【 結果──! の件 】
〖 益州 漢中付近 にて 〗
………………………
辺りは───静まり返った。
顔を両手で覆う者!
目を見開き……その一刀の行動、一部始終を焼き付けようと試みる者!
仁王立ちして、無表情で一刀を……睨みつける者!
様々な様子の艦娘、恋姫達の視点が、銃を持ち立ち尽くす一刀を捉えていた!
響「し、司令官! 大丈夫か? 大丈夫なら……応えてくれぇ!」ユサユサ!
雪風「司令ぇ! しれえぇえええ───ッ!!」グイグイッ!
──────ゴトンッ!
二人が……一刀の身体を揺すると……銃が手から離れて……地面に落ちる!
響「司令官! 司令官ッ! 応えろ! 応えてくれ!! …………頼む、何でもいい! 応えてくれッ!! 一刀司令官!!!」
雪風「司令──ぇ! お願いですぅ! お願いですからぁ!! 私を……これ以上……自分だけの幸運艦にさせないでぇ──ッ!! 一刀司令ぇええ!!」
二人は、泣きながら────自分達の指揮官の名前を呼んだ!!
『ーーーーーゆ、夢か? 現実………か?』
「「────────!?」」
『だ、誰かに……起こされた気がする。 お、俺は………生きている……のか? 生きて……みんなの傍に……また……居られるのか?』
一刀がよろめき、倒れそうになる!
しかし……二人が急いで一刀を抱きしめて、地面との衝突を防いだ。
響「司令官! 分かるか!? 私だ! 響だ!!」
雪風「司令ぇえええッ! 雪風です! ───生きているんです! 司令は、生きているんですぅううう!! うわあぁぁああああああんッ!!」
一刀「は、ははは………。 そうか……生きてるんだ! 生きているんだな! ありがとう……二人の……お陰……だよ!!」
『司令官!』 『提督!』 『一刀司令官!』
『一刀提督!』 『ご主人様!』『北郷殿!』
『北郷様!』 『提督さん!!』 『一刀さんッ!』
『無事で、良かったぁあああ───ッ!!!!』
今まで………様子を窺っていた艦娘、恋姫達は───泣き笑いながら、一刀達の元に走り寄り、無事を心から祝った!! 自分の矜持を、最後まで貫き通した『北郷一刀』を賞賛しながら…………!!!
◆◇◆
【 孫呉の続き その2 の件 】
〖 揚州 丹揚郡 建業 城内 にて 〗
雪蓮「───尚香、幼平! これはどういう事なの!? 客将とは云え、孫呉に仕えてくれる将たちを、疑うような真似して!」
小蓮「だって──お姉様! 覚えていないの!? ここに居る3人は、シャオ達と争った国の臣下だったんだよ! シャオ達の『呉』、他の『魏』や『蜀』で争って大陸を争ったんだからぁ!!」
祭「小蓮様! 何の夢物語か存じませんが、重要な謁見の場に持ち込むなど、孫呉の姫として、はしたないですぞ!?」
明命「祭様! 私も覚えているのです! ここに居る3人は───!?」
冥琳「思春! ここに居る二人を別室に案内せよ! 夢物語で、貴重な人材を失うなど──あまりにも恥ずかしい! 雪蓮! この処置……いいな!?」
雪蓮「えぇ………姉の前に王だもの。 家族の甘えで国は成り立たない! 思春! 二人の退室……お願いね?」
思春「────はっ!」
蓮華「…………シャオ………」
小蓮「お姉様ぁあ、話を聞いてぇ! お願い! 話を!! ───い、痛いわよッ!! 思春ッッ!!」
思春「………暴れないで下さい! 明命! ───お前も来い!!」
明命「……………………はい……」
──────バタン!
