No.760087 英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~soranoさん 2015-02-22 16:41:57 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:1921 閲覧ユーザー数:1788 |
~鳳翼館~
「それにしてもリィンだっけ?さっきエイドス達に怒られている事情を聞いたけど、ロイドより天然だよね♪」
「……まさか私達どころか空の女神とその一族達の入浴姿を見るなんて……ロイドさんですらさすがにそのような不埒な罪は犯していないとの事なのに。」
「本来ならアルテリア法国に連行されて裁判が行われてもおかしくない事がわかっているのかしら?」
「うっ!ほ、本当にすみません……!」
ジト目のリースとルフィナに見つめられたリィンは唸り声を上げて頭を深く下げた。
「というか君達も自分達の身内が入浴している所を覗かれたのに、何も言わなくていいのかい?」
「ア、アハハ……クレハ達にあれだけ怒られている所を見たらそんな気にもならないですよ……それに話によればクレハ達のアーツをその身に受けたとの事ですし。」
「むしろ同情心が湧いてくるくらいだよ……」
ワジに尋ねられたナユタとアドルは苦笑していた。
「というか私達はまだ怒り足りないくらいよ。」
「全くですね。本来なら”お仕置き”として”アークレイズ”か”グランドクロス”を叩き込んでいるのですが。」
「クレハ様や私達の湯着姿を見たのは絶対に許さないの!」
「事故とは言え、さすがにあれはどうかと思いますね。」
「ま、まあまあ……わざとじゃなかったのですし、リィンさんも罰を受けましたからそのくらいにしてあげたらどうですか?」
一方リィンをまだ許さない様子でいるクレハやエレナ、ノイとエイドスを見たフィーナは苦笑しながら諌めていた。
「………リィンさん?状況が落ち着いたら先程の件も含めたお説教がありますからね?」
「―――そうね。私達の方はまだ終わっていないわね。」
「その時は姉様にも加わってもらいますので、覚悟していてくださいね?に・い・さ・ま~~~??」
「うふふ、ここは流れに乗ってその時はわたくしも加わりますわね、リィンさん♪」
「す、すみません、お兄様。今回も庇えませんわ……」
「………………」
「アハハハハハハッ!”そう言う所”もロイドとそっくりだね♪」
それぞれ膨大な威圧を纏っているクレア大尉やアリサ、エリスに微笑まれると共にからかいの表情をしているアルフィン皇女と疲れた表情をしたセレーネの言葉を聞いて表情を青褪めさせて身体を震わせているリィンをワジは腹を抱えて笑いながら見つめた。
「本当にあの人、神父なのかな………?」
「とても神父とは思えん言動ばかりだぞ。」
「法衣姿じゃなかったら、絶対信じないだろうな。」
「フフ、それに神父と呼ぶには若すぎるしな。」
ワジの様子を見ていたエリオットは冷や汗をかき、ユーシスとマキアスは呆れた表情をし、ガイウスは苦笑し
(な、何となくあの人、アンちゃんに似ているよね……)
(フフッ、そうかい?)
