「しっかしお前らってさー。ホントそっくりだよなー」
「「え?」」
…うどんの店『きつね屋』の店内にて。
今日も今日とてうどんを食べていた今河雪歩は、クラスメイトの北城唯ときつね屋の店番、足柄柚子を見比べていた。
「えーっと雪歩ちゃん」
「そんなにあたしたちってそっくり?」
「そりゃまあ継ぎ目とか明らかに違う部分はあるけどさ。でも遠くから見たらどっちがどっちだか分からないと思うぜ」
その言葉に今河和美も同調する。
「そうそう。ホントよくできてるわよね、柚子ちゃんの身体って」
「まあ、ツネちゃんの幼い頃がモデルだから当然といえば当然なのかな。そう考えると愛ちゃん、唯ちゃんと三代にわたってるからすごいと思うわw」
「そりゃどうもw」
と、話をしているところで、雪歩はあることを思い出した。
「そういや和美」
「なあに雪歩?」
「昨日父ちゃんが運転してた電車に、おまえそっくりな子が乗ってきたらしいんだと」
「えー…まあ、柚子ちゃんみたいに外見が似てるって子もいるしねえ」
「それが凄まじいのよ。似てるも似てる、もう瓜二つって言ってもいいくらいだぜ」
…以下、雪歩が伝え聞いたシーン。
話は昨日、和美と雪歩の父である今河和雪が、風天駅前に電車を停車させて客扱いをしていたときのこと。
「ご乗車ありがとうございます、電鉄雨天行きです」
いつものように車外スピーカーで行先を告げると一人の少女が乗ってきた。
「雨天駅まで」
「はい、雨天駅…って和美!?」
「え、和美じゃないですけど…」
電車は折り返し駅の電鉄雨天駅に到着した。
「しかしビックリしたなあ。娘にそっくりだ」
「え?運転士さん、娘さんがいるんですか?」
「そうだよ。君と本当にそっくりな子でね。並んで立ったらわからないんじゃないかな?」
「へぇ…その娘さんと見間違えちゃったってわけですね!」
「そうなんだ、まったく恥ずかしい限りさ。じゃあ気をつけて帰るんだよ」
「はい!」
…再びきつね屋にて。
「…てなコトがあったらしいんだよw」
「へー、不思議なこともあるものねー」
と、雪歩と和美が話していると、唯が口を挟んだ。
「その子なら以前…例大祭で会ったわ」
「え!?そうなの!?」
「そうなのよ。なんか和美ちゃんそっくりなのがいるなと思って様子見てたんだけど、賽銭泥棒が逃げ出したのを見るなり変身して」
「え…へ、変身って?」
「それで、犯人が抵抗してきたんだけど手から電撃出したり、尻尾をブーメランにして投げたり、しまいにゃロケットパンチなんか出して」
「あ、あいつそんなヤツだったの!?」
「あんまり驚いたもんだから思わず声かけちゃったわよ。『和美ちゃん、あなたマシーナリーに改造されちゃったの!?』ってwww」
「やだなあ、そんなわけないじゃないwww」
「そうそう、その子もそんな感じで『和美じゃないですけど』って言っててさあ、それで思い出しちゃってw」
すると、向かいのボックス席でカツ丼を食べていたドラゴ郎こと龍野吾郎が唯たちに声をかける。
「その子なら知ってるよ。今話題のハイパーニーナじゃない?」
「「「「え、ハイパーニーナ?」」」」
「うん。銀行強盗を捕まえようとしてたときの事なんだけど、そいつの進路にあの子がいたんだよ。僕は『あっ!危なーい!!』って叫んだんだけどさ」
「それで、その子どうなったの!?」
「変身して目からビームを発射してさ。相手がシビれてるところを僕が取り押さえて、そのまま強盗犯は警察行きさ。その日以来ハイパーニーナとはヒーロー仲間ってことになって…」
「あ、ドラゴ郎さんこんなところにいたんですか!?」
「ホラ噂をすれば影だ。紹介するよ。この子が『ハイパーニーナ』こと入江岡新菜…」
と、ドラゴ郎が紹介しようとしたそのとき、柚子が新菜の腕を引っ張って連れて行く。
「ちょっと失礼」
「え、あ、ちょっと店員さん?」
柚子が連れて行ったのはなんと和美のすぐ隣。
「「え…?」」
「うん、やっぱりそっくりだわw」
「あ、あはは…えーと、あなたが和美ちゃんね?」
「う、うん、よろしく新菜ちゃん」
「すげえなあ…父ちゃんが見間違うわけだ」
「ホント。あたしもすっかり騙されちゃったわw」
「もう、雪歩も唯ちゃんもやめてってばwww」
「でも、あなたってあたしにそっくりだわ。こんど衣装交換させて!」
「もう!新菜ちゃんまで!!」
恥ずかしさのあまり、頬を赤らめる和美。
やがて店内は子供たちの笑いであふれたのであった。天空市は今日も平和だった。
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とんでもないスーパーアンドロイドだった…?
■出演
新菜:http://www.tinami.com/view/761162
和美:http://www.tinami.com/view/743015
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