No.755796

真・恋姫無双 別たれし御遣い 第九話

ZSANさん

汜水関の戦い②

2015-02-03 20:20:48 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:3282   閲覧ユーザー数:2809

~鞘華視点~

董卓軍が汜水関に撤退したので私も華琳の陣へ戻る

だが、その足取りは重い

何故、やっと見つけた、会えるかもしれない一君が敵なの?

居る事が分かって普通なら喜びたいけど、とても喜べない

そんな事を考えながら陣に戻ると

「鞘華、勝手に張遼に向かって行ったことは咎めないけど貴女が何の考えも無しに取った行動とは思えないわ

 理由を教えてくれるわね?」

華琳の問いに

「董卓軍に居る”北郷”の事を知りたかったのよ

 張遼を捕える事が出来たなら、詳しく聞けるかと思って」

私は俯いたままで答える 精神的に堪えているので顔を上げられない

「それで、収穫は有ったの?」

「ええ、董卓軍に居る”北郷”の名は”北郷一刀”

 私の従弟よ」

「何ですって!」

私の答えに華琳は驚いたようだ

私は顔を上げて、華琳を見るとその表情は興味津々と云った感じだ

「その北郷一刀の事を詳しく教えてくれる?」

「華琳様、そんな男の事なぞ気に留める必要はございません

 男なんて皆、女を穢す事しか考えていない獣なんです

 その北郷一刀と云う男も鞘華お姉様の従弟でなければ生きている価値も無い屑に決まっています」

華琳の質問を桂花が遮って、一気にまくしたてる

「桂花、私の覇道の為には一人でも多くの優秀な人材が必要なのは分かるわよね?」

華琳が桂花を窘めるが

「それは分かります

 でも、その男は屑です、そうに決まっています

 大体華琳様に仕えず、董卓軍に居る事が屑の・・・」

「黙れ!」

桂花の悪口雑言に私は叫んだ 叫ばずにいられなかった

驚くほど大きな声で叫んだ為、周りの兵も何事かと此方へ視線を向けて来る

「少し、頭を冷やしてくる

 一君の、”北郷一刀”の事はその後で話すわ」

そう言ってその場を離れた

 

少し離れた物陰に行って、その場で私は泣いた

何故だか涙が止まらなかった

~一刀視点~

昨日の勝利で此方は士気も上がり暫く籠城(砦?)戦に耐えられる状態になっていた

連合軍は一時撤退して隊列を組みなおしてやって来る

今度は曹、孫の旗 曹操と孫策か 難敵だな

だが、籠城戦なんだから問題ないだろうと思っていたがそれが間違いだった

敵が近づいて来て、弓による威嚇攻撃を掛けようとした時、門が開いた

「何だ?」

「何が有ったんです?」

「なんや?」

城壁の上にいた俺、静里、霞は驚きの声を上げた

籠城戦なのに門を開ける理由は無い

やるとすれば空城の計位の物だ

だが今はそれも無い 一体何故門が開いた 誰が開けた?

そこへ伝令の兵がやって来て

「申し上げます

 華雄将軍が”連合軍など蹴散らしてくれる”と言って門を開けて部隊を率いて出撃しました」

あの馬鹿が~!何を考えている!

「あの人は何処まで脳筋なんです!」

「あの阿保が~!」

静里と霞も俺と同意見の様だ

「霞、俺達も出るぞ 華雄を見殺しにはできない

 静里、汜水関の撤退準備を 俺達が戻る前に汜水関が落とされる可能性が有る」

「おう!」

「分かりました」

そして俺は部隊を率いて華雄の元へ向かう

~鞘華視点~

まさか汜水関から出て来るとは思わなかった

敵にはとんでもない馬鹿がいたのね

「私が向かうわ 将は私が倒すから部隊の方はお願い」

「うむ、任せておけ」

秋蘭に部隊を任せて私は突撃して来た将に向かう

 

「もっと骨のある奴はおらんのか!」

大声で喚いている将の前に立つ

「私は曹操軍客将 北郷鞘華

 貴方は私が相手をしてあげるわ!」

「いい度胸だ 私は董卓軍将軍 華雄だ!」

この人が華雄だったんだ 猛将ではあっても良将では無かったようね

華雄は大きな斧を振り降ろしての攻撃を仕掛けて来る

威力重視の攻撃は受け止めるのが厄介なので躱す

速さは大したことが無いので問題無い

相手としては昨日の張遼の方が厄介だ

華雄は次々と攻撃を仕掛けてくるが全て躱す

当たらなければ威力は何の意味も為さない

「くっそ~、逃げてばかりで

 この腰抜けが~!」

見てて分かるほど苛立った華雄は更に大きく振りかぶって攻撃を仕掛けて来た

これを待ってたのよ!

その攻撃を刀で逸らしながら懐に入り込む

入り込みながら肘打ちを胸板に決め、腕を取って背負い投げを決める

そして華雄の肘の関節を極め、折ろうとしたその時

「華雄~!」

叫びながら、向かって来る人物がいた

その声に振り向くとその人物の放った斬撃が迫って来た

躱せない!

~一刀視点~

華雄を探しながら戦場を移動していた

そして何とか見つけた華雄は誰かと対峙していた

「この腰抜けが~!」

華雄の攻撃をその相手は攻撃を逸らしながら踏み込んで肘打ち

背負い投げ、関節技、流れる様に華雄の関節を極める

「華雄~!」

その相手に突っ込んで行き、斬撃を放つ

俺の声に振り向いたその顔は・・・!

鞘姉!?

斬撃を急いで止める 何とか当たる寸前で止めれた

ほっとした息を吐くと鞘姉も華雄への関節技を解いて

「一君?!

 本物の一君なんだね?」

「俺は本物だよ

 鞘姉も此方の世界に来てたんだ」

再開の言葉が交わされる

「戦場だから積もる話は後にして、一君 私は今曹操の元で厄介になっている

 一君もこっちに来て」

鞘姉が勧誘して来るが

「それは出来ない 俺にも守る者が出来たから

 それに鞘姉を誘う事も出来ない 明らかに此方が不利だからね」

俺の言葉に鞘姉も言葉を失う

「それなら、力づくで と言いたいけどさっき私を斬らなかった借りがあるよね

 今回は見逃してあげる でも私は執念深いよ」

鞘姉は笑っていた 寂しげに・・・

 

そこへ霞がやって来た

「一刀、華雄、汜水関はもう持たん

 虎牢関へ撤退や!」

霞の言葉に華雄が反発するが

「この阿保が、己の所為でこんな事になったんや!」

霞に一括されて華雄が渋々従う

「俺も行かせてもらうよ でもさっきの事は貸しだなんて思ってないよ

 俺が鞘姉を斬れる筈が無いだろ (俺の初恋の人なんだから)」

最後の一言だけは小声で言って俺も霞に続いて撤退した

 

汜水関から撤退した部隊と合流し虎牢関へ向かう

その道中華雄が俺に訊いて来た

「北郷、まさかお前 敵と内通していないだろうな?」

~あとがき~

 

桂花の言葉に鞘華が切れました

これは桂花の発言と鞘華の心情を考えれば必然でしょう

 

一刀もやっと鞘華の存在を知りました

これからどうなるのか

 

前回のラストの一刀の予測できなかった"あの事態”は華雄の暴走だけではありません

これはその事態の始まりです

ネタバレしない限度で言いますが華雄の最後の台詞が関わってくる事です

予定ではこの戦いの最後の方で

 

更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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