雪蓮「王として、家族して謝罪させてもらうわ! それにしても……よく気付いたわね? 今の将、『周幼平』は隠密の技術で並ぶ者は居ないのよ? それなのに……私だって気が付かなかったのに……!!」
星「……祭殿が教えて頂いた将で、この場で姿を拝見しなかったのは、周幼平殿と孫尚香様! しかも、孫尚香様は、かなりの行動派だと伺っております。 ならば、二人して何処かに潜めていると……見当を付けた訳でして……」
穏「あぁ~! 中の声が聞こえる場所で、小蓮様を連れてと云えば~部屋の左右の扉しかないですね~? しかも、兵士さんが報告で、左側を通過しましたので、残りは右側しかないワケですか~!?」
雪蓮「………武だけでは無く、頭まで働くなんて………出来れば孫呉にいて頂戴! 待遇よくするからさぁ───!?」
冥琳「…………自分の仕事を手伝わせようなど……不埒な考えを抱いていないだろうな? 我らが王よ!?」
雪蓮「ま……まさかぁ~!? アーッハハハハハハ!!」
祭「やれやれ……。 それでは、仕事に戻るかな………」
冥琳「まだ、紹介が終わっておりません! それに……飲酒の罰を……まだ定めてはいませんよ。 今しばらく……お待ち下さいませんか──黄蓋殿!?」
祭「─────うぐっ!」
ーーーーー
こうして、星達の紹介が終わったそうだ。
◆◇◆
【 実は……! の件 】
〖 益州 漢中付近 にて 〗
ビッグ E「────負けたよ! 北郷提督!!」
ビッグ Eが、一刀の前に現れる!
そして、冷や汗で……びしょ濡れになった一刀の顔を綺麗に拭いていく。
ビッグ E「アタシに勝ったんだ! ほらっ! そんな汗だらけの顔じゃ、男前が落ちるぞ!?」
服のポケットより、ハンカチを出すと……一刀の顔を拭き始めた! あまりの事に、遠慮しようとするが、『勝者はなんだからこそだ!』といって止めてくれず、やむを得ず為すままにさせた。
一刀「あ、ありが──うおっ! ムグゥ~!!」
後ろ髪を拭く時に、一刀の顔を自分に埋めるようにして抱きしめ、拭くエンタープライズ(愛称 ビッグ E)!
柔らかな匂いと感触で……ただでさえ呆けている頭が、更に呆ける一刀!!
ーーー
金剛「何をしているのデスカ──ッ!! それくらい、私にも出来マース! ───提督ぅ~? Are you feeling ok?(具合はどうデスカ?)」
長門「ま、待てぇ! 提督の心労を解すのも、私の役目だ! 私も!!」
港湾棲姫「一刀ノ世話ハ……ワタシガ……ヤルカラ!!」
焔耶「待て待てぇ! ワタシにも──お世話させてくれぇ!!」
ーーー
数人の艦娘と恋姫が参加を表明し、一刀は驚き逃げようとしたが、足がもつれて、直ぐに捕まる。
一刀「お、おいっ! や、やめぇ────ッ!!」
こうして……一刀は、揉みくちゃにされてしまったそうだ。
★☆☆
一連の騒動がすんだ後、ビッグ Eとアリゾナが一刀の前に立った。
ビッグ E「さて………北郷提督! アタシは……提督へ謝罪をすると共に、罰を与えてくれるように……お願いしたい!!」
アリゾナ「その………私も………迷惑を掛けちゃたから………」
一刀「────? あの事においては、俺も同意した。 確かに、危険な事だったが、俺は……無事に生きているから! それに、君達の不信感を拭うのも、上官の役目だと思うけど……?」
ビッグ E「確かに───不信感はあった。 だが、それとは別に、アタシたちは……北郷提督を試したんだ! コレを使ってな?」
ビッグ Eは、一刀が落とした『コルト・パイソン』を拾い上げ………自分のコメカミに当てた! 横に居るアリゾナは、何故か黙って様子を見ている。
ビッグ E「─────」ガチャン!
一刀「な、何を────ッ!?」
『────────────!!』
一刀が五発目を引いたのは、全員が見ている!
ビッグ Eが引くのは、最後の六発目! つまり───『当たり』を選ぶ!!
すなわち────『死』!!
