No.766739

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第595話

2015-03-25 00:14:58 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1724   閲覧ユーザー数:1542

 

~エルベ離宮・紋章の間~

 

「リウイ陛下、リフィア殿下。それにヴァイスハイト陛下。情状酌量を認め、エレボニアが国として存続できるようにする事……私からもお願いします。エレボニアの民達の為に……そしてエレボニアを存続させたいと強く願うエレボニア皇家の方々や貴方達にとって将来親類関係になるリィンさんを始めとした多くの方々の為にも。」

「エイドスさん…………」

エイドス自らがリウイ達に対して嘆願の言葉を口にして頭を下げた事にリィンは驚きの表情でエイドスを見つめ

「………七耀教会も女神と同じ意見です。どうかエレボニアに御慈悲をお願いします。」

セルナート総長はエイドスに続くように頭を下げた。

 

「……………………フッ、さすがに新興の国家であるクロスベルがゼムリア大陸の多くの人々が崇める存在の言葉を無視するという愚かな事はできんし、威厳やプライドを捨ててまで国を存続させたいというエレボニア皇家の思いを無下にしては俺達クロスベル皇家やクロスベルの”器”が小さいとゼムリア大陸の多くの人々に思われるだろうな。そのような事は俺の”皇”としての”誇り”が許せん。」

「え…………そ、それでは……!」

「クロスベルは情状酌量を認めて頂けるのでしょうか?」

静かな笑みを浮かべて語ったヴァイスの言葉を聞いたアルフィンは明るい表情をし、オリヴァルト皇子は真剣な表情で尋ねた。

「ああ。クロスベルはメンフィルの”戦争回避条約”によって指定され、後にクロスベルに贈与される予定だった領地――――ラマール州全土とノルティア州の”ルーレ市”を始めとしたこちらが指定する一部以外の領地を全てエレボニアに返還する。ノルティア州の4分の3は返還されると思って構わない。」

「あ…………」

「あ、ありがとうございます……!」

「クロスベルの寛大なお心に心から感謝致します。」

ヴァイスの答えを聞いたクローディア姫は明るい表情をし、リィンとクレア大尉はそれぞれ頭を下げて感謝の言葉を述べた。

 

「更にエレボニアが望むのであればセドリック皇太子の教育にクロスベルも担当する。勿論その際は俺やギュランドロス自身もセドリック皇太子を教育するつもりだ。」

「え……そ、それは本当ですか!?」

ヴァイスの口から出た予想外の申し出に驚いたアルフィンは驚きの表情で尋ねた。

「ああ。後はエレボニアの民達の為に少ないかもしれないが10兆ミラを”寄付”するつもりだ。―――エルミナ、ユーディ。異存はないな?」

「はい。他国の民達を思い、10兆ミラという莫大な大金を寄付する事を決めた陛下の寛大なお心を反対するような愚かな事は致しませんわ。」

「………………私も異存はありません。」

ヴァイスに視線を向けられたユーディットは静かな表情で答え、ヴァイスの予想外の申し出に一瞬判断に迷っていたが新興の国家であるクロスベルに対する他国の印象を少しでも良くする為に必要と判断したエルミナも同意した。

 

「そのような大金を”寄付”して頂けるのはありがたいが……本当によろしいのでしょうか?」

一方ヴァイスの予想外の申し出に驚いたオリヴァルト皇子は驚きの表情で尋ねた。

「ああ。幸いにもクロスベル帝国が没収したクロイス家の財産が相当溜め込んであってな。メンフィル帝国程ではないが莫大な”国家予算”がクロスベル帝国にはある。10兆ミラ”程度”でもこちらの懐は痛まないから気にする必要はない。」