トワに視線を向けられたアンゼリカは静かな笑みを浮かべていた。
「ハハ……――――それにしても君達ともこんな所で再会する事になるとは思わなかったよ。ケビン神父、リース君。」
「いや~、それはお互い様ですよ。」
「オリヴァルト殿下もご無事で何よりです。」
「お兄様?」
「殿下のお知り合いなのですか?」
ケビンとリースと親しそうに話しているオリヴァルト殿下の様子を不思議に思ったアルフィン皇女は首を傾げ、ラウラは尋ねた。
「ああ。ケビン神父とは”リベールの異変”で……リース君とは”影の国”で知り合ってね。アルフィンにも彼らの事を話したはずだよ。」
「まあ……!でしたらそちらの方々が。兄がリベールと”影の国”ではお世話になりました。本当にありがとうございます。」
「ハハ、世話になったのはお互い様ですよ。」
「それには同意。どっちかっていうとお世話になったのはケビンの方だと思う。」
アルフィン皇女にお礼を言われ、謙遜しているケビンの言葉にリースは静かな表情で頷いた。
「貴方達も”守護騎士”という存在なの?」
「ああ、オレ――――ケビン・グラハムが”守護騎士”第五位――――”千の護手”でそっちのシスター―――リース・アルジェントが”守護騎士”であるオレを補佐する星杯騎士――――”従騎士”や。」
「”従騎士”……あの、”帝国解放戦線”の幹部――――”S(スカーレット)”の事は知りませんか?彼女もかつては”従騎士”だったと聞いていますし。」
ゲルドの質問に答えたケビンの話を聞いてある事が気になったリィンは目を丸くした後尋ねた。
「何ですって!?」
「”S”が”星杯騎士団”の”従騎士”だったなんて初耳だぞ!?」
「……もしかしてバリアハートで奴に見舞いに行った時に聞いたのか?」
リィンの言葉を聞いたサラ教官とトヴァルは驚き、ある事に気付いたユーシスは尋ねた。
「ああ。」
「という事は彼女はかつてシスターでもあったのか……」
「とてもそんな風には見えなかったぞ……」
「へ~、そうだったんだ……もしかして、”S”って君達の中の誰かの”従騎士”だったの?」
スカーレットの事情を知ったガイウスは目を丸くし、マキアスは信じられない表情をし、ミリアムは興味ありげな表情でセルナート総長達を見つめた。
「おい、ワジ。確か以前ちょっとだけお前んとこにいた”従騎士”の中でそんな名前の奴がおらんかったか?」
「……ああ、彼女か。家庭の事情とやらですぐに辞めたから、あんまり話した事はないんだけどね。」
ケビンに視線を向けられたワジは考え込んだ後静かな表情で呟き
「ええっ!?じゃ、じゃあ貴方が”S”のかつての上司だったんですか!?」
「い、意外な接点ですね……」
ワジの答えを聞いたアリサは驚き、エリスは目を丸くしてワジを見つめた。
「とはいってもケビンにも言ったように彼女が僕の”従騎士”だったのは本当に短い期間だったから、そんなに接した事はないよ。どっちかというと”星杯騎士”の見習いたちを鍛えていた総長の方が知っているんじゃないの?」
「……まあな。当時の奴は奴の同期達と比べると人一倍努力家だった。”星杯騎士団”を去ってからの奴の消息は不明だったが、まさかテロリストに墜ちていたとはな……」
「……複雑ね。”星杯騎士”の力がテロに使われていたなんて。」
「どんな経緯があって、テロリストにまで墜ちたのか聞いていませんか?」
ワジに視線を向けられたセルナート総長は重々しい様子を纏い、ルフィナは複雑そうな表情をし、リースは真剣な表情でリィンを見つめて尋ねた。そしてリィンはその場にいる全員にスカーレットの事情を説明した。
「クロウさんと同じく故郷を奪われ、家族の人生が滅茶苦茶にされた復讐ですか……」
「そしてそれらの”原因”となったのはオズボーン宰相肝入りの国家事業である帝国各地に鉄道網を敷く事業だったのですね……」
「あの事業で故郷を奪われた人々も少なくはないという話だったからね。っと、失言だったね。」
「……私の事はお気になさらないで下さい。閣下や私達が理想の為に犠牲になった民達の怨嗟の声を無視して来たのは事実なのですから……」
「クレア大尉……」
事情を聞いたセレーネとアルフィン皇女は複雑そうな表情をし、オリヴァルト皇子は重々しい様子を纏い、辛そうな表情で答えるクレア大尉をエリスは心配そうな表情で見つめ
「ま、実際オジサンの部下のボク達も”帝国解放戦線”に憎まれていたみたいだしね~。」
「そう言えばノルドの地で相対した”G(ギデオン)”はミリアムちゃんを憎しみが籠った目で見ていましたね……」