ビッグ E「………これは……な?」───グイッ!
ビッグ Eは………少しも躊躇せず……引き金を引いた!
一刀「待っ────!」
『──────!!』
…………一刀や他の者が止める暇もなく…………!!
───────カチン!
ハンマーの音が軽く………辺りに響いた。
ビッグ E「と、まぁ……御覧のように、弾は入っていないんだ!!」
一刀「……………………………」
『───? ──!』
『───! ──?』
ーーー数秒間ーーーー
一刀「はぁ───────ッ!!?」
『えぇ──────ッ!?!?』
天高く甲高い声が響き渡り、その驚きの凄さを……木霊が繰り返し繰り返し、辺りに知らせていった…………!!
◆◇◆
【 艦娘包囲網 の件 】
〖 益州 漢中付近 にて 〗
長門「────どういう事か……説明して貰うか!?」
金剛「April Fools' Day(四月馬鹿)なら、まだ早いネ! それにー、時期と場所とムードをわきまえなヨー!?」
サラ「───如何に主や提督が、寛大な心で──罪を御許しになろうとも、この私が許しません!!」
スチュワート「うぅぅ~~! 馬鹿、馬鹿、馬鹿ぁあああッ!!」
ーーー
天龍「オレを……よくも騙しやがって───覚悟しや『ガッ!』──へっ?」
龍田「天龍ちゃん~? 私に~何をしたのか~説明と謝罪をして貰ってないんだけどぉ~?」ゴゴゴゴゴッ!
天龍「いや、あれは……その、なんだ!? ま、待てぇ! 話せば分かる! は、話せばぁ! ひ、引っ張るなぁあああ───ッ!?!?」
ーーー
霧島「返答次第では………一戦も辞さないつもりですよ!?」
榛名「………………………!!」ギュッ!
木曾「─────返答は如何に!?」
ーーー
響「私は、司令官が無事なら……」
雪風「はいっ!!」
電「…………………」
雷「…………………」
暁「………二人とも、我慢しなくてもいいよ? 何かあれば、私が一緒に謝って上げるから! 頼りないけど……お姉さんだもん!」
電「……エンタープライズさんの真意を聞いてから……なのです!」
雷「アイツ……どこか……張り詰めているのよ? いつも、緊張しているような? そんな気がするの!! だから……アイツからの言葉を……聞きたいのよ! アイツ自身の心からの言葉を!!」
ーーー
ビッグ E「……………………」
アリゾナ「……………………」モジモジ
ーーー
二人は、只今───絶賛、正座中。
地面に直接だと汚れるとの一刀からの好意で、布を引いて……その上で座っている。 しかし、早くも十分ほど過ぎたのち……アリゾナの限界が来たのか、足をもじもじと動かす。 ビッグ Eは、まだまだ……泰然自若のままである。
そして───周囲には、怒髪天を衝かんとばかりに、怒りの形相の艦娘達が、二人の真意を聞く為………囲んでいたのだった!
★ーー★ーー★ーー★
事の顛末は……一刀の戦いにおける覚悟、異国の艦娘である自分達に対する不安、先の大戦による不信感等の疑問からだった。
アリゾナとビッグ Eは、相談して……『一刀の審判』を実行に起こす!
しかも、誰にも怪我をさせずに行うと、考えた結果だった。
ーーー ーーー
まず、一刀にビッグ Eから提案として、ロシアンルーレットを行うように誘導。
その隙に、アリゾナが艦娘の後方に移動、ついでに虫を捜して捕獲。
提案が受け入れられるように持っていき、『左側の銃』で確認させる。
そして、その銃を渡す時になり、アリゾナが自分で背中に虫を入れて、騒ぎ立てる!
ーーー
『キャアァアアア─────ッ!!』
ーーー
観客の視線がアリゾナに注視した時、ビッグ Eが持っていた銃を左側のホルスターに収納、『右側の銃』を新たに抜いて……手に持つ!
『右側の銃』は、既に……全弾外してある状態。 だから、幾ら撃とうとしても、弾は出ないのだ!
