No.75535 心・恋姫†無双 第八話南風さん 2009-05-25 20:12:49 投稿 / 全5ページ 総閲覧数:12348 閲覧ユーザー数:9451 |
心・恋姫†無双 ~大陸動乱編~
第八話 ~覚悟~
「では、お館さまにこれからの方針を決めてもらわんと。」
「その前に一つ聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「何ですかな?」
「董卓って名前をどこかで聞いてきた?」
「うむ、涼州の董卓が都に入城したらしい。それがいかがなされた?」
「いや、ならいいんだ。今後、俺たちは暫くまだ静観する。」
「どうしてですか、ご主人さま?」
「今はまだ言えない。けど、俺を信じて時が来るまで待ってくれないか?・・・・・・多分、反乱を起こす絶好の機会がくるから。それまでは民達の負担をなるべく軽くするための活動をしよう。」
「うむ、お館さまがそういうなら仕方があるまい。」
「わかりました、準備は進めておきましょう。」
「ありがとう。・・・・・・・・・・・・千里。」
「はい。」
「都や諸侯の動きを探ってくれないかな?」
「わかりました。」
「焔耶・嵐・白は反乱への準備を紫苑さんと一緒に進めてくれ。」
「ご主人さま。」
「何?」
「紫苑で結構ですよ。」
「え、でも・・・・・・。」
「私たちのご主人さま何ですよ?」
「そうだよな。わかった。」
「じゃあ一刀のために頑張るか!」
「・・・・・・・そうですね。」
「仕方がないな。」
俺の意見に皆が賛成してくれた。
このまま俺の知っている歴史どおりなら・・・・・・・董卓か・・・・・・・・・・・・。
ある程度決めることを決め、俺たちは各自解散し、部屋へと戻った。
「・・・・・・・反乱か。」
皆のためと思い、何より自分のためだと思い俺は承諾したけど・・・・・・。
「何かしっくりこないな。」
こんなものなのだろうか?
現在の王朝に対しての反乱・・・・・・・。
民のため、理想のためとはいえ・・・・・・ようは命を捨てること。
諸侯を英雄と呼ばれる人たちを敵にまわすということ。
「どっちに転んでも良い事は起きない・・・・・・か。」
ウジウジしても仕方が無いことだけど・・・・・・
「本当にこれで良かったのかな?・・・・・・何か他に方法が・・・・・・・・・・。」
「駄目だ!仮にも皆のために主になることにしたんだ!・・・・・・よし!今日はもう寝よう!」
「覚悟を決めるか・・・・・・・。」
次の日、俺は千里に頼んで無地の旗と習字用具を用意してもらった。
「まさか、初めてが俺を切ることになるなんてな。」
昨日、黒髪の子からもらった日本刀を鞘から抜く。
「何度見ても凄いな。」
日本刀を左腕に当てる。
「そういえばこの刀の名前知らないな・・・・・・“白帝”にするか。」
「我ながら何か変なネーミングセンスだけど・・・・・・。」
目を瞑り、深呼吸。
ザシュ!!
左腕から血が落ちる。
一刀は流れ出る血を硯に落とす。
「ふう、こんなもんかな・・・・・・止血しないと。さすがに死ぬかな。」
苦笑いをしつつ動く右腕で左腕を止血し、筆を持ち一刀は血で何かを書き始めた。
――軍議の間、改めて玉座の間――
「昨日の今日でどうしたのだろうな。」
「いいじゃないの。」
「それはそうと紫苑はいつまでいるつもりじゃ?」
「そうねぇ、明日には城に戻ろうと思うわ。」
「はやく無事な顔を見せてやらんとな。」
「えぇ、そうね。」
玉座の間に入り驚いた事が二つ。
一つは一刀が左腕に包帯を巻いて怪我をしているため。
もう一つが無地の白い旗に、血文字で
「全てを犠牲に全てを救う」
と書いてあること。
「・・・・・・・・どう?」
「どうと言われましても、開いた口が塞がらないとはこの事ですぞ。」
「本当ね。他の子達に怒られますわよ。ご主人さま。」
「そんな不味いことしたかな?」
「そんなことはありまねぬ。ただ、その怪我は・・・・・・いただけませぬな。」
「そうですね。ご主人さまの体は大事な体ですから。」
「いいと思ったんだけどな。」
「何ですかその怪我と旗は?」
千里が入ってくるが、即座に機嫌が悪くなったというのがわかる。
「えっと。こ、これは・・・・・・ですね・・・・・・・・その・・・・・・・・・・。」
冷や汗が止まらない。
「わかりますよ。ご主人様の覚悟はわかりますけど・・・・・・・ねぇ?」
「ね、ねぇ?」
次に入ってきたのは嵐と白の二人組み。
「一刀は、やっぱり馬鹿だな。」
「・・・・・・・・馬鹿ですね。」
「・・・・・・はい。ごめんなさい。」
「このやり取り何回目だ、白?」
「・・・・・・・わかりませんね。・・・・・・・これからも繰り返されるのを考えると、数えるだけ無駄ですよ。」
「そ、そこまで言わなくても。」
最後に入ってきたのは焔耶。
「おい、お前。」
「・・・・・・・・なんでしょうか?」
「ワタシに一回殴らせろ。」
「・・・・・・・勘弁してください。」
「それは駄目だ。」
