No.756331

島津一刀と猫耳軍師 二周目 第35話

黒天さん

お久しぶりです。
今回は桂花さんのお話です。
かなり久しぶりなので作風が変わってないか心配です……。

2015-02-05 23:02:18 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:7151   閲覧ユーザー数:5453

今日もいつもどおりのお仕事。

 

一刀様は今日は桂花さんとお仕事みたい。

 

誰かとお仕事をしているのを見るのはそう珍しいことじゃないけど、

 

桂花さんとお仕事してる所を見るのは初めてかも。

 

部屋のお掃除をしながらその様子を眺めていると……。

 

「……」

 

桂花さんが一瞬作業の手を止めると、そこに一刀様がすっと書簡を差し出し、

 

その書簡を元に作業を進めていく。

 

ついで一刀様の手が止まれば、桂花さんの方からも必要な書簡が差し出されて、

 

それを一刀様が処理していく。

 

お互いに一言も喋ってないのに必要な書簡がよく分かると思う。

 

それぞれの作業の速度とかがちゃんとわかってて、やってる仕事もわかってるからできるんだろうなぁ……。

 

やっぱり桂花さんには勝てないんだろうな。

 

「麗ちゃんちょっとちょっと……」

 

「何ですか?」

 

「この書簡の処理、お願いできる? 終わったら桂花にまわしてくれればいいから」

 

「はい」

時々、一刀様はこんな感じで簡単な仕事を回してくれたりする。

 

いずれ文官の仕事をやりたいなら、っていうことで、練習がてらに。

 

座って筆を持ち、書簡に視線を落とす。

 

やらなきゃいけないのは計算みたい、これぐらいなら私でもできる。

 

病気で部屋にいた頃は本ばっかり読んでたから、文字を読むのは得意だし……

 

そうやって仕事をすることしばらく……。

 

ちらっと、桂花さんが一刀様に目配せし、それに一刀様が頷くと二人は立ち上がって何処かへ行ってしま

い。

 

先に一刀様が帰ってきた、手にはお皿と包丁と……お菓子の包み?

 

「桂花は今お湯沸かしてるから多分もうすぐ帰ってくるよ」

 

「さっきから一言も喋ってないのによくそれだけ意思疎通できますね」

 

「まぁ慣れだよなぁ……一番付き合い長いし」

 

そういいながらお菓子の包をあけて、いつものケーキを切り分けて、あ、ちゃんと私の分もある。

 

「お茶の準備出来たわよ」

 

桂花さんが帰ってくるとすぐにお茶を入れ始める

 

「それじゃ休憩にしようか」

 

「はい」

いつもながらこのお菓子は美味しい、桂花さんもお茶の入れ方は上手だし、

 

ちゃんとこのお菓子に合うお茶を入れて来てるし……

 

「それにしてもやっぱり二人共お仕事が早いですよね」

 

「そうかしら? 一刀はそうでもないとおもうけれど」

 

「初期に比べればだいぶマシになったとは思いたいけどなぁ」

 

「そうね、ずいぶんマシにはなってるわ」

 

「あ、あのー……、そう言われてしまうと私の立場が……」

 

ちょっとしょんぼりしてしまう。

 

まだ私じゃ一刀様よりもかなり遅いし……。

 

「麗ちゃんもコツがわかれば早くなるとおもうけどね」

 

「そうね、まだ練習中ってところだし、仕方ないと思うわよ? でも一刀はもう少しは早くなっていいん

じゃないかしら?」

 

「正直言って、天性の物がないと桂花達の領域にはなれないと思うんだけど……。

 

これでもかなり頑張ったんだけどなぁ」

 

「頑張ってるのは認めてるわよ、ま、今の早さでも支障は無いから程々にしなさいよ?」

 

そういって桂花さんが一刀様の頭を撫でる。

 

なんだかあんまり見ない光景かも。

 

一刀様が誰かの頭を撫でる所はよく見るけど。天華ちゃんも撫でられてたなぁ……

 

休憩することしばらく、休憩が終われば日時計なら3時過ぎといった頃、

 

そろそろ顔良さんと文醜さんの様子を見に行かないと。

 

……もっとも、普段は呼び捨てなんだけど、この二人は。

 

「それじゃあそろそろ失礼します」

───────────────────────

 

ぱたん、軽い音を立ててドアを締め、麗ちゃんが出て行くと、桂花が口を開いた

 

「そういえば、この前天華様の部屋に泊まったらしいわね」

 

「泊まったよ?」

 

何があったかは言わないけど。

 

「ま、いまさら怒る気もしないけど、天華様から一刀を借りる、っていう話は聞いてたし」

 

そういってため息、雰囲気的に多分だいたい察しはついてるみたいだなぁ

 

「あぁ、知ってたのか」

 

「天華様も押しが強いから一刀が押し切られるだろうっていうのは分かるし

 

天華様の容姿だと一刀は好物でしょうしね。低い身長といい、薄い胸といい……。

 

次は麗ちゃんかしら?」

 

麗ちゃんか、確かに可愛いけど、まだそういう気にはならないなぁ、あの子は体力が無いってこともある

し。

 

どっちかいえば妹とか娘とか、そんな感じに思う部分は強いしなぁ。

 

どうもロリコンの気があるのは自覚してきたのでそこには特に反論しない。

「まぁ程々にしときなさいよ? もう今さら怒らないけど」

 

「善処するよ」

 

「あと、今日は泊まってくつもりだけど、構わないわよね?」

 

「んじゃあ酒を用意しないとな、いつものやつでいい?」

 

「十分よ。それじゃ、余裕を持って時間をとれるように、仕事を早めに終わらせないとね」

 

「俺は今日の分は終わってるからもう大丈夫だけどね。今お酒切らせてるから買いに行ってくるよ」

 