「何と……!クロイス家は10兆ミラでも”程度”といえる程莫大な財産を溜め込んでいたのですか……」

「遥か昔から”銀行家”の仮面は被っていただけはある……と言う事ですか。それでクロスベルは情状酌量を認めるようですがメンフィルはどうするおつもりですか?」

ヴァイスの答えを聞いたアルバート大公は驚き、アリシア女王は静かな表情で呟いた後リウイ達を見つめ、アリシア女王の言葉を聞いたその場にいる全員はリウイ達に注目した。するとリフィアと小声で短いやり取りをしていたリウイが口を開いて答えた。

 

「メンフィルもクロスベル同様情状酌量を認め、今回の戦争で制圧したサザーランド州の領地全て並びに帝都ヘイムダルと”ジュライ特区”をエレボニアに返還する。またケルディック焼討の件で追加されていた”戦争回避条約”の”第14項”――――”謝罪金並びに賠償金の追加金”の金額を5割から2割に軽減する。」

「更に救済条約にあったバルヘイム宮の修繕費負担の件じゃが7割等けち臭い事はせず、全額負担してやろう!」

「え……そ、それは本当ですか!?」

リウイとリフィアの口から出た予想外の答えに驚いたアルフィンは信じられない表情で尋ねた。

「うむ!それと先程のエレボニアが持ち掛けた”取引”――――エレボニア皇帝代理の件とセドリック皇太子教育の件も引き受ける。皇帝代理につくメンフィル皇族は相応の人物を用意するつもりじゃし、セドリック皇太子の教育についても余やリウイ、そして我が父シルヴァンを含めた多くのメンフィル皇族自らが教育してやろう!」

「あ、ありがとうございます……!」

「メンフィル帝国の寛大なお心に心から感謝致します。」

「先程バルヘイム宮の修繕費も全額負担すると仰いましたが……私達が持ち掛けたエレボニア皇帝代理を務めて頂く件とセドリック殿下の教育の件に対する”代償”の内に入っているバルヘイム宮の修繕費の件については必要ないという事でよろしいのでしょうか?」

リフィアの言葉を聞いたアルフィンとオリヴァルト皇子が明るい表情で感謝の言葉を述べている中、ある事が気になったクレア大尉は真剣な表情で尋ねた。

 

「ああ。―――ただし、エレボニアの国王代理についてはいくつか条件がある。」

「え……じょ、条件ですか?」

「一体どのような条件なのでしょうか?」

リウイの口から出た不穏な言葉を聞いたアルフィンは戸惑い、オリヴァルト皇子は真剣な表情で尋ねた。

「まず一つ。当然だがエレボニア皇帝……いやエレボニア国王には”王”としての絶対の権限がある。条件の一つはエレボニア国王代理を務める者の”判断”に従う事だ。」

「先に言っておきますが私達メンフィル皇家は平民、貴族問わずに”罪”を犯せば相応の処罰を受けさせます。例え罪を犯した者が”四大名門”のような大貴族でもその者が”重罪”を犯したのならば厳しい処罰を受けさせますよ。」

「なおメンフィル帝国が行っている処罰の中には”公開鞭打ち”や”公開処刑”もあります。」

「ええっ!?あ、あの……幾ら何でも直接身体に危害を加える”鞭打ち”や民達の前で”処刑”をする”公開処刑”は余りにも惨い処罰だと思うのですが……」

イリーナの説明を捕捉したエリゼの話を聞いて驚いたクローディア姫は不安そうな表情で指摘した。

 

「”公開処刑”や”公開鞭打ち”は重罪を犯した者に直接苦痛を与える事や”見せしめ”を行う事で被害にあった者達の無念を晴らさせ、罪の抑止力や王を始めとした皇族への忠誠心を維持する方法としての有効な処罰だ。……言っておくがこの処罰の方法はメンフィルだけでなく俺達の世界―――ディル=リフィーナでの多くの国々でも行われている処罰方法だ。ゼムリア大陸の国家からすれば残忍な処罰方法かもしれないが今のエレボニアにとっては必要と思われる方法だ。」

「……それは一体どういう意味でしょうか?」

リウイの説明を聞いたアリシア女王は真剣な表情で尋ねた。

 

 


 
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