ーーー
一刀『─────えーと、これだね?』
ビッグE『あ、あぁ……!』
ーーー ーーー
一刀は、その銃を手に取り……ゲームを開始した……ワケである。
ところが……二人は大きなミスを冒す!!
艦娘達は、一刀を上官として見ていただけと思っていた。 ………優秀な上官に忠実に働く艦娘として付き従っていたと。
まさか……恋愛事情まで入っているとは思わず、余分な怒りを買う事になったのだ。 その為、このような体勢で、事情聴取されているのだ!
まぁ、前の世では『艦』だから、仕方が無いと言えば仕方が無いのだが。
★ーー★ーー★ーー★
しかし、この事情聴取も……怒りの艦娘達を持ってしても進まない!
何故なら…………
ーーー
ビッグ E「言い訳など───不要! アリゾナに罪は無い! アタシが全て悪いんだから……アタシを好きにしろッ!!」
アリゾナ「ちょっと待ってよ! 提案したのは私よ! ビッグ Eは……私の命令に従って実行しただけ! だから……罰は私だけにしてぇ!!」
ーーー
二人して、互いを庇い合うため、真相が掴めず……艦娘達は困惑するばかりだったのだ。
ーーー ーーー
ーーー ーーー
その様子を見ていた朱里が、一刀に声を掛ける。
朱里「ご主人様、今までの現状から予想しますと……あちらのお二人の原因は、ご主人様が要になっているように……思われます」
一刀「───お、俺?」
急に朱里から、そう言われて……一刀は首を傾げる。
『まだ、初対面なのに、何か俺は粗相をしたのだろうか?』
そう考えるが……まるで原因が分からない!
しかし、朱里にはハッキリと分かるらしく、一刀に指摘する!
朱里「はい! 最初、『えんたぷらいず』さんと皆さんが顔を合わせたとき、『えんたぷらいず』さんは、ご主人様を睨み付けていました!」
一刀「あぁ───!? そういえば、そうだったね!!」
朱里「それに、今回の件も、わざわざ架空の危険的遊戯を作り出しながら、絶対命を奪わないように、策を持って対応しております!! これは、ご主人様の器量を図る……謀のように思われてならないんです!!」
朱里の言葉に納得した一刀は、朱里に礼の言葉を掛ける!
一刀「………ありがとう、朱里! 俺から直接、問い質したいと思う! だけど………朱里は、やっぱり『諸葛孔明』なんだな。 今更ながら……可愛いだけの女の子じゃなかったんだ!」
朱里「ご、ご、ご主人様ぁあああ!! わ、私を何だとぉおおおッ!?」
一刀「ごめん、ごめん! 未だに信じられなくてね……!? ───じゃあ、行って来るよ!」
朱里「もぉ~!! でも……『可愛い女の子』……か。 ───えへっ!」
一刀の言葉にちょっとだけ怒り、後半部分で顔を赤らめてしまう朱里。
朱里『やっぱり……ご主人様だ! 私達の…………』
そう思いながら、一刀の行った先を………ジッと見つめているのだった。
◆◇◆
【 一刀の下で!! の件 】
〖 益州 漢中付近 にて 〗
艦娘包囲網を無理やり通り抜け、ビッグ E達の前に出る一刀!
一刀「………ごめん! ちょっと通して………ふぅ! さて……二人とも! 今回の事で俺に心労を与え、仲間達を心配させた事、あまりに罪深い!! ────それは、分かっているな!?」
「「──────コクリッ!」」
二人は、一刀を眺め……縦に首を振る!
