに装置の場所が既に分かっているのであれば、そこまで苦労するような話でもないだろう。

 

「ちなみにだ。湖の地下洞窟にある装置は、既に俺とテディで破壊してる。だから湖に向かう必要は無い」

 

「つまり、俺達は残る三つの装置を破壊すれば良い訳だな……風都の象徴にそんな物を設置するとは、ショッカーとやらは面倒な事をやってくれたな」

 

(おぉ、すげぇ怒ってるなおやっさん…)

 

特に口調を荒げたりはしない荘吉だったが、その目には明らかに怒りだと分かるような感情が宿っており、それは出会ったばかりの支配人達ですら容易に感じ取る事が出来た。しかし怒っているだけでは何も始まらない。

 

「とにかく、まずはこの装置を破壊する事からだ。ただし当然、これらの装置はショッカーの怪人達が守ってるから簡単には壊せない」

 

「そんなのは分かり切ってる事だ、今に始まった事じゃない……ところで幸太郎、お前のその情報は一体何処から仕入れたんだ?」

 

「ショッカーの戦闘員がいるだろ? あの黒い恰好の奴。その内の一人をとっ捕まえて、殴ってから無理やり聞かせて貰った」

 

「おぉう、なかなかに荒い事するもんだなお前も」

 

「まぁ、他の怪人に口封じとして消されたから、一番聞きたかった話を最後まで聞けなかったんだけどな」

 

「? どういう事だ?」

 

「…今、ショッカーは非常に面倒な事をやろうとしてる」

 

先程まで気軽そうだった幸太郎の表情が、突然真剣な物へと変わる。

 

「一城。お前は初代仮面ライダー……1号の事は知ってるよな?」

 

「? あぁ。ショッカーに“バッタ男”として改造された後、人間の自由と平和を守る為に戦った戦士だ」

 

「その仮面ライダー1号と…………同じタイプの改造人間を、ショッカーが再び開発しようとしている」

 

「「「「「!!」」」」」

 

その言葉には、その場にいた全員の目が見開いた。

 

「残念ながら、俺が聞けたのはそこまでだ」

 

「そうか……だとしたら、俺達も相当覚悟を決めなきゃならない訳だ」

 

その時…

 

「―――ぅ…んん…」

 

ソファに寝かされていた少女が、眠りから目を覚ました。ゆっくり起き上がろうとしたところをディアーリーズが支える。

 

「良かった、目が覚めたんだね」

 

「ん……ここは…?」

 

「鳴海探偵事務所。そこの奴等が、お前さんをここまで運んで来たんだ」

 

「ヤッホー、お嬢さん。無事に目が覚めて何よりだ」

 

「まだ無理に起き上がろうとしちゃ駄目よ。外的傷害は無いみたいだから良いけど」

 

「あ、あの……ありがとうございました」

 

「…どう致しまして」

 

少女が頭を下げて礼を言い、ハルカも顔を逸らしつつ礼を受け止める。普段は関係者以外と接するような機会があまり無い為か、本人はこういうのには不慣れなようだ。そんな中、荘吉が少女に呼びかける。

 

「さて……お前さん、倉嶋サツキだな?」

 

「へ? おやっさん、何でその子の名前知ってるんだ?」

 

「風都がショッカーワールドに取り込まれる前……一ヵ月ほど前だったか、新聞に名前が載っていたのさ。風花高校水泳部所属で、水泳競技大会でも優勝経験がある、期待の新人さんだ」

 

「おぉ、そりゃ凄いな」

 

「えっと……もしかして、鳴海荘吉さんですか?」

 

「そうだ。そいつ等から聞いた話じゃ、怪物に襲われていたそうだな。一体何があったのか、おじさん達に話せるところまで話してくれないか?」

 

「……」

 

荘吉が少女―――倉嶋サツキに事情を聞いている中、離れた位置では始がサツキの事を見据えていた。彼も彼女に聞きたい事が山ほどあったのだが、今は口を挟むべきじゃないと思ったのか、敢えて何も言わないまま壁に背を付けて立っている。

 

「…鳴海さん」

 

「ん?」

 

「頼みたい事があります…」

 

サツキは頭を下げ、荘吉にある事を依頼する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「探して欲しいんです。私を助けてくれた、あの青色の怪物さん(・・・・・・・)を…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ショッカーキャッスルでは…

 

 

 

 

 

 

「大首領様!」

 

「…何だ?」

 

「報告があります!」

 

玉座の間にて、ファントムのケプリが“大首領”に対して報告をしていた。

 

「スカルとカリス以外にも、また新たな仮面ライダーが発見された模様! それも複数です!」

 

「ほう、面白い。詳細は分かっているのか…?」

 

「部下の報告によると、ガイアメモリ、ロックシード、魔法使い、そしてディケイド系統と思われしライダーとの事です!!」

 

「…何?」

 

玉座に足を組んで座っている“大首領”は、声のトーンが若干だが低くなった。ケプリは報告を続ける。

 

「また、前からコソコソと嗅ぎ回っていた電王が、結界維持装置の存在に気付いた模様! 既に一ヵ所、奴に破壊されてしまいました!」

 

「なるほど…………残る三つの装置の警備を強化しろ。それから人造ファントム研究所の方には、数日前に我々が捕らえて洗脳した“奴”を送る」

 

「ハッ!」

 

ケプリが下がった後、“大首領”は手に取った写真を眺める。

 

「そうか……来たのだな…………この私を破滅に追い込んだ、忌々しき魔法使いが…!!」

 

大首領―――オーマは写真をグシャリと握り、憎悪の感情をダダ漏らしにしつつも面白そうに笑う。

 

「面白い、お楽しみはこれからだ……ク、ハハハハハ……ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風都から西に離れた施設、人造ファントム研究所。

 

今は無人となっている筈の、この施設内に…

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

左腕に大きな鉤爪を持ち、オレンジ色の宝石らしき仮面を付けた戦士―――仮面ライダーメイジが立っていた。そんなメイジは今…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「グゥゥゥゥゥゥゥ…!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カーバンクルを始め、宿敵である筈の怪人達を大量に引き連れていた。

 


 
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