No.766550 英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~soranoさん 2015-03-24 00:04:21 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1914 閲覧ユーザー数:1604 |
~エルベ離宮・紋章の間~
「先程述べたようにユミル襲撃が起きる前からわたくしとリィンさんは肉体関係に発展する程互いに思い合っていました。それに女性が”純潔”を捧げる相手は一生を共にすると誓った相手だというのが一般常識です。ましてや皇族のわたくしが自身の”純潔”を捧げる相手こそがわたくしの伴侶……わたくしはそう思っています。」
「え、えっと、それは…………」
「……確かにアルフィン皇女の仰っている通りですね。」
「う、うむ。アルフィン皇女、一つ聞きたいのだがユミル襲撃の事件が起きる前からメンフィルとクロスベルもアルフィン皇女とリィン・シュバルツァーの婚約を実質認めていたようなものとはどういう事ですかな?」
アルフィンの説明を聞き、答えに困ったクローディア姫が口ごもっている中アリシア女王は苦笑しながらアルフィンの説明に同意し、アリシア女王と共に同意したアルバート大公は気を取り直して尋ねた。
「それに関してはレン姫達がわたくし達に”戦争回避条約”や”救済条約”を提案しにこれからの方針を決めたわたくし達の前に現れた時に判明していますわ。」
「何?」
アルフィンの説明を聞いたリウイは眉を顰めた。
うふふ、アルフィン皇女にとっても悪くない話でしょう?元々リィンお兄さんに恋しているみたいだし、祖国も救える上民達のエレボニア皇族達に対する信頼を回復できるんだから、”皇族の義務”を果たして堂々と大好きなリィンお兄さんの許に嫁げるじゃない♪
「――――アルフィン殿下の仰る通り我々の前に現れたレン姫はアルフィン殿下に”救済条約”の実行を勧める時にこう仰いました。『元々リィンお兄さんに恋しているみたいだし、祖国も救える上民達のエレボニア皇族達に対する信頼を回復できるんだから、”皇族の義務”を果たして堂々と大好きなリィンお兄さんの許に嫁げるじゃない』、と。」
「ちなみにその場にはギュランドロス陛下の正妃であられるルイーネ皇妃殿下やヴァイスハイト陛下の側室の一人になるマルギレッタ様もいらっしゃっていた。」
「なるほど……もしそれが本当ならメンフィル帝国とエレボニア帝国が戦争状態になる前からメンフィルとクロスベルの皇族の方々はリィンさんとアルフィン皇女達の関係を把握し、実質認めていたという事になりますね。」
「何せレン姫自身がアルフィン皇女がリィン・シュバルツァーに対して恋愛感情を持っている事を口にしていますしな。」
カレイジャスに現れたレンの話を思い出したクレア大尉とオリヴァルト皇子は真剣な表情で説明し、二人の説明を聞いたエイドスは静かな表情でリウイ達を見回し、エイドスの言葉にセルナート総長は口元に笑みを浮かべながら頷いた。
「あー……確かにもうその時点でメンフィルとクロスベルは同盟を組んでいたからな。当然”救済条約”の内容や二人の関係を知っていた事に関しても否定できないな。」
「ハア……まさかこんな方法で情状酌量を求めてくるとは想定外です……」
「え、えっと……この場合仕方ないと思います。絶対に誰も予想できないでしょうし……」
二人の説明に対する反論が見つからないヴァイスは苦笑しながら答え、疲れた表情をしているエルミナにユーディットは苦笑しながら指摘し
「……そう言えば。リウイ陛下達がリベール(私達)にメンフィル軍の2大国との国境の通過の許可の話をされている最中に戦争回避条約や救済条約の話も口にして、その際にアルフィン殿下がリィンさんと接吻を交わす程リィンさんに想いを寄せている話を仰っていましたよね?」
それと先程アルフィン皇女の意思を無視しているという意見があったが、エリゼやプリネ達の話ではアルフィン皇女はリィン・シュバルツァー自身に恋愛感情を抱いている上、学院祭の後夜祭の時に接吻までしたとの事だからそれ程問題はあるまい。むしろリィン・シュバルツァーと接吻まで交わす程、リィン・シュバルツァーに対して強い恋愛感情を抱いているアルフィン皇女自身にとっては都合がいい条約だろうな。
「……………………ああ。確かに俺自身がそのような事を言っていたな。」
「しかもその場には父―――シルヴァン陛下も同席していたな……」
「フフ、私達も言い逃れできない状況ですね。」
クローディア姫に問いかけによってかつての自分の言葉を思い出したリウイは疲れた表情でリフィアと共に肯定し、イリーナは苦笑しながら答え
「……申し訳ございません。今後このような事を2度と起こらせない為に後でリィン様に”説教”をするつもりですので、どうかお許しください。」
(うっ……!)
リウイ達に謝罪した後膨大な威圧と殺気を纏ったエリゼに睨みつけられたリィンは表情を青褪めさせ、大量の冷や汗をかいて身体を震わせ始めた。
「フム……外交問題に発展する以前に”既成事実”があった上、三国の姫君達とリィン・シュバルツァーが婚約する可能性が高い事を把握していたメンフィルとクロスベルの皇族の方々が介入もしなかったという事は三国の姫君とリィン・シュバルツァーの婚約によって三国の皇族達が親類関係になる事を受け入れていたという事にもなりますな。」
「ええ、私もそう思います。アルフィン皇女は勇気を出して自分の情事を口にしてまで祖国を存続させようという心意気や将来互いが親類関係になる事に免じてエレボニアの存続を認めて、領地の一部を返還してあげたらどうですか?」
「「……………………」」
アルバート大公の意見に同意した後のエイドスの意見を聞いたリウイとヴァイスは反論する事なく黙って考え込み
「エレボニアを存続させる為のエレボニア帝国側の主張は以上でよろしいですか?」
二人の様子を見たアリシア女王はオリヴァルト皇子達を見つめて確認を取った。
「―――いえ、後一つメンフィル帝国に対する謝罪と誠意を込めた”取引”の提示がまだ残っております。」
「なぬ?”取引”じゃと?」
「一体どういう内容なのですか?」
オリヴァルト皇子の答えを聞いたリフィアとイリーナはそれぞれ不思議そうな表情で尋ねた。
「その件に関しましては先程説明したユーゲント陛下の退位とそれに付随するセドリック殿下が皇帝として成長するまでのエレボニア皇帝の代理の件と深く関係しております。」
「ええっ!?」
「なっ!?」
クレア大尉の答えを聞いたクローディア姫とアルバート大公はそれぞれ驚き
「まさか……!」
「エレボニア皇帝の代理を我らメンフィル帝国に任せると言うつもりか?」
エレボニア帝国が提示しようとする”取引”の内容を察したイリーナは目を見開き、リウイは信じられない表情で尋ねた。
「はい。セドリックが成長するまでの間だけメンフィル皇家の方に”エレボニア皇帝の代理”を務めて貰い、可能ならばセドリックの教育をメンフィル帝国にして頂く……―――それが関係のない他国であるメンフィル帝国を内戦に巻き込んでしまったエレボニア帝国ができる最大の謝罪と誠意です。」
そしてリウイの問いかけに肯定するかのようにオリヴァルト皇子が決意の表情で答えた。
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第593話