一刀「じゃあ───どんな罰でも構わない! それで良いんだよね?」
ビッグ E「あぁ………二言は無い!」
アリゾナ「うん! みんなを騙したもんね。 それで済むなら……」
一刀「───じゃあ! 今回の理由を、みんなの前で詳細に説明する事!」
予想を斜め上どころか、見当違いの方向に向かった罰を、一刀がにこやかに命じる。
『─────────!?!?』
一刀「どうしたんだい? この罰で……綺麗に流そうと云うんだ! 勿論、嘘は駄目だからね? もし、この罰に納得出来ない、別の罰を望む、もしくは嘘の自白である事が分かった時は─────!」
『─────ゴクッ!』
一刀「…………一週間………貂蝉と合同で演習や遠征をしてもらおうかな……『分かった! 説明させて貰う!』『だ、だからーッ! お願いッ! それだけは勘弁してぇ!!』 ──うんうん! 素直なコは好きだよ!!」
こうして、二人が───説明する事になった。
★☆☆
ビッグ E「……知ってのとおり……アリゾナは、Attack on Pearl Harbor(真珠湾攻撃)で轟沈した艦。 今も艦は1177名のspirit of departed(英霊)が眠っているし、今のアリゾナにも……想いは引き継がれている!」
ーーー
瑞鶴「わ、私たちだって、私たちだって……」
翔鶴「………反論はありません! 戦争に綺麗も汚いもありませんから! あの当時、私達は……私達の出来る事を行うしかなかった! それだけなのですから!! 国力も仲間も少ない……私達にとっては………!!」
比叡「だから……と言っても、許される事でも無いんだよね。 私だって分かるよ……。 あの後……熾烈化して……多くの仲間が轟沈して逝ったから!」
霧島「………………」
ーーー
ビッグ E「アタシはさ……その日、任務でウェーキ島からPearl Harbor(真珠湾)に戻る途中だったんだよ! アリゾナや仲間達と笑顔で別れたのに、遠目に映るには………惨憺たる破壊の跡、轟沈した戦艦の残骸ばかり……!!」
アリゾナ「あの時ね……日曜日だったの。 普段日曜なら出掛けている艦もいたのに……何故か全艦揃って、朝からお喋りしてたんだよ。 ──そうしたらね……急に戦闘機が現れてぇ……私や仲間達を爆撃して行ったのぉ!!」
ビッグ E「───アタシは、直ぐに帰港を取り止めて捜索に出たんだ! だけど……敵影の姿……既に見ず! 泣きながら、冷たくなったアリゾナを抱きしめて、仲間の仇を討とうと……誓ったんだ!!」
雷「………………!」
一刀「──それなら、何で『銃をすり替える』なんて面倒な事を? 俺は……流れからすると仇に入る! それなのに、愛銃を利用してまで、目的と反する行為を行う理由は………無い筈だよ?」
ビッグ E「………最後の戦いで『トミザイ』……『DIVINEWIND(神聖な風)』に大破を食らわなければ……このような考えもしなかった! あの若者が、アタシや北郷提督の運命を変えたのさ………!!」
一刀「『トミザイ』? 『DIVINEWIND(神聖な風)』?」
ビッグ E「艦の時、アタシに特攻を仕掛けた『KAMIKAZE』さ! 当時、復讐を誓い……数多の軍艦、基地、戦闘機を破壊した。 そんな折りに、二十数機の戦闘機の編隊が、アタシに襲いかかって来たんだ! ──性懲りもなくね!」
電「……………………」
ビッグ E「勿論、アタシは迎撃し叩き潰した! ところが……一機だけ、雲に隠れて機会を窺う奴が居たんだ。 狙いを定める度に隠れていた奴だったから、鬱陶しくてね。 つい、目を逸らしたんだ……」
一刀「まさか────!?」
ビッグ E「ところが……それが相手の狙いだった! 此方の警戒が薄れたと分かったら、不意を突いて特攻され……大破だよ! たった一機の為にね!! お陰で……本国まで曳航して運んで貰い、それで終戦だったよ!」
木曾「───ほぅ!? 戦闘機の特攻だけでか! ……流石だ!」
ビッグ E「アタシはね……大破した後……確認したんだよ。 その特攻兵に興味を持って、調べて判明した名が『トミザイ』! 北郷提督、貴方と同じくらいの年齢の若者だった!! ────立派な戦士だったよ!!」