この後、何だかんだで殴られるのは免れました。
「して、お館さま。この言葉を意味は?」
「意味はね・・・・・・己の大切な人・物を己自信を本当に全て犠牲にして、民の幸せ・・・・・この大陸を救うって意味だよ。はっきり言って矛盾してるかもしれないけどね。反乱軍の俺たちにあってるじゃないか。」
「ふむ、お館さまらしい信念ではないかの。」
「えぇ、まったくそのとおりね。」
皆が一様に頷く。
「んで、俺たちの昨日話したことに付け加えたいんだけどいいかな?」
「ん、何だ?」
「・・・・・・・どうぞ。」
一刀は旗の前に立つ。
「俺たちはこれから反乱を起こす。けどそれは民を救うためであって、どこかを侵略するためや大陸を統一とかのためではない。だから、余ほど事が無い限り諸侯と戦はしない。身を守るためとかでもだ。ただ、俺たちは平和のために戦う。俺たちが戦い、存在する理由は平和のためだけ。悪と呼ばれようとも。・・・・・・甘いかもしれない。・・・・・・・・ただの俺の自己満足だけどいいかな?」
決して俺は英雄の器じゃない。
けど、それでも俺を信じてくれた人たちのために。
「そんなことはありません。それがご主人様の意思ならば。」
「ワタシは一向に構わない。」
「俺もだ。」
「・・・・・・・はい。」
「ふむ、やはりそうでなければの。」
「本当ね。ご主人さまの臣下なれて嬉しい限りです。」
「皆ありがとう。これが俺の覚悟だ。・・・・・・・・・・・言葉でいうことは簡単だけど、こんな重い言葉だったなんて思って無かったよ。・・・・・・・・・・・でも、俺はやると決めたんだ。」
いつにもなく真面目で凛々しい顔。
そんな一刀に皆がやられないわけがない。
「ほぉー。」
「あらあら。」
「ほぉ。」
「////」
「・・・・・・一刀さま。」
「ふ、ふん。」
皆が皆、顔を赤らめる。
「ん、どうかした?」
しかしそんな皆に一刀が気付くわけもない。
「よし、今日は皆で飲もう!いいですよね?桔梗さま。」
「おお、そうじゃの。良いことを言うた。」
「・・・・・・・そうですね。」
「では今からお酒と料理の準備をしなければね。」
「料理なら私が作ります!」
「いいのですか?桔梗さま。」
「固いことを言うな、焔耶。」
俺が何も言っていないのに突然の宴が決定した。
まず、この流されやすい性格をどうにかしよう・・・・・・・。
その日の夜
俺たちは城の中庭で宴を開いた。
宴には俺たちにも兵や侍女など城内の人間全てが参加している。
「しかし、美味いな。」
「知らなかったのか?千里は料理の達人なんだぜ!」
食べながら話す嵐。
「・・・・・・・・汚いです。」
仮面ではなく食事するために布を顔の前にたらしている白。
俺たち三人は、平和に千里の料理を食べているのだが・・・・・・・。
「ほれ、どんどん飲まんか!」
「もぅ駄目です・・・・・・。」
「まだまだよ、焔耶ちゃん。」
大酒のみ二人に捕まって焔耶は顔を青くしている。
「き、気持ち悪い・・・・・・。」
「ならば食え!」
「あんまり無理させてはだめよ。」
と言いつつも素敵な笑顔の紫苑。
「あれは、止める気ないな。」
「当たり前だろ。俺だって二人には敵わないんだぜ。」
「・・・・・・・けど、食欲は一番ですね。」
確かに嵐の前に積んである皿は俺の倍以上。
「うっせ!食べなきゃでるとこもでない・・・・・・ぞ。」
嵐が白の胸を指でつつく。
「きゃっ!!・・・・・・・大きなお世話です。それに、食べている割には大きくないですね。」
「お前よりましだ!!」
二人の間に火花が散る。
「喧嘩は止めてくれ。」
「お菓子が出来ましたよ~。」
千里が台車にお菓子を皿にのせて沢山もってきた。
「おお、これも美味しそう。」
「あの、皆さんは何をなさっているのですか?」
「ん?気にしたら負けだ。」
「はぁ、ならいいのですが。」
千里がそう言うのも無理は無い。
青い焔耶、机を挟みにらみ合っている嵐と白。
桔梗と紫苑だけはいつもと同じようにお酒を飲んでいるだが。
いつもまにやら、兵達も周りで酔いつぶれていた。
「楽しいですね。」
「あぁ。」
「本当はこんな景色がいつまでも続くといいんですが。」
「・・・・・続くさ。」
「無理――「いや絶対続く。」――・・・・・・そうですね。」
「それにしても本当に美味いな。」
千里の頭をクシャクシャにする。
「あぅあ~。・・・・・・っは!やめてください!」
「ごめんごめん。」
いつまでも心の中に・・・・・・・・。
第八話 完
予告
動き出す。
己が理想のため。
己が野心のやめ。
己が生きるため。
次回 心・恋姫†無双 ~大陸動乱編~
第九話 「思惑」
ついに激動の時。
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やってきちゃいました第八話です。オリジナルキャラ、オリジナル設定が苦手な方は申し訳ありません。またこの作品は恋姫キャラが出ているだけの作品となっています。史実が好きな方も申し訳ありません。