さっきからやってたのは明日の分だし。今日の分の大半は昨日の夜中に終わらせてある。

 

いつ終わらせたかというのに察しがついたのか、桂花は一つため息をついた。

 

「ちょっと待ちなさいよ、私も一緒にいくから」

 

「そう? それじゃあそうしようか」

 

「とりあえず食器を片付けてきてくれる?」

 

そういうので、食器を持って部屋を後にし、台所にいって帰ってくると、仕事が終わっているのはどういう

ことだろうか。

 

本気出すとすごいんだなぁ……、ということにしておこう。

───────────────────────

 

桂花と並んで歩くことしばらく、酒屋に行って帰るだけじゃ味気ないので少しぶらつくことに

 

「んー、それにしても『前』より街が賑わってる気がするな」

 

「気のせいじゃないわよ、一刀が発案して私や紫青、朱里が『前』の時に行った政の問題点を洗い出して

 

そこを修正してやってるし、順序も適切に考えてやってるもの。

 

より効果を発揮するようになっていて当然よ。特に思い出してからこっちはね。

 

天華様も月も、貴方と方針が似通ってるから『前』の経験を活かしやすいのもあるわ」

 

「なるほどね」

 

「というかせっかく街に出てきたのに何で仕事の話になってるのよ」

 

「それもそうだ」

 

酒を買う以外にこれといって目的があるわけでもなく、そこらの店をひやかして歩くぐらいか。

 

そろそろ夕刻なので店の様子もいつもと違う、ぼちぼち居酒屋というか、そういう感じの

 

飲食店が開店準備を初めているし、その他の店は早い所は閉店し始めてる、

 

こりゃあんまりのんびりしてると酒屋もしまっちゃうな。

 

とりあえずそこらの店を冷やかすのは後回しにして酒屋に向かう。

 

「おやじさんいつものお酒ある?」

 

「おや、北郷様じゃないですか。いつものやつはありますよ。

 

そちらは北郷様のイイ人で?」

 

そういえば、桂花を連れてきたことなかったっけ。ちょっと悪戯心が湧いてくる。

「イイ人っていうか、婚約者だよ」

 

そういってチラと桂花の方を見ると、頬を染めて照れくさそうにそっぽを向いている。

 

「ちょ、ちょっと一刀……、あんまりおおっぴらに言わないでよ」

 

「ああ、じゃあ前話しに聞いてた荀彧様で? ちょいちょい晩酌するのが楽しみだって言ってらした」

 

「そうそう。今日も一緒に一杯やろうかって話だったんだけど

 

お酒切らしちゃっててさ、買いに来たんだよ」

 

「なるほどね、ちなみに荀彧様はどんな酒がお好みで?

 

いつものやつ以外もいろいろ取り揃えてますよ」

 

店のおやじさんに話をふられると、少し考えるような素振りを見せて。

 

「そうね、もう少し飲みやすいお酒がいいかしら……」

 

「それじゃあ、コッチがおすすめですよ。あとツマミは塩がいい。

 

好みにもよりますがね、塩舐めながら一杯やると酒っぽさが少なくなって飲みやすいですよ。

 

お試しに少し『さぁびす』にしとくんで、気に入ったら今度は買ってくださいよ?」

 

そういって小さめの徳利を桂花に手渡した。

 

商売上手だなぁ。……っていうか桂花もこのおやじさんは平気なのな。

 

おやじさん、っていうかお爺さんっていってもいいような歳だからかな。

 

素直にその酒を受け取っている。

「いいの?」

 

「いいのいいの、婚約したってんならめでたい話だし、お得意様は大事にしないとね。

 

あ、いつもの酒はちゃんと買ってってくださいよ?」

 

「そりゃ買ってくよ」

 

苦笑しながら、少し多めに金を払い、婚約の話はまだ他にはナイショ、と釘をさしてから

 

いつもの酒の徳利を受け取り、店を後にする。

 

「……、何で婚約者だなんていったのよ」

 

真っ赤、とは言わないまでも、少し頬を染めたまま、問いかけてくる。

 

「桂花がどんな反応するか見てみたかったから。

 

予想通りにかわいい反応が見れて満足」

 

「そんな所じゃないかと思ったわよ。そう言われて悪い気はしなかったけど」

 

「実際結婚するのっていつになるかなぁ……」

 

「いつでも良いといえばいいのよね。

 

呉や劉備との戦が近いかもしれないから、そんなことをしてる場合ではない、という話もあれば

 

椿花のように、こんなご時世だからいますぐ、っていう話もある。まぁ何も急ぐことは無いんだから

 

落ち着いてからでいいんじゃないかしら?

 

尤も、落ち着いて仕事が楽になると、それこそみんなが一刀の所に押し寄せてソレどころじゃ

 

なくなりそうではあるけど。今でさえ、こういう日は少ないんだから」

 

そういって盛大にため息をつくのだった。

ちなみに今日の夜は、飲みやすい酒に、酒屋のおやじさんに教わった飲み方を試した結果、

 

盛大に飲み過ぎて桂花は早々に酔いつぶれてしまっていた。

 

「こんな日が続けばいいのになぁ」

 

眠った桂花に膝枕をしてあげて、髪を軽く弄びながら、つぶやいてみるのだった。

 

 

あとがき

 

どうも黒天です。

 

ものすごくお久しぶりです。

 

すっかりやる気ゲージが無くなっていて長らく充電中でしたが、ようやく回復してきたので、

 

リハビリがてら軽く書いてみました。久しぶりに、というわけで今回は桂花さんのお話。

 

仕事も忙しいし更新も不定期になるかと思いますがボチボチやっていこうと思います

 

さて、今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。

 

また次回にお会いしましょう。

 


 
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