長門「…………そうか。 胸が熱くなる闘い振りだ!!」
ビッグ E「アタシ達は、その者を賞賛して『DIVINEWIND(神聖な風)』と呼んでいる! 『KAMIKAZE』とは違う、機知と覚悟を秘めた英雄として!」
金剛「凄いデ~ス! applaudable feat(賞賛に値する偉業)デスネ!!」
ビッグ E「───だから、北郷提督! 貴方が『トミザイ』と同じような人なら……付いても良いと思ったんだよ! 私の長年の夢だった!!」
雪風「司令ぃは! 私達にとって………『トミザイ』さんと同じような方です! 代わりになる人なんて……いません!!」
響「あぁ……私も賛成だ!」
アリゾナ「あれから……七十年以上過ぎて、敵国から友好国になり、戦っていた国とも国交が開いた! だから……私もね? 変わろうと思ったの! 敵対していた国で、信用できる提督の下で……頑張ろうって!! 」
一刀「それで……二人で……あんな事を? あっ! じゃあ……俺は、結局どうだったんだ? 君達の目に適ったのかな?」
アリゾナ「私は──認めるよ! 自分の矜持を貫き通し、私達を心配してくれて、しかも……こんなに多くの艦娘達が慕ってるんだもん!! これ以上の指揮官を捜すには、かなり骨を折らなきゃ……無理だもんね!?」
ビッグ E「………合格です! 北郷提督、貴方も『トミザイ』の意志を継ぐ者の一人の御様子! この『ヨークタウン級航空母艦 二番艦 エンタープライズ』……貴方の下へ……忠誠を持って着任させて頂く!! アタシの事は、愛称の『ビッグ E』とお呼び下さい!!」
アリゾナ「えへへへッ! 『ペンシルベニア級戦艦 二番艦 アリゾナ』だよ! 提督、他の戦艦の艦娘たちと同じように……可愛いがってね?」
スチュワート「改めて紹介させてよ! 『クレムソン級駆逐艦 二番艦 スチュワート』! し、司令官の傍で……お世話させて貰うわ! よ、宜しく頼むわね!」
サラ「提督……改めてまして紹介を。 『レキシントン級航空母艦 二番艦 サラトガ』と申します。 どうぞ、愛称のサラでお呼び下さい! 提督と艦隊の皆様に……主からの守護と幸をあらん事!」
一刀「こちらこそ……! 俺の名前は……『北郷一刀』! 漢中鎮守府の最高責任者だ! 知ってのとおり、俺は仲間を死なせる事は許可しないし、命じる事もしない! 歴戦の貴女達にとっては甘いと思う!」
『……………………』
一刀「だけど……俺は、みんなと一緒に……平和の世を見てみたい! 悲しみより笑顔を! 嘆きより喜びを!! みんなと一緒に味わいたいんだ!! 未熟な俺だけど……力を貸して貰いたい!!」
『────ハイッ!!』
ーーーーー
こうして、一刀の下に……新たな艦娘が仲間に入る。
艦娘としての実力は未知数。
されど、元になった艦は……名高い武勲艦揃い!!
果たして……この外史で……どのような物語を紡ぐのか……
それは、また次回へと………
ーーーーーーー
ーーーーーーー
あとがき
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
なるべく分かりやすいように、前作に『種』を書いておいたつもりでしたが、気付いた方はいらっしゃいますでしょうか?
ロシアンルーレットのやり方をしていますが、中身は空です。
果たして、何人の方が気付かれたか……気になるところですが。
mokiti1976-2010提督のコメント読んだとき、『正直バレたかな?』と苦笑しておりました。 いや、分かっていて書かれたかも知れませんね。
『トミザイ』氏の名前は、本来の読み方とは違っています。 米軍で、遺品を確認した時に、日系の方が訳した読みが、この名前だったと云う事で掲載しました。 御冥福をお祈りします。
『トミザイ』氏の活躍は、検索サイトで確認していただければ、判明されると思います。
次回こそは、更新は……来週日曜以降になる筈ですので、よろしければ、また読んで下さい。
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予定より早くできたので。 後で修正もあるかも。