ミリアムの話を聞き、かつての特別実習で初めて出会い、戦った”G”のミリアムを見る目を思い出したエマは悲しそうな表情で呟き
「”帝国解放戦線”。クロウが言っていたように、”鉄血宰相”を討ち取る事が最終目標の組織だったようだね。」
「実際リィンの話では”帝国解放戦線”は”鉄血宰相”が狙撃された後は一気に勢力を減らしたそうだから、人生の全てを費やしてでも”鉄血宰相”を討ち取りたかったのね……」
フィーの推測に続くようにサラ教官は重々しい様子を纏って呟いた。
「それで彼女はどうなったんだい?」
そしてリィン達はスカーレットを捕縛した経緯や、スカーレットの現在の状況などを説明した。
「……そうか。短い間だったとはいえ、かつての部下の命を救ってくれた事には感謝するよ。」
「いえ、彼女は生きて罪を償うべきだと思ってましたし。」
ワジに感謝されたリィンは静かな表情で答えた。
「しかし何でまたリィン君の使い魔の”魔神”の”使徒”とやらになったんや?」
「ア、アハハ……その件はリィンが一番関係していると思いますよ。」
「へっ!?な、何でだ!?」
ケビンの疑問に苦笑しながら答えたエリオットの答えを聞いたリィンは驚いた。
「――――リィンさん。ルクセンベール卿からお聞きしましたよ。”S”に”生きる目的”を与えた”方法”を。」
「え”。な、何でツーヤさんがその件を……!?」
しかしジト目で自分を見つめるクレア大尉の口からある話が出ると表情を青褪めさせた。
「そ、その、お兄様。スカーレットさんが療養している部屋に設置されている監視ビデオの存在には気付かなかったのですか?」
「…………あ”。」
そしてセレーネの口からある問いかけが出ると冷や汗を滝のように流し始め
「後でアリサさん達やエリゼさんにも事情を説明しますので、覚悟していてくださいね?」
「……………………」
クレア大尉の言葉を聞くと石化したかのように固まった。
「私やエリゼ達に……?――――!!ま、まさか……!」
「に・い・さ・ま~~~~??」
「うふふ、さすがはわたくしの未来の旦那様ですわ♪」
「ハア……どこまで節操なしなのよ。」
「リィンさん。私も後で事情をお聞きしますからね?」
「リ、リィン君、後でお説教だよ!」
「フフ、どうやら早速トワの願いに応じた私の拳が唸る時が来そうだねぇ?」
クレア大尉の言葉である程度事情を察したアリサやエリスは血相を変え、アルフィン皇女はからかいの表情をし、セリーヌは呆れた表情で溜息を吐き、エマとトワは真剣な表情でリィンを見つめ、アンゼリカは口元に笑みを浮かべていた。
「アハハハハハハッ!こりゃ傑作だよ♪まさかテロリストまで落とすなんて♪リーシャを落としたロイドと互角以上の勝負をしているよ♪」
「阿呆が……お前には限度というものがないのか?」
「全く……君は何故自分の状況を自覚せずに状況を悪化させ続けるんだ?」
「フフッ、それはリィンだから仕方ないかもしれないな。」
(みんな、いいなぁ……リィンの恋人になれて……)
一方リィン達の様子を見守っていたワジは腹を抱えて大声で笑い、ユーシスとマキアスが呆れている中、ガイウスは苦笑し、ゲルドは羨ましそうにアリサ達を見つめ
「リィン。そなた、後何回罪深い事をすれば気がすむのだ?」
「……そう言えば今思い出したけどスカーレットも胸、大きかったね。」
ラウラは厳しい表情でリィンを見つめ、フィーはジト目でリィンを見つめた。
「敵組織の幹部を惹きつけるなんて、アドルさんならありえそうですね。」
「そうですね。それには私も同意です。」
「ええっ!?」
フィーナとエレナの意見を聞いたアドルは驚き
「フフ、敵と言えば元々私とナユタは敵同士だったわね。」
「クレハ様達が思いとどまったのもナユタのお蔭なの!」
「ア、アハハ……えっと、褒められているんだよね……?」
クレハとノイに微笑まれたナユタは苦笑し
「クスクス……」
リィン達やアドル達の様子をエイドスは微笑ましそうに見守っていた。
スカーレットがワジの従騎士なのはおわかりかと思いますがオリジナル設定です。まあ、スカーレットが何年前に星杯騎士団を抜けたのか知りませんが可能性で言えばありえるでしょうね。ワジは確か7年前に聖痕が現れましたから、恐らくその1~2年後くらいには守護騎士として活動していると思いますし。逆にケビンはリースが来るまで必要最低限の従騎士しかおらず、追加の従騎士も断っていたそうですから恐らくスカーレットがケビンの従騎士であった可能性はないでしょうね。
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第558話